北岡は、オーディンの洞窟に着くなり、大きくため息をついた。
「よぉ、北岡…。待ってたぜ。」
「はぁ…。全く…、よりによってお前かよ。一番乗りは。」
北岡は、目の前にいる浅倉に言った。
「あの時果たせなかった決着。今度こそ、ここで着けようぜぇ。」
浅倉がデッキを前にかざす。するとVバックルが現れ、腰に装着された。
「あの時?何言ってんのか知らないけど、いい加減退場してもらうぜ。」
北岡もまた、デッキを構えた。
「…僕が英雄になる。」
暗がりから声がしたかと思うと、東條が姿を現した。
「何だ、まだ生きていたのか…。」
浅倉が東條に言った。
「僕が英雄になる…。僕が、英雄に…。」
しかし、東條は何かに取り憑かれたかのように、同じ言葉を連呼していた。
「はっ…。ついに気でも狂ったか?」
北岡が鼻で笑いながら言うと、東條は鋭い目付きになって言った。
「狂った?僕が?狂っているのは、お前達だろ。ライダーは潰す。僕が全員を。オーディンもね。そして、僕が真の英雄になるんだ!」
東條も、デッキを前にかざした。
「やれやれ…、そう簡単にはオーディンまで辿り着けないか。」
「「「変身!!!」」」
三人は、それぞれバックルにデッキを装填。ゾルダ、王蛇、タイガに変身した。
SWING VENT!
王蛇は、ライアが使っていた鞭・エビルウィップを手にし、ゾルダに向かって駆け出した。
タイガもデストバイザーを手に、駆け出した。
「ふん!」
ゾルダは、マグナバイザーで二人のライダーを牽制した。
「ちっ!」
タイガは避けたが、王蛇は構わず近づいた。
「おらっ!」
王蛇は、力任せに鞭を振るった。
「くっ!」
ゾルダは大きく後退し、王蛇の攻撃を避けた。
BLIZZARD VENT!
「こっちだよ!」
「何っ、ぐあ!」
ゾルダが後退した先に、タイガが先回りしていた。そして、冷気を纏わせた斧でゾルダを切りつけた。
不意打ちに近い攻撃に、ゾルダはかわせず、タイガの斬撃を受けてしまった。
「邪魔するなぁ!」
ADVENT!
「邪魔しないでくれる?」
FREEZE VENT!
王蛇がメタルゲラスを召還するも、タイガのカードの効力により動きを止められてしまった。
「ちぃ!」
STRIKE VENT!
王蛇は、武器をメタルホーンに持ち替え、タイガに迫った。
STRIKE VENT!
タイガもまた、デストクローを装備し、応戦した。
王蛇はもタイガも、互いに一歩も退かずに戦っていた。
「この…!」
LAUNCH VENT!
「二人仲良く、あの世に送ってやるよ。ハッ!」
ゾルダは、交戦しているライダー達に向け、ギガキャノンを発射した。
「っ!おらっ!」
「うわっ!?」
それに気づいた王蛇は、左手でタイガの襟元を掴むと、ギガキャノンの射線上にタイガを脚で押し出した。
「うわああああ!!!!」
結果的に王蛇を庇う形となり、タイガはギガキャノンの砲撃を浴びてしまい、地に伏せてしまった。
FINAL VENT!
ゾルダは、すかさず自身のクレストの描かれたカードを装填。
ゾルダの前にマグナギガが現れると、ゾルダは、マグナギガの背中にあるコネクタに、マグナバイザーを連結させた。
「僕が、英雄に…。」
「…じゃあな。」
ゾルダは、引き金を引いた。
マグナギガの胸部装甲や両膝の砲門が展開されると、全身ありとあらゆる所から射撃が始まった。
そして、その全ての弾がタイガに吸い込まれていった。
ドガァァァァァァァァァン!!!!
恐らく、タイガの断末魔が上がったであろうが、それは着弾時の爆音に掻き消された。そして爆煙が収まる中、そこにタイガの姿は無かった。
「あ~ぁ…。これでもう、あいつらの所には戻れないな…。」
ゾルダは、爆破により生まれた大きなクレーターを見て呟いた。
「感傷に浸ってる場合か。」
王蛇が、ベノサーベルを振り回した。
ゾルダは、マグナバイザーで受け止めた。
「くっ…。後、お前さえ殺れば…!」
その時、ゾルダの身体を物凄い悪寒が走った。
「ぐふっ…、げふっげふっ!」
ゾルダのマスクの隙間から、赤い飛沫が吹き出された。
「そんな身体で!」
王蛇は、ゾルダを蹴り倒した。
「ぐっ…、けふ、けふ…。こんな時に限って…!」
「辛いか?今楽にしてやる…!」
王蛇がベノサーベルをゾルダに突き付けた。
STEAL VENT!
しかし、王蛇の手からベノサーベルが離れ、ゾルダに剣が振るわれることはなかった。
STRIKE VENT!
さらに、王蛇めがけ火球が飛んできた。王蛇は横に飛び込みかわした。
「お、お前ら…!」
「北岡、無事か!?」
龍騎は、ゾルダの元へ駆けつけた。
「北岡さん!」
オーズもまた、ゾルダの元へ近づき、身体を起こした。
「ハッ!」
「ちっ!」
STRIKE VENT!
また、ベルデはベノサーベルを手に、王蛇へ剣を振るったが、王蛇はエビルニードルを装備し、それを防いだ。
「お前ら、何で!?」
ゾルダが龍騎に言った。
「こんなとこで、お前に死なれちゃ後味が悪いからさ!」
龍騎が言った。
「はっ…、やっぱ甘ちゃんだな、お前。」
ゾルダは、フッと笑って言った。
「火野君、北岡を頼む!」
「はい!」
龍騎は、王蛇と交戦中のベルデへの支援へ向かおうとした。
しかし、龍騎の前に立ち塞がるように黒いライダーが現れた。
「っ!?リュウガ!!」
「…。」
SWORD VENT!
リュウガは、何も話さず、黒いドラグセイバーを召還した。
「…どうやら、お前だけは倒さなければならないらしい。覚悟しろ!」
SWORD VENT!
龍騎もドラグセイバーを呼び出し、リュウガへ向かった。
「ハイ!」
龍騎はドラグセイバーを振り下ろす。リュウガは、それを黒いドラグセイバーで弾き返す。
しかし、リュウガが剣を振るっても、同じく龍騎もそれを弾く。
お互い一歩も退かずに戦い続けた。
「このっ!」
「…!?」
リュウガが振り下ろした剣を、龍騎はその腕を掴み阻止した。
「捕らえた!」
そして龍騎がリュウガへ剣を振るう。しかし、リュウガも同じく龍騎の腕を掴み、それを阻止した。
「くっ…!」
お互い掴んだ手を離さずにいたが、リュウガが脚を動かした。
「ハイっ!」
龍騎も同じく脚を上げ、互いが互いの腹を蹴り押した。
「ぐっ!」
「うわっ!」
ベルデは、王蛇の猛攻に圧されていた。
「…火野、お前はあいつを助けてやれ!」
「でも…!」
「俺を気にかけて、他のヤツは見殺しなのか!?」
ゾルダが言った言葉に、一瞬言葉を詰まらせたが、オーズは頷き、ベルデに加勢しに行った。
「何だ。お前、いつからそんな弱くなった?全然足りねぇ!!」
UNITE VENT!
王蛇は、三体のモンスターを融合させ、ジェノサイダーを呼び出した。
STRIKE VENT!
「死ねぇ!」
ジェノスホーンを手に、ベルデに迫った。
「ハッ!」
ガキィン!
王蛇のジェノスホーンとオーズのメダジャリバーが、強い衝突音と共に切り結ぶ。
「オーズか…。お前は、最後の獲物だ。」
王蛇は、左手の拳をオーズに叩きつけようとした。
「そんなに戦いたいのか!?それで満足なのか!?」
オーズは、王蛇の拳を掴んで止めた。
「そうじゃない。イライラがずっと治まらねぇんだよ。」
王蛇は、オーズの顔面に向け頭突きを放った。
「ぐぁっ!」
それにより、オーズは大きく怯み王蛇との間に距離が生まれた。
一瞬視界がぐらついたオーズだったが、すぐに元に戻った。
「だが、戦ってるとそれを忘れられる。むしろ、快楽すら感じられる。だからぁ!!」
王蛇は再びジェノスホーンを構え、オーズに迫った。
「北岡!何か武器を呼べ!」
ベルデはゾルダに言った。
「俺に指図すんな!」
STRIKE VENT!
悪態をつきながらも、ゾルダはギガホーンを召還し、自身に装備した。
COPY VENT!
ゾルダがギガホーンを手にするところを確認したベルデは、新たにカードをバイザーに装填した。
そして、カードの効力により、ベルデの姿はギガホーンを装備したゾルダに変わった。そして、ベルデは、王蛇にギガホーンを突き立てた。
「そんな理由で殺すのか!」
ベルデは、王蛇の戦う動機に憤りを感じながら言った。
「じゃあ、お前は俺のイライラをどうにかできんのか?」
王蛇は、オーズとベルデを相手に戦い続けた。
その時だった。
『戦え。戦い続けろ。』
ライダー達の頭の中に直接響くように、声が聞こえた。
「何だ!?」
オーズは声のする方を探した。
すると洞窟の奥から眩い光が発せられた。
そして、光の中から一つの人影が歩いてきた。
「マジかよ。ここでご登場か…!」
ゾルダは、その姿を見て言った。
「オーディン…!」
龍騎もその正体を口にしていた。
「あれが、オーディン!」
オーズは、目の前に現れた仮面ライダーオーディンを見て言った。
茶色の身体に黄金の鎧を纏う不死鳥の騎士。そして、ライダーバトルにおける全ての元凶とされる存在。そのオーディンが、龍騎達の前に姿を現したのだ。
『残されたライダーは、お前達だけだ。そのまま戦え。最後の一人となった者の願いが叶う。そして、現実世界へと帰還できる。』
オーディンが、ライダー達に語りかけた。
「いや、ここでお前を倒す。そして、全てを終わらせる!!」
龍騎がオーディンに言ったが、オーディンは小さく首を横に振った。
『無駄だ。貴様に私は倒せない。』
「…倒す!うおおおお!!」
龍騎は、ドラグセイバーを手にオーディンに迫った。
「…!」
リュウガは、その後を追うように動き出した。
「させるか!」
元の姿に戻ったベルデが、リュウガの前に出た。
「オーディン、あんただって一人のライダーじゃないのか!?」
オーズも、オーディンの元へ行こうとしたが、王蛇が邪魔に入った。
「ハッ…、ハハハ!ハハハハハハハッ!!これだから戦いは辞められねぇ!!」
王蛇は、狂ったような笑い声を上げ、再びオーズに迫った。
第16話、いかがでしたでしょうか。
ライダーバトルもいよいよ大詰め。香川陣営最後の一人、タイガはゾルダにより撃破されてしまいました。
しかし、そんなゾルダもまた、戦いの中で病魔に教われてしまいます。
龍騎達が駆けつけるも、リュウガ、そしてオーディンも現れます。
このライダーバトルの勝者は一体誰に決まるのか。
次回もお楽しみに!