機動戦士ガンダム·プレデターズ   作:ルシェラ

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機動戦士ガンダムプレデターズ 第十話 弔い合戦へ

「ただいま戻りました!」

中東支部に偵察訓練に向かっていたソラ達が帰ってきた。中東支部の偵察班はソラから飛行訓練と情報収集の仕方を学んできたようだ。中東の偵察班は支部長のリベイクに報告に行き、帰ってきたソラは休む暇もなくロロローヴァに呼ばれ、パートナーのアモンはアップグレードを施す準備に入った。

ソラはいつも巻いている鉢巻を取り、暑そうに休憩する。中東地域は平均気温が年間25度とかなり高いので、今の様な夏のシーズンは平気で汗に飲み込まれる。

ドックのそばの小さな椅子に腰を掛けて休んでいると、整備班の一人が氷水を持ってきてくれた。

まるで仕事終わりの会社員の飲みの様にガバッと飲むと、く〜〜〜っと美味い声を出して眉間に走る鈍痛を感じる。

そこへロロローヴァが小走りでアモンのアップグレードについて説明をしに来る。

「お疲れ様っ。休んでいるところ悪いけど簡単に説明するから我慢してくれ。」

はいよ、とボトルを椅子の下に置く。

「今回はモビルアーマー戦に向けてかなりの改造をする予定だ。今のアモンは偵察に特化させている感じかな?多分あのフォルムと武装から察するにだけど。でもそれだと戦闘、特に今回の様なエリアが狭い場所では上手く戦えないと思うんだ。それで、今回はこういう風にしてみようと思うんだ。」

ロロローヴァが持っていたタブレットにアモンの姿が映される。

映っているのは今現在のアモンの姿。そしてその隣には今回の改造後の姿と思われる機体の姿が表示される。

「改造後はこんな感じだな。脚部を鳥形からガトリングに付け替えて、バックパックにミサイルポッドを搭載。これによって空爆攻撃が可能となる。武装の追加に伴う重量の増加は免れないけど、まあアモンの元来の機動性ならそんなに変わらないかな。あと申し訳ないが、着陸時は直接地面に降りるんじゃなくて専用のキャリアーで行うように。」

見比べてみると脚の先が完全にガトリングの砲塔になっている。これでは直接着地する事は出来ないな、とソラは納得する。因みに換装という扱いの為以前の姿にも戻れるらしい。

説明を聞き終えたソラはありがとうとお礼を言い、再び休憩に入った。少し眠い。

ソラは机に突っ伏して暫し仮眠をとることにした。

 

朝っぱらからガキンチョ共に連れ回された睦月透火はやっとの思いで戯れを終わらせると乱れた呼吸でロロローヴァの召集へと急いで向かった。

「おっ…遅れました……!」

「ああ、大丈夫大丈夫。大体の説明はトリニティの方にしてあるけど、一応睦月さんにも言っておくね。」

ロロローヴァはその場でタブレットの画面にトリニティの姿とデータを写す。

「今回は特に見た目に変化はないんだけど、ご自慢のバスターライフルの強化とトランザムの時間延長が主な内容かな。今までバスターライフルって一回撃つと次の発射までラグがあったでしょ?ほんの僅かだと思うけど。それで、今回はそのラグをほぼゼロにしようって感じかな。威力の向上は出来ないけど扱いやすさと言う点では良くなる筈だ。」

たしかにバスターライフルは照射時に生み出される膨大な熱量を逃す為その都度排熱時間を作らならければならなかった。前回の廃墟での戦闘の様に短期戦であったり、敵が少数の場合はそんなに問題はないが、恐らく今回は長期戦が予想される。となると取り回しが悪いのはかなり不利となる。

なるほど…と肯く睦月を見てロロローヴァは続ける。

「そんで、もう一つのトランザム時間の延長なんだけど…今回は作業の時間があまりないからもしかしたらその影響で不具合が出るかも知れない。それを踏まえた上で使って欲しい。その代わり二十秒延長させておくよ。」

一見二十秒って少ないと思う人もいるかも知れないがトランザムにおける二十秒延長は言ってみればかなり長いものなのだ。因みに現時点では120秒、つまり二分が限界という事になる。

その後説明が終わった睦月はトリニティの整備の手伝いに向かった。

「睦月…お疲れ様。朝から大変だったね。」

睦月の様子をホムラから聞いていたトリニティはかなり心配している様子だった。

「ん…まあね…やっぱ小さい子ってパワーあるよ。…そう言えば朝食は…?朝から動いたせいでお腹が減っちゃった。」

「コクピットの生成機の中にあるよ。中東支部は昼と夜は豪勢な分、朝食は生成機で作れるような簡単なのを各自勝手に食べるのが普通なんだって。」

コクピットに行くとハッチが空いており、既に何人かの整備士が作業の真っ最中だった。その人達の奥の生成機にある飯を取るように頼む。

「今日の飯は…ハムサンドと牛乳か。」

人それぞれだが、睦月は好きでも嫌いでもない食事が一番好きだった。偏食を回避する為だ。

もぐもぐっと軽い手つきで口に運ぶ。何回も咀嚼する事で脳が沢山食べたと騙され空腹が満たされるらしいのでこれでもかと噛む。そして混沌とした口内を牛乳で洗い流す。

一通り食事を済ませた睦月は整備士の手伝いを始めた。自分だけのんびりと休んでいるのは彼らに申し訳ない。

 

整備開始から五時間後、支部長のリベイクから局内放送が入った。

「中東支部の戦闘部隊と東南支部の方達はこの後すぐ作戦会議室へ来てくれ。」

五分後支部長に到着したルフス達。周りを見ると既に何機もの中東支部の人機体が集まっていた。

その後全員集まりリベイクは作戦会議を始めた。

「そんじゃあ、渓谷付近にいるリベリオンの野郎どものぶっ潰し方と、モビルアーマーへの対策を練ろうと思う。黒板の地図を見てくれ。」

中東支部は作戦会議用の大型スクリーンなどないので昔から御用達の地図を使っている。

リベイクは地図のポイントを示しやすいようにサブアームの右腕に長めの棒を持ち、余った手に敵味方などを表す磁石を持った。手慣れた手つきで自軍と敵軍を表す磁石を投げていき、棒で指し示す。

「まず…中東支部がここ。青い磁石だ。ここから二十キロ離れたリベリオンがいるのがここ。赤い磁石の所だ。奥の長く続く渓谷の先には標高二千メートル級の山々が聳え立っているが、今回はここまで行く事はないだろう。次に渓谷の地図を見てくれ。」

近くの人機体が渓谷の地図を貼り出す。

「渓谷内部の道幅は広いがかなりジグザグが続いている。加えて基本通路への合流地点が少ないので別の場所に向かうにはその都度渓谷の上へと上がって行き来しなきゃならねえ。だがこれは敵さんも同じ条件だ。閉所での戦闘なら数で上回るオレ達に分があるはずだ。そこで、攻撃の手順を説明する。敵さんは渓谷の中にいるはずだから、まずソラとアモンが上空から渓谷を崩すように攻撃する。これで粉塵が巻き起こるから敵さんの視界を奪える。そこへ渓谷の上部からウチの戦闘部隊が一斉総射をする。実弾でもいいがビーム兵器の方が粉塵を巻き上げる効率がいい。装填の時間も減らせるしな。視界を奪いつつ敵さんを足止めしてじわじわと倒す。が、敵さんはその間に反撃をしてくるだろうからな。もしも渓谷から離れようとする人機体がいたら上にいる戦闘部隊は全力で阻止してくれ。ここで逃げた奴を追わせて戦力を割く事はしたくない。もしそうなれば他の奴の離脱も許してしまう可能性があるからな。最悪敵さんに離れられたら4機ずつに分かれて各機撃破を頼む。そして…。」

リベイクは流暢な口を止めて一息つき、再び話し始める。

「問題はモビルアーマーをどうするかだ。一応作戦は練ってみたからとりあえず説明する…。モビルアーマーの具体的な戦力は報告されてないから何とも言えんが、そこは最初の爆撃を行うソラくんにその時ある程度確認して欲しい。形状だけでも十分だ。無理に接近はするなよ。堕とされでもしたらオレが水野さんに殺されるからな。…そして、モビルアーマーの足止め役には…そこに居るウチの支部の中でも特に強いパープル、アグラヴェイン、紅血の三人と、東南支部からゼロとトリニティに頼みたい。ここまでで質問は?」

ホムラが手を挙げる。

「今回の作戦に注ぎ込める中東支部の戦力はどのくらいなんですか?」

すかさずリベイクが答える。

「今回の戦闘に直接参加する人機体が20機。人機体用の火器が、ライフル型がこの支部に全部で200丁、ロケットランチャー型が100丁、その他近接武器や特殊兵装がいっぱい。人機体用のテントもあるぞ。予備弾薬諸々は支部にあるし、近いから枯渇する事はないだろう。」

ホムラはお辞儀をし、リベイクが最後に付け加える。

「それとルフス…お前はモビルアーマーとの戦闘にはあまり加勢するな。リミッターガードの延長をしたとは言え、時間はあっという間に経つものだからな。ここぞっていう時以外は人機体の撃破に力を入れてくれ。何か……意見のある奴は…?」

ルフスとフェンリルはこのような戦闘…特に地上戦においては唯一無二の強さを誇るが、相手がモビルアーマーが居るとなれば悔しいが長くは戦わせられない。

ルフスは悔しさを堪えつつも自分の立場と仕事を考え首を縦に振った。

「他に意見はないようだな…結構…。よし、明日の午前八時にここを出る。その時点で作戦は開始しているからな、気を抜くなよ。…では、解散!」

 

作戦会議室を出たルフス達はロロローヴァに呼ばれ、アップグレードが済んだ人機体を拝む。

「はい、出来ましたぁ!とりあえず東南支部の人機体はこれで完了。ウチの人機体も今調整を進めさせている所だ。シミュレーターで動作確認はしたけど異常はなかったし、大丈夫だ。」

各機とも所々外装や武器が変更されている。特にアモンの変わり様が一番目立っていた。

「グレーがメインカラーってのもいいね。」

ホムラがアモンの周りをぐるぐる歩きながら興味深そうに見つめる。それに少々嫉妬したのか、ゼロがむせながら

「ホムラ、君のパートナーは誰だっけ?」

と突っ込む。するとホムラは苦笑いしながらゼロの方に行き、

「いやぁ〜流石全人機体のモデルとも言われるゼロ様ですわ〜。武装も沢山ついてたくましくなってるじゃあ〜ないすか〜!」

と明らかなお世辞と茶化しで逃げた。

ロロローヴァがゼロを見上げながら追加で説明する。

「ゼロはほぼ武装の追加だけで済ませている。汎用性の高さを生かさない手はないからな。」

ゼロのスマートなボディは機動性の他に汎用性の高さも持っている。今回はその長所が上手く生かされた良い例である。普段は刀くらいしか武装がないゼロにとって色々と武装が付いているのは新鮮だった。

睦月は外装にほぼ変化がないトリニティを見て首を傾げていた。

「…本当に強化してもらえたの?」

「まあ、ほかの皆と比べればそう言う風に思うだろうな。」

トリニティは持ち前のバスターライフルの強化と動力である太陽炉の改良、トランザムと呼ばれる特殊システムの時間延長がされたが、逆に外装には殆ど手を加えられていなかった。

その会話を小耳に挟んだロロローヴァは

「中身はこの中で一番手を加えたね。特に太陽炉の改良には六人必要だったよ。」

と優しく伝えた。

それを聞いた睦月は今度は微笑んだ目でトリニティを見つめ、足元に近寄っていった。

 

そして…ルフスは他のメンバーが騒いでいるのを他所にフェンリルをじっと真剣な表情で見つめる。まるで、獲物を狙う獣の様に、ジッと見つめていた。

「…当日は…外すかもしれないな。アレ。」

ルフスにとって、周りの人々以上に大切な存在であるフェンリル。彼の傷はルフスの傷。彼の苦しみはルフスの苦しみ。そんな風に言い切れる程ルフスはフェンリルが大切だった。何も持っていなかった、誰も信じられなかったあの頃の自分にとって、フェンリルだけが心を許せた存在だったのだ。

そんなフェンリルを戦いで傷つけたくはないが、周りの人々を、果ては地球を守る為だ。今のうちに、この姿を目に焼き付けておこう。

そんな気持ちのルフスは何も言わず、ただずっと下からフェンリルの勇姿を見上げていた。フェンリルは他のメンバーの様に進化した自分の姿を褒めてもらいたいと言う気持ちもあったが、「これでいい」と彼もまた、何も言う事はなかった。

 

 

 

 

 

 

その日の晩飯は前回と違って厳粛な雰囲気だった。と言うのも、渓谷に調査に行って撃破されてしまった班員の弔いも兼ねていたからだ。

人間の葬式と違って遺影はないので、中東の人々と人機体は各々彼らの顔を思い浮かべ、別れを悲しんだ。

リベイクが食堂の皆に背を向ける様に渓谷の方向を見つめて言った。

「ジャック、バルザ、ジュース。お前達は…いつも三人一組だったな。馬鹿みたいにはしゃいで、飯も一緒に卓を囲んで、本当に楽しそうだったな。そんなお前達が…絆の深かったお前達が居なくなってから…ここは少し静かになっちまったよ。何処に居てもお前達の大声が聞こえて、イベントやら飯やらを盛り上げていた…お前達の声が………。今となっては恋しいよ。……だから、待ってろ。明日お前達に、奴らのひしゃげた死体を送ってやる。ここに…約束しよう。全員、黙祷!」

いつも活気に満ち溢れていた中東支部が、しばし沈黙を取り戻す。

ルフス達は訪問依頼始めての事だったのでその静かな支部がとても新鮮だった。聞こえてくるのは地下を突き抜ける巨大な通気口の吐く風と、人機体のパーツの擦れる金属音。

黙祷の後、静かに飯を喰い、明日の決戦に備えてそれぞれ床についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝六時。

中東支部の戦闘部隊は素早く起床し、朝食をとりつつ最終整備に入っていた。

整備班長のロロローヴァは班員を集め指示を送る。

「八時には出発するから全速力、且つキチッと作業してくれ!やる事はいつもと同じだ。しっかり二度確認するんだぞ!」

なお、ここで不備が発見され出発までに間に合わないとみられる人機体は置いていかれる。

パートナーの人機体を入念に確認する東南支部訪問メンバー。作戦中に不具合が発生しないようパートナーではない人機体もチェックをする。

ルフスは特にチェックが厳しかった。周りに整備員が5人もつき、リミッターガードの具合を見る。

「万能因子は昨日の夜から溜めときました。何度も言いますが、モビルアーマーとの直接戦闘は最長15分。接近するだけでも影響を受ける可能性がありますので出来るだけ離れて下さい。」

わかった。とリミッターガードのチェックを終えたルフスは朝食を取り始める。今日の朝飯はグリーンスムージーと卵焼き、白米。万能因子で作ったとはいえ、卵焼きは暖かいし、白米は歯応え水加減ともに良いし、スムージーは美味い。本物とそう変わらない味だ。

気がつけば周りの人々も朝食に入っていた。人機体はグリスウォッカくらいしか飲めないのが少し可愛そうに思うが、人間と違って食からエネルギーを摂取しなくてもいい所を羨ましくも思った。誰かと話そうかと思ったが各々忙しい様子だったのでコクピットで一人食べる事にした。

 

あっという間に時間は過ぎ、午前七時五十分。支部の天蓋の真下に集められた殲滅チーム。指揮を取るリベイクが人数確認を済ませ、挨拶をする。

「皆、おはよう。朝食はしっかり済ませたか?朝飯喰わねえと力出ないからな。…そんじゃ、改めて作戦の概要を説明するぞ。最初にアモンとソラが空中から奇襲を仕掛け、間髪入れずに主力部隊が渓谷上部から一斉攻撃を仕掛ける。流れの主導権をここで掴めるかが今後の作戦に大きく影響するからな。しっかり頼むぞ。尚、敵がオレ達を先に補足したかどうかは監視するアモン達からいち早く連絡が入る筈だ。戦況によっては渓谷に突入する前に攻撃しかけ、そこで分断をする事にしよう。一斉攻撃時はビーム兵器を使用する様に。これによって巻き上げられた粉塵で敵を分断した後、主力部隊を各個撃破に向かわせる。敵の人機体はこれで大丈夫だと思う。問題のモビルアーマーはパープル、アグラヴェイン、紅血、ゼロ、トリニティが足止め役だ。今回の作戦の半分はお前達に掛かっている。頼んだぞ。………他に、何かある奴は?」

全員は真剣な表情で沈黙を通す。リベイクの地理的戦術は攻守においても完璧な物だ。異論を述べる者はいない。

「よし…そろそろ時間だ。んじゃあお前ら!オレ達の剣と銃弾で、奴らを喰いちぎってやろうぜ!!!」

歓喜と団結の雄叫びが響く。倒れていった仲間の為に、大切な物を守るために。

彼らは天蓋を抜け、戦場へと向かった。

 

 

 

 

HCFBS08/METeam_Now,MECSoldiers,Go,Preparation,Battle,AndOur,CheckNow,TheTARGETHuman,AndMS

「ハイドコネクションフロムブラックナイトソルジャー08/中東部隊、戦闘準備。中東キャラバンの兵隊どもがそちらに向けて出動した。今しがた我々は件の人間と人機体を確認した。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんにちは!
下がりつつあるモチベを上げるために鉄血また見始めたルシェラです。
あの、すごい申し訳ないのが前回の後書きでいかにも次回は戦闘です!みたいに言っておいたのにまたまた次回に持ち越してごめんなさい…。
次回はしっかり戦闘シーンあるので!あとエイミー達他のメンバーは次話以降に主に登場となります。気長に待っていて頂ければ幸いです。
それでは、また!

機体、キャラクター投稿希望は不定期ではありますがたまに募集しています。
作品に関する事や関係者の方々への質問は受け付けていないのでよろしくお願いします。
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