彼女の事が誰よりも好きだった。
ドンキホーテ・ドフラミンゴとドンキホーテ・ロシナンテの実の妹である彼女、ドンキホーテ・メイリアは誰よりも綺麗だった。
ドフラミンゴの様に悪に染まっている訳でもなく、ロシナンテの様に正義を掲げている訳でもない。
ただ、貴族の娘としては素晴らしいと誰もが褒められるぐらいだった。
それなのに彼女を見た瞬間に身体に電撃が走る感覚をしたのが今でも忘れられない。
今まで感じたことがないこの感情は恋だと直ぐに分かった。
欲しいと思ったが、彼女を手に入れるためにはドフラミンゴとロシナンテを退けなければならない。
それに加えてほとんどの幹部どもも彼女の事を愛し、大切に守っていた。
それぐらい溺愛されていた。
それでも諦めきれなくて何回も彼女に話し掛けては色んな会話をした。
その度に彼女は楽しそうに笑ってくれた。
彼女が作ってくれたお菓子だけは甘くても食べれた。
むしろ、他の奴に渡したくなくて沢山食べた。
ちらりとトーンダイヤルを見る。
そこには愛しい彼女の声だけが残っている。
《ねぇ、ーーー。私ね、本当は結婚したくなかったの。ううん、正確には結婚する日が来るとは思っても見なかったわ。
だって私の居るべき場所はこのドレスローザでお兄様達の隣だったのだから。
お兄様達は私に伝えた後、泣きそうになりながらも何度も謝ってきました。
確かに、なんで私がとか嫌だとか何回だって思いもしました....それでも私はお兄様達の為だったらこの身を差し出すことぐらいどうってことないのです。
貴方との毎日は刺激的でお兄様達とは違った景色を見れてとても幸せでした。
だけど最後にこれだけは言わせてください。
私の一番はお兄様でしたけれど、きっとこのまま過ごしていたのならば、私は貴方に恋をしていたのでしょう。だって貴方はお兄様を除いて今まで会ってきた人の中で誰よりも素敵な人だったもの。
それでも私は結婚します。だから貴方は私のことを忘れて違う誰かと幸せになってください。》
ビック・マムが憎い。きっとこの結婚の話が無かったら彼女が言った通り、俺と彼女が結婚していた筈だったのだから。
それを引き裂いたビック・マムが憎くて堪らない。
「......大丈夫だ、メイリア」
薄暗い部屋に眩しい光が射し込む。
唯一カーテンが開いている窓から街を見下ろせば、楽しげに笑いあっている人達が目に映る。
俺はその光景を見ながら近い将来彼女と同じように笑いあっているのだと恍惚に笑った。
「直ぐに迎えに行くから、な」
誰にも譲りはしない。
俺の、俺だけのメイリアをーーー。