ゼルダの伝説 蒼炎の勇導石   作:ちょっと通ります

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長らくお待たせいたしました。
UA32000到達ありがとうございます。

オルディン地方編も楽しんで頂けたら幸いです。


第79話 デスマウンテンの流儀

「お帰りなさいませリンク様。貴女にシモン様からの言伝を預かっております」

 

「ありがとうございます。シモンさんからのですか?」

 

 デクの樹様の所から帰って来たら意外な知らせが届いていた。

世界各地に点在する馬宿に言伝、一体何があったんだろう?

 

「ハイ、渡したいものがあるので空いてる時にアッカレ地方のロベリー様の研究所に向かって欲しいとの事です」

 

「アッカレ地方、ロベリー様……」

 

「ええ、アッカレ地方といえばここから更に北東に位置する場所で様々な種族が暮らすイチカラ村が有名ですね。ロベリー様はプルア様やインパ様と共に大災厄を生き延びたシーカー族の生き残り。ガーディアン研究の第一人者であると同時に古代兵装の開発者と伺いました。何やら不穏になりつつある現状に対し備えをして欲しいとの事です」

 

「わかりました。これからデスマウンテンに向かうのでその後に足を運びます」

 

「よろしくお願いします。それにしてもリンク様はゲルド馬に乗られるんですね。まさかこうやって実物をお目にかかるとは思いませんでした。それにこのようなクラは初めて見ますよ」

 

「ああこれは馬神様に頂いた代物でしてね。こうやって口笛を吹いたりすると離れた所から移動してきてくれるんですよ」

 

「馬神様からの贈り物ですか‼︎馬宿に勤めるものとしては実に羨ましい限りです。《いつどこでも来てくれる》んですね!!ただデスマウンテンは足場が悪く、マグマに落ちたらひとたまりもありませんので歩いて向かわれる方がいいかと思いますよ」

 

 デスマウンテン登山道

 

 森の馬宿からデスマウンテンへと向かってゆく。

ヘブラ山はテバさん達の背に乗っていたので登山経験といえばサトリ山くらいなものだ。

 

 砂に足を取られるのとはまた違ったキツさがある。

踏みしめる脚が重くなった気がするし岩だからか返ってくる反動が強い。

活火山だからだろう。

炎を纏う魔物が多く地中から湧き出したファイアチュチュを倒したり天井から飛来するファイアキース時折が行く手を阻む。

ハヤブサの弓で時折射抜きながら段差をよじ登った。

残火に気を配りながら慎重に足を運ぶ。

キースもチュチュも奇襲性が高い魔物だ。

足元や頭上という場所は死角になりやすく思っていた以上に精神的な消耗が激しい、岩のトンネルを潜り2合目に差し掛かろうとした時

 

「あら?こんなところでまた会うなんて奇遇ね、サヴァーク、元気だった?」

 

「!?サヴァーク、ラメラさんお久しぶりです。どうしてここに?」

 

 ゲルドの街とは真逆に位置するオルディンで会うとは思わなかった。

去年初めて護衛の任務をさせて頂いたラメラさんじゃないか。

 

「それはこちらのセリフよ、私の仕事はデスマウンテンに宝石を買い取りに行く事なんだから」

 

「あ、そういえばそうでしたね。失礼しました、ここを登ればデスマウンテンを登れるんですか?」

 

「え?まさかアナタその格好のまま登るつもり?やめておきなさい、冗談じゃなく火がつくわよ」

 

 火がつく!?暑いのは慣れているつもりだったけどそこまでの熱は流石に想定していない!

これはマズイ、根性でなんとか出来る域を越えている‼︎

 

「チュ、チュチュゼリーを被ればなんとか……」

 

「そのゼリーこの辺りで拾ったでしょ、発火するやつじゃない……ハァ、仕方ないわね。あんまり余裕はないけれどコレをあげるわ」

 

  燃えず薬を手に入れた!使う事で発火を抑えることが出来るぞ

 

「サークサーク、それではいただきま―」

 

「待って!それは飲むものじゃなくて塗るものよ!」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「偶にいるのよ、勘違いして飲んじゃう人が。大抵の薬は飲むものだから余計に間違えやすいのも仕方ないけど……まぁ今回の事はしっかり覚えておきなさい。それとデスマウンテンでは木製の装備はしまっておくほうがいいわ。文字通り命に関わるんだから」

 

 危ない危ないラメラさんに言われなかったら黒焦げになる所だった。

作ってもらったばかりの弓をいきなり燃やしたりしたらハーツさんにも悪いからな。

彼女が言うにはこのオルディン地方に生息しているヒケシトカゲを材料にしているらしい。

ヒケシアゲハでも作れるのだが数が少なく捕まえにくいのもあって敬遠されているとの事だ。

普通は入り口付近で捕まえて準備をしてから登るという。

 

「へぇタバンタ地方から周って来たんだ、随分と思い切ったわね。寒暖差に慣れている私達じゃないと少しばかり無謀よ」

 

「確かに同じ山でもヘブラとオルディンでは全然違いますね。これもまた鍛錬と思う事にしますーラメラさん、少し離れて下さい」

 

 振り返りフリーズロッドと太陽の盾を構える。

それに気づくのが先か蛇行するように赤色の蜥蜴が一気に距離を詰め槍で突きを繰り出して来た。

 

タイミングを合わせて盾で弾き返すと体勢を整え軽快な足取りでこちらを狙う。

 

 火吹きリザルフォス

主にデスマウンテンに生息する暑さに順応した魔物だ。

数は少ないけれどゲルド砂漠にも生息しているリザルフォスの上位種でもある。

 

 もうあの時のような無様は晒さない、観察してわかった事がある。

リザルフォスは速くて横に躱す厄介な魔物だけど攻撃そのものは直線的なものが多い。

 

飛び掛かりを待って横に跳ぶ、リザルスピアが地面に食い込んだその隙を逃さない。

ヘブラ山でのチューリさんから炎と氷は相互に弱点となることを学んだ。

フリーズロッドから放たれる巨大な冷気であっという間に霧散した。

 

「驚いたよ、初めて会ったときはリザルフォスに手こずっていたのに火吹きリザルフォス相手に余裕じゃない」

 

「装備の相性が良かったのも大きいですがあの失敗があったからこそ戦い慣れ出来たと思います」

 

「この一年で随分と見違えたわね、凄まじい成長だわ。もう護衛の仕事も問題無さそうね」

 

ーー

 

 しばらく道なりに進んでいくと少し開けた広場に出た。

あちらこちらでゴロン族がつるはしを持って採掘をしている。

 

 それなりに長い時間歩いてきたため休息を提案する。

腰を下ろして先日採った食材を調理しリンゴを齧りついた。

こういう場所なら喉を潤せる分、焼かない方が美味しく感じるなぁ。

 

ラメラさんはというとヒンヤリメロンに舌鼓を打っている。

瑞々しく巨大なメロンにゴクリと喉が鳴った、この熱さのなか齧り付くのは最高だろう美味しそうだ。

食べ慣れた故郷の味を思う存分堪能している姿は堂に入っている。

流石に長年この火山に来ているだけあって手慣れたものだ。

 

「リンクちゃんも食べてごらん。大丈夫、薬の効能は消えないわ。あえて料理をしないのもまたデスマウンテンの流儀よ」

 

あえて料理しないで効能を抑え薬を維持したまましっかりと食べる、そういう方法もあるのか。

酷く限定的な環境故の知恵という事なのかも知れない。

 

「この辺りは南採掘場ね。火打石や岩塩がよく採れるの。アタシの場合は宝石を卸すからここから更に上のゴロンシティに行く必要があるって訳。リンクちゃんはどうしてデスマウンテンに?余程準備をしなければ人間が生活できる環境じゃないわ。明確な目的でもないなら足を踏み入れるべき場所じゃないの」

 

「実はー」

 

 申し訳ないけれど少しぼかして話させてもらう。

 

「成程、族長様を襲った奴らを追ってるのね。適当な所で帰る様言うつもりだったけどそういう事なら話は別になるわ。こう見えてもゴロンの長とは顔見知りなの、一緒に行けば邪険にはされないはずよ」

 

「ラメラさん、サークサークです」

 

 再び山道の歩みを進める。

登っていく度に熱を感じる、ラメラさんの言う通り理由が無ければ足を運びたくない温度だ。シーカーストーンも警告を表示している。

次第に口数の減って来たころに金属で作られた門が見えて来た。

ここから先がゴロンの集落だそうだ

 

「こんばんは、ゴロンシティへようこそゴロ!」

 

「ククレンも久しぶりね、元気にしてた?」

 

「おおラメラ!久しぶりゴロね!ん?そっちの子供は誰ゴロ?」

 

「サヴァサーバ……こんばんは、リンクって言います」

 

「リンク!ダルケル様と共に戦った英傑だゴロ。君も勇者ゴッコがしたいんだね!そう言う事なら詳しい話は子孫のユン坊に聞くと良いゴロ」

 

「あー、そういうわけじゃ無いんだけど。組長のところへ行っても良いかしら?」

 

「おっとそうだったゴロ。ラメラはわかってると思うけどこの道を真っ直ぐ行けば組長の家だゴロ。くれぐれも失礼のない様にお願いするね」

 

 道中、ゴロンシティにおいて組長の権力は絶対と言うことをラメラさんが教えてくれた。

卸先の宝飾店star memories は世界中で有名な上に族長様の七宝のナイフと盾の製作までこなす。

今のゴロンシティがあるのは組長の働きがあったからに他ならない、凄いゴロンだなぁ。

 

「おうラメラ!久しぶりだなァ!」

 

 中央の道を進み出迎えてくれたのは眼帯をした白髪混じりの老ゴロンだった。

貫禄すら感じさせる剛毅な姿と芯のある声からして組長とすぐに分かる。

 

「ブルドーさんもお元気そうで何よりです。お変わりありませんか?」

 

「あーそうは言いてえんだけどよォ、持病の腰痛がなァ……そろそろ潮時かってな訳で俺も引退してユン坊らに任せたいんだが……」

 

 チラリと隣に視線を向けるブルドーさん、どうやら彼が英傑ダルケル様の子孫でユン坊と呼ばれているらしい。

 

「そ、そんな事言われても困るゴロ!気候変動も組み込んだゴロンシティの都市計画に採掘用大砲の扱いと管理、採掘会社の経営や炭鉱の前線指揮、販路の交渉を殆ど一手に引き受けてる組長の代わりなんて誰にも務まらないゴロよ!?」

 

「……ってな感じで暫くは引退出来そうにねえんだわ」

 

「後継を育てるのも容易ではありませんね。マァ、それは置いといて我々も商談と行きましょうか」

 

「おゥ、そうだな!ユン坊‼︎そっちの客人はオメエに任せた‼︎」

 

「はいゴロ‼︎組長の命令は絶対ゴロ。ささっキミもこっちに来るゴロよ」

 

ーー

 

「ヨーガンスープはゴロンにしか出しちゃダメだから……水でいいかな?ラメラさんは定期的に来るけどキミみたいな子供も連れてくるなんて珍しいね?」

 

 豪快な音を立てて岩製のカップが机に並ぶ。

腕どころか顔まですっぽり入りそうな取手といい量といい凄い事になってる……

 

「ああ、いえ元々顔見知りなんですが道中で偶然出会いまして」

 

「えーっと、商談に参加しないって事は……君もダルケル様の事が聞きたくて来たんだゴロ?」

 

「ダルケル様の事も興味はありますがそういう訳では無いですね」

 

「そうなの?勘違いしてゴメンね?大抵はボクの所に来るかそっち関係が多いから。じゃ何しに来たか聞いてもいい?」

 

「はい、族長様を襲った魔の気配がこのデスマウンテンから感じられるとデクの樹様からお聞きしましてね。リトの村へ行った時は魔物や悪天候の被害が凄かったんですが、こっちでは何かありますか?」

 

「うーん、今のところは特にない筈だよ?もしも何か有ればボクにも組長から指示があるし……荒事関係ならまず声が掛かるゴロ。ボクにはダルケル様から受け継いだ護りの加護があるからね!」

 

 そう言いながら球状に殻を纏う。

これが英傑様ダルケル様が使った護りの加護。

そのナイフを振るってみてと言われたので寸止めしようとしたら弾き返された。

どうやら殻が受けた力を跳ね返す仕組みになっているらしい。

 

全方位に対応しているというのだから驚いたものだ。

チューリさんの風を生み出す力みたいなものなのかな、羨ましい。

 

 うーん、デクの樹様の言葉は気になるけれど現時点で特に問題自体起きていないなら首を突っ込む訳にもいかないしなぁ。

 

「でも万が一もあったら大変だし組長には話を通しておくね。その間待たせるのもちょっとどうかと思うしオススメスポットに招待するゴロ」

 

「この場所には温泉が沸いているんだ。良質なかけ流しもあるし正面にはダルケル様の像も見える特等席になっているゴロ。ここまで登ってくるのは大変だったでしょ?ここの石碑にダルケル様について書き記してあるからもし興味があるなら読んでみるといいゴロ。報告している間、ゆっくり疲れを癒しておいてね」

 

 そう言ってユン坊さんはもの凄い勢いで転がって行ってしまった。

岩の様に重厚な体型からは想像も出来ない速さだ。

 

 英傑ダルケル様

 

絵に描いたような豪快な人だった様で、大人の背丈を悠に越える巨岩砕きという大剣を使っていたらしい。

破壊力も勿論だがその重さも規格外な代物を団扇代わりに使っていたというのだから凄いもんだ。

 

手のひらを見つめる、小さくて頼りない。

先程まで大人のゴロンを見ていたから余計にそう思える。

 

 巨岩砕きは今の俺じゃ重くて使いこなせないけどそれだけに憧れる。

そういえばティクル姉ちゃんを護った時の力、あれは一体何だったんだろう。

あのライネルすら両断してのけた規格外の破壊力。

いつでも思うがまま引き出せたら良いのに。

 

 そう物思いにふけっている間にユン坊さんが帰って来た。

案外長い時間が過ぎていたらしい。

 

「待たせちゃったね、湯加減はどうゴロ?」

 

「ユン坊さん、とっても気持ちいいです。ありがとうございます」

 

「色々と教えてくれてありがとね!お礼に明日、新作のレジャー施設で遊んで行かないか?って言われたけどどうするゴロ?」

 

「いいんですか!?ありがとうございます」

 

 今日はもう遅いからと宿屋へと案内される。

その最中英傑様やユン坊さんの事を色々と教えて貰った。

実はダルケル様も昔はダル坊と呼ばれていたとか苦手な生き物がいたとか、あまり表立って言わない話も聞けてより親しみやすくなった気がする。

 

「ボクは見ての通りこんなにガリガリだけどいつか追いつける様にいっぱい食べていっぱい働いてダルケル様みたいに立派なオトコになるんだ!」

 

(ガリガリ?そんなに言うほど身体が細いかな?ゴロン族と比べても遜色ないどころか一回りは大きいけど……)

 

「最近はバルダスのお店で特上ロース岩10人前コースも食べられるようになったゴロ!ここだけの話、実はねハイリア人でボクより先に完食した人もいるんだよ。今はちょうどご飯時だから広場の方を見てごらん」

 

ロース岩を10人前⁉︎そんな人がいるのか、岩を齧るハイリア人か……世界は広いや。

ユン坊さんに促されて視線を向けると、中央の広場に岩が山積みになっていた。

アレがロース岩の様だ纏めて火を通しているらしい。

大柄なゴロン族の食事だけあって一つ一つがとても大きく実際に見ると迫力に圧倒される。

赤熱したソレを我先にと大口を開けて豪快に齧りついている。

ハイリア人もあんな形で頬張るのかな、硬さもだけれど熱は大丈夫なんだろうか。

 

「美味しそうだね。冷めないうちに一気に頬張るのがゴロンの流儀ゴロ。今取り掛かってる鉱脈を掘り終わったらボクもバルダスの店に行こうかな。見てよこの砲台‼︎組長がボクの為に用意してくれた特別性でね、持ち運びが出来る様に採掘用のものよりも一回り小さくなってるんだ‼︎さっき護りの加護を見せたでしょ?アレを使えばどんなに硬い岩盤もイッパツゴロ‼︎」

 

 




topics デスマウンテンは起伏が激しくトロッコが跳ねやすいが、弓や大砲を集中するチャンスにもなる。
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