自然ロイヤルのメンバーでバーベキューに行く話 作:texiki1
土曜日の朝5時、彼はバスの外で皆を待っていた。
皆というとデッキのメンバーであり、戦友である『自然ロイヤル』の仲間たちのことだ。バスの運転を任されたこの男、ベイリオンはこれからエルフの森で行われるバーベキュー会で、事故が起こらないか心配で仕方がなかった。
空を見上げればうっすらと空が明るく、まだ日が昇り切っていない状態だった。
ベイリオンは自販機で買ってきたホットのブラックコーヒーを開け、はぁ、とため息を吐きながら飲もうとした。ーーが、次の瞬間
「ーーおせぇ!」
どこからともなく物凄い聞き覚えのあるセリフと一緒に奴が現れた。
何気に最初からずっといるロイヤルの重要キャラ。髪型は少しむかつくサラッとしたヘアー。キリッとポーズを決めて現れたのは、クイックブレーダーだった。
もちろんポーズを決めたのはいいが、まだ朝の5時なのでベイリオン以外誰もいない。そしておせぇ!なのは先に来ていたベイリオンではなくクイブレ自身なのだ。
「クイックブレーダー、集合時間は7時だぞ?」
「楽しみで仕方ないんだよ!」
そういうクイブレの腰には対リノセウス用の殺虫剤がびっしり用意されてあった。そこら辺に関しては本当にぬかりないな、と思ったベイリオンであった。
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朝6時、ベイリオンははしゃいでいるクイブレの相手を1時間ずっとし続けて、精神的な疲労が蓄積されていた。まるではしゃぐ子供をまとめる先生みたいな感じだ。
ベイリオンの精神力が削られる中、次に来たのは自然ロイヤルに欠かせないあの2人だった。
「ガルルゥ、断然ニワトリは焼き鳥にするのが一番だろ!?」
「分かっていないな。手羽先が一番さ!ガルルゥ!」
言い争いをしながらやってきた2人、獣戦士とハルバードウルフのコンビだ。また面倒な奴らがきたことで、ベイリオンの目が遠くなった。クイブレ一体でさえ面倒なのに、こいつらに来られるとバスが壊されてしまうのではないかと不安なのだ。
とりあえず揃うまでは大人しくしてて欲しいところだがーー
「ガルルゥ!?なんだこの機械は!もしやファーストワンしてきて襲ってくるんじゃねぇか!?」
バスを見たハルバードウルフが機械歩兵と新型機と勘違いして、持ってくるなと注意したはずの斧をどこからか取り出し、バスに殴りかかったのだ。
もちろんベイリオンの目がガチになった。壊されたらバーベキューどころかレンタルバスの代金を請求されてしまう。なんとか止めようとしたが、時すでに遅し。ハルバードウルフの斧はバス目掛けてまっすぐーー
「やめなさい、ベイリオンが悲しみます」
そう聞こえると振り下ろされた斧はバスに当たる直前で何者かに弾かれた。
ハルバードウルフはいかにも「何事ッ!?」的な感じで斧を弾いた何者かに視線を転じた。
そこにいたのは白翼の戦神、一番まともであるアイテールだった。ホッとしたベイリオンは少し気が抜けたようにこう言った。
「やっとまともな者が来てくれた。助かった、アイテール」
「当然のことです。いくら機械歩兵といえど、争いは許しません」
アイテールはキリッとした表情でベイリオンにそう言った。ベイリオンはホッと息を吐くと、本日3本目のブラックコーヒーを一口飲んだ。
しかしベイリオンは考えた。さっきアイテールは『バス』ではなく『機械歩兵』と言った。もしもアイテールがバスの存在を知らなかった場合、どうなるか想定できる結果は一つ。
ベイリオンは咄嗟にアイテールの方に視線を向けた。
「邪悪なる機械歩兵は私が浄化します。覚悟なさい」
アイテールは罪のないただのバスに全力攻撃を仕掛けようとしていた。クイブレも獣戦士2人組もそれを止める気配はなかった。
「まてぇぇぇえええ!!」
自然ロイヤルによるバーベキュー会はまだ始まったばかりだった。