冬美さんの彼氏はヒーローです   作:ハッタリピエロ

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第3話

5月

 

それは梅雨入り前であるとともにゴールデンウイークの長期休暇の月でもある。子供だけではなく大人も交じって休みを満喫するのだがヒーローに休みなどほぼない。新人ともなれば尚更だ。

 

そんな新人の俺だが特別に休暇を社長からもらっている。普通に聞こえればなんと社員思いの社長と思うだろう。俺だって最初は冬美さんとのんびりデートでもしようかな~って思ったよ。ここ最近忙しそうだったし。ただよう……今になって思えばあの社長、エンデヴァーさんがただ休みをくれるわけがないと思った。

 

俺は休暇と同時に特別任務を言い渡されたのだ。

 

それは……

 

『焦凍くんの尾行!?』

 

『そうだ。これはとても重要かつ信頼ある者にしか託せない。よってお前が選ばれたのだ』

 

『あの~……焦凍くん彼女でもできたんっすか?そりゃあ年頃の男の子だし』

 

『バカもん。誰がデートの尾行をしろといった』

 

『じゃあなんだ?まさか……社長、焦凍くんに限って道を踏み外すようなこと『違うに決まっているだろう!』ですよねー……じゃあナンスか?』

 

『この季節になったらわかるだろう。焦凍にとって重要なイベントだ』

 

『それは……?』

 

『それはつまり……!』

 

で現在北海道

 

「で……なんで中学生の修学旅行の尾行をしなくちゃいけないんだよー!」

 

エンデヴァーさんが押し付けた任務は焦凍くんの修学旅行の尾行だった。

 

当然俺も反論したが

 

『バカもん!旅先で焦凍になにかあったらどうするんだ!ヴィランや自然災害……事故……それらから焦凍を守るという重大な任務だ!』

 

『じゃあ俺より社長が適任でしょうが!北海道なんだし!』

 

と言ったのだが社長も忙しいらしく都合がかみ合わないために俺に押し付けたそうだ。

 

「おかしいと気付くべきだったよ……なんでこの歳になって修学旅行の尾行なんてしなくちゃいけないんだ……んまあ焦凍くんが心配なのはわかるけどさ……あの人親バカもすぎるだろう……」

 

今、俺は北海道は千歳にいる。

 

どうやって飛行機などに乗ったのかと聞かれるかもしれないが、焦凍くんを尾行するための資金などはエンデヴァーさんが限度額5000万以上のブラックカードを渡してくれた。

 

あの人もよくこんなもんポンっと渡すよな……信頼されているのは嬉しいが……

 

おっと連絡連絡

 

<こちら八神、目標発見シタリ、ドウゾ>

 

<こちら轟、そのまま尾行続ケシ>

 

さーてとまあ尾行開始しますか!なんでだろ、意外にノリノリだ。

 

レンタカーだと尾行しているのがバレる。というわけなので月歩で焦凍くんの乗っているバスを尾行しています。

 

札幌の街を観光している焦凍くんたちをビルの屋上から見下ろしている俺も北海道の街を少しばかり楽しむ。あとエンデヴァーさんに焦凍くんの写真を送るように言われたので忘れずにしている。

 

焦凍くんたちがラーメンを食べている中で俺はハンバーガーを食っている。

 

なんで北海道まで来てチェーン店のハンバーガーを食わにゃならんのだと思ったよ。でも炎司さんから

 

『睡眠時間以外は絶対に目を離すなよ!』と言われたんだから俺に拒否権などなかった。

 

焦凍くんはそのまま店を出て集合場所に移動していたがなにかを見つけたみたいだ。うん?

 

双眼鏡を覗くと

 

音声は聞こえなかったが同じ修学旅行生と思われしポニーテールの女子が現地の男子生徒数人に絡まれているのが見えた。

 

やれやれ……しょうがないな……

 

とりあえずなにかあった時のために近づきますか!

 

月歩で路地裏の隣のビルまで跳ぶ。

 

ここまで近づけば声が聞こえてくる

 

『ねえねお姉ちゃん?俺たちとカラオケ行こうよ?』

 

『すみません。今は修学旅行中ですので……それにはぐれてしまったので合流しないと……』

 

ポニーテールの女子は箱入りなのかこういう典型的な状況を知らないみたいだった。

 

『大丈夫だって~!俺たちが一緒に観光しようよ~!そんな奴等放っといてさ!』

 

『いや!離してください!』

 

ちっ!仕方ないか!と思った時

 

『おい』

 

『ああ!?』

 

『なにやってんだ……嫌がってるだろ。止めてやれよ』

 

焦凍くんが男たちのまえに出た。

 

おいおいおい……どうしよ……?

 

『なんだあ!?野郎は引っ込んでろよ!』

 

と焦凍くんに絡もうとした時、スマホの着信音が鳴り響いた。

 

焦凍くんがスマホのボタンを押して耳にあてる

 

『あ?はい、さっき電話した通りだ。ここに不良が嫌がっている女子を連れていこうと』

 

『くっ!てめえサツに連絡したのか!?』

 

『ええ?近いからすぐに来るって?』

 

『うぐぐぐぐぐ……覚えてろよ!』

 

不良たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていった。

 

上手いなあ……勿論焦凍くんは警察に連絡していない。さっき電話に出たのは友達だ。

 

『あ、あの……』

 

『うん?』

 

『た、助けていただきありがとうございます……な、なにかお礼をさせてもらえないでしょうか?』

 

『いいよ、別に』

 

『なにを!助けてもらったのになにもしないなんてそんな礼儀知らずなことはできません!』

 

女の子が焦凍くんの手を握ってじっとした眼差しで見ると焦凍くんが赤くなって動揺している。女の子に握られたのが恥ずかしいのか?

 

『と、とにかく……いいから。これから気をつけろよ』

 

『あっ!待って……じゃ、じゃあ名前を聞いてよろしいですか?』

 

『……轟焦凍だ』

 

そしてそのまま路地裏から出ていく焦凍くん

 

『轟……焦凍さん……』

 

あっこりゃ焦凍くん、あの子を落としたな

 

そのことを炎司さんに報告すると

 

<ナンだとおお!?だがさすがは俺の息子だああ!>

 

と電話越しに大喜びしていた声を俺は忘れない

 

 




まだまだ尾行編は続きます。
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