手持ち無しの幸薄少女が、“呪い”を知る話。
朝起きて、また新しい一日が始まっているという事を認識してしまうと、溜息をついてしまう。
私の大好きな“モンメン”と“エルフーン”が描かれているお布団の中で目が覚めた私は、もはや諦めに近い感情を抱いているかもしれない。
私のお部屋はそんなに広い訳ではなく、個人的には丁度いいと思える広さだったのだけど、ここ最近の私にとってはとても広い。
それはただただ私が寂しいと思っているだけかもしれない。
このお部屋の広さは“タタミハチジョウ”ぐらいってお姉ちゃんは言っていた。皆これぐらいなんだって。
もっともお姉ちゃんのお部屋は私のお部屋の2倍ぐらい大きいけど。
「シール! いつまで寝てるの!」
お部屋のドアをドンドンと叩く音と一緒に、お母さんの怒ってる声が聞こえた。
……本当はまだまだ寝ていたい。叶うのならお昼過ぎまでこのままがいい。
あと十五分しか私に残されている時間はないと告げる時計を見ながら、今からでも“トルネロス”が突然現れて、スクールをお休みにしてくれないかなって願いながら、私は部屋を出た。
私のお家はここ“ホウエン地方”のカナズミシティという場所に建ってて、そこのトレーナーズスクールに私は通っている。ついでに言うと9歳。まだポケモンを所持する事は認められていないし、今まさにその許可を得る為のお勉強をしている所。
……正直な所、許可を貰ったから何をしたい、なんて事は何一つ考えていない。
お母さんやお姉ちゃんは立派なトレーナーで、二人が「許可を得るのは当たり前」と言っていたので私も取ろうとしている、ただそれだけ。
そんな目的も何も無いような状態では、真面目に頑張ろうと思えることも無く、私の成績は最下位キープ。
お母さんには出来の悪さを怒られて、お姉ちゃんからには心配をかけちゃってる悪い子。
それが私。落ちこぼれのシール。
現在スクールには、私とお姉ちゃんを合わせて7人の生徒がいる。
みんな私と比べて頭一つ抜けていて、今年は私を除けば今まででもかなり優秀なクラスらしい。
皆私に優しくしてくれているし、先生もこんな私でも分かるように何度も説明し直してくれる。
……でも、私はスクールを楽しいと思った事は殆ど無い。
特にお勉強したいと思っている訳でもないことを頑張るなんて、私には無理だった。
許可を得るための試験は筆記と実技で、筆記は単タイプの相性を答えるのならある程度は答えられる。でも2つのタイプが合わさっちゃったら難しい。
実技は酷い。スクール生徒用のポケモンに技を出させたり、バトルさせたりするのが試験だけど、私の指示をポケモン達は聞いてくれない。
先生はその理由を分かってるみたいだけど、教えてくれない。
「自分で気づけなければ意味がありませんわ」の一点張り。
……私はスクールが嫌い。お姉ちゃんやお友達と一緒にいるのは好きだけど、お姉ちゃんはあんまり甘えさせてくれない。お母さんの怒鳴りながらのお説教の時は庇ってくれるし、授業で分からなかったところを教えてくれるけど、実技に関しては先生とおんなじ事を言う。
ううん、お姉ちゃんだけじゃない。成績一位のハルちゃんも、ミシロくんも、実技に関してはおんなじ事しか言ってくれない。
私はスクールが嫌い。どうやっても上手く行かなくて、頑張っても結果が出なくて、お母さんに怒られる原因になるスクールなんて、大嫌い。
……だから。
私がスクールをサボって路地裏にある秘密基地に引きこもっちゃうのも、仕方ない事。
そう……仕方ないことなの。