ただ、相棒のジュペッタがいなくて悲しいを通り越して絶望ですが。
……剣盾内定はよ。
秘密基地。カナズミシティと116番道路との境目にある此処は、私とお姉ちゃんの二人だけが入れるヒミツの隠れ家。
お姉ちゃんが所持してるモンちゃんの“ひみつのちから”っていう技で作ってもらった此処は、私が自由に来れる場所の中で一番のお気に入り。
時々、野生のポケモンが隙間から入り込んじゃうから一人で来ちゃダメってお姉ちゃんには言われてるけど、それを無視してこっそり一人で来ちゃうのは、お姉ちゃんにはナイショ。
「
この秘密基地は真ん中に道があって、端っこから左右にお部屋が別れてる。左が私のお部屋で、右がお姉ちゃん。
何故か野生のポケモンが入り込んできちゃうのは決まって左の私の方で、お姉ちゃんは不思議がってた。
そんな私のお部屋には、私の宝物が詰まってる。
お母さんに捨てられちゃったお人形を、お姉ちゃんが燃やされる前に回収して綺麗に洗ってくれて、見つからないようにここに隠してる。
他にも、お姉ちゃんは元々お姉ちゃんのだったお人形とか、お姉ちゃんの好きな本とかをくれるから、全部ここに隠してる。
大事な大事な、私の宝物。
「あれ……このお人形見たこと無い。新しいの?」
部屋の隅に、見たことないお人形が一つ置かれている。
両手はぷらーンと垂れていて、口は黄色いチャックになっている。
抱き上げてみた。ちょっと臭うけど、しっかり洗えば落ちそう。
……それよりも
「可愛い! お姉ちゃんのモンちゃんより好きかも」
これはじっとしてはいられない。早く綺麗に洗ってたくさんもふもふしたい。
でもお人形の洗濯ってどうやるんだろ? お姉ちゃんはいつもお風呂場でいっぱいゴシゴシしてたけど、私がやって傷んじゃったら嫌だな。
でもこのお人形は、私が綺麗にしてあげたいな。
……お姉ちゃんは今スクールにいる。やり方を教えてもらう為に行かなくちゃダメ、かな? うぅ、行きたくないなぁ。
ブツブツ文句を言いながら、リュックサックにお人形をしまった。
なんとなくだけど、お人形が少し笑ってるような気がした。
「あらシール。今日は遅かったですわね」
「ごめんなさいツツジ先生……その…えと、ちょっと迷っちゃってて……」
「あら? シールの家からスクールまで五分もかからない筈ですが……また寝ぼけてフラフラしていたのですの?」
「えと…はい」
シールは相変わらずおっちょこちょいですのね、と笑いながら頭を撫でるツツジ先生。その手付きは優しくて、昔のお母さんみたい。
ツツジ先生はこの街のジムリーダーで岩タイプのスペシャリスト。
皆の憧れで、私も大好き!
お姉ちゃんと仲良くて、よく一緒にバトルしたりしてる。
「もうすぐ休み時間も終わりですわ。次の授業からは頑張って受けることですわ」
はーい、と返事をちゃんとして、教室に入る。瞬間お姉ちゃんが飛びついて来て、心配と怒りの合わさった目を合わせられる。
「シール! どこを道草くってたの!? お姉ちゃんを心配させないでってあれ程言ってるでしょ!」
「ごめんなさいお姉ちゃん……その…また寝ぼけちゃって、変なとこ行っちゃった」
そう言うと、お姉ちゃんは呆れた表情で見てくる。心配させちゃったのはごめんなさい。
「えとね、お姉ちゃん。これ」
リュックサックから人形を取り出して、お姉ちゃんに渡す。
匂いのせいか、お姉ちゃんは少し顔を歪めた後、不思議そうな顔をした。
「シール、これ何処で拾ってきたの?」
「? お姉ちゃんがまたくれたんじゃないの?」
違うわよ、と首を振るお姉ちゃん。じゃあ誰がくれたんだろう?あの秘密基地は私とお姉ちゃんしか入れないのに……。
でも、可愛いからいいや。
「……まぁ良いわ。綺麗にしたらいいのね?」
「うん。でも、今回は私がやりたい!」
そ、まぁ別にいいわ、と言って人形を返してきた。臭うから持っていたくないって。可愛いのに。
シール:主人公。秘密基地の人形がお姉ちゃんのだったら、それをお姉ちゃんに渡したら嘘ついてるのがバレちゃう事に気づいてない。嘘つく時大体「寝ぼけちゃって」
寂しがりやの甘えたがりやの泣き虫兼かまってちゃん(お姉ちゃんとツツジ限定)お姉ちゃんっ子のツツジ先生大好きっ子。
お姉ちゃん:まだ名前決めてない。今年スクール卒業&成人予定。シールが心配で仕方がない。
前回シールはあまり甘えさせてくれないと言っているがそれはシールの主観で、傍から見ると過保護。シールの嘘に気づいてる。
ツツジ:スクールの先生兼カナズミジムリーダー/岩タイプスペシャリスト。
シールを気にかけていて、お姉ちゃんとは親友兼ライバルな同い年。飛び級にて卒業済み。
シールの卒業後に三人でジム巡りしたいなぁと内心思ってたり。シールの嘘に気づいてる。
ツツジ可愛いよツツジ。