仮面ライダーオーズ 15 GREEDS   作:ラズベアー

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終章 儚き欲望の果てに
第25話


「こんなのが、現実世界に出たら…!」

真司は呆然としていたが、蓮は素早くデッキを構えた。

「ぼさっとするな、城戸!!」

「あ、ああ!!」

「サセナイヨォ!!」

変身しようとする真司と蓮に、ネグは巨大な尻尾を振るった。

「あぶなっ!?」

真司と蓮は、回避を余儀なくされてしまった。

「アトハ…。」

ネグは、オーズに向け長い舌を飛ばした。

「しまった!!」

ネグの舌は素早く巻きつき、オーズの身体を持ち上げ締め付けた。

「ぐっ…、何を…!」

オーズは脱出を試みようとするも、固く締め付けられていてそれが叶わない。

「オマエノ コアメダルモ モラウヨ!ソレデ 完成スルンダ!」

ネグの口の中に小さなブラックホールのような穴が開いた。すると、凄まじい吸引力がオーズを襲った。

「うわっ!!」

すると、オーズの持つメダルが次々とネグに吸収されていってしまった。オーズドライバーに装填されている鳥類系も含め。そして。

「あ、アンク!!」

割れたアンクのメダルも同じく取り込まれてしまった。

ついに、全てのコアメダルが吸い取られ、映司も元の姿に戻ってしまった。そして、ネグは締め付けていた舌を緩め、映司を解放した。

「火野!!」

真司が駆け寄り、落ちる映司を受け止めた。

「まだ変わるのか!?」

蓮が言った。

映司のコアメダルを取り込んだネグの身体は、姿形こそ変わらなかったが、それまで銀色だった身体に彩りが生まれた。

「グヒャヒャヒャ!!コレデ ネグハ 外ニ出ラレル!!…ウッ。」

ネグは苦しみ出したが、直ぐに持ち直した。

「ウゥ…。イモタレカナ…。急激ナ変化ニ、身体ガ追イ付イテナイヤ。チョット休憩!」

ネグは八足で大きく跳躍した。その巨体からは想像もつかない程、高く跳躍して、どこかへ跳んでいってしまった。

「待て…!」

映司は駆け出そうとした。

「ちょっと待て!」

蓮がそれを止めた。

「え、秋山さん!?」

映司は、蓮の姿を見て驚いた。

「…お前の思う秋山とは別人だ。それは忘れろ。お前が今更何なのかは聞かない。だが、ライダーとして変身出来ないなら、ついて来るな。」

蓮は、映司に言った。

「でも…、あいつはコアメダルを取り込んだ。取り返さないと、取り返しのつかないことになります!」

映司が言った。

「何が起きようとしてるんだ?」

真司が映司に尋ねた。

「前にも、現実世界でグリードが多くのコアメダルを取り込んで暴走したことがあります。今のネグはメダルの器。あれが現実世界に出たら、世界がネグに飲み込まれて消滅してしまいます!」

「マジかよ…!」

映司の答えを聞いて、真司は驚きを隠せないでいた。

「だったら、尚更やつを何とかして倒すぞ!」

蓮は、ネグが跳んで行った方向へ駆け出そうとした。

「俺も行きます!」

映司も続こうとした。

「危険だ!ライダーになれないのなら、足手まといだ!」

「蓮!連れていこう。こいつなら大丈夫だ。」

真司が言った。

「正気か城戸!今やただの人間なら、死ににいくようなものだ!」

そう訴える蓮に、真司は微笑んだ。

「…何笑ってる。気持ち悪い。」

「お前、いつから他人を心配出来るようになったんだ?」

真司がにやつきながら言った。

「…もう、失いたくないんだ。誰かさんのせいでな。」

蓮は静かに言った。

「蓮…。」

「…火野って言ったな。あれだけの相手をするから、悪いが庇ってやれる余裕はない。それでも来るのか?」

「はい!ネグの誕生には、俺の戦いが関係していたのがわかったんです。だから、戦います。願いを利用された、ライダー達の想いの為にも!」

映司は毅然とした態度で言った。

「…行くぞ。」

蓮はそう言うと、再び駆け出した。映司と真司もそれに続いた。

 

 

映司達が辿り着いた先は、映司が鏡の世界に初めて取り込まれた場所だった。

「…ウゥっ!」

そこで、ネグはえずくように声を漏らしていた。すると、ネグの背からメダルの塊が生まれると鏡の外へ出ていっていた。

「ネグ!何してんだ!」

真司が言った。

「鏡ノ外ニ、ヤミーヲ 送ッテルンダヨ。」

ネグが言った。

「何だと!?」

蓮が言った。

「外デ アバレテ モラッテ、ソノ間ニ ネグガ 外ニ 出ルッテ訳。」

ネグが言った。

「これ以上させない!!俺達は、現実世界を守る為に戦った!また、あの日みたいなことを起こしてたまるか!」

真司は、デッキをかざしながらいった。

「もうこんな馬鹿げた戦いを繰り返してはいけない。ここで止める!」

蓮も同じくデッキをかざした。

「「変身!!」」

真司と蓮は、それぞれリュウガとナイトに変わった。

 

SWORD VENT!

SWORD VENT!

 

二人のライダーは、それぞれ武器を手にし、ネグに迫った。それに呼応するかのように!ドラグブラッカーとダークウイングも飛来し、ライダーの援護に回った。

「邪魔スルナ!!」

ネグは、腕の爪や鋏を降り、二人のライダーをはね除ける。

「くっ!」

「まだ!!」

 

STRIKE VENT!

 

「はあああ!!」

リュウガは、ネグに向け黒いドラグクローを突き出す。クローから黒炎が放たれ、ネグに直撃した。

「アチッ!クソガ!!」

しかし、ネグはものともしていなかった。

「はっ!!」

ナイトの背にダークウイングがしがみつくと、そのまま空に飛んだ。そして、ネグに向かって飛ぶと、すれ違い様にウイングランサーを振るった。

「グッ!」

切り口から、セルメダルが吹き出した。また、セルメダルとは別に何かが落ちた。

「あれは!」

映司は、落ちた物の所へ向かった。それは、メダガブリューだった。

ネグは、4対の翼を広げると、大きく羽ばたいた。

「うわっ!?」

羽ばたきから、強烈なソニックブームが発せられ、空中を飛ぶナイトに直撃、地面に叩き落とした。

「蓮!!」

 

FINAL VENT!

 

「はああああ!!!!」

リュウガは、黒炎を纏いながら、ネグに飛び蹴りを放った。

「邪魔!!」

ネグの胸の甲殻が開いたかと思うと、胸から無数のミサイルが発射された。

「うわあ!!」

予期せぬ攻撃に、リュウガは成す術無く直撃してしまい、地面に落ちてしまった。

「城戸さん、秋山さん!!」

映司は、メダガブリューにセルメダルを装填した。

 

ゴックン!

 

プ!ト!ティラーノ!!

ヒッサーツ!!!

 

「うわっ!!」

メダガブリューから光線が放たれるも、生身の身体で使った為か、反動で映司は大きく飛ばされてしまった。

「ギャッ!?」

しかし、光線はネグの一本の足に直撃し、吹き飛ばした。

「ヤッテクレタナ!人間ゴトキガ!!」

ネグは、映司に向け、鋏を振るった。

メダガブリューを使った反動で地面に打ち付けられていた映司は、体勢を立て直せずにいた。

「しまった!」

「火野ぉ!!」

ナイトとリュウガが叫ぶ。

映司には、成す術がなかった。

しかし。

 

「ピィィィィィィ!!!!」

 

耳をつんざくような鳴き声と共に、何かがネグに突撃した。

「グエッ!?」

突撃されたネグは、体勢を大きく崩し、振り下ろした鋏は映司に届かなかった。

「何だ!?」

やがて、映司の目の前に、金色に輝く一人のライダーが降り立った。

「オー…、ディン?」

それは、ナイトとリュウガに倒されたはずの仮面ライダー、オーディンだった。

「何でオーディンが!?」

リュウガが言った。

『…全ては、優衣の為だ。』

オーディンが答えた。

「優衣、ちゃん!?」

リュウガは、オーディンの発した言葉に耳を疑った。

「オ前、何ダァ?」

ネグがオーディンに言った。

 

SWORD VENT!

 

オーディンは答えなかったが、その代わりに二振りのゴルトセイバーを手にし、ネグに迫った。

「どういうことだ?」

リュウガが言った。

「上手くいったか。」

ナイトが言った。

「え?」

「タイムベント。あれは、神崎から託されたカードだった。それをオーディンに装填させることで、神崎とオーディンは繋がる。そういう算段だったということだ。」

ナイトが言った。

「じゃあ…、あのオーディンは!」

「俺たちが今まで戦ってきた、"神崎士郎の切り札"だ。」

オーディン、ナイト、リュウガ。三人のライダーが攻撃を加えていく。しかし、押されてはいるものの、ネグは追い詰められている様には見られなかった。

「チッ…。ドイツモ コイツモ、邪魔ナンダヨ!!」

「攻撃が効かないのか!?」

ナイトは少し焦りを見せていた。

「リュウガの力なら、お前のコアだって壊せるはずだ!」

 

FINAL VENT!

 

リュウガは、再び自身のクレストが描かれたカードをバイザーに装填した。

 

FINAL VENT!

FINAL VENT!

 

ナイトとオーディンも、リュウガに倣った。

「はあああああ!!!!」

「うおおおおお!!!!」

『ふん!!』

 

 

ズドオオオオオオオン!!!!

 

 

三人のライダーの一撃が、ネグに直撃した。

しかし。

「グッヒャヒャヒャヒャア!!!!」

爆煙の中、ネグは傷だらけになりながも、その姿を現した。その傷は、ミラーワールド各地から現れたセルメダルを吸収することで回復していった。

「そんな!?」

リュウガは無傷となったネグを見て声を漏らした。

「三人のライダーの攻撃を受けて、まだ倒れないのか!?」

映司も驚きを隠せないでいた。

「馬鹿ダナァ。リュウガノ力、確カニ、メダルヲ砕ク力ハ アルケド、アクマデモ セルメダルヲ媒介ニ誕生シタ ライダーノ メダルニ限ラレルノサ!コアメダルヲ 砕クニハ 恐竜系コアメダルノミ!ソレヲ取リ込ンダ ネグニ、勝テル訳ガ無イデショオ!?」

「このままじゃ…!」

ライダー達の攻撃も効かず、コアメダルを持たない映司達に、もはや成す術がなかった。

「サァテ、ネグハ コノ世界ソノモノダカラネ。ネグガ外ニ出レバ、君タチハ コノ世界ト共ニ消エルヨ。何モ出来ナイママ、ココデ消エチャエ。」

ネグはそう言うと、その巨体をビルのガラスへ向けた。そのまま、現実世界へ出ようというのだ。

「…まだだ!」

リュウガが、ネグの前に立ちはだかった。

「マダモ何モ、君ニハ ネグヲ倒セナインダヨ?」

ネグが嘲笑いながら言った。

「仮にそうだとしても、お前をここで食い止めることは出来る!」

しかし、リュウガは退かなかった。

「何ィ?」

「言ったはずだ。現実世界を守る。倒せなくても、お前をここで食い止める!例え死ぬとしても、戦い続ける!!」

リュウガは、そのつり上がった複眼をネグに向けて言った。

「…ふっ。相変わらずの馬鹿だな。」

そして、ナイトもリュウガの横に立ち、ネグを見据えた。

「はぁ?その馬鹿と今まで一緒に戦ってきたのは、どこのお馬鹿さんですか!?」

リュウガはナイトに向かって反論した。

「悔しいが自覚してるさ。もう誰も、恵里や優衣のような思いはさせない!」

ナイトが構えながら言った。

リュウガとナイト。この二人が、今までどの様な戦いを経験してきたのか、映司は知らない。ただ、彼らの敵に向かう姿勢は、ある決意を表しているように見えた。それを見た映司は、メダガブリューを手に、彼らの側に立った。

「まだこの手が届く可能性があるのなら、最後まで伸ばしてみせる。ここで諦めたら、俺は、死んでも一生後悔する。だから、お前に世界を壊させない!」

映司も構えて言った。

「皆バカダネェ。ワカッタ、コノママ消シテヤル!」

ネグが攻撃の構えを取った時だった。

「ウグッ…、ガッ…。」

ネグが再び苦しみ出した。

「ウェッ!」

すると、ネグの口から何かが吐き出された。

「あれは!?」

映司はそれを見て呟いた。

赤く光る二つの小さなもの。吐き出されたそれは、そのままオーディンの胸に飛び込み、吸収された。

『うっ!?』

「ウェ…。スッキリシタ。死ネェ!」

ネグの口から火炎弾が映司達に向かって吐き出された。

しかし、間にオーディンが飛翔し、手にした剣で凪ぎ払った。

「オーディン!?」

「…いや、オーディンじゃない?」

リュウガの言葉をナイトが否定した。

オーディンの背から、再び翼のようなオーラが吹き出た。しかしそれは、先に映司に見せた金色のものではなく、紅蓮に、しかし七色に染まったものだった。

『おい映司!お前はその程度で終わるようなやつだったか?』

オーディンが映司に向かって言った。しかし、その声はオーディンのものとは異なっていた。

そして、良く見るとオーディンの右腕が変化していた。赤い腕。映司が今まで何度も見てきた腕だった。




第25話、いかがでしたでしょうか。

変身できない映司に代わり、リュウガとナイトが奮戦します。そして、絶体絶命のピンチにオーディンが降臨しました。このオーディンも、リュウガとナイトと同じくオリジナルのオーディン。

しかし、オーディンを加えてもなお、無敵を誇るネグ。それでも諦めない映司達。その意思に呼応するかのように、割れたアンクのコアメダルがネグから現れ、なんとオーディンの身体を乗っ取る形で"彼"が復活します。

いよいよ最終決戦!
次回もお楽しみに!
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