ホウエン地方の日陰少女   作:七味アンチャ!!

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四話目。初のポケモンバトル。この話よりタグに“独自設定”が追加されます。
殆ど関係ないけどジョジョ大好きです。

※現在インフルエンザで入院中です。更新は遅れます。


バトルしてブチギレて

 

 私の手は、引きずり込まれてゆく妹の手をしっかりと握りしめた。

 すぐさま両手に入れられるだけの力を全力で込める。今の私は凄い形相だろう。知ったことか。

 

 「ハブル! シールの“影”にみずでっぽう!!」

 

 さっきとは比べ物にならないほどの水が、ハブルから放たれる。

 水は影のある草むらをすり抜けて、影に飲み込まれた。

 途端に、妹を引っ張る力が格段に弱くなる。

 抵抗はほとんど無い。尻もちをつく形ではあるが、何とか引きずり出すことができた。

 

 すぐさま立ち上がり、自分の体で庇う。

 この子は渡さない。気を緩めるな。やつは絶対にまだ諦めてない。周囲の僅かな変化を見逃すな。目を凝らせ。感じ取れ。

 

 「!? ハブル! 飛んで!」

 

 私の指示を聞くやいなや、ハブルは跳んだ。

 直後、ハブルの影から黒い手のような物が伸び、足スレスレを掠める。

 

 「みずでっぽう!」

 

 すぐさま攻撃を仕掛けるも、当たる前に手は再び影に引っ込んでしまった。

 

 (敵は影から攻撃してくる。ハブルが着地した瞬間が最も敵にとっては攻撃のチャンス。なら!)

 

 「影にかみなりパンチ!」

 

 着地寸前に放ったかみなりパンチは、予想通り着地のスキを狙った攻撃と衝突した。一瞬うまれたスキを見逃さない!

 

 「引きずり出して!」 

 

 影をもう片方の手で掴み、かいりきの力で無理やり引きずり出し、地面に叩きつけた。

 正体を表わせ。クソ野郎が。

 

 真っ先に目に映ったのは、黄色い何か。

 瞬間、チャックという事に気づく。それは口だった。

 ハブルの掴んでいない手は垂れている。……見覚えが、ある。

 

 「さっきの人形?…ポケモンだったの!?」

 

 さっき妹が人形を置いた場所を見ても、そこには何も無かった。

 つまり、こいつは本当にさっきの人形。

 

 ギリッと、自分が歯を食いしばる音が聞こえた。

 

 …つまりこいつは、人形のフリをしてシールに近づいた?

 …シールや私を油断させ、シールを狙った?

 …影に引きずり込んで、シールに何をするつもりだ?

 

 

 

 

 

 

 ぶっ殺す。

 キレた。盛大に。許さない。許せない。殺す。ぶち殺す。

 

 「あまごい」

 

 雨が降り始める。ハブルの特性は“すいすい” 素早さ二倍に加えて、雨のおかげで水タイプの技の火力が上がる。

 

 「かいりき。かみなりパンチ」

 

 かいりきにより渾身の力を右手に込め、()()()()()()()()()()()()()()()()

 さっきの一発となんて比べ物にならない。

 

 「ぶちかませ!」

 

 一瞬のうちに、クソ野郎の懐へ潜り込む。当たる瞬間、何らかの技を発動されたが知らん。ぶちかますだけだ。

 一撃は、クソ野郎を数メートル程吹き飛ばした。

 …発動された何らかの技のせいか、あまりダメージを受けている様子はない。ただ、隙なら出来た。最大火力をブチかますための隙が。

 

 「ハイドロポンプ!」

 

 ハブルの最大火力。ハイドロポンプ。みずでっぽうなんて目じゃない。普通なら放つまでに少し溜めがいるが、雨のおかげで()()()()()()()()()も早くなっている。実質ノータイム発射だ。

 

 驚く事に、これにもクソ野郎は反応してみせた。両手の間にどす黒いボールを生み出して放ち、それでハイドロポンプを防ごうとする。

 しかし、こちらの火力の方が上だ。ボールを貫き、胴体へクリーンヒット。数メートル吹き飛ばされ、衝撃を受け流せずに地面に引きずられた。

 かなりのダメージは稼げただろう。戦闘不能になってもおかしくないぐらいには。

 …しかし、奴は立ち上がった。スッと。こちらを見てケラケラ笑う。余裕そうに。楽しそうに。

 

 思わず舌打ちしてしまう。今ので確信を得てしまった。奴との間に開く実力差に。

 こちらの最大火力を受けてあの余裕。レベル差はおそらく、()()2()0()

 何だってこんなヤバイポケモンが、よりにもよって私の妹を狙うんだよクソッタレ。

 でも、そんな事が諦める理由にはならない。なる訳が無い。むしろ丁度いい。来年からする事になる仕事の先取りだ。

 

 「ハイドロポンプ! 撒き散らせ!」

 

 最大火力を惜しみなく使う。辺り一帯、半径20メートルに撒き散らし、大きな水溜りを作った。

 

 「れいとうビーム!」

 

 触れたものを瞬時に凍らせるれいとうビームを水溜りに放ち、クソ野郎の体諸共氷漬けにする。奴は氷に囚われ動けない。奴にできる事はただ睨みつける事だけ。無力。

 

 「かいりき。両手にかみなりパンチ。思う存分叩き込め!」

 

 殴る。殴る。殴る。殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る!!

 

 「ハブラララララララララララララララララララララララララ!!」

 

 そしてトドメ!

 

 「ハイドロポンップゥアァ!!」

 

 「ハブラァァァ!!」

 

 殴りの衝撃でボロボロにヒビが入った氷を、最後のハイドロポンプが貫いた。雨があがる。あまごいの効果が切れ、空に太陽が戻った。

 

 肩で息をしている。ハブルもだ。全力を出し切った。ざまあみろ。

 

 「はぁ、はぁ。シール、もう大丈…」

 

 振り返ろうとして、ズガンッ‼と大きな鈍い音が響いた。

 目を見開いた。

 仰け反り、宙に浮かぶハブル。その下に。

 

 

 

 

 クソ野郎が、ボロボロになりながらも、腕を紫に光らせて、獰猛に笑っている。

 

 「守る!」

 

 咄嗟に言えたのはこの一言だけ。直後、ハブルを半透明な壁が覆った。“守る”。ほんの数秒間の効果時間だが、相手の攻撃を一切無効化する最強の守り技。

 それを見てもなお紫の手は止まらず、守るの壁にぶち当たり…

 

 一切の抵抗無く、すり抜けた。

 

 「「!?」」

 

 驚愕する私とハブルをよそに、紫の一撃がハブルを襲う。

 地面に叩きつけられ、ハブルは“瀕死”になった。

 

 「一撃!?」

 

 呆然としてる暇は無い。こうなったら妹を担いででも逃げてやろうと背を向けようとした瞬間、奴の目が光り、私の体は一切動かなくなった。

 

 「……!?」

 

 声を出す事も、指一本動かす事も、瞬きすらも出来ない。

 バランスが崩れ、頭から地面に叩きつけられる。

 視界の先には妹がいて、私のもとへ駆けて来ている。

 来るな!、と叫ぼうとしても声が出ない。

 

 顔の横に何かが立った。奴だ。横で何かが光る。奴の目だ。

 妹が崩れ落ちる。私と同じだ。

 

 奴が妹に近づく。やめろ。

 妹の手を持った。やめろ。

 こちらを見て笑う。やめろ。

 奴の足が、体が、手が影に飲み込まれてゆく。やめろ。

 妹の体と一緒に。やめろ。

 やめろ。やめろ。やめろ!!

 

 「シ………ル。ぜった…たす……るから」

 

 妹が飲み込まれる直前、この言葉だけが辛うじて言えた。

 

 ……そうして。妹は。私の()()()()()()()()は。

 影に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 




お姉ちゃん:キレると口調が荒くなる。口の悪くなる女の子は私の趣味だ、良いだろう?
ハブル:独自設定の塊。レベル20ちょいぐらいのハスブレロ。技思い出しとかはSM基準。
クソ野郎:野生のレベル50超えポケモン。強い。分かる人にはすぐ分かる。バレバレ。

独自設定について
一言で言うと技と技の重ねがけです。
この話の中では、かいりきで全身に力を溜めて、その力をかみなりパンチに乗せていました。これにより、最低でも威力を二倍以上にします。
折角ポケモンには色んな技があるのに、どのポケノベルを見ても同じような技ばかりだなと思い、色んな技を出したいと考えた結果です。
この設定上、初代から居る腕が4本の通信進化のポケモンがぶっ壊れと化しました。
詳しい説明は、追々後書きに纏めていこうと思います。
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