ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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第47話 リンクの家 魂と共に

「さて、真面目な話はこれで終わり!さっき分かったけどリンク2号だとちょっと長くて言いにくいなぁ~。とは言え同じままではわかりにくい…ウーム、どうやって呼ぼうかな?」

 

 ジャンプした後、人差し指で頬を指す仕草をするプルア。

変わった後の内容は打って変わって緊張感のない物だった。

リンク2号だって自分で決めたのに…自由な人だと思うリンクだった。

 

「う~ん、アタシの名前から一文字欲しいかなぁ~。リンクア?なんか違う…プリンク?お腹すきそう…リンクル…うんこれが無難かな?」

 

 リンクル…あだ名としては悪くない。

 

「すみません、リンクさん。所長本当に振り回すお人でして」

 

 見た目と言動から、もはやシモンはプルアの保護者にしか見えない。

ただし実際の年齢はシモンよりもさらに高齢で立場も上だというのだから手に負えない。

 

「シモンさん、ハテノ村でミルクを奢りますよ…。お疲れ様です」

 

「えー!?あたしにもチョーダイ!」

 

 あまりの不憫さにシモンを気遣う為に一杯奢ろうと提案するリンク。

この様子では相当苦労しているだろう。

お気持ちだけ受け取っておきますと答える彼はどことなく手慣れた風格が漂い、哀愁が漂う。

ちょっとかわいそうになって来たリンクであった。

 

「さてリンクル。君にいいものを見せてあげよう。あちらをご覧ください」

 

 そう言ってプルアが手で注目するように促す。

そちらにはサイロの天井を貫通する様に差し込まれた岩と台座が安置してある。

 

「あれはね、勇導石と言ってシーカーストーンの力を引き出したり、反対にシーカーストーンに反応して様々な機能を発揮する代物なの。この研究所の入り口に青い炎の灯った竈があったでしょ?あれが動力の古代エネルギー。まずはシーカーストーンをかざしてみて?」

 

 そう言われて、その板をかざすリンク。

すると板の方から無機質な声が響き、天井の岩にシーカー族の模様が青く灯る。

 

―シーカーストーンに地図情報の不足を確認

収集された地理データを登録します

 

 鍾乳石を思わせる先端に青白い文字が流れ込み集まる。

それが雫のような形でシーカーストーンへと零れ落ちた。

 

「これで良し…と。リンクル君、君のシーカーストーンに地図情報と現在位置が登録されたヨ。これで迷子の心配はダイジョーブ!…砂嵐とかだと無理だけど」

 

 …本当に便利な代物だ。

今後はこれ無しでの旅が出来るのだろうか?

ちょっと便利すぎて不安にもなるリンクであった。

 

「あ、そうそう。リンクル君、ちょっと頼まれてくれないカナ?」

 

「何でしょうか?プルア様」

 

「帰り道にね、この手紙をハテノ村の片隅にある家に届けて欲しいの。私のこの姿は子供達の格好の的になって何かと不便で…」

 

 そう言って、真面目な方の顔で手渡して来る。

こちらは重要な内容らしい。

確かにプルアの格好は奇抜で目を引く、特に背中にある奇妙な鞄から縦笛が伸びているのが気になって仕方ない。

 

「あのそれでしたら私が届けますよ?」

 

「ダ~メ。シモンは散乱した書類の整理ヨ。厄災が復活する前に少しでも準備を整えないと。あー、留守だったら机の上にでも置いといて。家を空ける事も多いから」

 

「すみません、リンクさん。プルア様が届けて欲しいといった家の場所をシーカーストーンに登録します。どうか送り届けては貰えませんか?」

 

 本当に、シモンは怒ってもいいと思う。

プルアの人使いの荒さは相当だ。

そう思うリンクであった。

 

「わかりました、それではそろそろ失礼しますね」

 

「じゃあねー!チェッキ―!」

 

 指で両頬を指す例のポーズで見送るプルア。

何というか色々とパワフルで振り回す人かなと思ったリンクであった。

 

――

 

(うーん、どうやらこっちの方に進んでいけば良さそうだ。便利便利…痛てっ)

 

 ハテノ古代研究所を出て、ドラグに跨り慣れない手つきでシーカーストーンの地図を調べるリンク。

画面を注視するあまり、リンゴの木の枝にぶつかった。

どのあたりにいるのか知ることが出来るのは便利だ、しかし周りには注意する事も大切なのだと思い知るリンクであった。

 

 それからは立ち止まってから確認をし、目的の家へと辿り着く。

橋を渡り、村の片隅にひっそりと佇んでいる家がプルアの指定した場所の様だ。

 

(何だろう?ハテノ村も和でどちらかというと静かな場所だったけど、この家は特に静かだ。ちょっと寂しく感じる…)

 

 意を決して扉を開けるリンク。

 

「ごめんくださーい!ハテノ古代研究所のプルアさんから手紙を預かってまーす!」

 

 家主に聞こえる様大きめの声で来客を知らせるリンク。

しかし、家の中からは返事が無い。

どうやら留守の様だ。

 

 プルアに言われたように、家に上がるリンク。

内部は簡素乍らしっかりとした造りになっている。

綺麗に整頓された…というより寂しい雰囲気を漂わせる。

どことなく生活感のない印象を受けた。

棚の中身は空っぽで食器はあれど、若干埃が積もっている。

殆ど使われていないようだ。

 

「えーっと、机はっと…ここだな、真ん中においておけば流石にわかるだろう」

 

 頼まれ事を終えたリンク。

改めて家の中を見渡す、一言でいうのならば異質である。

特に気になったのが壁の額だ。

 

 そこには様々な武器が掛けられており、家というよりは武器庫の方がしっくりくるだろう。

兵士として、武器に慣れ親しんだリンクにはわかる。

掛けられている武器の全てが上質なもので、今の自分の持っている物とは比較にならない業物であるという事が。

 

(凄い武器ばかりだ…。集めるのが好きなのかな?ん?これは…ルージュ様のナイフと盾!?)

 

 始めはコレクターの類なのかと考えたリンク。

しかし、ゲルド族特有の湾曲したナイフと円形の盾を見てその考えを改める。

そこにはルージュの剣と盾が飾られていたからだ。

ゲルド族の長が代々愛用してきた由緒正しい代物で宝飾品としても特級物だ。

 

 それこそゲルドの王だけが身に付ける事の許される武器だ、集められる様な物では断じてない。

よくよく見ると、ルージュの物よりも少しだけ大きいか?

使い手に合わせて微調整されている特製なのだろう。

 

 近くにある他の物も特製品だと直ぐにわかる。

見るからに力強い大型の強弓、どうやって振り回すのかわからない程巨大な石造りの剣、流れる様な美しい装飾の洗練された槍。

どれもこれもまずお目にかかる事の出来ない傑作だ。

全ての武器にはめ込まれた宝石が光り輝いている。

 

(…もしかして、この家って…リンク様の―)

 

 ルージュと同じ武器を持っている家主。

それは恐らく英傑様とプルア達とゆかりのある人物だろう。

先程まで話していた厄災の話を思い出す。

 

(そう…だよね…。仲間達の形見だもん…。ぞんざいになんて扱えるわけないよ…)

 

 共に厄災と戦い、散っていった仲間達。

それこそ勝手に踏み込んでいい領域ではないだろう。

本人達にしかわからない、わかってはいけない気持ちがあるのだろう。

 

「いつか…会ってみたいです。英傑様のリーダーにして、僕の名の由来になった恩人なんですから」

 

 出る時に一礼をしてから去るリンク。

一言では言い表せない感情に満ち溢れる訪れであった。

 

――

 

 同時刻 ゲルドの街

 

「よっし、スルバにも手伝ってもらったしこれなら大丈夫!だよな?」

 

 フェイパが珍しく手紙を書いている、あまり筆まめな方ではない彼女だが今回は問題はないだろう。

 

「アンタが考えを纏めたいからって頼んできた時は何事かと思ったけど、どういう風の吹き回し?」

 

「アタイだってアイシャさんにお礼がしたいんだよ。この考えが上手くいけばアタイ達のアレだってスッゲエ事になるのは伝わっただろ?」

 

 どうやら宝飾職人であるアイシャの力になりたいようだ。

添削したスルバもまったくもってわからないものでは無いと感じたのか僅かに頷く。

 

「それじゃ行ってくるわ。元々モデル仕事のおまけだ。駄目元、渡してみるさ」

 

 宝飾店 Star Memories

 

「おや、フェイパちゃん。サヴァーク」

 

「マッカラさん!サヴァーク!」

 

 宝飾店では店長であるアイシャでは無くマッカラが出迎える。

アイシャには今日来ると打ち合わせをしていた筈だが。

 

「あの、マッカラさん。アイシャさんは?」

 

「店長ね、今さっき寝ちゃったのよ」

 

「え!?今ですか!?昼なんですけど」

 

「宝飾用の宝石をカットしたのよ。とっても神経の使うから眠ったを言うよりは気を失ったって言う方がしっくり来るかしら」

 

「気を失ったってそれって大丈夫なんですか!?」

 

「いつもの事だし大丈夫よ。宝石をカットするって事は砕く事、貴重なものである以上いい加減な仕事は出来ないわ」

 

 アイシャは宝石を見事にカッティングする為に何日も徹夜して調査をする。

この世に二つとないオーダーメイドだ、半端な事は許されない。

 

「貴方の話は聞いているわ、報酬はこっちで調整しておいた宝飾はこちらよ」

 

 アイシャはマッカラに報酬のルピーと調整済みの物を渡しておいたようだ。

自身が話し合いに参加できない事も予想していたのだろう。

 

「サークサーク。それでその…起きてからでいいのでコレ渡してもらえますか?」

 

「何?これは、手紙…かしら?」

 

「えーっと、アタイ。助けてくれたアイシャさんにお礼がしたくて…自分で考えてみたんです。手紙は苦手だからスルバにも手伝って貰ったんですけどね。宝石を扱うアイシャさんならきっとできると思って」

 

「へぇー、アタシも見てもいいかしら?宝石関係ならちょっと興味あるもの」

 

「あ、はい。どうぞ」

 

 フェイパの了承を得てから書いてある内容を読み込む。

マッカラとて宝石関係の仕事に就いているのだ、どんなことを考えたのか気になったのだろう。

興味を引いたのか食いつくように読み込んでいく。

 

「…これは…凄い発想ね。でも出来そうな改良でもある。店長起こそうかしら?絶対食いつくはずよ」

 

「疲れているのなら、そっとしてあげて下さい…」

 

「ふふっ、冗談よ。ねえフェイパちゃん。宝石にはね、魂が宿るの、心と言い変える事も出来るわ。私達ゲルド族にとって魂は特別なもの。1つは作った人の魂、2つは使っている人の魂、3つ目はかつて使っていた人の魂。離れていてもずっと心は一緒なの」

 

 そう言えば聞いた事がある、かつてゲルド族の人達は砂漠の果てに魂の神殿を作り女神を崇めていたと。

 

「―ロマンチックで素敵…ですね」

 

 うっとりと雰囲気に酔うフェイパ。

 

 自分もいつか、恋をして素敵なヴォーイに出会うのだ。

リンクみたいに強くて、スルバみたいに優しい人がいいな。

でもそれ以上に2人の事も大切にしてくれたら嬉しい。

 

「私もそんな素敵なヴォーイに出逢いたいわ。きっと店長も同じな筈―おっといけないいけない」

 

 …今聞いてはいけない事を聞いてしまった気がする。

気のせいだ、きっとそう。

アイシャさんは45近い筈、エステプランに通う理由って…

 

「さて、これはちゃんと伝えておくわ。フェイパちゃんも着替えてみなさい。次会うときは踊りやすさや見栄えなんかも纏めて報告してくれる?」

 

「あ、ハイ。更衣室借ります」

 

 更衣室で着替えるフェイパ。

 

 ゲルドの街では数少ないスカートに散りばめられた宝石が輝く。

そのスカートも複雑に構成されており、明らかに踊る事を意識して織り込まれている。

 

「やっぱりアイシャさんの物が一番ですね!着こなすだけならほかの店の物も素敵だけど…踊る事も想定された衣装はそうそう見つからなくて」

 

 そう言ってくるりとその場で回ってみせる。

見せる事と動きやすい事の両立したスカートというのは本当に貴重だ。

 

「流石に店の中で踊る事は出来ないからね、スルバちゃんにもよろしくね?」

 

「はい!それではサヴォーク!」

 

 持ち前の明るさを振り撒き駆け足で帰ってゆくフェイパ。

スルバの演奏で踊る彼女はより一層、笑顔も宝石の様に魅力的に映るだろう。

 

――

 

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