ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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新年明けましておめでとうございます。

今年一年よろしくお願いします。

随分と遅くなってしまいました。
申し訳ありません。

データが吹き飛び2作合わせて700ページほど消えてしまい心が折れてました。


第8章 逞しき炎
第77話 雪球は谷を越えた


「それで、これからどうするつもりだ?また旅に戻るのか?」

 

 テバさんの語り掛けに端末を起動して指し示す。

 

「ええ、この辺りに行ってみようかと思います」

 

「ここは……ハイラル大森林か。かつて退魔の剣と呼ばれる聖なる剣が眠っていた場所だな。今はお前と同じ名を持つ騎士が持っている」

 

「えっ知ってるんですか?」

 

「なんだ、知り合いなのか?奇妙な縁もあったもんだな」

 

「以前助けてもらいまして。風みたいに去って行っちゃいましたけど」

 

「相変わらず飛び回ってるようだな。話を戻そう。ハイラル大森林については昔から村長がよく話してくれたんだ。リーバル様と共に戦った英傑のリーダー。その男が携えた退魔の剣を姫様が大厄災の傷を癒す為に森の奥深くに眠らせたとな。ーまさか100年もたって若々しい姿のまま俺達の前に現れたなんて予想も出来なかったが。チューリやモモも知ってるんじゃないか?」

 

「はい、俺も耳にしています。カーン村長はあの日の事を忘れない様に語り継ぎ若者を導く事が自身に残された使命だと常日頃から仰っていたので」

 

「まぁ、兎に角だ。あの場所はただの森じゃない。長い間魔物からその剣を護り抜いたんだ。何があってもおかしくはないだろう。行くのならしっかりと準備する事だな」

 

「タバンタの馬宿を経由してから道なりに迂回すれば良いよ。ただ、途中からは道が舗装されてないから少々進みづらいかも知れないね。そうそう、馬宿と言えば大森林辺りにもあるから立ち寄って現地の情報を集めた方がより確実だと思うよ」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

 

「それを言うならサークサークだろ?俺たちの仲だ、自分達の文化、生き様は胸を張って誇りな」

 

「はい!サークサーク!」

 

お礼を言って旅立とうとするのをハーツさんが引き留めた。

 

「おいおい、傷も疲労も抜けてないうちから旅に戻る気か?代金は出すから今日ぐらいは泊まっていけ。それとコイツは俺からの餞別だ」

 

 ハヤブサの弓を手に入れた

リト族の名工が作り上げた洗練された弓 空の戦いに秀でたリトの戦士が使っている

一般的な弓より素早く引き絞る事が出来る

 

「それは俺がリトの伝統の工法で作った弓だ。オオワシの弓程の威力は出ないが、その分引き絞る負担はツバメの弓に近い。普段持ち歩くならそっちの方が使いやすいだろう」

 

「ハーツはリト族きっての弓職人だ、元々は戦士を目指していただけあって使い手側の立場も踏まえて作ってくれる。身内贔屓もあるだろうが俺の知る限り弓を作る事に関しちゃコイツ以上の男はいねえ。武器に関して何か気になる事があれは頼ってみるといい」

 

「わかりました!その時はお願い致しますね!」

 

――

 

 馬宿を守って下さったお客様から代金なんて取れません

ゆっくりと休んで下さいと店主に言われ、リトの馬宿で疲労を落とし来た道とは違う方向からへブラ山を迂回する様にタバンタ地方を周る事にした。

 

 左にへブラ山が聳え、右にククジャ谷の深い闇が顔を覗かせる断崖絶壁の狭い足場を駆け抜ける。

馬宿までの道のりは石造りになっていて所々風化していた。

舗装されてはいるが整備されている訳ではない分、より一層時の流れを感じさせる。

 

 厄災の脅威が去って久しいがこの道は殆ど手付かずだ。

復興の為、至る所で交易路を舗装し直したり建物を作り直したりもするがやはり効率の面や拠点の重要性、限られた資材などの関係上の理由でどうしても後回しになってしまう。

そもそもタバンタやヘブラから中央ハイラルへ出る道ならタバンタ大橋を渡ればそれでいい。

態々遠回りの極寒かつ魔物が多い道を選ぶ必要性は低いからだ。

 

 

 未だ魔物達は跋扈しているし僅かに残る平地には、かつて村として栄えただろう煤けた骨組みが打ち捨てられていた。

廃墟として佇んでいる大厄災の爪痕が今もなお生々しく残っている。

 

 破壊された痕跡が顔を覗かせると流石に心が滅入ってしまう。

それだけ未だ厄災の傷は深いのだろう。

 

 

 冷気を操る雹吐きリザルフォスにゼリー状の魔物、アイスチュチュが我が物顔で集落跡を支配している。

だが戦うならいざ知らず素通りするだけなら足元にさえ気を付ければ脅威としてはそれほどではない。

 

 この地で最も厄介なのは凍結させる冷気の蝙蝠、アイスキースだろう。

その身軽な飛行能力が脅威なのは勿論、近付くだけで凍て付かせるような冷気はそれだけで驚異的だ。

 

 他はともかく既に道を塞ぐ蝙蝠だけは押し通るのは不可能。そう判断したリンクがドラグから跳び上がり、ハヤブサの弓を引き絞る。

 

 引いてみて驚く、弦が軽く手に馴染むのだ。リンクに合わせて調整してくれたようで使い易さはオオワシの弓とは雲泥の差だ。

テバが言うようにハーツの職人としての腕は確かなものであると実感するのであった。

 

 集中する事で緩慢になった時の中、照準を定め眼玉を射抜く。

甲高い悲鳴と共にアイスキースは吹き飛び、消滅した。

飛行訓練場での特訓は間違っていなかったようだ。

 

「……あれ?」

 

 へブラの雪山にポツンと佇む塔に近づいた頃、思わずリンクは目を凝らす。

煙が見えるのだ。

 

初めは馬宿が近づいてきたのか、そう考えたが方角が違う。何事かと近づいてみると小屋が見えて来た。

 

 驚くべき事にこの地に住み込んでいるらしい。

 

「おおっ、こんなところまでよく来たな。ささっ身体が冷えたろう。暖炉で暖まり」

 

 小屋の中で出迎えてくれたのは、もじゃりとした球状の髪をした老人だった。

 

「いいんですか?サークサーク」

 

「何を言ってるべ、こったら寒い日に子供1人にしておいたら凍死しちまうよ。すぐにホットミルク入れたげるからゆっくり休むがいいだよ」

 

「ポンドさん、お客さんゴロ?」

 

 奥から見たことのない、ゲルド族と同じ褐色の肌を持つ岩の様な体躯どころか背中に至っては完全に岩になってる……人?がいた。

話だけで聞いた事のあるゴロン族と言うのだろう。

 

 確かオルディン地方のデスマウンテンを拠点としていて岩を食べて生活をしているらしい。

 

「グレーダさん。そんなとこだ」

 

「あれ、こんな小さいゲルド族なんて珍しいゴロね。なんでだったか思い出せないけどーま、いっか。それよりもゲルド族なら社長の娘さん知ってるゴロ?」

 

「社長ってもしかしてウィッダちゃんの事ですか?」

 

 ちょうど自身と同じくらいの年頃のゲルド族のヴァーイで社交的で輪の中心になっていたっけ。

街では訓練が殆どだったからあまり交流出来ていなかったのが残念だ。

 

「そうそう、僕もエノキダ社長には随分とお世話になっているゴロ。世界を股にかける様なでっかい事をやれるのもあの人のおかげだからね。もしよければ街でのウィッダちゃんの事色々と教えて欲しいかな。いい土産話が出来そうゴロ」

 

 ポンドさんから頂いたホットミルクを飲みつつヴィッダちゃんの話をする。

いつかパーパの様にハイラル復興のお手伝いが出来るように石を使った建築を勉強中なノダ!って打ち込んでいたっけ。

 

 

「―なるほどね、あっちでも元気にやっているみたいだね。エノキダ社長もパウダさんも心配していたけど良かった良かった」

 

「いやぁしかしお前さん、運がないね!先日の雪崩で道が塞がっちまったんだよ」

 

「えっ!?そうなんですか‼︎どうしましょう……」

 

 出来れば足止めは避けたい。

他の地方にも魔の手が忍び寄る可能性だってあるのだから。

 

「うーん、急いでるだか?ここから東にはマリッタの馬宿があるんだが、ククジャ谷が大きな口を開けてるからなぁ……よし、まだ試作段階だがアレでいくべ!」

 

 着いてくるべと案内された先には、大人がすっぽり入りそうな雪球と雪で作られた坂道が伸びていた。

 

「こ、これは……」

 

「オラが開発中の雪玉ボウル。それを更に発展させたロングコートだべ!グレーダさんにこさえてもらった発射台に乗ってる特大雪球の中に入って角度と距離を調整すればきっとククジャ谷を越えられる……筈」

 

「筈って……」

 

「雪玉単体ならともかくまだだあれも乗せた事ないから仕方ないべ」

 

「しっかしここで待ってても1週間は足止めになっちまうぞ?中央ハイラル側も橋が落ちちまったらしいし……」

 

「わかりました!せっかくなので挑戦してみますね!」

 

「よし来た!心の準備が出来たらグレーダさんに声をかけるべ!力をいっぺえ溜めねえとあの谷は越えられねえからな‼」

 

 雪玉の中に入ってビタロックを起動する。

万が一飛距離が足りないなんてことになれば谷底へ真っ逆さまだ。

 

「な、なんだあ?黄色染まったぞ!?」

 

「今のうちに衝撃を!」

 

「おう、任せるゴロ!フォォォ、ゴロンアターック‼︎」

 

 鉄のハンマーで目一杯力を貯められた雪玉には物凄いエネルギーが貯められる。

振り落とされない様にしっかりと捕まる手に力を籠める。

 

ピン ピン ピン ピン

ピンピンピンピンピンピンピンピン

ピピピピピピピピ‼︎

 

ウワァー‼︎‼︎

 

「あっりゃあ……ちょっと勢いがつきすぎたかなぁ……」

 

グフッ

近年発見されたハリツキトカゲのように馬宿の壁に張り付いてしまった。

何事かと慌てて出てきた従業員のヴァーイが悲鳴を上げている。

 

「キャアア‼︎お客様、大丈夫ですか⁉︎」

 

「な、何とか……」

 

 目を回しながらなんとか答える。

その様はとても大丈夫には見えないだろう。

謎の音と共に文字通り飛来した珍客の様子に受け答えをする従業員は若干というかかなり引いているのが丸わかりだ。

 

 誰が雪球の中に入ってククジャ谷を跳び越えるなど考えるだろうか。

 

 置いてきてしまったドラグを口笛で呼び寄せると更にぎょっとする。

光から馬が現れる仕組みはわからないけれど古代のクラは凄いなぁ……

 

関わり合いになりたくないのか、大慌てで椅子を用意するとそそくさと業務へ戻ってしまった。

 

???

 

エメリおばさん!とっくにこの馬宿を抜けたって!

 

ちょ、ちょっと待っておくれよ。いくらなんでも早すぎる。

ホントに子どもの足なのかい⁉︎

 

リンクちゃん馬を使ってるからのんびりしてたら追いつけないよ!

 

ティクル、方針を変えよう。

旅に慣れてないアンタや年老いたアタシがあの子に追いつくのは無理だよ。

 

それで諦めるしか無いの⁉︎

 

だから中央ハイラルで待ち構えるんだ。そっちの方が余程可能性があるよ。




色々と悩みながらなんとかリハビリを兼ねての投稿です。

楽しんでいただけたら幸いに思います。
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