通りすがりの警察官だ、覚えておけ   作:だぶる

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プロローグ

おんぎゃあ!と自分の口からこぼれて、今の現場を把握した。人生2周目。どうしてこうなった。

 

幼児教育番組を眺め、テレビのチャンネルが変わると、【藤峰有希子の女優引退】という記者会見ライブ。

 

 

父親が毎朝、読んでる新聞の見出しに【銀行強盗】、【殺人事件】、【爆発】の文字。本当にここは日本かよ。物騒な単語の羅列に震えた。

 

 

両親は「また不審火による放火か」「そろそろ我が家も火災保険 見直さないとね」と、マイペースにのんびり会話している。

 

 

「「だって、米花町だし」」

 

 

両親の重なったその言葉に肉体年齢:幼児は卒倒した。

 

 

 

 

この世界に......神なんていない。

 

 

......泣いた。

 

 

***

 

 

 

 

米花町。それは【名探偵コナン】に登場する町の名称である。あっちら こっちら 事件のバーゲンセールに事欠かない言わずと知れた犯罪都市だ。

 

 

どうしたら安全に平和に生きていけるか。

 

うんうんと頭をひねって、ひねって、知恵熱をだして、考えて人生計画を立てた。

 

 

まずは、世渡り上手にイイコちゃんの猫被りしよう。

 

 

いじめっ子は覚えてなくても、いじめられた方はずっと大人になっても覚えてる。この町の人間は殺意が点元突破しているから、何がきっかけで殺意を向けられるかわからない。とくに金も力もない非力な学生時代は危険だ。

 

 

やるからには徹底的に。めんどくさくて誰もやりたがらない、先生の雑用係の委員長を引き受け、職員室に頻繁に出入りするようになって学校の人間関係を把握。

 

ニッコリ微笑み、クラスを掌握......もといコントロール下におき、争いの火種を刈り取る。

いやぁ、実に穏やかで平和な学生時代を送れた。

 

 

 

次に、進路の壁が立ち塞がる。

 

どの職場にいても、理不尽な殺意が溢れて正直詰みだ。引きこもりになって、自宅警備員をやるにも家族のなかで肩身が狭くなるし、ある程度の社会的地位は必要だ。事件に巻き込まれたときの信頼度とかとくに。

 

 

そしてたどり着いたのが、警察官だった。

 

 

「お巡りさんが犯人なわけがない」っていう先入観と巻き込まれたときのアリバイの保証。危険地帯の把握。窮地に陥ったときの危機回避。警察手帳というATフィールドを持っていれば、ワンチャンいけるという思考。

 

生き残りと打算100パーセントの職業選択である。

 

 

 

長年身に付いたというか、染み付いた擬態:イイコちゃんで面接を受け、出すぎる釘は打たれやすいので、ほどよく手を抜き、試験を突破した。

 

 

 

意気揚々と警察学校の門をくぐれば、同期にトラブルメーカーが集まってやがった。目ン玉がひんむきそうになった。

 

 

 

 

入校早々の喧嘩、教官の首吊り未遂に、実に話題に事欠かない。ホットニュースがあつすぎる。

 

 

 

 

 

さて、どうしてこうやって昔の思い出を懐古しているのかといえば、

 

 

 

 

「いらっしゃいま、せ......」

 

 

 

 

()()()()通りがかった喫茶店で、ひと休みしようと入店すれば、見覚えのある顔があったから。

 

 

 

 

 

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