「どうなってるんだ?ここ…。」
その時、オーズは何か殺意を感じて咄嗟に回避行動を取った。先ほどまでオーズが立っていた場所に、巨大な鎌が突き付けられていた。
「またヤミーか!?」
オーズは鎌の持ち主を見上げた。そこにいたのは、灰色の巨大な蜘蛛だ。
先ほどの蜂ヤミーはまだ人型ではあったが、今度の蜘蛛の化物は完全に蜘蛛の姿をしていた。
再び、蜘蛛の化物が前肢を持ち上げ、その先にある鎌をオーズに向けて振り下ろした。
「ふっ!」
オーズは後ろに跳躍して鎌をかわした。
「これでどうだ!」
オーズは、二枚のコアメダルを取り出し、オーズドライバーに装填した。
タカ!カマキリ!チーター!
スキャンすると、腕が蟷螂の力を宿した緑のカマキリアームに、下半身がチーターの力を宿した黄色いチーターレッグに変わった。
そして、両腕に備わっていた緑の剣・カマキリソードを逆手に持ち、構えた。
「ギギ!」
蜘蛛の化物が前肢を振り下ろす。しかし、チーターの脚力の恩恵を受けているオーズは、その脚力から生まれる走力で蜘蛛の化物の攻撃をかわした。
「ハッ!」
オーズは駆け抜けながら、両腕の剣で蜘蛛の化物を何度も切りつけた。
しかし、先の蜂ヤミーとは異なり耐久力があるのか、決定打にはならなかった。
「なら今度は…、うわっ!?」
オーズがメダルを入れ替えようとしたとき、蜘蛛の化物が蜘蛛の糸をオーズの身体を縛り付けるように吐き出し、その動きを封じたのだ。
「まずい…!」
蜘蛛の化物の引っぱる力は凄まじく、オーズの身体は徐々に蜘蛛の化物に引き寄せられていく。
「カチっカチっ」
蜘蛛の化物が牙を鳴らす。
こいつ、俺を食べる気か!?
そう理解したオーズは、何とかして脱出を試みるも、蜘蛛の糸は千切れる様子を見せなかった。
STRIKE VENT!
突然、どこからか電子音が聞こえた。
その途端、大量の水流が蜘蛛の化物を襲いかかった。
その膨大な水圧に負けた蜘蛛の化物はバランスを大きく崩した。
「うわっ!」
蜘蛛の化物がバランスを崩したことで蜘蛛の糸が切れ、オーズの身体は解放された。
オーズは水流が飛んできた方向に視線を向ける。その先には青い身体に鎧を身につけた人の姿があった。甲冑のような頭部の形はまるで…。
「鮫?」
FINAL VENT!
鮫の騎士は腰部のベルトからカードを引き抜き、左腕の鮫のような手甲に装填した。
すると、右腕に、左腕のものより一回り大きい鮫型の手甲が装着される。それと同時に、上空に巨大な青い鮫型のモンスターが現れた。
鮫の騎士は、蜘蛛の化物に向かって駆け出した。
「ハアッ!!」
鮫の騎士は、右腕の手甲を蜘蛛の化物の懐に叩き込んだ。そして手甲から膨大な量の水が発生し、その圧倒的な水圧で蜘蛛の化物を宙に飛ばした。
そして、飛んでいく蜘蛛の化物の直線上に青い鮫型モンスターが移動し、頭部に備えられた鋸状の刃を展開し、大きく振りかざし蜘蛛の化物を両断した。
「ギギャアアア!!」
倒された蜘蛛の化物から光る球体が現れたかと思うと、青い鮫型モンスター・アビソドンがそれを食べるように吸収した。
「あ、ありがとうございます。」
オーズは、今起きた状況を上手く飲み込めないでいたが、鮫の騎士に礼を言った。
「あの、貴方も仮面ライダーですよ…!」
「ふん!」
「うわっ!?」
オーズが鮫の騎士に近づいた時、鮫の騎士が急に手甲を打ち込んできた。突然のことで、オーズはかわせず直撃してしまった。
「な、何で!?」
「何故?理由は簡単だ。お前もライダーだからだ!」
そう言うと、鮫の騎士・仮面ライダーアビスがオーズに攻撃を仕掛けた。
「ちょ、ちょっと!?」
オーズは、アビスの攻撃をかわす。何故、仮面ライダーが攻撃を?オーズは理解できなかった。それに正体不明のこのライダーと戦う理由がわからなかった。
SWORD VENT!
アビスは左腕に装着された手甲・鮫召機甲・アビスバイザーにカードを装填すると両手に鋸状の剣・アビスセイバーを二振り手にした。
「くっ!」
オーズはメダジャリバーでアビスの剣を受け止めた。
その時、後方から別の気配を感じた。
「え!?」
オーズが振り向くとその視線の先に、橙色の蟹のような姿をした騎士がいた。
「またライダー?」
「鎌田さん、貴方だけズルいですよ?そんな獲物を独り占めして。」
「須藤か。お前には関係ない!」
アビスが蟹の騎士・仮面ライダーシザースに言った。
「私も混ぜて貰いますよ!」
STRIKE VENT!
シザースも左腕の手甲・甲召鋏シザースバイザーにカードを装填。右腕に巨大な蟹の鋏・シザースピンチが装着され、身動きの取れないオーズに迫った。
「え、嘘!?」
タカ!ゴリラ!チーター!
オーズはメダルを装填し、ゴリラの力を宿した白いゴリラアームに変化させた。ゴリラの腕力を生かし、アビスの剣を弾き返した。
「何!?」
そして、オーズは迫りくるシザースに向け、構えた。
ADVENT!
今度は、鋼の犀型モンスターが突進してきた。
「うわあっ!」
猪突猛進。文字通り犀型モンスターの突進を受け、オーズは大きく吹き跳んだ。
「おいおい…。そいつ、何だよ?」
続いて鋼色の犀の騎士・仮面ライダーガイが現れた。
「芝浦…!ええい、俺の獲物を!」
アビスが悪態ついた。
「そんな寂しい事言わないで下さい。我々は"一応"チームなんですから。」
シザースが言った。
「ま、ライバルには早々に退場して貰わないとね!」
STRIKE VENT!
ガイは左肩の装甲・突召機鎧にカードを装填、先ほど現れた鋼の犀型モンスター・メタルゲラスの頭部を模した手甲・メタルホーンを装備した。
タトバコンボにチェンジしたオーズはメダジャリバーを用いてガイの攻撃を何とかやり過ごす。が、シザース、アビスも加わり、オーズは追い詰められていった。
「どうして!仮面ライダー同士が戦わなきゃいけないんだ!」
オーズは叫ぶように訴えた。
「あん?おたく、もしかしてライダーバトルの初心者?」
ガイが怪訝そうに言った。
「ライダー、バトル?」
オーズは問い返した。
「…ふぅん。だったら、何も知らないうちに消してやるよ!」
FINAL VENT!
再びメタルゲラスが現れると、ガイはメタルゲラスの肩に飛び乗った。そして、メタルホーンを前に突きだし、メタルゲラスの走力をエネルギーに変え突っ込んで来た。
ADVENT!
再び電子音が聞こえた。
「うわっ!」
次の瞬間、白鳥型のモンスターと紅色のエイ型モンスターが飛翔し、突進してきたガイを逆に突き飛ばした。
「貴様ら!」
アビスがモンスター達が飛来した方を見て言った。
そして、オーズの前に、白い白鳥の騎士と紅のエイの騎士が立った。
「ファム、ライア…!こんな時に!」
SWORD VENT!
SWING VENT!
白鳥の騎士・仮面ライダーファムとエイの騎士・仮面ライダーライアは、それぞれカードを装填するとファムは薙刀状の剣・ウイングスラッシャーを、ライアは鞭状の武器・エビルウィップを手にし、オーズをそっちのけでアビス、シザース、ガイに攻撃を仕掛けた。
「ちっ、邪魔すんなよ!」
ガイが言った。
「これ以上の戦いは無意味だ!」
ライアが訴えた。
「意味はありますよ?勝ち残った者にだけですがね!」
シザースが言った。
「死んだ者の思いも知らずに!」
ファムが言った。
「甘いな!そんな認識で生き残れると思っているのか!」
アビスが言った。
「ちょっと、何がどーなってんの!?もう何だこれ…。」
完全にオーズは置いてきぼりだった。
トン…。
ふとオーズの肩に何者かの手が置かれた。
「訳がわからねぇか?」
「え?」
オーズが振り向くと、蛇柄の革ジャンを着た男がいた。金髪で目つきが異様に鋭く、赤く充血していた。
「簡単な話だ。やつらはな。己の願いを叶える為に命を掛けて戦っている。」
蛇柄の革ジャン男が言った。
「願いを叶える?でも、その為に戦い合うなんて…。」
「おかしいか?だが、そんな単純な理由だから戦える。俺も願いを叶える為に戦っているからなぁ。」
蛇柄の革ジャン男が言った。
「貴方の、願いって…?」
「…戦いだ!」
そう言うなり、蛇柄の革ジャン男はオーズをいきなり蹴飛ばした。
「うっ!」
「ははは!俺を楽しませろ…!」
そして蛇柄の革ジャン男・浅倉威はコブラのクレストのある紫色の四角い物を前にかざした。すると、どこからともなく銀色のバックルが現れ浅倉の腰に装着された。
「変身!」
浅倉はバックルに紫色のカードデッキを装着した。幾重にも鎧の幻影が浅倉の身体に重なり、やがて紫のコブラの騎士・仮面ライダー王蛇に変身した。
「あ゙ぁ~…。」
SWORD VENT!
王蛇は変身するなり、コブラを模したステッキ・牙召杖ベノバイザーにカードを装填。コブラの尻尾を模した剣・ベノサーベルを手にし、オーズに向けて振り回した。
「うわぁ!!」
王蛇の乱れ切りに対応しきれず、オーズを刃が襲った。
「っ!?浅倉!!」
シザースが反応した。
「今度は、お前が遊んでくれるのか!」
続いて王蛇は、シザース達の戦いに乱入していった。
「浅倉!!」
ファムも反応し、攻撃をしようとしていたが、ライアに止められた。
「止せ、今はやつと戦う時じゃない。一旦退くぞ。」
ライアがファムに言った。
「…くっ!」
ファムは恨めしそうに王蛇を見たが、ライアの意向に則った。
「…来い!」
ライアがオーズの手を取った。
「え!?」
「話は後!」
ファムもそう言い、ライア、ファム、オーズはその場を後にした。
「凶悪な犯罪者が!」
アビスが二振りのアビスセイバーを振りかざす。が、片手にベノサーベル、片手にベノバイザーを持っていた王蛇は、それぞれの武器でアビスの剣を力任せに弾いていく。
「そんなもんか!もっと俺を楽しませろ!」
「この戦闘狂が!」
シザースがシザースピンチを手に王蛇に迫る。
SHOOT VENT!
ズドオオオオン!
王蛇に目掛けて、砲弾が飛んできた。
王蛇は辛うじて避けたが、先ほどまで王蛇がいた場所はコンクリートが砕け、大きな穴を作った。
「やれやれ…。戻ってくるのが遅いかと思えば、何めんどくさいのに捕まってんの。」
砲撃の斜線上には、緑色のメカニカルな騎士が長大なバズーカ砲を構えて言った。
「北岡か…。会えて嬉しいぜ。」
王蛇が言った。
「俺は全然嬉しかないよ!」
ズドオオオオン!
メカニカルな騎士・仮面ライダーゾルダは再び砲撃した。
「はははははは!!」
王蛇は恐れる素振りを見せず、笑いながら砲撃から逃げていた。
「何突っ立ってんの!撤退だよ撤退!」
ゾルダがそう言うと、アビス達もその場から離れていった。
「まだだ…。まだ全然満たされねぇ!!どこ行きやがった!!俺と戦え!!」
王蛇は悲鳴とも取れるように叫んで言ったが、虚しくも何も返事はなかった。
第2話、いかがでしたでしょうか。
ミラーワールドに取り込まれたオーズに襲い掛かる巨大な蜘蛛の化物。龍騎本編第1話に登場した蜘蛛型モンスター・ディスパイダーです。
龍騎本編第1話をオマージュして、オーズの相手として戦わせました。
そして、その戦いに乱入してきた、オーズが初めて遭遇するライダー。
仮面ライダーアビスです。まさかのアビスです。笑
ディケイド本編で初登場したミラーワールド由来の仮面ライダーです。『RIDER TIME』において、ファムを差し置いて13RIDERの一人として登場したことで、龍騎公式の公認(?)を得ました。
故に、今作に置いても例外なく登場させました。
だからといって、ファムを省くなんてことは、私はしません。笑
オーズに突然襲い掛かる、アビス、シザース、ガイ。
オーズを助けた(?)、ライア、ファム。
いつも通り乱入してきた、王蛇。
アビス達を助けたゾルダ。
この戦いは、一体どうなっていくのか。
第3話、お楽しみに。