ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
第七機甲師団。
智将ロンメルが隊長を務める、フォースランキング二位の古参フォース。通称ロンメル隊である。
超大規模変則スコア戦に参加した第七機甲師団は、智将の名に恥じない作戦を展開しイベント戦を有利に進めていた。
その作戦は───
「ハッハー! 第七機甲師団って言っても大した事ないようだな。このまま本陣も潰してやろうぜ!」
「こっちの戦力はまだ残ってるからな!」
「尻尾巻いて逃げちゃってよー、情けない奴等だぜ!」
第七機甲師団が展開する戦闘宙域。
一つのフォースが第七機甲師団の一個小隊を攻撃、これを撃退まで追い込み現在追撃戦の真っ最中である。
スコア戦はより多くの機体を撃破する程、勝利に近付くバトルだ。
逆にいえば撃破されなければ相手にポイントを渡す事にはならない。よって戦闘から引くのは当然の作戦であり、それを追うのも当然の話である。
「オラオラ逃すかぁ!!」
「───鼠が来たか」
───そして知将ロンメルはそのルールを逆手に取った。
「全機! 一斉射撃!」
彼こそロンメル隊───第七機甲師団の隊長、ロンメルである。
彼の言葉と同時に光る銃口の数々。
それは暗礁宙域に浮かぶ戦艦や小隕石に隠れていた第七機甲師団所属の機体数十機からの援護射撃であった。
「───な、こいつらどこから!?」
「───待ち伏せだと!?」
「───嵌められた!?」
次々と敵を撃破していく弾幕。
そのフォースとの戦いで第七機甲師団が撃破された機体は二機。中破した機体こそあれど、
対する全滅した相手フォースは十三機のMSを有するフォースだった。
被撃破二、撃破十三の大金星である。
「───肉を切らせて骨を断つ。少数の小隊を餌に大物を釣り上げる作戦はやはり、序盤には有効だ。大隊を狙う相手は欲をかきやすい」
勿論。
囮とはいえ第七機甲師団のメンバーは個々でも優秀なダイバーだ。舐めて掛かれば、それは囮にすらならず敵を返り討ちにしていまいかねない。
「……こりゃ、難儀ねぇ。どうするよ隊長。んや、ニャムちゃんに聞いた方が良いか」
「おい俺を少しは頼れよ!」
その第七機甲師団に挑もうとするフォースがまた一つ。
「確かに難儀っすけど、やらなきゃ始まんないっすからね! やれるだけやってみましょう!」
「おーう!」
そしてもう一つ───
「───さて、どう攻略したものかと悩んではいたが。これは面白いマッチアップになってきたねぇ」
───第七機甲師団攻略への糸口を探す者が、戦闘宙域へ差し掛かっていた。
☆ ☆ ☆
銃弾が装甲を削る。
「こうも弾幕が濃いと近付かないっすよぉ!」
「だからっておじさんの機体の後ろに隠れるのはどうなのよ!?」
カルミアのレッドウルフの後ろに隠れる、ニャムのアカツキ。
ReBondのメンバーは第七機甲師団の小隊を攻撃、一機を撃破するが撤退する機体を追い掛けて待ち伏せにあっていた。
第七機甲師団の作戦は戦闘宙域に小隊をいくつもばら撒いて、中央に位置するロンメル率いる大隊がそれを待ち伏せるという物である。
それが分かっていたニャム達は深追いする前になんとか身を引く事が出来たが、敵と戦おうにもこれ以上進むのは自殺行為だ。
「ユメのフルクロスやニャムさんのヤタノカガミで強行突破、なんてのは出来なそうだな……」
「そうっすねぇ、アカツキはビームには強くても実弾は厳しいっすから。第七機甲師団……量産機を軸に構成されているので実弾兵装が多いんすよね」
第七機甲師団の統率の取れた動きに加え、現在のReBondの面々には相性の悪い部隊構成。
勿論手こずらないと思っていた訳ではないし、むしろ一筋縄ではいかないことは理解している。
しかし、どうしたものか。
突破口を見付けたい。諦めたくない。
「こちらの手で有効なのはケイ殿のフェイズシフト装甲くらいっすよね。どうしたものか……。せめて隊長機を落として統率力を奪いたいんすけども」
「なんとか戦闘宙域に穴を開けて貰えれば、俺とユメのストライカーパックを交換して隊長機に辿り着けるかもしれないけど……」
「あ、私が初めてケー君とクリアしたミッションの時みたいだね」
ユメはGBNでも現実でもケイスケに貰った複翼機のアクセサリーを触りながら、自分が初めてGBNでクリアしたミッションの事を思い出した。
クロスボーンストライカーの機動力で戦線を一気に離脱、撃破目標の機体をダブルオーストライカーに換装して接近戦闘で落とす。
この作戦は確かに敵隊長機を撃破するには有効な作戦だ。しかし───
「それが通る程、相手さんも甘くないでしょうよ」
カルミアの言う通り。
今、彼らが相手をしているのはフォースランキング第二位のフォースである。
ケイ達がクリアしたミッションとは相手の実力も、戦力比も桁違いだ。
「……だよなぁ」
「───確かにその作戦は甘い。けれど、良い点は付いているよ」
そんな会話をしていたReBondの通信に割り込んでくる一人の人物。
「なにあつ!?」
「やーやー、こんにちわ。ReBondの諸君」
「あ、あんたは! フォース砂漠の
「砂漠の
ReBondのメンバー達に現れる、フォース砂漠の犬のアンディ。
彼の率いるガイアトリニティ部隊───その数三十六機がReBondの前に姿を表す。
「ひぇぇぇ、こんな所で砂漠の犬まで来たらおしまいっすよ───って、あれ? 共闘?」
泣きながら両手を上げるニャムだが、彼女は直前のアンディの言葉を思い出して目を丸くして両手を叩いた。
「確かにストライクとデルタだけであのロンメルに突っ込んで勝てるとは限らない。しかし、この僕達のガイアトリニティも一緒なら話は別だ」
彼等のガイアも、フェイズシフト装甲を有する機体である。そのガイア三十六機からなる大隊の力があれば、あるいは第七機甲師団の猛攻を突破出来る可能性が見えてきた。
「僕らの大隊とストライク、デルタで敵の大将の撃つ。残りのReBondのメンバーには後方からの援護射撃を頼みたい。特にそっちのドーベンの火力は僕達も知る所だから期待したいところなんだがねぇ」
「言ってくれるじゃないの。おじさんにケツ掘られても怒るなよ?」
「その時は作戦が失敗するだけさ。まさかそんな愚行は犯さまい」
アンディの言葉に口笛を鳴らすカルミア。
彼はモニターに映るアンディの視線から目を逸らして、ロックやケイに「どうする? 大将」と軽口を吐く。カルミアやニャムに異論はなさそうだ。
「俺が大活躍出来ない作戦ってのは気に食わないが、それでフォースランキング二位のフォースに一泡吹かせられるなら上等だぜ」
「ボクは戦えればなんでもいいよ! 援護射撃すれば良いんでしょ?」
ロックは「ま、そもそも狙い撃つのが俺の仕事だからな」と言って他メンバーに呆れられ、イアはいつも通り楽しそうに返事をする。
全員の返事を確認してから、ケイとユメはお互いの目を見て首を縦に振った。
フォース砂漠の犬との共闘交渉は成立である。
「それじゃ、作戦会議といこうか。あちらさんに勘付かれる前に事を起こしたいからねぇ、手短に話すぞ」
そうして作戦を決めたフォースReBondと砂漠の犬は共同戦線を開始した。
一方で、第七機甲師団の攻略は他のどのフォースも諦めかけている。
何度でもリスポーン出来るルールと、大規模フォースの機体を撃破した時のキルポイントはかの知将ロンメルを相手にするとしてもメリットだ。
しかし、ロンメルは挑んでくる全ての相手を蹴散らし───再戦の度に各対戦フォース毎に新たな作戦を指示して敵を殲滅している。
知将ロンメル。
第七機甲師団に隙はない。
───そんな強豪を攻略せんと、二つのフォースが動き出した。
「───着いて来れるかな、少年!」
「───舐めないで下さい!」
───砂漠の犬、アンディが率いるガイアトリニティ大隊。
───ReBond、ユメからクロスボーンストライカーを換装して貰ったケイのストライクBondと、代わりにダブルオーストライカーを装備したユメのデルタグラスパー。
「その意気だ。……第三中隊はデルタを守りきれ! 彼女だけはフェイズシフトがないからな。しかし、この作戦の鍵は彼女の機体だ。第一第二中隊で戦線に穴を開けるぞ! 遅れるなよ!!」
アンディの指示で三十六機のガイアトリニティが動き出す。
ReBondと初めて戦った時や、NFTでは小隊規模の部隊数だったがこのイベント戦では機体の数に制限はない。
これが砂漠の犬の真骨頂。
「───さぁ、やり合おうか。大佐殿!!」
───ReBondと砂漠の犬、そして第七機甲師団のバトルが始まる。