機動戦士ガンダム·プレデターズ   作:ルシェラ

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機動戦士ガンダムプレデターズ 第十四話 転生

中東支部での戦闘から早一週間。キャラバン組は東南支部に無事到着し、暫し休暇を与えられた。

中東支部の施設自体は人機体達の活躍もあってそれ程被害を受けなかったが、殆どの所属人機体がその活動を停止した。中東支部近辺に潜んでいたリベリオンの人機体とワンダ、モビルアーマーの残骸は中東支部が再利用し、鹵獲したアスターはクラウドボックスを機体から回収して東南支部にて保存、解析をする事となった。

キャラバン組の人機体は帰還直後から早速修理が開始され、4日後には全快した。しかし、

「ルフスは、いつ治るんですか?」

入院患者がよく来ている様な服に身を包み、車椅子に鎮座する赤髪の少年を見入りながらキャラバンの非番のメンバーらは医療班長であるアンビュランスに問い詰めた。

因みにアモン=ソラ、インパチェンス=エイミー、ディエス=アズール、ウィリアハートは各々の持ち場を手伝っている為、ここに居るのはホムラ、睦月、レオディル、ジンの4名である。

何度も説明したろうがとでも言わんばかりの表情でアンビュランスは1分前と同じ事を喋る。

「……見ての通り暫くは廃人だ。クソッタレの阿頼耶識のせいで神経系が壊滅状態だったんだ。死ななかっただけ奇跡だよ。今は万能因子で神経をもう一回体内で再構築している最中だ。だからホントは寝たままの状態でいて欲しいんだけどね。治るのがいつかは神のみぞ知るって所。神がいるかは知らんけど。」

モビルアーマーとの戦いで阿頼耶識のリミッターが解除され、人機体と一体になったルフスは筆舌に尽くし難い程敵を蹂躙した。しかし人体への負荷が強大過ぎるリミッター解除は接続しているパイロットの身体を蝕んでいた。

「…発見した時にあった、その、あの赤い『生き物』は何なんですか?」

「だから万能因子だって。恐らく高電流が流れた際にリミッターに噛ませていたセーフティ用の万能因子がエラーだかなんだかで死滅しつつ、接続していたルフスに逆流した。恐らくそれが漏れてあんな風に飛び散っていたんだろう。」

ガンダムフレームの機体はパイロットと機体を文字通り「接続」する事で初めて操作が可能となる。しかし普通の機械と同じように、大きい負荷(大量の情報の処理)が掛かればそれだけ本体(ハード)の負担も大きくなる。

フェンリルの一挙手一投足を鋭敏且つ超高速にこなす=機体の性能をそれだけ上昇させる

これをこなすにはパイロット(接続して操る)であるルフス(正確にはその脳)への負荷も甚大なものとなる。まるで悪魔との取り引きだ。

「でも、万能因子ってあんなに増殖する物なのですか?」

第一発見者の睦月はコクピットをほぼ埋め尽くす量の万能因子に未知への恐怖を抱いていた。と同時に「ここまで増えるか普通?!」という素朴な疑問も抱いていた。

「そこが不思議なんだよね……。フェンリルはリミッター解除時と同等とまで行かなくても、万能因子を介する事でそれに近いポテンシャルを発揮させるセッティングだった。完全なリミッター解除を防ぐ為、万能因子が言わばルフスの脳の役を務めて万能因子を消費する事で常時、若しくは最悪の場合に備えてルフスの脳への直接的なダメージを防いでいるんだけど、もしもセーフティで代わりに死滅していったとしたら増える事はないと思うんだよ。電撃だったからシステムにエラーが起きて、思わぬ結果が生まれたと考えるしか、今は出来ない。これが限界だね。私のおつむじゃ。」

何度と話しても拉致が開かないし立ち会わせてるルフスも疲れるだろうと、メンバーは不完全燃焼の中医務室を後にし、アンビュランスはルフスを再びベッドに寝かせる。ピアスには治療用の万能因子が注入されている為うつ伏せにしているが、ぶっちゃけかなりシュールな光景だった。

ハイライトの消えた瞳は瞼を瞑ることもなく同じ方向を見続けていた。

4人が帰った後仕事から一時帰還したアモンらも同じ事を再三聞きに来て、同じ様に帰っていった。

 

 

 

一方ドックでは全快したキャラバン組の人機体達が今なお改修中のフェンリルの前で先の戦いを振り返りながら雑談をしていた。

「まずは全員無事であった事を喜ぼう。フェンリルもルフスも辛うじて生きている。」

ゼロは態といつも見開いているツインアイを隠して喋った。

他の人機体達もまるで通夜の様な面持ちであった。と言っても人機体に表情差分はあるかないかくらいの変化だが。

「ディエス達はオリジンに遭遇したんだってね。とりあえず無事で良かったよ。護衛の二機は残念だけど……。」

「……目の前で仲間が地面に吸い込まれていった。残骸すら見つけられなかった奴もいる。」

武装を外しているせいでいつもよりスリムめなインパチェンスは肩を落としながら当時を語る。いつだって犠牲は付き物だ。それが変革の中であろうと、酔生夢死な日常であろうと。

一同は改修されているフェンリルを見つめる。その瞳に光はないが、「生きている」のは確かだ。

「……武装、変えるんだな。」

元の装備になったアモンはフェンリルの周りに無造作に置かれた新パーツに目をやる。恐らくリベリオンらの技術も使われてるのだろう。

「白と青か。私みたいだな。」

外装も一旦全て外され、新しい物に交換される。剥げたナノラミネートアーマーの修繕をしたりヒビを直すより外装ごと変えた方が楽なのだろう。イメチェンのつもりか赤と黒から白と青の配色になる予定なので、似た色のゼロはどこかしら親近感を感じていた。

「そう言えば、鹵獲したリベリオンの人機体はどうした?」

リミテッドキャリバーが腕を組みながら一同に聞く。

「今は技術者の面々がクラウドボックスの中身を解析中だ。何かリベリオンに関して掴めればいいんだが、強固なセキュリティに手こずっているらしい。モビルアーマーと新型の僚機はご存知の通り中東支部が回収。得られたデータは武装類に応用されたらしい。勿論オレ達にも。」

モビルアーマーにはライフ側にはない技術が多数搭載されていた。最もビヨンドヘヴンの施設をそのまま使っているのだから施設規模で遥かに勝るリベリオンに軍配が上がるのは当然ではあるが。

「新型の人機体も中東支部で解析が進められている。いずれ色々と分かるだろう。」

ライフ側のネットワークに常に接続しているゼロは新しい情報をいち早く提供出来るからか、まるで生中継でもしてるかの様な新鮮な情報を伝えた。

「我々の武装もアップグレードされるという事か。これで戦闘が楽になる。」

「レールガンも完成間近らしいしね。」

インパチェンスは汎用性の高さからマルチに戦闘をこなせる為、武装には敏感だ。

「レールガンってさ、どんな感じなんだ?」

「自分に電流流れて来ないのか?」

「軽そう。」

と各々は疑問を投げかけ、話は進んでいく。

それを少し遠目で聴くフェンリル。会話は出来なくとも話を聴けるだけで満足だ。フェンリルは自分と同じ様にデク人形と化しているであろうルフスを心配しながら改修されていくのであった。

 

 

 

 

 

「なんと言う失態だ!!!!!!!!」

フォールンは玉座を蹴散らしながら叫び散らす。モビルアーマーと言う大きな戦力を失っただけでなく、幹部を鹵獲されデビュー駆け出しの兵を全て失ったのだ。無理もない。

それを執事役のアメノハバキリが抑える。

「しかしフォールン様ッ!成果もありますッ!ここは一旦落ち着いて、再び作戦を練るべきかと……」

「………………ッッッッッッッ!」

必死で怒りを堪えるフォールン。暫く怒りで震えた後、蹴散らした玉座を戻していつもの様に座る。

「……成果は、なんだったか。」

「お目当ての少年と人機体の事です。彼らで間違いない事は確定です。現在ブラックナイト隊に全力で見張らせていますが、どうやらあの戦闘でかなり疲弊したらしく、現在は無力です。再び復活するまでにまた攻める作戦を参謀班と練り、適切な兵力を配置するのが現在は最善策です。」

「…………参謀班を呼びたい所だが……当分攻撃は控えよう。向こうも何かしら対策を建てているかも知れんからな。鹵獲したアスターから情報を取るのも時間の問題かも知れん……。ブラックナイト隊にはより一層厳しい監視を撤退させろ。」

はっ!とアメノハバキリはブラックナイト隊に通達するため観測班班長のノートに連絡を取り始める。

ノートはアメノハバキリから一連の話を聞き、ブラックナイト隊に監視を強化する様に連絡をする。

 

HCFR/BC_ Strengthen,surveillance,for, Southeast,branch

「ハイドコネクションフロムリベリオン/ブラックナイトキャプテン_東南支部の監視を強化せよ。」

 

HCFBC/R_Un,typhoon,coming,once,distance

「ハイドコネクションフロムブラックナイトキャプテン/リベリオン_残念だが台風が接近している。一時対象から離れる。」

 

舌打ちしながらノートはアメノハバキリに以上の旨を伝える。その報告を聞いたフォールンは疲れきった様子でアメノハバキリを下がらせ、意識をシャットダウンした。今日はもう寝よう。

 

殲滅部隊班長のカストルは副班長のポルクスと共にワンダの改修案を話し合っていた。中東での戦いからライブで流れてきた戦闘データとにらめっこしながら新バージョンを検討する。

「今回の戦闘では白兵戦のデータが多く取れた。」

「しかも相手は伝説のガンダムフレーム。瞬殺とは言え、ワンダ10機を失ってもお釣りが来る程の成果だ。」

ワンダの特徴、それは「無限に進化する」と言う点にある。戦闘中のデータは全機ライブで殲滅部隊のデータバンクに流れてくる。それを元に改修を繰り返し、やがて敵を凌駕するバージョンを無数に生み出せるのだ。今現在は弱くとも敵が強ければ強い程それに合わせて成長出来るのだ。

「ポルクスは遠距離型を、オレは近距離型を製作する。」

二機の兄弟は再び仕事に取り掛かった。

 

アスターと同じ参謀班の班長クロナードと副班長のシュピールは鹵獲されたアスターの事を気にかけていた。

「何か、救い出す方法はないものか……。」

「…当分は無理でしょう。恐らく奴らはアスターを調べようとしている。その上単騎で救いに行けば結果は火を見るより明らか。ここはフォールン様が侵攻の命令を出すまで待つしかないでしょう。」

参謀班らしい回答。クロナードだってそれくらいの結論なんぞ考えるまでもない。

「……アスターはまだ活動停止状態ではないんだよな。」

「我々の居所を探知されないよう最低限ではありますが…反応は探知出来ます。」

解析中に外部と通信をとればその場でバレてしまう。なので気付かれない程微量な電波でまだ存命である事を伝えているのだという。

「アスターはどこまで情報を握ってましたか。」

「彼女はプライドが高い。そうやすやすと吐く事はないだろうが、クラウドボックスを解析されてるとなると……。」

監査をただ指を加えてみる社員の様な気分で落ち着かない両者。

そこでシュピールが提案する。

「そう言えばクラウドボックスのデータってバックアップはしてあるんですよね?」

ブラックナイト隊もそうだが、リベリオンはいざという時に備えて各人機体達のデータを言わばセーブしておき、仮にクラウドボックスごと破壊されたとしてもセーブしたデータが残っていればその時までの「記憶」「人格(パーソナリティ)」をまた新たな機体に再インストールしてある種復活地味た事が可能なのだ。

クロナードは急いでセーブ元のサーバーに接続して前回のセーブ時間を見る。

「前回は……今から2週間前。中東での戦闘のもう一週間前か。」

「バックアップは取れている。となるとアレが可能だな。」

データ欄の近くにあるDELETEのボタンを押す。すると

『どちらを削除しますか?』と表示される。

『現在活動中/バックアップ』の選択肢がアップされ、現在活動中をクリック。

『確認の為クロナード氏の認証パスコードと本機認証の確認を行います。』

即座にパスコードを入力して本機認証(人間で言うバイオメトリクス。)をする。

『認証確認。これより自爆シークエンスに入ります。』

と、画面には【1:00:00】の表記。チッチッチッチッと言う音と共に時間が減っていく。

「これでよし。アスターのボディを用意しておけ。」

シュピールを下げる。クロナードは囚われているアスターに向けて自爆シークエンスを作動させた事を極秘回線で文章によって伝える。これはさっきシュピールが使用した極微量な電波によって作られた緊急回線を通じて伝えられている。

暫くするとアスターから返信。「仕方なかろ。過去のデータになるから何があったか2週間前の妾に伝えておくれ。」

クロナードは了解と回線を閉じるとタイマーに目をやる。爆発の規模は少なくとも支部の一つや二つは木っ端微塵に出来るだろう。

クロナードはシュピールがアスターのボディを確保した事を確認すると、アメノハバキリにこの事を報告した。

 

 

そんな事は露知らず解析班は作業に没頭し、東南支部の人機体達は束の間の休息についていた。

解析班はリベリオンについて直接関わる最重要機密とも言えるデータへの侵入を試みていたが、一向に入れる気配がない。

「あーーー!!もう無理ですよこれ!!違うパスコードが入力される度に新しいパスコードに変更されて行くんですから!!永久に解けませんよ!!」

技術者の一人が音を上げる。正解のパスコードを知っているのはアスター本人だけなのだ。分かるはずもない。

「分からないとは思うが…………ゼロさんに聞いてみるか。何か分かるかも知れない。」

5分後ゼロが到着する。正確にはタブレットに映し出されたゼロのアバターだが。

「用事とはなんだ?」

「はい、鹵獲したリベリオンの人機体の内部データに侵入をしようとしてるのですが、どうも上手くいかなくて……なにかゼロさんなら分かるかな、と。確か人機体のプロトモデルでしたし、膨大なデータとネットワークを持っていますし。」

「……侵入出来るかどうかは分からないが、とりあえずやってみよう。」

ゼロはまずクラウドボックスの全システムを解析する。他に異常や抜け道があるかもしれない。

暫くすると「ん?おいコイツ!!」とゼロが叫ぶ。

解析班が傍に設置されてる巨大な解析用のモニターを見る。

そこにはタイマーが表示され、数字がどんどん減っていく。

 

「コイツ、自爆しようとしている!!!」

 

 




こんにちは!最近また書くモチベーションが上がって来ました。
多忙の中ですが頑張って書いていきたいと思います!!
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