ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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第71話 冷たい雷雨と暖かい食事

 ◆ リトの村

 

 リリトト湖に浮かぶ断崖絶壁の小さな足場、簡易的な天然の要塞にリンク達は辿り着いた。

高速で飛行でき、更には障害すらものともしないという事がこれ程快適だとは思ってもみなかった。

 

「ふぅー、これだけ濡れてると流石に凍えるなぁ…。こっちに着いて来て、服を乾かさないと」

 

 ギザンに勧められるまま木組みの階段を登ってゆく。

足場はところどころ雨で湿っていた。

どこからでも飛んで帰って来れるほど開放的な造りになっている分、横殴りの豪雨を凌ぐにはあまり適していないのだ。

そもそもこのへブラ地方、へブラ山の麓では雪はともかくとしてあまり雨が降らない為想定などされていない。

 

「ギザンさん、サ…ありがとうございます」

 

「気にしなくていいよ、遅かれ早かれ僕もリトの村へ帰るつもりだったからそのついでさ。空の旅はどうだったかな?」

 

「最っ高でした!邪魔の無い快適な空間を縦横無尽に飛び回れるなんて羨ましいです。俺もいつか自由自在に飛んでみたいなぁ!」

 

「だろう?それにしても君凄いね、ハイリア人がこの天候で飛んだら凍えると思っていたけど何ともないなんて。ああ、そういえばしばらくゆっくりしたらカッシーワの所へ挨拶に行くんだっけ?それならここを登っていけば誰かには会うと思うよ。何しろ7人家族の大所帯だからね」

 

 焚火に当たり服を乾かす2人、大雨による絶え間ない水音に時折パチパチと木の燃える音が混じり一室に響く。

時が経ち、服が渇いた頃。

 

「おや?客人ですかな?」

 

 後ろから声をかけられた、振り返った先にはギザンよりも3回りほど体格の大きい老齢のリト族だった。

インパは厳格で威厳のある風貌だったが、彼は物腰の柔らかさと滲み出る人柄の良さが伝わって来る。

 

「村長!どうしてここに?」

 

「この悪天候、万が一にも帰ってきていない者がいないか確認していただけですよ。ギザンも無事でよかった。それでそちらの方は」

 

「初めまして、カッシーワさんやその娘さん達の知り合いのリンクと申します。今リトの村が大変な事になっていると伺いました。よろしければお聞かせ願えないでしょうか?」

 

「ホッホゥ、若いのにしっかりしていますね。私はこのリトの村の村長をしているカ―ンという者です。ふむぅ…しかしここで話すようなものではない…。申し訳ありませんが私の家に来ては頂けませんか?」

 

 カーンに案内されるままこのリトの村で一番高い所に作られた彼の家へと歩いてゆく。

彼が大きなロッキングチェアに座り、揺られながら一息ついた後、ゆっくりと口を開いた。

 

「ふぅ…ここまで歩くだけで疲れるとは歳でしょうか…。さて、このリトの村は未曽有の雷雨に見舞われております。いずれは晴れるでしょう、そんな希望的観測を最初はしていたのですが一向に収まる気配がありません。それどころか日に日に勢いを増す一方です。それに加え、落雷があろうことか木造の物にすら落ちてくる有様。ただでさえ突き抜けるように高く聳える岩場に作られたリトの村です。いつ落ちてきてもおかしくありません。もしそうなった場合、少数民族である我々にとって致命的な被害が出るでしょう」

 

「なるほどそうでしたか。―少々失礼します…。確かに雷雨がずっと続くようですね」

 

 リンクが改めてシーカーストーンで天気を確認すると雷雨ばかりを指し示す。

 

「なんと、もしやそれはシーカーストーンでは…!?いえ、本物のシーカーストーンは英傑様の末裔様がお持ちの筈…失礼しました。最近では落雷と共に魔物達の襲撃が頻発するようになり、怪物を見たという者もございます。今のこの村は大変危険な状態です。どうかお引き取り下さい、親交あるゲルド族の子供にもしもの事があっては申し訳が立ちません」

 

「どうして、俺がゲルド族だとわかったんですか?」

 

「一部化粧が落ちて褐色の肌が見えております。この長い雨で落ちてしまったのでしょう。ギザンに頼んでおきますのでゆっくりと休んだ後、ゲルドの街へお帰り下され」

 

 ゲルド族とリト族は演奏会などを通じて交友がある、ましてや彼女は子供だ。

ルージュの与り知らぬところで危険に晒す訳にはいかない。

そう判断したカーンはリンクにゲルドの街へ帰る様に促す。

 

「ゲルドの長、ルージュから許可は頂いております。何があっても自己責任で構いません!どうか手伝わせてください!俺にはもう、帰る場所なんてないんです!」

 

「なんと、ルージュ殿が許可を…?それに帰る場所が無い…いえ、失礼しました。辛い事を言わせてしまい申し訳ありません。そこまでして手伝ってくれる事、感謝いたします。怪物についてはナズリーから聞くと良いでしょう。長旅の疲れもあるでしょう、それに彼はすぐに寝てしまうので明日、尋ねてみる事をお薦めします」

 

「サークサークです」

 

 一礼をした後カーンの家から去るリンク。

何とか手伝う約束を取り付ける事に成功しほっと胸を撫で下ろした。

 

「さて…カッシーワさんの所へ行かないとな」

 

 リトの村に起こっている事態に首を突っ込む為にギザンに建前としてカッシーワの名前を出したのは事実だ。

しかし、カッシーワに対し挨拶以外に用が無いかといわれれば否であった。

むしろリンクにとってとても大事な用事だった。

 

「あれ…?リンクちゃん!?どうしてここに?」

 

「ナンさん、お久しぶりです。ご無沙汰しております。カッシーワさんに会いたいのですが…」

 

 カッシーワの家を探す為階段を下っていると、長女のナンと出会った。

元々リトの村は一本の階段が全ての家につながっている。

住人とすれ違う事はよくあるのだ。

 

「パパ―ゴホン、父に会いたいの?それは出来るけど…」

 

「お願いしてもよろしいでしょうか、夜分に申し訳ないですが」

 

「―わかったわ。こっちへいらっしゃい」

 

 ◆ リトの村 カッシーワの家

 

「おや、リンクさんではありませんか。遥々リトの村へようこそいらっしゃりました。ゆっくりして行ってくださいね」

 

 リト族の家は木組みの開放的な構造に屋根を乗せた造りになっている。

屋根には風車が回り風向きと強さを伝え天井付近ではハンモックが吊るされるシンプルなものだ。

それ故に目当ての人物であるカッシーワには簡単に出逢えた。

 

「カッシーワさん、実はお願いがありまして―」

 

「…わかりました。ですがこれから夕食でしてね、その後にでもよろしいでしょうか?」

 

「勿論です、無理を言ってすみません」

 

「気にしなくてもいいですよ、せっかくなので食事もご一緒にどうですか?妻も娘達もきっと喜びます」

 

「いいんですか?サークサークです」

 

「では食事の後、リーバル広場で待っています」

 

 リーバル広場、それは100年程前のリトの英傑リーバルから名付けられた主要な施設まで飛んでいけるよう作られた木造の足場である。

かつては屋根が取り付けられていなかったが今では屋根もついており、雨も気にせず集まれる憩いの場としても人気がある。

 

「あら、アナタがリンクちゃんね。話は主人や娘達から聞いています。妻のハミラです」

 

「カッシーワさんやモモさん達にはお世話になっておりますリンクです。よろしくお願いします」

 

「ハミラさん、リンクさんも一緒に食事をしたいのですがよろしいですか?」

 

「勿論です、今日は腕によりをかけて調理しないと!モモ、悪いけど娘達を呼んできてもらえるかしら?」

 

 そんな形でトントン拍子で食事の準備を進めていくハミラ。

大家族故か彼女の料理の手際が物凄い、次から次へと料理が出来てゆく。

美味しいものを作るという意味ではスルバやココナも料理上手であったがここまで早くは作れなかった。

 

「リンクちゃん久しぶり!今日はいっぱい食べて行ってね!」

 

「やった!マックスサーモンムニエルだ!」

 

「この天候の中来るのは大変だったでしょ?よく食べて良く休んでいってね!」

 

 次女のコッツが久しぶりの再会の挨拶を交わし、三女のゲンコが好物であるサーモンのムニエルを喜ぶ。

末っ子のキールがリトの村で休むことを勧める。

姉妹仲も良好で賑やかな団欒があっという間に形成されていった。

 

――

 

 目の前には大量の料理が並んでいる。

今日の献立はマックスサーモンのムニエルとピリ辛目玉焼きライス、ガンバリハチミツアメ、ホットミルクだ。

 

「皆準備が出来ましたね。それでは…」

 

「「「「「「「「頂きます!」」」」」」」」

 

「これは…!」

 

 美味しい、へブラ地方の寒さにも負けない様に栄養を蓄えたマックスサーモンの濃厚な味わいをまぶされたタバンタの小麦粉がギュッと閉じ込める。

それだけじゃない、ヤギのバターの旨味を引き寄せてマックスサーモンとの融和を成し得ている。

パリパリとした食感の皮は丁寧に鱗を落とした上で絶妙な火加減で焼き上げられたのだろう。

ハミラの繊細な気配りがありがたい。

トロトロの半熟卵を乗せたライスも併せて口に運ぶのが止められない。

新鮮な卵がハイラル米にもムニエルにも新たな楽しみ方を与えてくれる。

僅かにピリリとするコレは隠し味にポカポカの実を少し入れているのだろうか、ほんのりと暖かくなった気がする。

 

「いい食べっぷりね、まだまだあるしリンクちゃんは育ち盛りなんだからもっと食べていきなさい」

 

 少々辛くなってきた時は、ハチミツアメで舌を休める。

ゲルドの街の屋台で気に入ったみたいな話を姉達から聞いたから、そこから取り入れたのかもしれない。

優しい甘みがムニエルの塩味やポカポカの実の辛味をいったん落ち着かせる役割を担っているようだ。

 

 きっとこれは歌姫を目指すナンさん達の喉をケアする目的もあるんだろうな。

最後にホットミルクをゆっくりと頂き ほぅっと一息をついた。

暖かくなったからだろう、白く染まった吐息が空へと消える。

 

「御馳走様でした。美味しかったです」

 

「お粗末様でした、気に言って頂けたようで何よりです」

 

「すっごい食べっぷり!見てるこっちがお腹いっぱいになりそうだったわ!」

 

「御馳走でした。ハミラさん、私とリンクさんは少々席をはずします。その間、娘達の事を頼みましたよ」

 

「わかりました、積もる話もあるでしょう。ごゆっくり―」

 

 

 ◆ リトの村 リーバル広場

 

「お待たせしました、あいにくの天候ですが今だけはこの方が都合がよいのでしょう」

 

「すみません、村が大変な事になっているというのに態々時間を割いて頂いて。聴かれたくないのは事実ですがそんな事を言わないでください」

 

「そうですね、少々不躾でした。貴方は強いだけでなくとても優しい人でもあるのですね。それに私はリトの戦士ではありません。この事態にできる事など殆どありませんから気にしないでください。それでどのような要件でしょうか」

 

「貴方に返したい物があります」

 

 そう言って丁寧に包装された開けてゆく。

中身を確認するカッシーワはやはりといったような面持ちでリンクの言葉を待った。

 

「カッシーワさん、俺がこの村へ来た理由の半分はこの為です。これは貴方が持つべきものだ」

 

「リンクさん、コレは―」

 

 それは黄金で輝いていた、優美な装飾に立派な宝玉の埋め込まれた芸術品としても価値の高い代物。

かつて師匠が使っていたという彼にとっても思い入れのある一品。

それがカッシーワがスルバに託した竪琴であった。

 




原作で子供のキャラは難しいですね、10年近くたつとおんなじ性格や容姿をしている訳ではありませんから
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