ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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アンケート投票ありがとうございます。

集計の結果、作者の好きにしようと思います。

という事で年齢は4歳から7歳に変更しようと思います。
これ以上あげてしまうとプロット全部書き直しをしないといけないので…


第13話 外の世界はどんな風?

 宮殿

 

「まさかここに来ることになるとはのう」

 

 ルージュは宮殿にあるゲルド族の資料室にいた。

その中でも禁書と呼ばれる欄に視線をむける。

宮殿は代々ゲルド族の長が住んでいる場所だ。街中では手に入らない貴重な資料やゲルド族にとって好ましくない事が記されている書物だって存在する。

 

「ゲルドのヴォーイに関する資料は…これか」

 

 ゲルド族に男が産まれなくなってかなりの時が立つ。

それに加えてゲルド族の最後の男はハイラル全土を時代を超えて恐怖に陥れる厄災をもたらしてしまった王であったらしい。

より詳しい情報を集めるために禁書の棚から調べ上げているのだ。

 

「ゲルドのヴォーイは代々王になる掟があり、王である以上記録は確実につけられておるか…」

 

資料の中には様々な男のゲルド王がいた。

100年に1人しか生まれないと言われたヴォーイだ、記されている年代はとても離れている。

どれもこれもが王として記されるであろう代わり映えしない内容であったが、最後の王だけは一線を画していた。

 

「ん?もう最後の王なのか?まだ半分も読んでおらんというのに…」

 

先程、様々な男のゲルド王の記録と書いたがある意味で合っており、間違ってもいた。

彼の前では他の王など前座に等しかったのだ。

 

「な、なんじゃと…。盗賊王、ガノンドロフ…」

 

その名前だけで先を調べる必要すらなかった。

このハイラルに住んでいてガノンの名前を知らないものは絶対にいない。

それこそ生まれて来たばかりの赤ん坊とかぐらいだ。

 

伽話で語られる厄災ガノンの元となった人物だ。

出身がゲルド族らしい程度の信憑性ですら常に負い目になってしまう領域の存在。

舌に絡めとられるような不快感がルージュを包む。

 

「…これは後日読むとしよう。ここで読むには長すぎる」

 

5分もしないうちにルージュは読むのをやめた。

あまりにも衝撃的過ぎて、族長としての仕事とあの日以来、行っている訓練で疲れ切った状態で読むことに耐えられなかったのだ。

 

 

 翌日 リンクの家

 

「フェイパ姉ちゃん、スルバ姉ちゃん。サヴォッタ!」

 

元気いっぱいといった様子で挨拶をするリンク。

今日は訓練もない、久々にみんなで休日を満喫できるのだ。

 

「お、リンク!サヴォッタ!」

 

「リンク、サヴォッタ。朝食できているから食べちゃいなさい」

 

フェイパとスルバが挨拶を返し、各々が食卓に着く。

 

朝食は恒例のヒンヤリ煮込み果実だ。

手軽且つ暑さへの効果が期待できる料理だからだ。

また、ゲルドの砂漠でも取れる果実でもある為これを朝食に食べる家庭も多い。

 

「御馳走様、今日はどうするの?」

 

「そうだなー、午前中はティクルの所へ行くつもりだ。午後からは演奏会の練習だな。せっかくいい楽譜も手に入ったしな」

 

スルバの疑問に予想外に反応したのはフェイパだ。

彼女が演奏会の練習を提案する事は非常に珍しい。

 

「フェイパ姉ちゃん?大丈夫?熱でもある?」

 

余りの異常事態にリンクが心配する。

 

「リンク、アタイを何だと思ってるんだー?」

 

ちょっと悪い顔をしながら頭をぐりぐりと押さえつけるフェイパ。

 

「わー!フェイパ姉ちゃんゴメンなさーい!」

 

口ではそう言っていても振り解こうとはしない。

何だかんだこのやり取りを堪能しているリンクであった。

 

「はいはい、そこまでよ。ティクルの所に行くのなら色々と準備ぐらいしなさい」

 

スルバに言われてだらだらと準備をする二人、流石に休日まできっちりと動きたくはない。

 

――

 

「リンクちゃん!帰って来たのね!フェイパもスルバもサヴォッタ」

 

ティクルはいつも集まる場所で3人を迎え入れてくれた。

リンクが街の外へ出かけていたことは彼女も知っている。

 

「ティクル姉ちゃん。いつも美味しいイチゴをサークサーク!これお土産!」

 

そう言ってリンクはヤシの実を渡す。

あまり貴重ではないかもしれないが、あんまり高価なものを渡しても相手も困ってしまうだろう。

 

「あら、ヤシの実ね。懐かしいなぁー」

 

ヤシの実を受け取ったティクルの反応はリンクにとって不思議なものであった。

 

「えっ?ティクル姉ちゃん知っているの?」

 

気になったのでそれとなく尋ねてみるリンク。

 

「そうね、ちょっと前まではこのゲルドの街でもヤシの実があったのよ?」

 

「あー、そういえばいつからか無くなってたなー。なんでだ?」

 

少し前まではゲルドの街にもヤシの実が実っていたと教えてくれるティクル。

これには疑問に思ったフェイパが続きを促す。

 

「あれは意図的に花を摘んで実が出来なくしているの、観光客に落ちてきたら問題だもの」

 

ティクルがその質問に答える、どうやら意図的に出来ない様に工夫をしているらしい。

 

 以前はヤシの実がなっていたらしいが、ここはハイラル最大の交易場。

ナボリスの危険性もなくなった今、それまで以上に人の出入りが増えている。

 

人が密集する場所で数メートルの高さから堅いヤシの実が落ちて来ようものなら事故になりかねない。

だからこそ安全性を確保するために実をつけない様ヤシの花を摘んでいるのだ。

 

「それでも何年も見てないし、食べてないわ。リンクちゃん、サークサーク。せっかくだからこれあげるね」

 

そう言ってティクルが渡したものは黄色く何枚もの花びらからなるヤシの花だった。

 

「おいティクル、なんでそんなのあるんだよ?」

 

「うちが何を売っているか知っているでしょ?ただむやみやたらに花を摘んでしまえばいい訳じゃないのよ?それにね、リンクちゃん。花言葉って知ってる?」

 

ティクル母親であるベローアはフルーツを売って生計を立てている。

その為、フルーツに関する知識もおのずと蓄積されるのだ。

 

「え?何それ?花がしゃべるの!?」

 

どうやらリンクには花言葉がどんなものなのかわからなかったらしい。

喋ると思ったようだ。

 

「そういう訳じゃないけれど、花に込められた意味合いみたいなものかな?」

 

そう言って、ティクルはリンクの赤髪に黄色い花を添える。

燃え上がる大地に咲いた穏やかな太陽のようであり、1輪のオアシスにも見える。

 

「この花に込められた意味はいくつもあるけれど代表的なものは《家族愛》よ。あなたたちはいつでも仲が良くてちょっと妬いちゃうわ」

 

ティクルには姉妹がいない。

口には出さなかったけれど、姉妹で遊ぶリンク達が羨ましかったのだろう。

 

「《家族愛》か…なんかカッコいい!ティクル姉ちゃん、サークサーク」

 

リンクもこの言葉を気に入ったのか、花飾りを身に付けてくるりと回ってみせた。

姉達が気合を入れてリンクを色々と仕立ててゆくから不思議な程様になっている。

 

「ふふっ、そういえば街の外はどんな感じだった?大人から聞くことはあるけれどリンクちゃんの感想が聞きたいな」

 

ティクルとしても街の外の事をリンクに聞いてみたいのだろう。

先程までの話を切り上げて改めて彼女に尋ねる。

 

「そうだぞリンク。アタイ達だってまだ聞いてないんだから色々と教えてくれよ」

 

本当は昨日の段階で知りたかった内容だ。

フェイパも興味津々である。

 

「うーん、色々あったけど、まずはカラカラバザールの話かなぁ?ここはヴォーイを中心とした活気ある市場だったよ。一日で行ける距離だったけれど並んでいる商品は全然違ったんだ!」

 

 リンクの話す内容に食いつく3人。

みんなまだ外を知らない為、こういう情報は耳で聞くしか方法がない。

特にゲルドの街では見かけることのないヴォーイなどどんな姿をしているか、どういう人なのかはせいぜい父親から想像する事しかできないぶん意識もする。

 

「はぁー、そんだけ近いのに品物は違うのか。例えばどんな違いがあるんだ?」

 

「そうだねー、まずフルーツ屋だけれどこっちでも見かけないフルーツが売っていたよ。ヤシの実だけでなくツルギバナナっていう果物も売っていたんだ。一部の人に大人気らしいよ?料理に使うと力がみなぎるんだって」

 

「エメリおばさんのお店だ!ヤシの実だけでなくツルギバナナも売っているのね!この辺りだとどこに行けば生えているのかな?」

 

やっぱりあの時、紹介してくれていたのはベローアさんのお店だったんだ。

ティクル姉ちゃんの話で確信が持てたリンクであった。

 

「ティクル、知り合いなの?」

 

「母様の姉様よ。ごくまれにゲルドの街にも帰って来るの。色々な話をしてくれる優しいヴァーイよ」

 

スルバの質問に答える笑顔でティクル。

伯母であるエメリとは仲がいいらしい、街の外の事を聞いているようだ。

 

「そういえば、ティクル姉ちゃんの所のお店もよろしくって言っていたなぁ。後はゲルド語が上手とも言ってくれたよ」

 

「うん?それおかしくね?いくら何でもゲルド族がゲルド語がうまいなんて普通言わねえだろ」

 

リンクのゲルド語が上手とはおかしな話だ。

いくら子供とは言えゲルド族に言う内容ではないだろう。

 

「あー、僕化粧して貰ってたから…。街の外でゲルド族の子供がいたら怪しまれるって…」

 

「「「あー…確かに…」」」

 

事情が事情だけになんとなく察してしまった3人。

特に姉達2人はリンクが男であることを知っているだけに何とも複雑な表情をしている。

 

姉達の趣味と彼の実利が備わっているとはいえ女子力が上がってゆくリンクに思うところはある。

 

「そ、そうだ!他にはどんなものが売っていたんだ?」

 

これ以上は変な空気になる。

そう思ったフェイパが他に売っていたものを聞き、話を切り替える。

 

「そうだねー、よろず屋さんは基本的に焼いた肉や魚を売っていたんだけれど。それ以外にも魔物の尻尾まで売っていたよ」

 

「「「ま、魔物!?」」」

 

「うん、あれはリザルフォスの尻尾だったかな?そのままでは食べられないけれど虫と一緒に煮込むと薬ができるんだってさ」

 

「「「えぇー…」」」

 

 まだまだ年頃の少女である3人とも顔を引きつらせている。

いくら効能があっても虫や魔物の薬なんて流石に使いたくはない。

リンクから聞くすべての話が知りたい情報とは限らないのだ。

 

「あ、宿屋ではコッコっていう鳥の羽毛を使ったベッドがあったよ。とっても暖かくて軽かった!」

 

思い出したかのようにポンと手を叩き話題を増やすリンク。

このゲルド砂漠ではコッコを飼育できないだけに貴重な情報だ。

 

「コッコというと卵を産む鳥ね。チキンピラフで使ったあれよ。羽毛をそうやって使うんだ…」

 

料理にも詳しくなって来たスルバがその内容に食いつく、鳥の羽は料理に使えない為どうするかは気になっていたようだ。

 

 

「やっぱ羽って暖かいんだな。そういえばリト族では生え変わった羽毛を使って防寒具を作るってナン達が言ってたっけ?」

 

誰とでもフレンドリーになれるフェイパがリト族の子供達からそんな話を聞いた事があると答える。

勉強は嫌いかも知れないがこういう知識を知っている時もあるのだ。

 

「へぇ~、防寒具にもできるのかぁー」

 

リンクにはナン達との面識はない。

正確には会った事はあるのかもしれないが、そう何度も会えるわけではない。

加えて数年前となるとリンクの物心がつく前という可能性も相当に高いのだ。

 

「それでその後はどうしたの?」

 

「そうだねー、その後はカラカラバザールを出てゲルドキャニオンの馬宿へ向かったんだ。砂漠の途中でリザルフォスが擬態しながら奇襲をかけて来たのは焦ったなぁ」

 

「ええっ!それ大丈夫だったの!?大人の兵士でもかなり危ないって聞くけど!?」

 

「もちろん!…って言いたかったんだけど結構危なかったなぁ。さっきも言ったけど擬態してたから近くにいることもわかりにくいし、砂漠の砂で足を取られるからね。リザルフォスはそんなのお構いなしに移動してくるんだ。そういう意味では人と魔物は違うって言えるのかも?」

 

そうやって魔物との戦いを説明していくリンク。

初めての魔物相手だったため色々と熱が入った説明だ。

だがリンクが熱く語っているのと対照的に姉二人の表情は青ざめて沈んでいく。

 

「リンクちゃん、ティクルお姉ちゃんと約束して欲しいわ。もっと自分も大切にして欲しいの」

 

ここでティクルがリンクの話にそっと入り込んだ。

さりげなくバランスを取ったり気配りのできるヴァーイの鏡と言えるだろう。

 

「護衛についてはよくわからないけれど危険な仕事だと思うし、フェイパもスルバも口には出さないかもしれないけれどその辺りは心配している。大事な人が傷つくというのはとっても辛いことなの、リンクちゃんが全部背負う必要はどこにもないのよ?」

 

自分達の大切な弟があわや命を落とすかもしれない話などとても聞けたものではない。

ましてやフェイパもスルバもちょっと前に両親を亡くしている、その辺りを察してかティクルはリンクに諭すように優しく説明した。

 

「ティクル姉ちゃん…うん。もっと自分も大事にしてみる。お姉ちゃん達を心配させたくないから」

 

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