通りすがりの警察官だ、覚えておけ   作:だぶる

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この世界に神なんていない

同期だったはず......の降谷零が愛想よくにっこにこで接客している。

 

超がつきすぎるほどマジメなこの男が、なんともまぁ、柔らかい笑みを浮かべ、女子高校生にキャーキャー言われている。......時の流れって不思議だな......

 

 

前世で【安室の女】とか、【100億の男】だとか、某SNSで騒がれていたが、一時期の日本の経済を回していたと言っても過言ではないくらい映画の収益を出しており、関連グッズもゲーセンでよく見かけた。

 

 

 

なにこれ、めっちゃおもろいやんけ。

 

 

肩が震えそうになるたびに、店員さん(笑)の眉がつり上がった。

 

「ご注文何になさいますか?」

 

「おすすめは?」

 

「ハムサンドが人気なんですよ。当店自慢の―――」

 

そして始まった長ったらしいセールストークを右から左へ聞き流し、「へぇ、それは美味しそうですね」や「えぇ」と好感触な反応を返す。そして俺は店員から手元のメニュー表に視線を移した。

 

 

「―――じゃあ、このナポリタンでお願いします」

 

 

 

注文表を片手にピキッとひきつった笑みを返された。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

先日、【キッドキラー】が誘拐され、その救出の際に事故があったと耳にした。......女子高校生探偵と、あの【眠りの小五郎】の弟子が無茶苦茶な運転でオシャカにしたらしい。

 

 

交通課の愚痴を慰めていれば、なんだか心当たりのある人物が頭をよぎった。冷やかし......もとい、確認に来店すれば、ヤツはいた。

 

 

会計を終えた客が出ていけば、降谷は店のプレートを【close】にひっくり返して、怪訝な表情で俺を見た。

 

 

「......何しに来た?真守(まもり)

 

 

ちょっと冷めたコーヒーを口にふくむ。

 

「駆除をしにね......あぁ、お前じゃあないよ。()()()()()()()な......」

 

 

ちらりと毛利探偵事務所と書かれたホームページを見ながら、スマホの画面をスクロールする。

 

 

「毛利先生......眠りの小五郎が何か?」

 

 

「さて、どうだかな......」

 

 

思わせ振りな返答をしていると、舌打ちされたので、世間話を続けることにした。

 

 

「東の高校生探偵、眠りの小五郎、西の高校生探偵、キッドキラー、最近になっては女子高校生探偵まで......なんともまあ警察は腑抜けてしまったもんだよ。殺虫剤(証拠)は揃いつつあるが、どうも決定打に欠けてね......遥々、現場まで出向いてきたってところだ」

 

 

「ホォー......さすが 監察官。職務に忠実でいらっしゃる」

 

 

「ふはっ!俺が職務に忠実?君の頭にはババロアでも詰まってるのか?

 

鑑識からのリークが絶えなくて、あっちこっちから苦情が届いて、わざわざ重たい重たーい腰を上げたんだ。誰が好き好んでこの犯罪魔境都市に観光に来るかよ」

 

 

せっかく、警視庁の中で安全に過ごしてきたのにな......警視庁の中で犯罪を犯す馬鹿は早々いないし、最重要安全地帯なのに......いや、待て。やっぱり地方へ出向した方が安全か......?

 

 

 

「......その毒舌振りは相変わらずだな」

 

「止せよ、褒めても何もない」

 

 

コトと、コーヒーのカップを置き、ニヤニヤと意地悪く笑った。

 

 

「まずは腑抜けた彼らが事件の捜査をどう行っているのかこの目で確認しないとな......まぁ、米花町だしどうにかなるだろ」

 

 

「そんな都合よく事件が起こるわけが―――」

 

 

 

 

キャーーーーーー!!ひ、人が、死んでる!!

 

 

 

「「............」」

 

 

 

 

無言で顔を合わせる。それから数秒遅れて、降谷が我に返り、俺はカウンターに項垂れた。

 

 

 

 

今日も米花町は通常運転だった。

 

 

 

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