ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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第46話 シーカーストーン、ゲットだぜ!

 これは話が長くなりそうだ、そう察したのか助手のシモンがフレッシュミルクを温めて持って来てくれた。

立ち話もなんでしょうと2人に椅子に座る様に促す。

細かい気配り、恐らくこの整頓された狭い場所が彼の作業場が彼の持ち場なのだろう。

散乱している方は…今更言うまでもあるまい。

 

「ほいほーい、アリガトね、シモン。さてと…その為ゼルダ姫は散々陰口を言われていたワ。責を果たせぬ無才の姫とか言ってね。沢山の人の命が懸かっているだけに誰もかれもが黙っている訳にもいかなかったって言うのもあるのだけれど。ゼルダ姫は優しかった、それでいてまじめ過ぎた。雪山であるラネールの泉などでずぶ濡れになりながら祈りを捧げ倒れる事もあったワ。それでも力に目覚める事は叶わず、それならばせめてと古代遺物の研究にだって私達研究員にも負けないぐらい精力的に取り組んでくれたのヨ。私だって元は王立研究所の職員の端くれ、それがどれだけ大変な事なのかはわかる」

 

 その意見にはリンクも頷き、同意する。

 

 当時のハイラルは今とは比べ物にならない程、栄華を極め発展していたという。

研究の内容や資料の量だってこの研究所とは比べ物にならないだろう。

それを専門家並み、それも王立の物となればいかにゼルダ姫が精力的であったかがよくわかる。

 

「ゼルダ姫はあの大災厄で色々なものを失い過ぎた。ともに戦う英傑達は神獣の中でガノンが放った刺客に討たれた。特に母親の様に慕っていたゲルドの族長、ウルボザの死は相当堪えた筈。民を守る兵士達は民もろとも自身の調整したガーディアン達に焼き払われ、父である王様も失いハイラル王国は崩壊した」

 

 辛かっただろう。

陰口や暴言に耐えどれだけ努力しても封印の力には目覚めることが出来ず、せめてできる事は始めた古代遺物の研究は国を崩壊させ、民を、仲間を、親を殺してしまった。

 

「それでも僅かながらに救いもあった。英傑のリーダーであるリンクは辛うじて命を取り留め、ゼルダ姫が封印の力に目覚め、厄災ガノンを100年もの間封じ込めたワ。その間アタシはリンクを回生の祠へと運び治療を施したの。そして100年経ち治療を終えたリンクとゼルダ姫が厄災ガノンを倒したってワケ」

 

 大凡の事はわかった。

100年ほど前の事をこれほど正確に知っている者は片手で数えるほどだろう。

それこそ厄災討伐において重要な役目を担った者ぐらいの筈だ。

 

「そんなことがあったのですね…そうだ、こちらパーヤ様から預かっていた書状です」

 

思い出したように取り出し渡すリンク。

 

「おー!サンキュサンキュ♪フムフム…なるほどなるほど…よし!キミにコレをあげよう」

 

「プルア様、これは?」

 

そう言って彼女が手渡したのは長方形の板―シーカーストーンであった。

 

「ええっ!?それあげちゃうんですか!?」

 

助手であるシモンと呼ばれた男性が驚きの声を上げる。

これは古代シーカー族の技術を出来る範囲で落とし込んだプルア特性の代物である。

 

「もっちろん♪元々試作品だったしネ。道具は使う為にあるのヨ」

 

「そんな簡単にあげる物の為に、私は始まりの大地まで渡ったんですか…」

 

「むぅ~、いいでしょシモン!独自で作り上げたシーカーストーンにアイテムがちゃんと入った時点で役目は終えたヨ!」

 

ぷりぷりとプルアが足を踏み変えながら答え。

シモンが遠い目をしている。

 

 彼の言い分も当然だ、何日もかけて危険の多い外を移動し、始まりの大地でアイテムを引き出す研究をしたのだ。

崖を登り、魔物に追われ、雪山で遭難しかけまさに命懸けの長旅であった。

それをあんなあっさりあげるなんて言われたら辛いものがあるだろう。

 

「い、いいんですか?何だかシモンさんに申し訳ないんですが…」

 

「気にしない、気にしない♪チェキチェキ♪」

 

「お気になさらないでください、所長は言い出したら聞かないですから―」

 

 どこか諦めたような目をしているシモンに内心で謝りながら受け取るリンク。

プルアからシーカーストーンの使い方の説明を受ける。

 

「とりあえず、シーカーストーンの中身について説明するネ♪まずはマグネキャッチ。これは金属製の物を思い通りに操作できる代物なの。それこそ重くて動かせないような扉や、手の届かない場所まで動かす事だって可能ヨ。とはいえ村全部を持ち上げたり、ここからリトの村まで飛ばしたりとかまでは出来ないから気を付けるのヨ」

 

 プルアから説明を受け、シモンがあらかじめ纏めておいてくれたメモを渡す。

ありがたいことだ、使い方もわからない道具をぶっつけで使うのは危険も多いからだ。

 

「続いて、アイスメーカー。これは水のある場所で使うことが出来るの。氷でできたキューブを出せるから、川や海なんかを渡る時にも便利かもね。そうそう、このキューブは手足で登ることが出来るからあらかじめ避難用とかにもできるからネ。…ただし!古代エネルギーで作られた氷だから同じ古代エネルギーには弱いの、そこだけは気を付けてネ♪」

 

 次から次へと出てくる説明、厄災の話だけで精一杯だ。

シモンさんから解説のメモを頂けて良かった。

そう思いながら、リンクは改めてメモを読み返すことを決心する。

 

「リモコンバクダンは丸形の物と、四角型の物があるの。丸いものは転がす時に便利だし、四角の物は反対に転がしたくない時に重宝すると思う。実は意外と軽いから、風に乗せると浮かんじゃうからネ」

 

 言うまでもないけどこれはバクダン。

取り扱いにはご注意をと付け加えるプルア。

 

「最後にビタロック、これは対象を数秒の間止めることが出来るの。それだけじゃないワ、何と止まっている間に衝撃を与えてゆくと解除された時に一気に力が上乗せされる。それこそ重すぎて動かせない岩なんかだってドーン!って飛んでっちゃうんだから!」

 

 エヘンと胸を張るプルア。

その態度も納得の脅威の技術力だ。

こんな小さな板にこれだけの機能が搭載されているなんてと感動するリンクであった。

 

「さてと…本題に入るね。リンク君、君にはこれから先過酷な試練が訪れると思う。望む、望まぬに関係なくネ!インパから話は聞いているヨ、仲間を助けてくれたんだって。だからこれはそのお礼、身を守ったり襲いかかって来る敵を打ち破る切っ掛けにだってなるかも知れない」

 

 突拍子も無い事を言ったり、奇抜な動きが目を引くが、本題やその前の機能の説明に入った時の彼女はまともだった。

性能は勿論の事、肌身離さずに持ち運べることや使用回数の制限もないと考えると必要不可欠なものになるだろう。

 

「最悪のケースとして、厄災ガノンが復活して対抗できる者は片手で数えるぐらいしかいない。でも天才剣士クン1人じゃハイラル全てをカバーする事は不可能ヨ!そこで君が彼の手が届かない所をサポートして欲しいの、勿論地方に住んでいる戦士達と協力することが前提になるけどね」

 

 厄災ガノンを退けた英傑のリーダーと言えど、彼はハイリア人だ。

同時に複数の場所に現れて魔物を倒すことはできないし、ガノンと対峙しながら他まで手が回るとも思えない。

 

「プルア様、どうして私なのでしょうか?見てのとおりまだまだ子供、とても英傑様と肩を並べられるとは思えないのですが…」

 

「ねえ、リンク君?どうしてカカリコ村であの子は襲われたの?」

 

「えっ、それは…言えません」

 

リンクは言葉を濁す。

 

 もし真相を知られてしまえば、彼らは村からも追い出されることになるだろう。

それはリンクも望むことではないし、村の外を彷徨う事にでもなればあの時の刺客達の格好の的になってしまうだろう。

それだけは絶対に認めたくない。

 

「うんうん、君は優しいね。君が伏せた内容は知っているからあえて言うけど、それならあのタイミングだったのは何故?武術に優れる君が態々訪れるタイミングは果たして適切なのかな?」

 

「それは…」

 

「あの事件はついでの様な物、メインとなる要素を引き出すための手段の様なものだったと考えるのが自然ネ」

 

「ついでって何ですか!命ってそんな軽い物なんですか!?」

 

そのあまりないいように声を荒げるリンク。

流石にこれは看過できない。

 

「君の言う事はわかるよ、命はそんな軽いモノじゃない。アタシにだってあの時の大虐殺が今でも瞼の裏から離れないもの。だからこそ彼らの求めたソレはとんでもなく重要って裏付けともとれるの」

 

 リンクの言った内容をまっすぐ受け入れるプルア。

彼女とてあの大厄災を生き延びた強者、犠牲になった人を何人も見て来たのだろう。

そのストレートな受け取り方に気を抜かれたようなリンクがいた。

 

「普段のカカリコ村との決定的な違いは君、ホントにひどいこと考えるよね。君の力を知る為、狙う為に周りの命すら脅かすなんて…だからこそ君はとっても強くならなきゃいけない。自分を守る為に、そして周りも守る為に」

 

 じっと見つめながら話をするプルア。

彼女なりに考えてこの板を託したようだ。

 

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