記憶を失ったフリをしてみた結果   作:あばずれ

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前回のあらすじ

人は何にでもなれる。


10. すいませんでした

 私は浜風と申します。

 陽炎型駆逐艦十三番艦で鎮守府の為に遠征任務をやっていました。

 私が旗艦となり、五月雨さん、電さん、漣さん、川内さん、神通さんと共に動いています。

 資材調達も無事終了し、これから鎮守府に帰還する予定です。

 

「こちら第四艦隊旗艦浜風、もうすぐ鎮守府に到着します」

 

『浜風さんですね。お疲れ様です、鎮守府に到着次第、報告書を提出してくださいね』

 

「あれ? 提督じゃないですね……翔鶴さんですか?」

 

『はい、私が代わりに務めています』

 

「そうなんですか……提督はどうかされたんですか? 緊急の用事とか?」

 

『あー……え~っと……その~……』

 

「……? どうされました?」

 

『え~っと……提督が突然窓を突き破った巨大なカブトムシに頭をぶつけられて記憶喪失になりました』

 

「どゆこと!!!?」

 

「うわっ!! びっくりした」

 

「何ですかそれ!!? どういう事ですか、意味分かんないですよ!!!」

 

『いや~私にもよく分からなくて……』

 

「情報量多過ぎて理解出来ませんでしたよ!! 何があったんですかホントに!!!」

 

『私もお手上げ状態なんです……』

 

「お手上げ状態って!! あまりにも非現実的過ぎますよ!! 何ですか、巨大なカブトムシって!!」

 

『いや何故か巨大なカブトムシが突撃して来て……本当に私も訳が分からないんですよ~』

 

「え~そんな……記憶喪失って……」

 

 提督が記憶喪失……つまりは私達との思い出は全て水の泡、という事ですか。

 

 ……ツラいですね。

 簡単に言われましたが、単純に考えればとてもツラいモノです

 

 記憶を喪失した理由がインパクト強過ぎて、悲しい雰囲気台無しですけど。

 

『悲しい事ですが……本当です……』

 

「……仕方ありません、記憶喪失したならまた蘇るかもしれませんし」

 

『あ、それの事なんですが……』

 

「はい、何でしょうか?」

 

『浜風さんも記憶を捏造してセクハラとかしませんよね?』

 

「何言い出してるんですか翔鶴さん!!! そんな事しませんよ私は!!!」

 

『いや提督が記憶喪失してから皆さんが記憶を捏造しようと色々と色仕掛けを仕込んできておかしくなってるんです』

 

「えぇ……そんな事を……」

 

『駆逐艦なのにも関わらず胸が特別大きく艤装の紐でその胸を深く強調し、真面目な性格でありながらスカートとタイツで絶対領域を見せつける浜風さんならして当然かなと』

 

酷い言われようですね私!!! そこまで煩悩じゃありませんよ!!!」

 

『更には秋季限定グラで鎮守府の秋祭りの為にわざわざ白い浴衣を着ては焼きトウモロコシと綿飴を手に持ち、如何わしい焼きイカを口に咥えて提督を誘惑しようとしましたよね』

 

如何わしいのは貴方ですよ!!! 一体何食えばそんな考え方になるんですか!!!」

 

『あ、私は綿飴食べました』

 

「綿飴食べて頭フワフワになっちゃったのかな!!!? でも仕方が無いじゃないですか!! 行きたかったんだもん秋祭り!!!」

 

『挙句の果てにはバレンタイン専用衣装では黄色のスカーフとエプロン姿で生真面目だけど家庭的な後輩感を醸し出し、中破姿は涙目になりながらも健気に提督へ渡そうとする姿が注目されてましたよね』

 

「すいません翔鶴さん! 何か私に恨みでもあるんでしょうか!!!!」

 

『浜風さんまでおかしくなったらもうお終いですよここも』

 

「貴方が一番おかしい時点でこの鎮守府の終着点丸見えですよ!!!!」

 

『まぁでもとりあえず鎮守府に着いたらそんな事はしないでくださいね。浜風さん事以外なら何とかなりますが、もしした場合は許せませんし、それ以上に私の悪口は許しません』

 

「私に対する悪口はどうでもいいって言うんですか!!! いい加減にしないとフワフワしたその頭燃やしますよ!!!!」

 

『すいませんすいません、とりあえずそういう事はしないように呼び掛けてくれませんか? 私だけではどうにも止めれなくて……』

 

「……分かりました。帰還したらやってみます」

 

『ありがとうございます! では気を付けてくださいね』

 

「はい、分かりました」

 

 

 

 ──六分後。

 

「はぁ……ツッコミ過ぎて疲れました……一体どうなってるんですかここは……」

 

「んー提督が記憶喪失かぁ……あまりにも非現実的過ぎて実感湧かないなぁ」

 

「ご主人様が記憶喪失……閃いた!」

 

「はわわわ! 駄目なのです漣ちゃん! 浜風さんや翔鶴さんからそんな事はしないようにと注意されたばっかなのです!」

 

「司令官が記憶喪失……そんなぁ……」

 

「とりあえず確認だけしましょう皆さん。開けますよ」

 

 色々言いましたけど実は提督の事が心配だったりします。

 今は執務室のドアまで来ましたが、提督の反応が怖くて少し身体が震えてたりしてますね……。

 はじめまして、とか言われたらショックの衝撃がデカいです。

 

 それなのに皆さんといったら、無理矢理記憶を捻じ曲げようと様々な手で仕出かそうとしてるなんて……それだけ提督の事が好きだったという事でしょうか。

 

 ……少し分かる気もします。

 

「失礼します提督」

 

 とはいえ私は提督が記憶喪失したとしてもそんな事は絶対にしません。

 どんな事だろうと提督を正しい方へ導いてみせます。

 その為にも──、

 

「第四艦隊、遠征任務から帰還しまし──」

 

「もっと! もっとだ翔鶴!!! もっと俺を縛り付けてくれぇぇぇぇ!!!!」

 

「は、はいぃぃ!!!!」

 

 ……。

 

「お! き、君は誰か──」「何やってんだコラァァァ!!!!」

 

「「「「蹴り飛ばしたーーー!!!」」」」

 

「一体何やってるんですか二人共!!! 執務室でSMプレイなんて聞いてませんよ!!! そういうのは他所でやってください!!!」

 

「いやお前には何も言ってないんだけど……」

 

「別の場所ならいいんですね……」

 

「何でこんな事を! まさか翔鶴さんまでも変わってしまったんですか!!?」

 

「い、いえ……提督が亀甲縛りすれば何か思い出すかもしれないと言ってたので、いつものように……」

 

「思い出す方法が亀甲縛りって普段から貴方達どんなプレイしてるんですか!!! いい加減にしないと張り倒しますよ!!!!」

 

「ま、待ってくれ! それより君は誰なんだ!? 後ろの娘達もよく分からなくて……!」

 

「私は陽炎型駆逐艦一三番艦の浜風です! そして後ろにいるのが川内さん、神通さん、漣さん、電さん、五月雨さんです!!」

 

「よ、よろしくね提督……」

 

「よろしくお願いします、なのです……」

 

「よろしく皆! ところで何でそんなドン引きした表情なんだ?」

 

「貴方達が先程醜態を晒したからでしょう。亀甲縛りなんて普通はしませんよ」

 

「でも何で、はー……えーっと、はー……ハメ風だっけ?」

 

()()風って何ですか!!! ()()風です!! 間違えないでください!!!」

 

「そうそう浜風、何で亀甲縛りが分かるんだ?」

 

「それは……」

 

 ……。

 何ですか、知ってちゃ悪いんですか。

 私だって色々知るお年頃なんです、それぐらい気になっちゃいますし、嫌でも知ってしまうんです。

 

「やっぱハメ風だな」

 

「ハメ風ですね」

 

「ハメ風だなぁ」

 

「ハ、ハメ風なのです……」

 

「あーもう感染してく!!! やめて恥ずかしいからぁ!!!」

 

 そんなド淫乱な名前で呼ぶのは嫌だぁぁ!! 

 

「あー知ってますよ!! 悪いですか知ってて!!!」

 

「いや別に。初めて見た時は真面目そうだなと思ってたけど、今のを聞いて浜風もお年頃なんだなと感心しただけだよ」

 

「明らか私の事からかってますよね……!!」

 

「何を言ってるの浜風。提督は記憶を失くしているのよ、ただ純粋に聞いただけ」

 

 この声……まさか! 

 

「居たんですか加賀さん!」

 

「いたわよ、さっきから」

 

「加賀さん、どうしたんですかこの人達は! あまりにも変わり過ぎでしょう!!!」

 

「仕方の無い事よ、記憶喪失した事に皆気が動転してるだけ。心配いらないわ安心なさい……提督!」

 

「ん? あぁそうだな」

 

「「ねー!!」」

 

「加賀さん!!!?」

 

 あの加賀さんまでおかしくなってる……だと……!? 

 そんな馬鹿な事が……あるのでしょうか……。

 

「だ、第一! 記憶を失った理由があまりにも非現実的過ぎますよ!! 本当なんですか!? 突然巨大なカブトムシが襲ってきたって!」

 

「え? カブトムシってなに?」

 

「提督は大丈夫です。翔鶴さん、加賀さん、どうなんですか?」

 

「え? カブトムシって何ですか? 電柱?」

 

「惚けないでください! 言ったのは貴方ですよ!?」

 

「えぇ!!? そうなんですか!!?」

 

「驚くところ違ぁう!!! もっと巨大なカブトムシに驚いて!!!」

 

「そんなのいる訳ないじゃない浜風。そんなのは幻想よ」

 

「でも加賀さん、先程翔鶴さんがカブトムシにぶつかってその衝撃で提督が……って、うわ何言ってるのこの娘みたいな表情やめろ!!! アンタらが言ったんでしょうが!!!

 

「いやでも変な事言うから何かあったのかと……」

 

「何かあったのは貴方達の方ですよ!!!」

 

 ダメだ……この人達に話し掛けては一向に話が進まない……! 

 やはり自ら詮索してやる他はないようです……。

 

「ねぇハメ風」

 

浜風です!! 川内さん、間違えないでください!!!」

 

「ごめんごめん。私達は戻るから、後はよろしくね」

 

「え……? あ! はい、分かりました。お疲れ様でした、川内さん、神通さん」

 

「お疲れ~」

 

「お疲れ様です」

 

「ハメ風さん!」

 

「浜風です!!!!」

 

「私達は司令官の記憶を取り戻すのに協力するわ!」

 

「元の司令官に戻れば皆さんも戻るはずなのです!」

 

「わ、私も協力します……!」

 

 はっ!! そうだ、私は忘れていた。

 提督が記憶を失った理由ばかりを突き止めていた。

 本来なら私も記憶を元に戻したいとそう願ったはず。

 よし、漣さんのおかげで気が取り戻せそうです。

 

「分かりました……ありがとうございます」

 

「どうしたんだ浜風?」

 

「だからハメ風ですって! 何度言えば分か──じゃなくて、浜風です!!」

 

「間違えたな今」

 

 ペースに乗られてはいけませんよ自分……!! 

 ここは冷静に対応しなければ負けです!! 

 

「もう記憶を失った理由に関しては聞きません。そういう事にしておきましょう……ただ問題は一つ、どうやって記憶を戻すかです」

 

 記憶喪失を治す為の色んな説を聞いた事があります。

 

「例えば……記憶を失った本人が持つキッカケ、場所やその風景などが鍵となります。また頭をぶつけたりするとショックで元に戻るとか聞いた事ありますね」

 

「なるほどなのです!」

 

「しかしながら私としては頭をぶつけたりするのはあまり好みません……何かしら提督が持つキッカケや物事を聞いた方がいいでしょう」

 

「んじゃとりあえずもう一回亀甲縛りしましょうか」

 

「そうだな」

 

「いやそうだなじゃないですよ!!! なに普通に躊躇いもなくやろうとしてるんですか!!!」

 

「いや亀甲縛りすると何故か思い出せるような気がして……うっ頭が……!」

 

「え!? 本当に!? マジで!? 思い出せるんですか!? あんな事で思い出せるモノなんですか!?」

 

「舐めないでください浜風さん。私達夫婦の愛の営みは絶対に記憶の片鱗に残るモノなんです。一昨日の夜だって目隠しと手錠をしながら■■した後に■■■■■■を、そして■■■■■■をして■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

 

「後半酷過ぎて何言ってるか分かりませんよ!!!!」

 

「流石ですご主人様! 私も是非!」

 

コラーーッ!!! ダメです漣さん! ノッちゃダメです!!」

 

「はわわわ! そんな事まで……!」

 

「電さん聞いてはダメです! 耳が腐っちゃいます!!」

 

「う……あ……」

 

「あーー!!! 過激過ぎて五月雨さんが鼻血を出して倒れたーー!!!」

 

「ふふっ……これで倒れるとはまだまだね……」

 

「ふっ……奴は四天王の中でも最弱……」

 

何でこの夫婦は自ら性癖晒して上から目線なんですか!!!!! ホント腹立つなぁこの人達!!! 何なんですかこの馬鹿夫婦は!!!」

 

「馬鹿ではありませんよ。一旦落ち着きなさいハメ風」

 

「すいませーん、言葉に説得力が無いでーす」

 

「提督が記憶を失った事に翔鶴は気が動転してるだけなのよハメ風。ほら二人とも馬鹿みたいにプレイして愛し合ってたじゃない?」

 

「加賀さんも馬鹿って言ってるじゃないですか」

 

「それで提督が記憶喪失した時、翔鶴はショックのあまりに泣いてしまったのよハメ風。無理ないわ、愛していた人が突然自分の事忘れてるんだもの……二人でやったプレイも……」

 

「いやそれは忘れていいと思います」

 

「今のように楽しそうに振舞っているけど、心の内はきっと悲しいはずよ。あまり無茶言わないであげて、今のプレイも何か記憶を取り戻すキッカケになるはずだわハメ風」

 

「一言余計過ぎて全く耳に入らないんですけど。一々プレイって言葉挟まないと駄目なんですか? そういう病気ですか?」

 

「とりあえず今は見守りましょう、経過を見て判断するべきだわ。そう思うでしょう? ハメ風」

 

「最後にハメ風って言わなきゃ気が済まないのか!!!!!」

 

「ご主人様ご主人様! 私も手伝います!」

 

「い、電も! お手伝いを!」

 

「あぁ! いつの間にか皆さんが!」

 

「止めてはダメよ浜風。漣達は今は提督の為に頑張ろうと一生懸命だわ」

 

「こんな事で頑張らないでもっと別の事で頑張って欲しいんですけど!!」

 

「ありがとう……漣、電……じゃあ次にやるのが■■■■と■■■を合わせた■■■■■■■をする事で■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

 

「だから何言ってるか分からないって!!!!」

 

「どうした浜風? 気が動転したか?」

 

「提督だけには言われたくありませんよ!! 第一、貴方達のプレイなんて聞きたくもありません!!!」

 

「んじゃ何かいい方法あるのか?」

 

「やるなら蝋燭垂らされながら鞭打ちにするべきです!! その後■■■■■■して■■■■した後に■■■■■■を、そして■■して■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

 

「お前も充分気が動転してんだろうが!!!!!」

 

「う……あれここは?」

 

「あら目覚めたようね五月雨、大丈夫かしら?」

 

「はい……大丈夫です加賀さん。皆さんは……?」

 

「今は提督にどんな事させるかで話し合ってるわ」

 

「なるほど……加賀さんは何故ここに?」

 

「貴方だけ置いておく事は出来ないでしょう……私が部屋まで送ってってあげるわ、案内してくれるかしら」

 

「うわっ、そんな! お姫様抱っこしてもらって悪いです……!」

 

「大丈夫よ、私は構わないわ。ほら行きましょう」

 

「は、はい……」

 

(流石に執務室の惨状を五月雨に見せるのは駄目ね……鼻血を出し過ぎて失血死しかねないわ……)

 




過激すぎました。
反省はしています。
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