「本当の自分を見失うな!」
声の方を見ると、そこには真司の姿があった。
「城戸、さん?」
「お前の過去に何があったかは、俺は知らない。けどあいつは、過去の自分に囚われたままなんじゃないか!?今のお前は違う。オーズの力を使って得たもので、どれだけの命を救ってきた!?」
真司が映司に檄を飛ばした。
「あいつは、破壊することしか知らない。でも、今のお前は絆を繋いでいけるんだろ!?そんな簡単に諦めるな!!」
「…。」
そうだ。オーズの力で救ってきた命もあれば、繋いできた絆だってあった。比奈や慎吾や知世子、後藤に伊達、鴻上会長。そして…。
「…アンク。」
映司は、無意識の内に呟いていた。
「いちいちうるさいな…。邪魔するなよ!」
プトティラオーズが真司へ迫ろうとした。しかし、映司はその行く手を遮った。
「お前の言う通りかもしれない。」
映司は、プトティラオーズに言った。
「ん?」
「あの時、俺は自分に対して怒りを感じたし、この戦いでも感じた。それが、本当の俺かもしれない。でも、今の自分が偽りのものだなんてことはない!」
映司は言った。
「オーズの力が破壊する力だとしても、その力で繋いできた絆だってあるし、これからも繋いでいく!それは簡単には壊させやしない!!」
映司は、赤いコアメダルを手に取った。
「俺はオーズ(欲望)の器だ。破壊を求めるお前も受け入れる!」
そして、映司はオーズドライバーに赤いコアメダルを装填した。
「馬鹿な…!」
プトティラオーズが攻撃を仕掛ける。
「変身!!」
タカ!クジャク!!コンドル!!!
「ぐわっ!?」
映司なら現れたオーラングサークルの幻影に、プトティラオーズは弾き飛ばされた。
ター!ジャー!!ドルー!!!
映司は、オーズ・タジャドルコンボに変身した。
「あれは…?」
真司に追い付いた蓮が言った。
「あいつは、ここを閉じる為の鍵だ。」
真司は答えた。
「はっ!」
オーズは、プトティラオーズへ迫った。
「ちぃ!」
プトティラオーズが斧を振るうが、オーズはそれを受け流し、大振りによって生まれた隙を狙って攻撃を加えた。
「負けない!」
オーズは、背中の羽を広げ空へ飛んだ。プトティラオーズも、それに倣う。
「こんの!」
プトティラオーズが、メダガブリューをバズーカモードにし、エネルギー弾を放った。
オーズは、エネルギー弾をかわしながら、左腕のタジャスピナーから同じくエネルギー弾を撃ち込む。プトティラオーズもまた、エネルギー弾をかわしていく。
飛翔しながら、お互いが近づけば、プトティラオーズは斧を、オーズは拳を振りかざす。両者とも一歩も退かずに戦い続けた。
「破壊してやる!」
スキャニングチャージ!
プトティラオーズが、コアメダルをスキャン。両肩から触手状の爪を伸ばした。
「させるか!」
オーズはプトティラオーズの爪を掴み、振り下ろした。
「うがっ!!」
振り下ろされたことで、プトティラオーズは地上へ叩き落とされてしまった。
スキャニングチャージ!
オーズもコアメダルをスキャン。両足を猛禽類の脚のように展開させ、その鋭い爪を地上のプトティラオーズへ向けた。
「おおおおお!!!!」
「うおあああ!!!!」
オーズはプトティラオーズへ向かって急降下をするも、プトティラオーズは、腰から伸びた冷気を帯びた尻尾を降り、迫るオーズを叩き落とした。
「うわっ!?」
「ぐっ…!」
オーズとプトティラオーズは、よろよろと立ち上がった。
「そうやって、結局破壊するだけじゃないか…!」
「はぁ…、はぁ…、違う!」
オーズは、プトティラオーズの言葉を否定した。
「お前は過去に囚われたまま、氷の中に閉ざされているんだ。」
オーズは、プトティラオーズの様相を見て言った。
「その氷を溶かして、受け入れる!」
オーズは、ドライバーからコアメダルを取り出し、タジャスピナーへ装填した。さらに、セルメダルも装填し、オースキャナーでスキャンした。
タカ!クジャク!コンドル!
ギン!ギン!ギン!ギガスキャン!!
オーズの背中に羽が展開されたかと思うと、さらに全身を眩い輝きを放つ炎に包まれた。
「ふざけたことを!!」
ゴックン!
プ!ト!ティラーノ!!
ヒッサーツ!!!
プトティラオーズも、メダガブリューにセルメダルを装填し、バズーカモードを構えた。
「はああああ!!!!」
炎を纏ったオーズは、プトティラオーズへ突進した。その炎はやがて火の鳥のようになった。
プトティラオーズは、迫るオーズへエネルギー光線を放った。
それは火の鳥に直撃した。
「うおおおおおおお!!!!」
押し返されそうになるオーズは、雄叫びを挙げて進んだ。そして、ついに光線を弾き、火の鳥はプトティラオーズを貫いた。
「ぐああああああ!!!!」
炎に焼かれたプトティラオーズは、膝を着くと同時に黒スーツの映司の姿に戻った。
「…。」
オーズは、黒スーツの映司へ振り向いた。
「おっしゃ!」
その様子を見ていた真司も声を挙げていた。
「…さすが、俺だね。」
黒スーツの映司は立ち上がって言った。
「俺も、気づかなかったよ。俺の中にある陰なんて。」
オーズは黒スーツの映司に言った。
「けど、その陰にお前は勝ったんだ。もう俺は消えるしかない。」
「そんなことはないさ。」
真司が黒スーツの映司に言った。
「お前は消えやしない。映司の中で生き続ける。」
「そうか…。」
黒スーツの映司は、オーズを見て言った。
「俺は…、うぐっ!?」
黒スーツの映司が何か言いかけた時だった。
「え!?」
オーズは、黒スーツの映司の背後に何かがいることを捉えた。
「これで、手に入った…!」
黒スーツの映司の背後にいたのは、龍騎だった。
「榊原!!」
真司が言った。
龍騎は、黒スーツの映司の背中に突き刺した腕を引き抜いた。
「とうとう手にいれた。現実世界のコアメダル!!」
龍騎の手に、三枚の紫のコアメダルが握られていた。
「くぁ…。」
黒スーツの映司は地面に伏せてしまい、やがて消えてしまった。
「そんな!?」
オーズが声を漏らした。
「それで何をするつもりだ!!」
真司が龍騎に言った。
「それは、ネグが教えてあげるよぉ!!」
甲高い声と共に、グリード・ネグが現れた。
「ネグ!!」
オーズが言った。
「ここまで、よく生き残れたねぇ?ご褒美って訳じゃないけど、せっかくだからネグのことを話してあげるよ。」
ネグが言葉を続けた。
「ネグはねぇ。鏡の中で生まれたの。」
「何?」
オーズが言った。
「いつかは忘れちゃったけど、一枚のセルメダルが、このミラーワールドに紛れ込んだ。そしてそのメダルが辿り着いた先は、ミラーワールドを形成するコアミラー。そのコアミラーから放たれるライダー達の残留思念に共鳴したセルメダルは、コアミラーを取り込み、鏡のコアメダルとなった。それがネグって訳!」
「なら、お前がこの世界の中心なのか!?」
蓮が言った。
「そうそう!この世界はネグそのものなのよ!」
「お前の慾望はなんだ!なんでライダーの残留思念を利用してまでセルメダルを集めたんだ!」
オーズが言った。
「…この姿をみて、何とも思わねぇの?」
ネグの声色が低くなった。
「こんな、全身色の抜け落ちたような姿。これって生きているって言える?」
ネグが自分を指して言った。
「ネグは、この世界でしか生きられない。こんな閉鎖された世界にいてもつまらないんだよ。でも、現実世界は違う。とてもキラキラしていて、そこに住まう生物はみんな生き生きとしている。なんでネグはそこへは行けないの?」
「…まさか、外に出たいのか?」
真司がネグに言った。
「鏡のコアメダルじゃ、現実世界で身体を維持できない。だから、欲しかったんだ。君のコアメダルが。」
ネグがオーズを指して言った。
「もしかして、俺がこの世界に引き摺り込まれたのは、お前の仕業だったのか!?」
「そうだよ!」
オーズの問いに、ネグは答えた。
「現実世界のコアメダルを取り込めば、ネグは現実世界に行ける。それに、ここは鏡写しの世界。君をこの中に引き込めば、君が失った恐竜系のコアメダルも手に入ると思ったの。上手くいったよ!」
オーズはそれを聞いて、心底腹が立っていた。
「お前…、もう一人の俺まで利用したのか!」
「なんてやつだ…お前!!」
真司の言葉からも憤りを感じた。
「後はコアメダルだけ持っててもしょうがないから、強い身体を作る為にライダーの残留思念を使ってセルメダルを増やしたって訳。頭いいでしょお?」
ネグはそう言うと、龍騎から紫のコアメダルを受け取った。
「あらよっと!」
そして、ネグは紫のコアメダルを取り込んだ。
「うう…。わかる、わかるよ。ネグのコアメダルが現実世界のコアメダルと共鳴してるよ…、あがががが!!」
すると、ネグの身体の中を何かが這っているように、身体をが膨れあがって言った。
それは三倍、四倍に膨れあがり徐々に人としての姿からかけ離れていった。
「何だあれは!」
さらに、ミラーワールド各所から無数のセルメダルが飛来し、ネグの身体に取り込まれていった。
「うぅ…あぁ…!!」
「榊原!?」
真司達の目の前で、龍騎もまたメダルの塊になったかと思うと、同じくネグに取り込まれていった。
「丸で全てのミラーモンスターをひとつにしたようだぞ!」
蓮が言った通り、巨大化していくネグの身体の各所は、それまで見たミラーモンスターの特徴が現れていた。やがて、ネグの変異は止まった。八足に長大な三股の尻尾を持ち、辛うじて人型を保っている胴体から4対の翼のようなものが生えていた。鋭い爪を備えたものと、鋏を備えたものの2対の腕をもっていた。
そして、鮫のような頭から3本の角と六つの目を備えた、開いた口から長い舌が垂れ下がっていた。異形。それが当てはまるその姿だが、全身は人型のネグの時と同じように、銀色だった。
「ドーダイ!?コレガ ネグノ 力ダヨ!」
甲高い声と低い声が混ざった、気持ちの悪い声色で、ネグは言った。
第24話、いかがでしたでしょうか。
前回、映司に声を掛けたのは真司でした。"彼"の声とダブってしまったのは何故でしょうか。
プトティラオーズを打ち破る為に、タジャドルコンボで決戦に望みました。奇しくもオーズ本編最終回、タジャドルVS恐竜グリード(Dr.真木)戦を彷彿させるよう。狙いましたが。
そして、オーズは無事にプトティラオーズに勝利。裏の自分を受け入れることができました。
が、そこへ龍騎が奇襲。黒スーツの映司から恐竜系コアメダルを奪取し、ネグの手中に収まってしまいます。
鏡の中のグリード・ネグ。その正体は、偶然にもミラーワールドに紛れ込んだセルメダルが、ミラーワールドの心臓部コアミラーを取り込んで誕生した"鏡のコアメダル"を媒介に誕生したグリード。
そして、ネグの行動原理は、生き物として生きる為に現実世界へ出ること。現実世界へ出る為には現実世界のコアメダルが必要となり、その為、ミラーワールドのライダー達の残留思念、映司、そして黒スーツの映司を利用してきた。ということです。
そして、恐竜系コアメダルを取り込み怪物となったネグ。
映司、真司、そして蓮。三人はネグの野望を打ち砕くことが出来るのか。
次回、最終章開始。
お楽しみに!