仮面ライダーオーズ 15 GREEDS   作:ラズベアー

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第一章 ミラーワールド
第1話


「ハァ…、ハァ…。これで、終わる…。」

 

一見すると何の他愛のない世界。ビル等の建物が乱立し、木々も茂る街並み。しかし、本来ならば人で賑わっているはずの街には、人の気配がない。それどころか野鳥や野良犬、野良猫、虫といった生き物の気配すら感じない。さらに、その建物や看板、道路標識に印字されている文字も、どこかおかしい。まるで鏡写しのように、文字が反転しているのだ。

 

そう。ここは、現実世界と鏡写しの世界・ミラーワールド。

このミラーワールドにて、赤い身体に西洋の騎士を彷彿させるような鎧と仮面を着けた人物がいた。彼の頭部には龍騎のシンボルが印されており、さしずめ赤い龍の騎士といった所か。その赤い龍の騎士は、同様に茶色の身体に金の鎧を持つ不死鳥の騎士と対面していた。

 

『無駄だ。貴様は私には勝てない。』

 

まるで脳に直接語りかけるように、龍の騎士の頭に不死鳥の騎士の言葉が響く。

龍の騎士は、この不死鳥の騎士を倒す為に、戦い続けてきた。

 

こいつさえ倒せば、すべてが終わる。

 

龍の騎士はそう強く思いながら、腰に装着された龍のクレストのついたホルダーからカードを引抜き、左腕に備えられた龍を模したガントレットに装填した。

 

SWORD VENT!

 

ガントレットから機械音が鳴ると、間もなく、龍の騎士の手には柳葉刀のような剣が召喚された。

「ハイイイイ!!」

龍の騎士は、それを手にすると不死鳥の騎士に立ち向かった。

 

SWORD VENT!

 

不死鳥の騎士も同様にカードを左手に持つステッキに装填し、鳥の尾羽のような細身の剣、二振りを召喚した。

「ハイ!何!?」

龍の騎士が不死鳥の騎士に向かって剣を振り下ろす。が、そこにいるはずの不死鳥の騎士は姿を眩まし、剣は宙を切った。

次の瞬間、龍の騎士は背後から斬撃を受けた。

「うわっ!くそっ!」

よろめく脚に力をいれ、自身の背後にいる敵に向けて剣を振るった。しかし、それも空を切るものの、不死鳥の騎士には当たらなかった。

そして、再び背後から斬撃が襲い掛かる。

 

『言ったはずだ。貴様に私は倒せない。』

 

不死鳥の騎士の言葉が頭に響く。不死鳥の騎士は瞬間移動をすることができ、剣が届く前にかわしているのだ。それからも、龍の騎士は諦めずに剣を振り続けるが、いずれも不死鳥の騎士には届かず、むしろ不死鳥の騎士から一方的に攻撃を受け続けていた。

 

ADVENT!

 

龍の騎士は、新たにカードを装填した。

 

「グオオオオオオ!!」

 

どこからともなく赤い龍が現れ、不死鳥の騎士に向かっていった。そして、目元まで割けた大きな口を開き、火球を吐き出した。

不規則に飛んでくる火球に、さすがの不死鳥の騎士も瞬間移動をせず、両手の剣で火球を防ぎ始めた。

 

ADVENT!

 

赤い龍が火球を吐きやめた隙に、不死鳥の騎士もカードを装填した。

その後、金色の炎纏った不死鳥が現れ、赤い龍を牽制し始めた。

「もらった!」

龍の騎士は再び剣を振りかざしたが、今度は不死鳥の騎士は片方の剣でそれを受け流し、もう片方の剣で不死鳥の騎士を切り伏せた。

「くはっ!」

ついに、龍の騎士は膝をついてしまった。

 

『ここまでよく戦ってきた。それは褒めてやろう。しかし、ここが貴様の最後となるのだ。』

 

そう言いながら、不死鳥の騎士は止めを刺すべく剣を振り上げた。

だが、龍の騎士はこのタイミングを待っていた。

 

STRIKE VENT!

 

「ハイィ!!」

龍の騎士は、右腕に先ほどの赤い龍の頭部を模したガントレットを装備すると、近づいてきた不死鳥の騎士に叩きつけた。

 

『何!?』

 

突然のことで不死鳥の騎士は避けることができず、赤い騎士の攻撃を受けてしまった。

ガントレットから放たれた火炎が金の騎士の身体を焼き、今度は不死鳥の騎士が膝を着いた。

「今だ!」

 

FINAL VENT!

 

龍の騎士は、龍のクレストが印字されたカードを装填した。

「はああああ…!」

龍の騎士は、最後の攻撃の為に構える。そして、先ほど召喚された赤い龍が騎士の周りを一回りした。

「ハッ!」

龍の騎士は高く跳躍した。

そして、赤い龍が騎士に火炎を吐く。

「ハイイイイイイイイ!!!!」

炎を纏った龍の騎士は不死鳥の騎士に向け、蹴りを放った。そして、それは不死鳥の騎士の身体を突き抜けた。

 

『ば…、ばかな…。こ、の…、私が…。』

 

不死鳥の騎士は火炎に焼かれ、消滅した。

「ハァ…、ハァ…。お、終わった…。」

龍の騎士は勝利を確信した。

 

これで、出られる。

 

現実世界とは異なる世界。自分の命を狙ってくる化け物や自分と同じ騎士がいる異常な世界から、解放される。解放されるには、不死鳥の騎士を倒す必要があった。その騎士は今、自分の手で倒した。これで、こんな世界から出られる。龍の騎士は、そう信じていた。

 

しかし、何も起こらない。

自分の姿は、依然として鎧を纏っている。世界が動く訳でもない。

「おい…。どうなってる…?俺は、オーディンを倒した!!この世界から解放されるはずだ!!そうだろ!?」

龍の騎士が叫んだ。

「ネグ、ネグ!どこだ!!」

「おめでとう!龍騎君!!」

龍の騎士・龍騎が呼ぶとネグと呼ばれる者が姿を表した。全身銀色だが、身体に刻まれた模様から道化師のような姿をしている。

「ネグ、オーディンを倒したら、ここから解放されるんじゃないのか!?」

龍騎がネグに問い詰めた。

「んんん??あー、確かにネグはそんなこと言ったね。」

ネグはわざとらしく言った。

「でもねー…。残念!まだまだ足りないのよ。」

「足りない?何の話だ?」

龍騎が尋ねた。

「こっちの話。でも、足りないから、申し訳ないけど、もっかいかな。」

ネグが人差し指を立てて言った。

「もっかい?どういうことだ!話と違うじゃないか!!」

「そんなこと言われても、足りないものは足りないのよ。だから…。」

ネグは指をパチッと鳴らした。すると、今倒したはずの不死鳥の騎士・オーディンを含めた15人の騎士がどこからともなく現れた。

「そんな…!」

龍騎は次の言葉が出てこなかった。

「じゃ、もっかい、よろしく!」

ネグが再び指を鳴らすと、龍騎は意識が無くなった。戦いの記憶と共に…。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「何でヤミーが!?」

火野映司は、目の前で暴れている化物・ヤミーを見て驚いていた。

ヤミーとは、コアメダルを内包する異形の生命体・グリードによって生み出される化物である。ヤミーは、産みの親のグリードの為にセルメダルを増殖させることを目的に活動しており、その行動は様々である。また、グリードは各生態系の王でもあり、ヤミーの姿もまたそれに準じている。例えば、昆虫系のグリードの場合、産まれるヤミーもまた昆虫の姿をしている。

そして、今目の前で暴れているヤミーも蜂の様な姿をしていた。

しかし、映司が驚いているのは"ヤミーが暴れていること"ではない。産みの親のグリードは、数年前にその全てが映司の手によって倒された。既に存在しないはずなのである。にも関わらずヤミーが暴れている。そう、"存在しないはずのヤミー"に驚いていたのだ。

だが、あり得ない訳でもない。謎の集団・財団Xの手によって、グリードのコピー体が何度か生み出されている。その度に、ヤミーも産まれる訳だ。つまり、今目の前で暴れているヤミーは、そのグリードコピー体から産み出された存在、そして、映司が倒し損ねた個体と思えば不思議ではない。

ただ、妙なのはこのヤミーの体色が全身銀色なのである。異形とはいえ、ヤミーには彩りがあり、どこか生き物らしさはあった。しかし、このヤミーにはそれがない。まるでこの世の生物ではないかのように…。

「って、考えてる場合じゃないか!」

映司は、長方形の物体・オーズドライバーを自身の腰にあてる。するとドライバーからベルト状の物が腰に巻き付き、右側に円形の物体・オースキャナーが現れた。次に、赤、黄、緑色の、金色の縁取りがされた小さなメダル・コアメダルを手に取り、ドライバーに装填した。そして、ドライバーを右上がりに傾けると同時に、右手に持ったオースキャナーでドライバーをスキャンした。

「変身!」

映司はオースキャナーを胸元にあてた。

 

タカ!トラ!バッタ!

 

タ・ト・バ!

タトバ!タ!ト!!バ!!!

 

映司の肉体は、ドライバーに装填したコアメダルの力で変異し、黒いボディ、鷹の力を宿した緑の複眼を持つ赤いタカヘッド、虎の力を宿した黄色いトラアーム、飛蝗の力を宿した緑のバッタレッグにに姿が変わる。そして胸元のサークル・オーラングサークルの中に上から赤い鷹、黄色い虎、緑の飛蝗のクレストが現れた。映司は、仮面ライダーオーズ・タトバコンボに変身した。

「!?」

蜂ヤミーがオーズに気づいた。そして、蜂ヤミーは両手に持った蜂の針のような武器を構え、オーズに襲いかかった。

オーズは、両腕に備えられた三本の爪・トラクローを展開させ、蜂ヤミーの針を弾きながら、爪で切り裂いた。

 

シャリンシャリンシャリン

 

オーズが蜂ヤミーに攻撃を当てる度に、蜂ヤミーの身体から血飛沫の代わりにセルメダルが散らばっていく。そして、オーズは散ったセルメダルを掴むと、自身の専用武器・メダジャリバーを持ち出し、それにセルメダルを三枚装填した。

「いくぞ!」

オーズは再びオースキャナーを持つとセルメダルを装填したメダジャリバーをスキャンした。

 

スキャニングチャージ!

 

「せいやああああ!!!!」

エネルギーが蓄積されたメダジャリバーを横に振り切る。メダジャリバーから発せられた斬撃波が空間ごと蜂ヤミーを切り裂いた。

「ギ!?」

間もなく空間は元に戻ったが、蜂ヤミーは切り裂かれたままとなり爆散した。

「ふぅ…。」

戦いが終わったオーズは一息着くとオーズドライバーを外そうとした。

その時だ。

「…ん?」

オーズは自身の首に違和感を感じていた。首もとを触ると粘着性の強い何かが首に巻き付いていたのだ。触った感触からそれは自身の後方に伸びているようだった。

オーズが振り向くと、蜘蛛の糸の様なものが、建物の硝子から伸びていることに気づいた。

「何だ、これ?」

オーズは糸を手で引っ張りながら辿った。

その瞬間、硝子の向こうから力強く引っ張られた。

「おわっ!?」

硝子に引き寄せられるようにオーズの身体は引っ張られた。そして硝子に衝突する、はずが硝子の中に吸い込まれてしまった。

 

「うわぁ!いてっ!」

オーズは地面に叩きつけられるように倒れこんだ。オーズは起き上がると、辺りを見回した。

「あれ…?」

そこは、先ほど蜂ヤミーと戦った場所だった。直後に硝子から蜘蛛の糸の様なもので引っ張られたと思ったのだが。それでも、オーズには違和感を感じていた。先ほど、ヤミーと戦っていたときは、それから逃げ惑う人々の姿があった。しかし、同じ場所にいるにも関わらず、人の気配が一切感じられない。

それだけではなかった。

「…ん?ええ!?」

オーズは、町の看板等の文字を見て驚愕していた。そこら中の文字が反転していた。オーズは、さらに辺りを見回した。やはり眼に映る文字、その全てが反転していた。まるで鏡に映されているかのように…。




仮面ライダーオーズをメインとした二次創作ものです。

今回はオーズに加え、仮面ライダージオウ スピンオフ作品『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』配信記念として、仮面ライダー龍騎とのクロスオーバーものとして執筆しました。

オーズの作品テーマの一つは"欲望"が挙げられ、龍騎もまた"願いを叶える"ことがテーマの一つとなっています。二つの似たテーマを混ぜるとどんな超反応になるのか、怖いものみたさでやってみました。

前作同様長編となります。
拙い文章になるかと思いますが、暖かい目で見守っていただけたらと思います。
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