ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
モニターに映る様々な種類のMS。
ザクからガンダムバルバトスルプスレクスまで、様々な作品のMSのガンプラが同じ土俵で戦っていた。
ガンダム対エクシア、サザビー対ユニコーンガンダム、ストライクフリーダム対ウイングガンダム。ガンダムが好きな者なら夢の対決と呼ばれるシーンが幾つも流れていく。
「うっへぇ、いつも思うっすけどGBNのトレーラームービーはガンダムオタクの心をしっかりと掴んでるっすよねぇ! フヘヘヘヘ」
「ニャムさん、笑い方が純粋にヤバい」
モニターに映る大型イベントの予告を眺めて表情を歪ませるニャムと、そんな彼女を見て表情を引き攣らせるロック。
超大規模変則スコア戦イベント。
イベント名は大規模フォースバトルロワイヤル。総勢三百のフォースが撃破ポイントを競い合う、GBNでも稀な超大型イベントだ。
そんなイベントに参加する為に、ケイ達フォースReBondのメンバーはそのイベントが行われる開会式の会場に立ち寄っている。
「やぁやぁ、フォースReBondの諸君。久し振りじゃないかな?」
そんなケイ達を見付けて声を掛けてきたのはフォース砂漠の犬のリーダー、アンディだった。
「アンディさん!」
「相変わらず楽しんでるようだね、少年」
「誰だこのイケてるおっさんは! こんなイケてるおっさんは初めて見たぞ!」
アンディを見てそんな言葉を漏らすイア。彼女の言葉にカルミアは「アレ? おじさん遠回しにイケてないって言われた?」と涙目になる。
「ん? 彼女は?」
「えーと……新メンバーです?」
「なんだ、訳ありかね。だが、容赦はしないぞ。今日は楽しもう」
そう言って、アンディは片手を上げてその場を去っていった。砂漠の犬だけではない、このイベントには様々な強敵が参加している。
「なぁ、アレ───」
「あ、モモちゃん!! サラちゃん!!」
そんな中で、参加者達を眺めていたロックが何かに気が付いたと同時に───ユメが目を輝かせて走り出した。
その先には、桃色の髪をポニーテールにした女の子と銀髪の不思議な雰囲気の女の子が立っている。
「もしかして……」
そんな二人の奥にある女の子達の仲間であろう人達を見て、ケイも目を輝かせるのであった。
「───もしかしてユメちゃん! うわぁ! GBNだとこんな姿だったんだ! GBNのユメちゃんも可愛い!」
「ユメ、久し振り」
ユメと目が合うと、こちらも目を輝かせて口を開く女の子二人。彼女達はモモとサラ───フォース
「……リク」
「もしかしてケイさん? ダイバーシティの、ガンダムベースの時イベントで───」
「そうだよ、フォースReBond。まさか覚えていて貰えるなんて……ちょっと嬉しいな」
「そんな! あの時は本当に俺も楽しかったから。ケイさんとまたバトル出来るなんて……しかも自分のガンプラで」
「ケイで良いよ。今日は絶対に戦いに行く」
BUILDDIVERSのリクに拳を向けるケイ。そんなケイに、リクは「……分かった。楽しみにしてるよ、ケイ」と拳を返した。
「見付けましたわ! フォースReBond!! ここであったが百年目ですわよ!!」
ケイがリクと話していると、その傍では彼等を見付けたフォースメフィストフェレスのアンジェリカが言葉とは裏腹に満面の笑みで手を振りながら近付いてくる。
ロックはノワールを見付けるやいなや無言で拳をぶつけた。
強敵にライバル、ここにはまだ見ぬダイバー達も多数集まっている。
「カルミア氏、見掛けましたか?」
「……いや。そもそもセイヤ達が本当に参加してるのか分からないしなぁ」
そんな中で、ニャムとカルミアはセイヤ達───フォースアンチレッドを探していた。
偶々抽選で選ばれたのだとしても、彼らがこんなイベントに参加するとは思えない。
もし参加するとしても、NFTの時のように何かしようとしているのかと思うと黙って傍観する訳にもいかないだろう。
「……怪しいわよなぁ、運営さんとか。チャンピオンとか」
「ま、まぁ。何事もなく楽しめれば自分達もそれで良いと思うんすけどね。カルミア氏も、そろそろ疑うのは辞めて楽しんだ方が良いと思うっすよ」
「それもそうねぇ」
二人がそう会話をしていると、会場の真ん中に突然スポットライトが当たり───ゲームマスター、カツラギが姿を表した。
ゲームマスターが顔を見せるのは珍しく、それだけで会場は大いに盛り上がる。
「───本日集まってくれた多くのフォース、そしてダイバー諸君。私はこのイベントの主催を務めさせていただくゲームマスターのカツラギだ。本日はイベントを大いに盛り上げ、楽しんで頂きたい」
片手を上げる、SDガンダムのようなアバターのダイバー。そんな彼を見て、イアは「あの人はガンプラじゃないのにガンプラみたいな格好をしているぞ? 一体なんなんだ!」と頭を抱えていた。
「イベント戦の詳細なルールは告知した通り、より多くの敵を撃破し自軍の撃破数が少なければ勝利となる。イベント戦上位フォースには様々な報酬も用意されている為、諸君らの健闘を期待したい」
この超が付く大型イベントは、その名に恥じないイベント報酬が用意されている。
それこそ参加するだけで通常のミッション十回よりも相場の高い報酬が会得出来る為、イベント戦上位フォースへの報酬は気が遠くなる程だ。
ReBondの面々は勿論、どのフォースも上位を取る事を目標にしてその目を燃やしている。
「堅苦しい挨拶は以上だ。イベント戦開始は一時間後、たった今バトルフィールドの詳細がメッセージで送られている。……各自、この一時間で最終調整を行なってくれたまえ」
そう言って、カツラギは会場から姿を消した。
参加者全員のコンソールパネルに、メッセージとイベント戦開始時間が表示される。
「楽しもう、皆」
「うん!」
「おうよ」
「やってやりましょう!」
「おじさんも張り切っちゃおうかな」
「よっしゃ! やるぞ!」
各フォースは一丸となってメッセージに表示された細かなルールやフィールドの状況を頭に叩き込むのであった。
☆ ☆ ☆
ゲームマスタールーム。
「カツラギさん」
モニターに視線を向けているカツラギに、一人の男が話し掛ける。
「……AVALONのリーダーがこんな場所にいて良いのか」
「それは問題ない。僕のフォースには優秀なダイバーが沢山いるし、今日は好きにやらせてもらう事にしてるからね。……そもそも、僕を呼んだのはカツラギさんじゃないか」
両手を上げて困ったような表情で言葉を漏らす男───GBNのチャンピオンにしてフォースAVALONのリーダー、クジョウ・キョウヤはこう続けた。
「僕に頼みたい事とは?」
「今回のイベント戦は以前話したELダイバー失踪事件を追う為に開催したイベントだ。ELダイバーと共に行動するフォースの殆どを招待し、そのフォースと関わりの深いフォースも全て参加している」
「その意図は僕も分かっていたつもりだ。もしELダイバーの失踪事件に原因があるなら、ELダイバーを一斉に集めて監視してその原因を探りたい……カツラギさんが考えている事はそんな所だろうと思う」
キョウヤの言葉にカツラギは無言で目を閉じる。
返事がないのは否定しないという事だ。キョウヤはさらにこう続ける。
「ELダイバーと共に行動するフォースと関わりが深いフォースも参加させた。……つまり、ELダイバーの安全を保障したいのがカツラギさんが次に考えている事なら───カツラギさんが僕に頼みたい事は分かってくる」
「話が早くて助かる」
「BUILDDIVERSのサラ君、ReBondのイア君を僕に守って欲しい。そういう事ですね?」
キョウヤの言葉に、カツラギは再び無言の返答を出した。
彼の事だ、他の誰かにもELダイバーの安全の保証を頼んでいるのだろう。
もう二年近く前になる第二次有志連合戦。
あの時の悲痛な想いを、これ以上誰かの好きを絶やさない為に。
「……勿論協力するつもりだ。けれど、僕は彼女達にも全力でこのイベントを楽しんで欲しいし、僕も楽しみたい。やり方は任せて貰えますね?」
「……あぁ」
短く返事をしたカツラギに背を向けて、キョウヤは最後にこう口にした。
「───勿論、このイベント戦を一位で勝ち上がるのはAVALONだ」
そんな言葉を残し、キョウヤはゲームマスタールームを立ち去る。
残されたカツラギは、バトルフィールドが映し出されたモニターをひたすら無言で眺めていた。