仮面ライダーオーズ 15 GREEDS   作:ラズベアー

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第5話

「門矢…士?ジャーナリストか。悪いが取材は事務所を通して…。」

「事務所からの許可は頂いていますから、ご心配なく。」

士はそう言いながら、懐から許諾書のような紙を一枚、蓮に見せた。

「いつの間に…。」

後藤はぼそっと呟いた。

「事務所からそんな話聞いてないが…。店の迷惑にならないか?」

「お構い無くぅ!」

厨房から店員の声が響いた。

「…はぁ。わかった、何が聞きたい?」

蓮は取材にしぶしぶ承諾した。

「では、さっそく。…ほら。」

士は、突然後藤に促した。

「は?何で俺が?」

「いいから。」

士はピンクのカメラを構え、写真を撮り始めた。

「…じゃあ、まず俳優になったキッカケを…。」

「おい。何を真面目に取材しようとしてるんだ?」

後藤が言い出した途端、士が口を挟んだ。

「くっ…、だったらお前がやれよ!」

後藤が言った。

「全く…、出来の悪いアシスタントだな。」

士がはぁ、と溜め息をついた。

「こんの…。」

「後藤さん、堪えて!」

比奈が後藤を宥めるように言った。

「…コントを見せる積もりなら他を当たってくれ。じゃあな。」

3人の様子を見ていた蓮は、大きな溜め息をつきながら言った。そして、席を立ち店を出ようとしていた。

 

ガチャっ

 

再び店の扉が開いた。

「見つけましたよ、秋山さん。」

「!?お前は…!」

店に入ってきたのは、あの時オルタナティブと呼ばれる疑似ライダーに変身した青年だった。

「よく思い出してください!貴方は間違いなく、香川英行をご存知のはずです!」

青年が蓮に詰め寄りながら言った。

「知らないものは、知らない!そう言っただろう!」

「いいや、あんたは知ってるはずだ。」

蓮が青年に答えた瞬間、士が口を挟んだ。

「…何だと?」

蓮が言った。

「あなたは…?」

青年もまた士達の存在に気づいた。

「その青年がいう香川英行。いや、オルタナティブ・ゼロをあんたは知っている。それは、あんたもライダーとして戦っていたからだ。」

「俺が…、ライダー?…うっ!?」

蓮は、突然頭痛が走ったことで頭を抱えた。

その瞬間、黒い鎧を纏った二体の騎士が戦っている光景が浮かび上がった。

「…あり得ない。そんな筈はない!!」

蓮はそう言うと足早に店を出ていってしまった。

「あ…、いいんですか?」

比奈は、蓮が出ていった扉を見つめながら士に言った。

「良くはないが…、あの様子なら、失われた記憶を刺激したようだし、まぁ問題はない。」

士はそう言うと再びテーブルに着いた。

「あの…、あなた方は一体…?」

青年が士達に尋ねた。

「あ、私は…。」

「お前こそ何者だ?ライダーは全て消滅したはずだが、何故オルタナティブに変身できる?」

比奈が名乗ろうとしたが、士が遮り青年に聞いた。

「何故、オルタナティブ・セカンドをご存知なんですか?」

青年は目を丸くして言った。

「まぁ…こちらも色々と訳ありでな。」

士が言った。

「…失礼しました。確かにこちらから名乗るべきでしたね。僕は、香川裕太といいます。」

青年・香川裕太はそう名乗った。

「香川…?香川英行の…。」

「はい。息子です。」

士の問いに裕太は答えた。

「父を知っているのですか?」

「大体な。」

「それに、あなたは秋山さんについても何かご存知の様子…。あなたも、もしかしてライダーなのですか?」

裕太が士に尋ねた。

「通りすがりのな。ただ、俺とこいつは、この世界のライダーじゃない。」

士は後藤を指しながら言った。

「どういうことです?」

裕太の問いに対し、士は、後藤達に説明したことと同じことを裕太に話した。

「にわかには信じがたいお話ではありますが…。では、あなた方は、仲間のライダーである火野映司さんを探しにこの世界へ来た。ということですか?」

裕太は士の話したことを確認した。

「そういうことだ。」

「今度はこちらの番だ。君は何故秋山蓮にコンタクトを取ろうとしているんだ?」

後藤が裕太に尋ねた。

「…父を探しているんです。」

「父を?」

後藤が言った。

「父は、僕がまだ小さい頃に姿を消しました。警察にも遭難届けを出したのですが、結局見つからず…。母も、父が行方不明になったことで憔悴しきってしまい…、数年前に亡くなりました…。」

裕太がうつむきながら言った。

「それから、父は死んだことになり、遺品整理をしている中で、これを見つけたんです。」

裕太はスラックスのポケットから古びた手帳を取り出した。

「それは?」

後藤が尋ねた。

「父が残した日記です。ここに、ライダーバトルのことが事細かく書かれていました。それで、父がこのライダーとして戦っていた事を知りました。」

「…だったら、察しがついているんじゃないのか。」

士が言った。

「それは…。分かっているつもりです。正直、この日記を見つけるまでは生きていてほしいと願っていました。でも…。ただ。」

「ただ?」

比奈が言った。

「ライダーバトルは、ライダー達が己の願いを掛けて戦うと、これには記されています。馬鹿げたことだとも書かれていましたが。それでも、父は疑似ライダーとなって戦う事を選んだ。父が何を掛けて戦ったのか。それを知りたいんです。」

裕太が言った。

「知ってどうする?」

士が言った。

「分かりません…。でも、もし父がライダーとして戦い、志半ばで倒れたのなら、その意思を僕は継がなくちゃいけないと思うんです。だから、僕もライダーとなる道を選んだんです。」

裕太は、デッキを見せて言った。

「父の日記には、オルタナティブの開発データも遺されていました。それを基に、次世代型オルタナティブシリーズ、セカンドを開発しました。残念ながら、ミラーワールドへの突入機能までは再現できませんでしたが。」

「しかし、この世界のライダーは皆死んだのだろう?今更ライダーとなる理由は何だ?」

後藤が裕太に尋ねた。

「セカンドは、対ライダー戦を想定していません。強いて言うならば、これが僕の正義なんです。」

裕太が言った。

「正義、ねぇ。」

士がぼそっと言った。

「でも、その力でさっきはヤミーを倒せましたよ!凄いですね。」

比奈が感心して言った。

「あ…、いえ、そんな大したことでは…。ええっと…。」

裕太は何故かたじろぐ様子を見せた。

「えへん…。そうそう、秋山さんですが、父の日記に記されていたライダーの中で、彼だけは生きていたんです。だから、父の最期を知っているのではないかと思って…。」

裕太は咳払いをしながら言った。

「だが、肝心の秋山はライダーだった頃の記憶を無くしている。骨が折れるな。」

士が言った。

「…手を組みませんか?」

裕太が言った。

「何?」

士が言った。

「目的は違えど、秋山さんを目標としていることは同じなのですから。一緒に秋山の記憶を取り戻すのは、どうでしょう。」

「そんなことをして、何のメリットが…。」

「いいじゃないですか!そうしましょうよ!」

後藤が言う前に比奈が提案に乗った。

「映司くんを見つける為にも、ね!」

「あ、えと…。い、いかがでしょうか?」

裕太が、比奈から視線を反らして言った。

「…まぁ、早いとこ何とかしないと、お前らオーズの世界の消滅も早まってしまうからな。仕方がないか。」

士が言った。

「…分かりました。」

後藤もやれやれと言わんばかりに言った。

「じゃあ、日を改めて、秋山さんを探しに行きましょう!」

「そうだな、今日の所は休んで、秋山蓮を探すのは明日だな。」

裕太の提案に後藤と比奈は承諾した。

「それでは、また。」

裕太は、そう言って店を出ていった。

「私たちも、宿を探しましょうか。」

「そうだな。」

比奈と後藤も店を出ようとした。

「…。」

「どうかしたか?」

後藤は、鏡を見つめている士に言った。

「…先に行け。後から追い付く。」

士が後藤に言った。

わかった。と一言言い残し、後藤は店を出た。

 

「…こそこそ隠れていないで、さっさと出てきたらどうだ?まぁもっとも、"そこ"からは出られないようだがな。」

士が鏡に向かって言った。

すると、鏡の縁から、ベージュのロングコートを着た細身の男が姿を現した。士の後ろに立っているのだが、士が振り返ってもそこには誰も立っていなかった。

「神崎士郎、だな?」

『…お前が世界の破壊者・ディケイドか。』

細身の男・神崎士郎が言った。

「光栄だな。ミラーワールドの創造主様にも周知して頂けていたとはな。」

士は大袈裟に言った。

「…だが、本来ならあんたはとっくの昔に消滅しているはずだ。それが、何故…?」

『この世界の俺は、な。』

士の問いに、神崎が答えた。

「どういうことだ?」

『ミラーワールドが、いくつもの世界と繋がった。ミラーワールドを再び開いた、異物を排除する為に。俺は、その繋がった世界から来た。』

神崎が言った。

「なるほどな。あんたは、妹を助けたいが為に何度もゲームをやり直したらしいからな。その数だけ、平行世界がいくつも生まれたという訳か。それで、平行世界にいたあんたが、ここに現れた理由は何だ?」

士は、神崎に尋ねた。

『門矢士。秋山蓮の、ライダーとしての記憶を取り戻せ。偽りのライダーバトルを終わらせ、ミラーワールドを閉ざす為にも。それが、お前達の望みを叶えることにも繋がる。』

「ミラーワールドを閉ざす?」

士は、神崎の言葉に違和感を感じた。

「ミラーワールドはあんたが作り出した世界だろ?妹に新たな命を授ける為に。秋山蓮をライダーとして送り出し、世界を閉ざす。それに何の意味がある?寧ろ、ライダーバトルを継続させる方が、あんたにとって都合がいいんじゃないのか?」

「…優衣は、それを望んでいない。」

士の問いに、神崎は一言答えた。

「…そうか。」

士もまた、それ以上追及しなかった。

『余り時間はない。急げ。秋山蓮の記憶を取り戻せ。』

神崎は士にそう言うと、鏡の額縁の外へ消えていった。

「誰かに指図されるのは好きじゃないが、仕方がないか。」

士もまた、店の外へ出ていった。

 

 

俺が、ライダーだった?

蓮は士とかいう男の話が信じられなかった。しかし、ライダーだったという話を聞いた瞬間、ライダーと思われるビジョンが見えた。前に夢に見た光景にそっくりな。

やはり、自分はライダーなのか。だとするならば、何故、自分にライダーとしての記憶がないのか。

「俺は、一体何なんだ。」

自宅へ戻った蓮は、洗面台の鏡を見つめて言った。すると、一瞬だが、蓮の顔を仮面が覆い被さった。

「!?」

蓮はすぐさま水を流し、顔を洗った。何度も何度も。

「はぁ…、はぁ…。」

蓮は再び鏡を見た。そこには、水が滴りながらも困惑している蓮の顔をが映っていた。




第5話、いかがでしたでしょうか。

ようやくオルタナティブ・セカンドに変身する青年の正体が明かされました。

香川裕太。龍騎本編でもちょろっと出てきた、香川英行の息子です。
前回明かされたナイトの世界において、唯一ライダーの肉親として残されていたのが彼だったので、一種の舞台装置として登場させました。
そして、裕太が蓮を探す理由。それは、父・英行の最期と彼の遺志を知る為でした。
目的は違えど、蓮を探す裕太と士達一行は協力することを約束しました。

そして後半、士の前に、龍騎の世界での全ての元凶である男・神崎士郎が現れました。彼の望まない形で開かれてしまったミラーワールドを閉ざす為に、神崎もまた蓮を追っていました。

そんな蓮も、徐々にライダーとしての記憶を取り戻しつつあります。蓮は、再びライダーとして、ナイトとして立ち上がることができるのでしょうか。

次回もお楽しみに!
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