札幌の街を観光し終わった焦凍くんたちはホテルに泊まっていた。勿論俺が同じホテルに泊まれるわけないので近くのホテルに泊まって朝早く起きれるようにすぐに寝た。
そして二日目……
焦凍くんは蕎麦を作る体験を選んだと事前に情報を仕入れ、俺も蕎麦作りではないが予約していたので目立たないように焦凍君より先にバレないようにフード被りサングラスを店の中に入る。
北海道でも蕎麦粉の産地はいろいろあって、蕎麦は美味しいらしい
焦凍くん蕎麦好きだからな……
とガラガラガラっとドアが開いて中に入ってきた人物が俺の目の前に俺と同じフードを被りサングラスをかけていてマスクをしている女の人が俺の前まで来た。
しっかしこの人冬美さんに似て……いる……っ!?
「「あーっ!!?」」
お互いに気づいて声を上げる。
幸いにもまだほかに客はいなかったので迷惑にならなかった。
「ななななんで冬美さんがここに……!?」
「それはこっちのセリフよ!なんでここに翔くんがいるの!?」
「いや俺は……」
「なんで?」
「その……観光?」
「……正直に言いなさい」
「はい……」
そしてエンデヴァーさんからの極秘任務を白状させられると
「……へーソウナンダ。私とのデートを断ったのも……」
実は休暇が入った時にデートを入れていたのだがその直後に炎司さんが極秘任務を言い渡してきたので断らざるをえなかった。
「ホントスミマセン……」
「まあいいわ……お父さんは後で引っぱたくとして……」
「でも冬美さんこそ何でここに来たの?」
「焦凍も北海道行くって言ってたから私も行きたくなっちゃって……本当は翔くんと行こうと思ってたのだけれど……誰かさんのせいで都合が合わなくなっちゃってね……」
ハハハ……エンデヴァーさんすみません……
「まあこうして会えたからいいんだけど……焦凍がこの店に来るってさっきメールが来たから誰かさんのように尾行しているかもと思われるのはいやだし……慌てて変装したのよ」
ハハハ……でも偶然で出会えたわけか……なんか運命ってのを感じるなあ……
「まあせっかくだから北海道デート。しない?」
「もう……きゅ、急にそんなこと……言わないでよ……」
冬美さんが顔を赤くして俯く。やべえすげえ可愛い……
「でも焦凍くんにはバレないようにお願いしますね?」
「わかってるわよ」
と再び扉が開いて今度は焦凍くんたちが入ってきた。
こちらをちょっと見られたがバレることはなかった。
そして注文した蕎麦を食うことにした。
冬美さんと一緒に食った蕎麦はいつも以上に美味しかった。
そして焦凍くんが出てくる前に先に店を出ることにした。
次の目的地に行こうとした時、問題に気づいた。
「冬美さん。月歩できます?」
「無理に決まってるでしょ!」
デスヨネー仕方ない
「ひゃああっ!?翔くん!?」
冬美さんの腰と首に手を回して持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこってやつだ。
「しっかり掴まっててくださいよ!」
そのまま月歩で北海道は尻別川に向かう
予約時間は焦凍くんの少し後にしたのだ。冬美さんも参加できないかと聞いたが了承してくれた。
その後はラフティングのためにスーツに着替えて準備体操をして待っていると
「お待たせ」
振り向くとそこにはスーツ姿で美しいボディラインが強調されている冬美さんがいた。
「ど、どうかな……?変……?」
いやいや全然似合ってます。眼福眼福。
そしてボートに乗って、その場にいた人たちでチームを組んでラフティングを楽しむ。
ラフティングの魅力とは天然のスリルを楽しむと言っても過言ではない。
緩やかな川の流れからの急流になった途端に起こる水の勢いに押されて猛スピードで下るのはジェットコースターを沸騰させるものだ。
そして自然と触れ合えるところも最高だろう。チームワークも高まることからこの世界でも人気があるらしい。
俺たちはボートに乗ると川を下っていく。最初は穏やかだったが穴場が近づくと流れが速くなりボートも揺れ、最初の段差が目の前に見えてきた。
そのままボートは進んで段差に差し掛かった時、一気に急降下した時のような感覚に襲われる。
そしてボートの上まで水しぶきが飛んで段差を抜けた。
冬美さんの方を見てみると顔に水が飛んでいたので隠しておいたハンカチで拭くと
「翔くんっ!?」
「ほら、じっとしてくださいよ」
(翔くんが近い……うぅ~……いきなりこんなの反則だよ……)
そのまま水を拭い終わると
「あっ、冬美さん写真撮ってくれるみたいですよ!」
「えっ、どこどこ?」
「あっち!ほら!」
そう言って冬美さんの肩を引き寄せて密着させる。
(うぅぅ……翔くんが近い……でも嬉しい……)
冬美さんが赤くなってチラチラっとこちらを見てくる。あああ!可愛いなあ!もう!
そして写真を撮ってもらってまた急流に備えることにした。
・・・・
焦凍side
どうも。轟焦凍だ。
気のせいかもしれないが初日から誰かにつけられているような視線があったが今はない。
思い過ごしだと思うことにしてラフティングの説明を聞いていた。
「轟の班は他校の生徒とチームになるからな!迷惑をかけないようにな」
他校の生徒とか……どうやって接しよう?
自分でもわかっているのだが俺はコミュニケーションが得意な方ではない。
翔兄曰く俺は天然が激しいとのことだ。
こんなとき翔兄はどうやって相手に話しかけるのだろう?
電話しようかと思ったが翔兄も休暇中だったので俺は手に取ったスマホをロッカーにしまった。
そして同じ班のメンバーが
「おい轟……俺たちどうやら運がいいようだぞ……」
「……なんでだ?」
「くぅ~!わかってないようだぜ!なんと俺らの相手は堀須磨大付属中学校!お嬢様学校だよ!」
「……だから?」
「だ・か・ら!お付き合いになれる可能性があるってことだよ!」
「そうか……頑張れ」
「この天然イケメンが!自分が顔がいいからって余裕ぶりやがって!」
「……別にモテたくてモテてるんじゃねえよ」
「まあ聞きましたか!?この子はよっぽどシスコンをこじらせてるようですわ!それともマザコン!?」
「……おい」
「轟が怒ったー!」
「凍らされるぞー!」
全く……いつもどおりだなこいつらは……
でも堀須磨大か……昨日会ったあの子は確か……なんでだろ?相手の組み合わせがすごく気になる。
とバスが着くと騒ぎ出したメンバー
そのなかから出てくる女子たちにメンバーは興奮していた。
だが俺はその中でもより一層輝いて見えたあの子が目に付いた。
「「あっ……」」
お互いの声がシンクロしてその場に響くと
「あっ、貴方は昨日の……!」
「……ああ、昨日ぶりだな」
俺たちはどうやら同じチームのようだ。
と俺たちの様子をみた同じ班の連中は
「おいおいおい轟!どういうことだコラァ!説明しろやい!」
「どうやってそのお嬢様とお知り合いになったのか白状しろぉ!」
と俺が対応に困っていたのだがあちらも
「ねえねえ百!あの殿方はどこで知り合ったの!?」
「百にとってのイケメン王子!?」
「百にも春が来たのね!」
あちらもあちらで困っているようだった。
名前は……百っていうのか……
メンバーを振りほどいて近づくと
「……今日はよろしく」
「え?ああ、よろしくお願いしますわ。そういえば自己紹介がまだでしたね。私は八百万百といいます」
そう言って微笑む彼女、苗字は八百万、八百万百さんか……
・・・・
八百万百side
「もしかして八百万さんって……あの八百万カンパニーの!?」
「すげえお嬢様じゃん!」
ああ……やっぱり話さないほうがよかったのでしょうか……
私はあまり実家に対していい感情を持ててなかった。
育ててくれたり教養を身につけさせてくれている恩がないわけじゃないが大半の人は私の家を見て私自身を見てくれない。
この人たちも私を見てくれないのか……轟さん……貴方は……
「八百万さんか……俺も八百万さん以外、自己紹介がまだだったな。俺は轟焦凍、八百万さんとは昨日札幌で知り合った」
連れの方々が轟さんの自己紹介に声をあげました。
そして質問の嵐を浴びせました
「轟くんってエンデヴァーの息子なの!?」
「ナンバーワンヒーローの!?」
「すごーい!」
「将来はヒーロー志望!?」
轟さん……そうでしたわ!轟さんの父親はあのフレイムヒーローエンデヴァーでした!
「まあ確かにそうだが……言っておくが俺は俺だ。あの人のことは尊敬しているが俺はあの人とは違うヒーローになってみせるつもりだ。誰の子だろうと関係ない。最高のヒーローにな」
轟さん……もしかして貴方なら……
そしてドキドキを押さえながら着替えて轟さんの元に向かいました
そのままボートに乗って川を下っていきます。
こ、こういう経験は初めてですので緊張します!そ、それに轟さんの隣なんて!
近づく段差を見て私はドキドキと共に未知への恐怖が私を不安にさせました。
呼吸が荒くなって心臓を押さえていると
「……大丈夫か?」
「あ、あの……轟さん……?」
轟さんが手を握ってくれました。男性に手を握られるなど初めてですが不思議と嫌悪感はありませんでした。そして不安が自然と収まってきます。
「……怖いのか?」
「はっ!い、いえっ!」
「……そうか」
轟さんが握った手を引っ込めようとしたので
「で、ですが……し、しばらく握ってくれませんか……?」
「あ、ああ……」
轟さんといると胸の鼓動が早くなります。そして熱が顔にまで籠ってきます。
この感情はなんなんでしょう?
・・・・
ほうほうほーう……焦凍くん上手くやっているみたいだな~!
冬美さんも興味津々な目で見ていた。
俺たちは双眼鏡で近くの山から見ている。
あのポニーテールの女の子はあからさまに焦凍くんに密着しているし、焦凍くんも顔が赤くなっていた。
これは先の展開が楽しみですなー!
撮った写真をエンデヴァーさんに送ると
<焦凍ぉぉぉぉぉ!漢を見せろぉぉぉぉ!!>
との返信が返ってきた。
とニヤニヤしてこの状況を静観していると
「翔くん……」
「え……冬美さん……?」
冬美さんいきなりキスをしてきた。
ええええええ!!!?
「焦凍たちのを見てたら……我慢できなくなって……それとも嫌?」
「いや……むしろ大歓迎っす……」
「嬉しいっ♡」
そのまま抱き着いてきた冬美さん
こっちもイチャイチャしてるんだから頑張れよー焦凍くん
そしてそのまま焦凍くんを尾行して
ー夜の函館山
俺たちは頂上から眼前に広がる夜景に感動していた。
そして何の因果かあのポニーテールの子と焦凍くんたちは再び遭遇した。
さあ!楽しくなりそうだぞ!
・・・・
焦凍side
昼間は八百万さんと一緒でなぜかわからないが心臓がバクバクした。
この症状はなんなんだろう?今度翔兄に聞いてみよう。
そして函館山の夜景に浮かれる班のメンバーとは対照的に俺はちょっと疲れたのでベンチで座った。
そして横のほうを見てみると
「「あっ……」」
八百万さんがこっちを見た直後、俺の隣に来た。
そして俺の心臓が再び鼓動を鳴らした。
・・・・
八百万side
結局、轟さんに心の内をさらけ出せないまま別れてしまいました……
そして疲れたのもあってベンチに座りました。
ふと横を見た私は無意識にその人の隣に移動していました。
轟さんの隣に移動したはいいですけどお互いの間にはしばらくは沈黙が流れていました。
とその時
「……今日はありがとな」
「え……?」
「楽しかった。おまえのおかげで」
「そ、それは……!いえ、こちらこそ楽しかったですので……」
と再び静かになったので次こそはと思い勇気を振り絞って口を開きました。
「あ、あの……轟さん!」
「……なんだ?」
「わ、私は……一人の八百万百として誰かに……見てもらえるのでしょうか……」
私は持てる力を出して言葉に出しました。でも……
「……別にいいんじゃねえか?」
「え……?」
「家がなんだろうと……そいつはそいつだ。関係ないと思う……」
「轟さん……」
「それに俺の尊敬している人がこうも言ってた『人を噂や肩書きだけで判断するのは上っ面しか見れなくて中身の価値に気づけない』って。だから家がなんであろうが八百万には八百万百としての価値があると俺は思うな……」
「そうですか……いい人ですね……」
「ああ、俺の最も尊敬する人だ」
「でも貴方のお陰で勇気が持てました。ありがとうございます……」
そう言って私の手はベンチに置いてあった彼の手の上に自然に伸びていた。
ああ、そうか……私は……
・・・・
焦凍side
俺の手の上に伸びた彼女の柔らか手の感触に心臓のバクバクが早くなる。
そして顔に血が昇るのが押えられない。
そして八百万が優しく微笑んでいるのを見ると……
ああ、そうか……そうだったんだな。翔兄が言ってた……
『本当に好きな人とはいるだけで不思議な安心感が得られるってもんだ』って
俺は……
とその時建物の方から轟音が鳴り響いた。
俺たちはすぐに向かってそこで見たのはひとりの大男が暴れて多くの人が巻き込まれている光景だった。
まだ死人はでていないようだがこのままじゃ……!
とヒーローを殺そうとしたヴィランが横から飛んできた影に吹き飛ばされた。
その正体は俺の憧れていたヒーローだった。
・・・・
おいおいおい……なんでマスキュラーがここにいるんだよ!
こいつは連続殺人犯のマスキュラー。筋肉増強の個性を持つ非常に凶悪なヴィランだ
「ああ!?なんだあテメェ!ヒーローかあ!?ん?テメェはマイティジョーカーじゃねえか!ハッハッハッ!丁度いい!血ぃ見せろぉ!」
マスキュラーが拳を振りかぶってきたので俺はその拳を
「流水岩砕拳……」
流水岩砕拳で攻撃を逸らさせると顔面に鉄塊をかけた超重のパンチを叩き込むと
「痛ってぇ!テメェ……!」
すかさず次の拳を振りかぶってくるが大振りのため避けやすいので紙絵で攻撃を避けると同時にカウンターのラッシュを顔面に叩き込んで怯んでできた隙を見た俺は
「これで終わりだ!鉄塊拳法!月光十指銃!」
そのまま鉄塊をかけた十指銃をマスキュラーのモロに叩き込むとマスキュラーは倒れた。
そして
「大丈夫ですか?ウォーターホース」
「ああ……君はマイティジョーカーって……あの……!?」
「そんな人がどうしてここにいるんですか……?」
「あのー……それはですね……」
「翔くん!」
「冬美さ、グワホッ!?」
「心配したんだから……!」
そう言ってギュッと強く抱きしめてくる冬美さん
「ご、ごめん……」
「もう……いつも心配をかけて……」
俺も抱きしめ返して幸せを感じていると
「翔兄、冬美姉……これはどういうことかな……?」
はっ!
そしてエンデヴァーさんの尾行作戦を白状させられた俺でした。
あの後マスキュラーは警察まで連行した。
応戦したウォーターホースだったがすぐに俺が来たことが幸いだったのか軽傷で済んだ。
マイティジョーカーが北海道にいた理由は世間にバレなかったがエンデヴァーさんが焦凍くんに怒られたらしい。
ま、任務は失敗でしたか!
・・・・
時間は少し戻ってマスキュラーを倒した直後
焦凍たちは事件もあったことから近くのホテルで怪我人の手当てを受けていた。幸いにも死人はでなかった。
焦凍はホテルの外で自分のドキドキを押さえていると
「轟さん!」
「八百万……」
そして見つめあう二人
「轟さん……わっ、私は!「俺は八百万さんが好きだ」ふええっ!?」
「あの時から……初めて会った時から惹かれて……ようやく自分の気持ちに気づきました……俺でよければ……付き合ってくれませんか?」
「……ッハイ!」
「八百万さん……」
「百とお呼びください♡」
こうして轟焦凍と八百万百は誰も居ない夜の中で唇を重ね合わせて恋人となった。