ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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第58話 決戦!ゲルド砂漠!

 ゲルドの街 門前

 

「リンク、そなたに渡しておくものがある」

 

 そう言ってルージュはゲルドの弓と大量の爆弾矢を手渡した。

弓自体はいい、広大なゲルド砂漠でイーガ団と戦うとなれば遠くまで届く攻撃手段は必要だろう。

 

「ルージュ様、弓はともかくこれは?」

 

「いくらそなたと言えスナザラシの操縦と慣れない弓の両立は難しい。そもそも引き絞ること自体最近になってからだからな。そこでこの矢の出番という訳だ」

 

 恐らく、万が一に備えて事前に準備をしておいたのだろう。

ゲルドの街の中でも爆弾矢は仕入れることが出来るが、高価な事もあり、この数はそう簡単に集められるものでは無い。

文字通り、着弾点で周りを巻き込んで吹き飛ばす代物だ。

 

「気を付ける点は相手を掻きまわす事、無理をしない事だ。細かい指示はわらわが出す。いいか、決して無理をするな」

 

 最後の言葉には決して反論を許さない力が込められていた。

ルージュとてこれ以上は我慢ならない。

彼女は「雷鳴の兜」を着用し祈りの言葉を叫ぶ

 

「我が名は ルージュ! 正統なるゲルド王家の末裔なり 我が一族を邪なるものから守る為 今こそ神器の力にすがる時が来た ゲルドの始祖達よ! 雷をもって 我が声に応えたまえ…!!」

 

 大地の揺れと共にルージュを中心とした、半球状の結界が張り巡らされる。

この結界の中ではあらゆる雷による攻撃を無力化することが出来るのだ。

 

「―ゲルド砂漠の脅威は、奴らだけでは無い。あらゆる所を進む以上、雷を使う魔物にも遭遇するだろう。―では行くぞ!!」

 

「はい!」

 

「オッ!オッ!オッ!」

 

 スナザラシもリンクにも気合が入る。

 

「ウルボザ様…どうかリンクとティクルをお守りください…」

 

 行くぞ!とルージュの掛け声と共に2人と2匹は砂漠を駆け抜ける。

赤く染まった砂漠の夜空に星が瞬いた。

 

――

 

 ゲルド砂漠

 

 程なくして視界の先にイーガ団の軍勢が見え始める、彼らにとってこの接敵は想定外だったのだろう。

何せ姿を現したのが狙うべき標的、リンクと雷鳴の兜を被ったゲルド族の長だけなのだから。

 

 爆音と共に砂が飛び散り、イーガ団の団員が吹き飛んだ。

2人による爆弾矢による爆撃である。

大柄な幹部が指揮を執り、団員たちが態勢を整える。

驚くべき事に彼らの中に魔物が混じっているではないか、どうやらただの襲撃とは一味違うらしい。

 

 団員の中にはリンクに斬りかかろうとする者もいた。

 

「散開しろ!」

 

 簡潔にそれでいて、力強くルージュも指揮を執る。

指示に従いリンクとルージュが二手に分かれた。

団員の首狩りの刃が空を切る。

 

 いかんせん立地が悪すぎた。

イーガ団の踏み込みの速さはもはや人智を超えていると言っていい。

何せ馬や太古の技術を結集し作り上げられたというバイクよりも素早く駆け抜けることが出来るのだから。

 

 だが全く以て手が付けられないという訳では無い。

その速さ故に切り返しのような柔軟性に富んだ動きを行う事は出来ないし、ルージュ達が操るスナザラシの機動力は大したのもだ。

それ以上にここは砂漠なのだ、かつてリンクがてこずった様に彼らだって足を取られる。

少なくとも平地での速さは望めないだろう。

 

「よし!今だ!」

 

 彼らの攻撃の合間を縫うように2人の爆弾矢が敵を吹き飛ばし、距離を取る。

それでも敵の数は多い。

今度は後ろから、野生のスナザラシを操る団員と進行方向に陣取ったリザルフォスの上位種、シビレリザルフォスの連携だ。

 

「ギャァオオ!!」

 

 シビレリザルフォスが雄たけびと共に角を振り上げる。

彼らはため込んだ電気を放電する事で、範囲攻撃を行う事が可能なのだ。

 

「こっちへ来い!」

 

 だが残念な事にこちらには雷鳴の兜を身にまとったルージュがいる。

リンクの進行方向へと進路を切り替えたルージュが割って入り、電撃を無力化する事に成功した。

そして、後ろからの襲撃にリンクは―

 

 リンクの腰のあたりから四角い塊が零れ落ちた。

青白く光るそれが団員の傍に来たところで炸裂する。

シーカーストーンによるリモコンバクダンだ。

さりげなく慣性の影響が少ない四角型を用いる事で自爆に気を遣っている辺り彼らしい。

 

「離れるぞ!」

 

 その掛け声と共に西に東に2手に別れ合流し、攪乱してゆくリンク達。

右に左に、速く遅く、時に離れ、合流する。

スナザラシの錬度もあり、緩急付けた縦横無尽な動きがイーガ団と魔物達を翻弄していった。

 

「ルージュ様!」

 

 今度はリンクが電気を纏った蝙蝠、エレキースの群れを撃退する。

岩盤の近くまで来たところで爆弾矢の誘爆で巻き込んだのだ。

纏めて吹き飛ぶエレキース達と、巻き込まれながらも態勢を整える幹部。

流石に戦闘専門だけあってかなり鍛え上げられている。

 

「好機到来!」

 

 ルージュの掛け声と共に、リンクがリモコンバクダンを幹部のいる前方に転がし起爆をする。

…不思議な事に幹部の目の前で起爆され、ダメージが無い。

目測を誤ったか、そう判断した幹部が風切りの刀で反撃を試みる。

その鋭い斬撃から繰り出される鎌鼬を直ぐに進路を変えて躱してゆくリンク。

―どういうことだ?まるで初めから攻撃するつもりが無いようにすら思える。

 

 幹部の疑問は激烈な衝撃を持って答えられた。

爆弾矢でもリモコンバクダンでもない。

今身体を襲うこの激痛はそんな生優しいものなんかではないのだから。

 

 その破壊的な威力の正体はこのゲルド砂漠においてあまりにも大きい体躯、そしてそれに見合うだけの重量を併せ持つ怪物、モルドラ―ジークであった。

 

 彼らは物音に敏感でそれこそ爆弾のような大音量に反応し、一目散に飛び込んで来る。

幹部の前で起爆したのはそのためだ。

 いくら鍛え上げているとは言っても、人体を遥かに超えた巨体に高速でぶつかられては一溜りも無い。

こうして、リンクとルージュの2人は砂漠の敵を蹴散らしていった。

 

 

 同時刻 ゲルドの街

 

(冗談じゃない…)

 

 旅人…いや、それに扮したイーガ団員が内心毒を吐く。

当初の予定ではゲルドの街を襲撃し、その混乱に乗じて雷鳴の兜と厄災の申し子を手に入れる算段だったのだ。

どれ程防衛に優れていようと、外からの攻勢に沢山の民間人の避難や内部からも襲撃が混じれば守り切るのは困難だ。

ゲルド族の兵士とて一溜りもないだろう。

 

…今、こちらにはそのどちらも存在しない。

そもそも外部からの攻勢があってこそ、内部からの切り崩しが活きてくるのだ。

よしんば攻め落としたとして、目当ての物が無いのでは本末転倒だ。

嵌った奇策というものは対処がしにくいもの、どうやらこちらの考えに対する模範解答の様で中に入った仲間達も混乱している。

 

 一部の気の逸った団員が襲撃を試みたものの、討って出た2人は戻る素振りを見せない。

どうやら相手の攻撃を防ぐというより攻撃を出させないつもりらしい。

 

(仕方がない、ここで待機しても無駄だ。仲間を連れて砂漠へ出るか―)

 

 そう考えてた矢先、ゲルドの兵士達に仲間が取り押さえられる。

1人、2人次々とだ。

 

(そんな馬鹿な、いくら何でも早すぎる!彼らの変装はそう簡単に見破られるような代物じゃない、一体どうして…)

 

 これは何かある筈だと、目を凝らして見渡すと1人が中心となって指示を出し、次々と仲間達を言い当ててゆく。

恐るべき精度の高さだ、それこそ事前に誰が変装していたか知っているか、イーガ団に余程精通している者しか不可能…。

 

(―ん?あの姿…そうか、そういう事か)

 

 彼ら団員と同じように彼も変装していた。

その知識と技術は紛れもなくイーガ団の物で、彼ならば団員の変装など容易く見抜くだろう。

だが、それはこちらも同じ事。

同じ変装術だから見抜けるのならば、我々が彼を見破る事だって訳はない。

 

(ドゥラン、裏切り者が更に楯突くとどうなるか…その罪は重いぞ)

 

 裏切りに関して清算をしたとはいえ、仲間を取り押さえる一端になるというのなら容赦はしない。

彼単独でゲルドの街まで来ることは考えにくいだろう、そう思い、辺りを見渡す。

 

(やはりな…貴様のその大罪、思い知らせてやる!)

 

「!ココナ!プリコ!」

 

 団員が首狩りの刃を振り上げ彼の娘達を奇襲する。

その素早い移動で、兵士達を振り切った―。

 

「ガァアアアア!」

 

 だがそれよりもなお早く、槍による一撃が団員を貫いた。

これには堪らず団員は吹き飛び意識を落とす。

 

「ルージュ様の街でこれ以上の狼藉は断じて許さん」

 

 ルージュの留守を預かる、ビューラがそこにいた。

引退したとはいえ、彼女の強さは健在だ。

リンク以外の兵士などまるで相手にならない。

その速く鋭い一撃は何故引退したのか不思議に思う程の冴え渡り。

 

「父様…?その格好は一体…?」

 

 いきなりの襲撃にも戸惑うココナだが、何よりも父が女装をしてゲルドの街に入り込んでいる事のショックも大きかった。

 

「ココナ、私は―危ないっ!」

 

 ドゥランが己と本当に向き合う覚悟を決め、娘達に事情を話そうとした時、次の伏兵がプリコに弓を引く。

 

「グアッ!?」

 

 今度はナイフが2つ飛んでゆき団員の攻撃を未然に防ぐ。

 

「油断しちゃいけないね、まずはお嬢ちゃん達を安全な所へ避難させな」

 

 今度はリンクのもう1人の師、リムーバだった。

リンクが復活させたゲルド2刀流、その技術を応用させた投擲術で無力化してみせる。

一体いつ、どの場所から投げたのはわからない程、長年の鍛錬と実戦で洗練された一つの機能美だ。

 

「あ、ありがとうございます!ココナ!プリコ!事が終わったらすべて話します!それまで安全な場所へ避難してください!」

 

 ドゥランが御礼を述べた後、娘二人を兵士達にお願いし避難してもらう。

本来ならば自分が安全を確保したいものだが、そうなればゲルドの街に潜り込んだ団員どもを見極められない。

 

「これ以上、我々の街で好き勝手などさせると思うな」

 

「ビューラの言う通りさ。ゲルド族の強さ、思い知らせてやる」

 

 ゲルドの街を任された戦士達、留守を託されたビューラ、住民の意地を見せたリムーバ、イーガ団と決別の覚悟を決めたドゥラン。

各々が役目を果たし、ゲルドの街を防衛した瞬間であった。

 

――

 




ルージュとの共同戦のアレンジです。

イーガ団や魔物の連合軍を共闘で撃退するイベント見たいなーと考えて作成しました。
ルージュの操るスナザラシ、パトリシアちゃんは音に弱いというスナザラシの弱点を克服しているので案外実機に落とし込めそうな展開だったりします。

高機動からの射撃を爆弾矢の範囲攻撃で難易度を抑え、モルドラジークをステージギミックに出来たら中々面白そうだと思います。
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