ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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お待たせしました

新機能を盛り込むことは世界観を壊さないか等、色々と迷いながらも何とか形にしてみました

お気に入り190達成ありがとうございます
これからもよろしければお楽しみください


第76話 護りたいもの

 その瞬間、テバは見た。

リンクの傍で夜光石の如く青白い炎を纏ったゲルドのヴァーイを。

いつも息子が身に付けている御守りだからよく覚えている。

親友のハーツに奥さんや俺の娘を泣かせる真似だけはするんじゃないと念を押されたが、あれは無事に帰ってこいという激励の言葉でもあったように思える。

 

 夜光石、またの名を死者の魂の灯―考え過ぎだろうか。

そう思考を巡らせていると既に姿は無く視線の先にいた筈のリンクが眩い光に包まれる。

これは一体…。

 

 

 どこからか声が聞こえる。

小さいながらも心に響く不思議な声音

もうアタイ(私)には決して聞こえるはずが無いのに

 

 …きて…

 

 まただ、お前にも聞こえたかスルバ

 

 ええ、確かに私達を呼ぶ声が聞こえたわ 懐かしい とても安心する声の響き

 

 起きて

 

 母様 どうしてここに いや薄々わかってた でも間違っていて欲しかった

 

 リンクを助けるんだ

天に近いこの場所なら―今の2人ならきっと出来る

 

 私達は、あの子に何一つ残すことなく置いて来てしまったから

お願い…フェイパ…スルバ… 私達のリンクまで死んでしまうわよ

 

 母様 わかったよ やってみせる

 

 私だって逢いたい気持ちに嘘はないけれど

こんな再会じゃ 死んでも死にきれない…きっと貴女(お前)もそうよね(だよな)

 

いつも一緒にいたもんな(からね)

生まれた時からずっと一緒

私達は双りで1つだから―

 

 

 ◇

 

「う、ううん…あ、あれ?これは…?」

 

 地面に叩き付けられる衝撃に備え目を瞑っていた。だがその衝撃がいつまでたっても来ない。

恐る恐る目を開けると今だ空の上、ゲルドの街でヤシの木に引っかかって宙づりになった時に似ている。

周りには何もない高所で木が生えているはずが無いのに…?

ゆっくりと首を回した視線の先には―

 

「…姉ちゃん…」

 

 メテオロッドが燃え盛り彼の小さな体躯を引き上げ、支えていた。

フリーズロッドも青く燃え盛り次第に力を弱めていくメテオロッドを支えるように輝きを増してゆく。

フェイパ姉ちゃんが スルバ姉ちゃんが 助けてくれた

サークサーク これでリトの皆を護るために戦える

 

 

 メテオロッド、フリーズロッドに蒼炎が灯った

姉達が遺した魔法の杖 魔力を使う事で一定の間、滑空したり自由自在に飛ぶことが出来る。しばらく休ませることで再び使用が可能。

 

 ゲルド族特有のしなやかな身のこなしで反転しフリーズロッドへと乗り換える。

のんびりしている時間は無い、今やるべきはあの龍を止める事だ。

 

「テバさん!早くチューリさんを安全な所へ!この龍は俺に任せて!」

 

 ボコブリンやウィズローブ達が立ち塞がり一斉に狙って来るが前に、下に時に反転したりして躱してゆく。

不思議な程に思った通りに杖が動くのだ。逆に杖の限界も何故だか伝わって来る。

力が弱まった頃に再びメテオロッドへと持ち替えフリーズロッドを休ませる。

 

二刀流を修めていて本当に良かった、加えてハイラルを横断する時、ドラグやスナザラシで培ったバランス感覚がここぞとばかりに力を振るう。

 

 ただ慣性による移動こそあれどこの入れ替える瞬間だけはどうしても無防備になってしまう。

その隙を彼らは逃さない、リンクこそが我らの障害と認識し彼へと狙いを定める。

 

 ドン!ドドン!

 

 だが彼らの攻撃は不発に終わった、いち早く復帰したチューリとテバが息の合った連携で魔物達よりも先に爆弾矢で足場諸共吹きとばす。

気休めとは言えビリビリダケやビリビリハーブをふんだんに使った食事が効果を示したらしい。

 

「リンク、こいつらは父さんと俺に任せろ!俺だってリトの戦士の端くれだ!これしきのかすり傷位どうってことない!」

 

「―チューリさん!わかりました、頼みます!」

 

「いいかチューリ、絶対に無理はするな。こいつら相手なら俺一人でも遅れは取らん」

 

 テバさん達が作ってくれたこの好機 逃しはしない。

メテオロッドを握りこむと呼応する様に速度を上げ、魔物達の壁を駆け抜けた。

侵攻する雷龍はすでにへブラ山を下り切っている。もうあまり時間が無い!

 

 リトの馬宿は目と鼻の先、あんな大きさの化け物がぶつかれば天蓋丸ごと吹き飛んでしまうだろう。

何よりこいつは殆どの人には目撃する事すら出来ない、避難をしている可能性は限りなく低い筈…。

 

(だけど高度を下げてくれた分、ここからでも射線が通る!)

 

 ツバメの弓で中央の角へ矢の雨を降り注ぐ。

スローになった世界をゆっくりと飛んでいく矢が7を超えた辺りで罅が入り、割れたかと思われたが根元から紫の粘液が纏わりついたかと思うと元の姿に戻ってしまった。

 

 あの角は硬いだけじゃなく再生まで早いのか!?

俺は一体どうすれば…考えろ、ピンチの時こそ冷静に。

 

 先程の角は根元の部分、角に繋がっている部分から再生した。

だとするとあれは3つ同時に破壊しなければいけないのか…?

やってみる価値はある。ただツバメの弓じゃ1つ1つは壊せても間に合いそうにない

 

―もしもに備えて持ってきたアレを使うべきか

 

 雷龍の頭上に位置取ったあと、2つのロッドで急下降を始めるリンク。

少しでも威力を高めたい 自由落下では不十分、爆弾矢も準備した。

後はタイミング、少しでも早くても遅くても駄目なのだ。狙うは刹那

勢いそのままに空で反転し、背負った大弓を構える。

 

 彼の構えた弓を、それに巻きつけた青のスカーフにチューリが目を見開く。

 

「あれは、オオワシの弓!飛行訓練場から持って来てたのか!」

 

 この弓の弦の固さは凄まじく、大人の戦士であるテバですら使いこなせない。

通常ならこんなものを子供のリンクが使いこなせるはずが無いのも事実だ。

 

 ガシッ、ガシッ ギギギ

 

 あえて小柄な体躯を利用する事で足りない力を補う

木組みのフレームを両脚で固定し、その身が一直線になる様引き絞る。

両手だけでは全く足りない、両脚、背筋といった全ての筋肉を使って文字通り全力で弓を引く。

 

 集中力を極限にまで高めた空間には爆弾矢特有の導火線が燃える音が等間隔に響き渡る。

5回目、6回目―まだだ、この弓の射線が全ての角と重なる瞬間を違えるな

 

 大人しく待ち構えてくれる相手では無い、こちらに向かってゆっくりと雷弾も飛んで来る。

雑念など振り払え、今やるべき事は雷龍の鎮圧その為の角の破壊

雷弾が眼前を塞ぎ切ったその瞬間―

 

「ここだァ!いっけえぇえええええ!!!」

 

 同時に放たれる3発の矢、ツバメの弓から放たれるそれとは別格に速く鋭い閃光が一直線に伸び炸裂する。

無論こちらもタダでは済まない雷弾の一撃は全身を駆け巡り、骨まで焼き焦がすような激痛を齎した。

 

 グゥウォオオオオオオ!!!!!

 

 爆風が晴れた視界の先では紫に染まった角が全て砕ける。

苦悶の断末魔をあげその巨体をくねらせ暴れたかと思うと黒く染まった外殻が剥がれ落ち本来の姿へと色が変わった

その瞬間、風の向きが変わり、リンクの小さな体躯を吹き上げる。

 

 しかしながらこれで終わりにはならない

 

「クソッ、魔物の方は何とかなったが雪崩が止まらん!」

 

「このままだとあと3分程で馬宿を直撃するぞ!」

 

 テバとチューリが軌道を変えようと爆弾矢を打ち込む。

だがへブラ山が何年、何十年と溜めこんだ豪雪の前では塵芥に等しく止めるにはまるで足りない。

 

 雪崩に気が付いた馬宿の職員が避難を指示しているが、相手は馬を遥かに超える速さで全てを飲み込んでゆく雪の塊だ。

視認できる距離になって漸く気付くようではとても間に合いそうにない。

 

 同時刻 リトの村

 

「カーン村長!雷雲に加えてへブラ山より大規模な雪崩が向かって来るとの報告が!至急避難の命令を!」

 

「心配はありません。落雷に関してはテバ達が何とかしてみせます。加えてこのリトの村は湖の上、雪崩がここまで届く可能性は低いでしょう。そして何よりこの間、我々の守り神の準備が整ったようですから」

 

「守り神?それってまさか―」

 

 甲高い鳴き声がリリトト湖中央に響いた。

何事かとナズリーは声のする方向へと顔を向ける。

リトの村の中央に聳え立つ巨岩、その頂上に止まるそれは遥か彼方の雪崩へと赤い閃光が照準を定める

 

 次の瞬間には轟音が鳴り響き 極大の光条が迫り来る怒涛の雪壁を吹き飛ばした。

その威力たるや凄まじく余波ですら一面を雪の粉覆い尽くし、タバンタ、へブラの両地方に地響きを齎しながら災いを払う風の加護。

 

 この僕がいる限り リトの村には指一本触れさせはしないよ

 

「御護り頂き感謝致します。リーバル様」

 

 へブラの雪崩が霧のように馬宿を覆い隠した。

静寂の一時の後、視界が晴れる頃には細氷、またの名をダイヤモンドダストと呼ばれる宝石の輝きが空を舞う。

そしてその遥か彼方のへブラ山の頂に七色の祝福が顔を覗かせているのであった。

 

「やった…止まった…!」

 

「凄いぞリンク、君の御蔭でリトの村も馬宿の人達も助かった!」

 

「やるな、ここまでやれるとは流石に思っていなかった。感謝する」

 

 戦いが終わり戦士達に安息の一時が訪れる、テバ達は地上に降り立ち馬宿で羽を休めていた。

テバはともかくリンク、チューリは傷が深く手当をされている。特にチューリは思ったよりも翼への電撃傷が深かったようでリンクとテバの2人がかりで巻き付けていた。

馬宿の職員達が彼らをねぎらう為、ポカポカの実を入れ込んだシチューを御馳走してくれるらしい。

濡れ鼠のまま極寒のへブラ山の空で戦ったのだ、予想以上に冷え切った身体には非常にありがたい。

 

 傷を癒し、疲れを取るためゆっくりしているとどこからともなく声が聞こえてくる

 

 勇気ある若者よ…私は女神の遣いフロドラ あなたの御蔭で厄災の怨念を振り払うことが出来ました

しかし、このハイラルにはまだ強い怨念達が蠢いています

何か困ったことがあれば私の下を訪れなさい

勇気の泉にて其方を待ちましょう

 

(今のは…一体…?)

 

「あなた!チューリ!」

 

「お前が戻ってきたって事はやったんだな、見た所大した怪我も無いし流石だぜ。やっぱりお前は村一番の戦士だよ」

 

 リーバル広場からリト族の女性と黒い毛並みが特徴的なリト族、そしてモモが真っ直ぐに飛来する。

恐らく女性はテバの妻、そしてチューリの母親なのだろう。

 

「サキ、この悪天候の元凶を止めることが出来たぞ。これでリトの村も大丈夫だろう。ハーツ、お前の弓の御蔭だ流石の使い心地だったぜ。」

 

「事の次第は村長から聴きました。空が晴れたという事はもう心配はいらないのですね」

 

「まったく、もう少し気の利いた事でも言ってやれよ。奥さんお前達の事ずっと心配してたんだぜ。無事を祈ってただ待っているのだって中々キツイんだからな」

 

 家族ぐるみでの中だからこそ憎まれ口を叩きながらも和気藹々と話せる。

ハーツ自身も掛け値なしの称賛に満更でもなさそうだ。

 

「モモ、まだまだ半人前かもしれないけど俺にもちゃんと戦えたよ!俺だってリトの皆を護れたんだ!」

 

「…チューリちん…」

 

 モモは絞り出すように声を出し、彼を抱きしめる。

心なしか震えているようだ。

 

「モ、モモ…?」

 

「―怖かった。ひょっとしたらチューリちんがもう帰って来ないんじゃないかって。待っているのも好きじゃないけれど、置いて行かれるのはもっと嫌。その腕の怪我、あの日のお父さんと一緒。あの日も今日も何かが違っていたらあたち独りぼっちになっていた」

 

 モモの家族はハーツしかいない、そのハーツはかつてメドーの暴走を止めようとし撃墜されている。

その際、テバが助けに入っていなければほぼ間違いなく命を落としていただろう。

当時、片手で数えられるほどの幼い娘を一人遺して。

 

「馬鹿だな、俺がモモを置いて行くわけないじゃないか。約束する、絶対帰って来るって」

 

 良かった…、本当に…

俺にも護る事が出来たんだな

 

「父親としちゃ複雑な気分だぜ…、モモもチューリもいつの間にか立派に成長してたんだな。ところでその子は?」

 

「ああ、今回一緒に戦ったリンクだ。こんななりだが中々出来る、まさかあんな方法でリーバル様の弓を使ってみせるとは思ってもみなかったぜ」

 

「アレを使えたのか!?長年リト族でも扱える戦士がいなかったぐらい引きが強い大弓なんだが良く使えたな…」

 

「ハーツさん、オオワシの弓を調整して欲しいんだ。あの扱い方なら鍛錬次第で扱いこなせるかもしれない!傷が治り次第、飛行訓練場で練習しないと。―でもしばらくは村で静養かな」

 

「ホントか!?遂にリーバル様の弓を使いこなせるリトの戦士が誕生するのか?!いいぜ、俺も本腰入れて調整してやるよ。詳しい方法は後で聞かせな、用途に合わせて構造も変えないといけないからな。だがまずはよ、後ろで馬宿の皆様が用意してくれている御馳走で祝勝会を開こうぜ」

 

 リトの村と馬宿を守り抜いた英雄達を労う憩いの一時。

やり切った高揚感を胸に秘め、痛む身体を労わりながら並べられた御馳走に舌鼓を打つリンクだった。

 




メテオロッド、フリーズロッドの覚醒

性能的にはホバーブーツとパラセールを併せたものをゲルド族に合わせた形です。
より滑らかにより素早く動かせる反面、効果時間がパラセールより限られているという特徴があります。

その為乗り換えるなどして使用したロッドの回復を待つ様に使い分けるのが重要です。


リーバルトルネードの様な急上昇、急降下も可能ですが、反面杖の魔力消費が激しいです。
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