記憶を失ったフリをしてみた結果   作:あばずれ

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前回のあらすじ
比叡が千年に一度の興奮状態。


4. 本当で本当の本当にごめんなさい

 率直過ぎるだろォォ!!! 

 

 比叡さん、ちょっと頭を冷やして!! 

 貴方頭がおかしいのよ!! 

 

 何!? 仮にも記憶喪失の人に性交渉を求めるなんて馬鹿じゃないの!!? 

 

 記憶喪失じゃなかったら普通にオーケーしてたよ!! 

 

「……比叡姉さま、仮にも記憶喪失中の提督に性交渉を求めるのはどうかと……」

 

「あれ? 悪かった?」

 

「いや悪いですよ、何悪くないみたいな顔して言ってるんですか!!?」

 

 霧島がツッコミに回るという何とも珍しい一面である。

 

「金剛お姉様が今がチャンスだと仰ってたので……」

 

「違いますよ比叡姉さま、今の提督はかなりデリケートです。慎重に接しなければ──」「提督って受け、ですか? 攻め、ですか?」

 

人の話聞いてましたぁ!!!?

 

 凄い攻めっぷりだな比叡。思わず攻めと答えそうになってしまったよ。

 霧島はだいぶ苦労してるなぁ、この様子だと。

 

「駄目です比叡姉さま、例え比叡姉さまでも提督には近付かせません」

 

「ズルいよ霧島、独り占めだなんて」

 

「ひひひ独り占めではあ、ありません!! 提督と節度あるコミュニケーションを取っていただかないといけないので、傍にいて手伝ってるだけですよ!!」

 

「え~? そうかな~?」

 

 唯一霧島さんだけだな、様子がおかしくならない艦娘は。

 何もかも初めてだろう俺をサポートしようと必死になってくれてる。何だかんだで優しい娘なんだよね。

 

「とにかく、提督にはこの鎮守府を把握してもらう為にも覚えてもらわなければなりません。陽炎と不知火から頼まれましたので、私がご案内しますね提督」

 

「う、うん……よろしくね」

 

「んじゃ私もついていこー!」

 

 霧島と比叡と一緒に鎮守府の案内が始まりました。霧島は少し危ない比叡を警戒しているね。なるべく俺から離れないように適度に接してくれてる。

 

「提督、今ここの寮が戦艦寮です。私達金剛四姉妹やその他の艦娘達が居住しています」

 

「なるほど」

 

「そしてこちらが戦艦寮の講堂、といっても簡単なエントランスホールです」

 

「なるほど」

 

「提督が記憶喪失だなんて……不幸だわ……」

 

「そしてそこの壁に縋っているのが山城さんと扶桑さんです」

 

「なるほど」

 

「そして先程提督を見つけて椅子とテーブルを壊したのが武蔵さんと大和さんです」

 

「なるほど……いやなるほどじゃないな」

 

 何で立ち上がっただけで椅子とテーブルが粉々になるのさ。どんな超人的な力持てばそうなるんだよ。

 

「提督か、苦労してるな」

 

「えーっと……君が大和?」

 

「違います! 私が大和です! 眼鏡をかけてるのが武蔵ですよ!」

 

 流石は大日本帝国海軍最強の切り札、大和型戦艦。高身長且つ威厳が凄い。

 俺の提督の威厳なんてそこら辺の木屑程度にしか見えない。

 

 いやもうちょっとあっても(殴

 

「ごめんなさい! 貴方が大和さんで、貴方が武蔵さん、ですね」

 

「む、敬語で話し掛けられると少し違和感があるな」

 

「提督、敬語は使わなくて大丈夫ですよ」

 

「そ、そうでしたか……んじゃ、これからよろしくね」

 

 正直この二人に逆らったら死にそう。

 

「提督が記憶を失ってる……なんて事でしょう」

 

「不幸ですね……扶桑姉さま……」

 

「不幸……? えーっと君達は扶桑と山城、かな?」

 

「扶桑です……よろしくお願いします」

 

「……山城です、よろしくお願いします」

 

「う、うん……よろしくね」

 

 扶桑と山城のネガティブさが段違い過ぎる。最大レベルが五、だとして通常のレベルが二、なんだけど今はそのレベルが最大なんすよね。

 だからネガティブオーラが尋常じゃなくてどうやって話そうか悩んじゃう……。

 

 記憶喪失する前はあまりこんな事は無かったんだけど、記憶喪失した後で着任頃に戻っちゃったな。

 

「だ、大丈夫かな? 二人とも?」

 

「大丈夫ですけど……大丈夫じゃないです……」

 

 どっちなんすか。

 

「彼女達は少しネガティブなところがあって、提督を心配してくださってるんです。何も心配する事はありませんよ」

 

 いや心配というか、禍々しいオーラ出てるんだけど。

 あれ貧乏神出てない? 貧乏神みたいな奴いるけど? 扶桑と山城のスタンド? 

 

「提督! お身体は大丈夫ですか?」

 

 うわっ、急に大和が腕抱いてきた。

 

 あっヤバい……凄い感触……。

 

 まるでマシュマロの様なふわふわな触れ心地……二つの大きなマシュマロが俺の腕を優しく包んでいる……。

 

「イダダダダダダダ!!!」

 

 って喜んでる場合じゃなかったア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!! 

 

「あ、ごめんなさい。つい」

 

 腕の骨が折れかけた……。

 胸に包み込まれる前にホールドで殺されかけたよ……。

 まさに殺人級ホールド。俺なら(色んな意味で)殺されちゃうね。

 

「いたた……っ!?」

 

 え? 何で扶桑と山城のスタンドが更に活性化してるの? 

 貧乏神というか死神に変貌してるんだけど? 

 

「どうしました?」

 

「あ、い、いや何も無いよ」

 

 どうしました? じゃねーよ!! 

 

 誰も見えてないの!!? 

 

 扶桑と山城の後ろに死神いるんだけど!! 

 典型的な骸骨姿の死神が巨大な鎌構えて睨んでるんだけどー!! 

 

「そそそそういえば椅子とテーブルが粉々なんだけど……大丈夫なの?」

 

「はい大丈夫ですよ。ストックはありますので」

 

 まぁ何度も破壊しちゃうから倉庫に何十近くかストックしてるんだよね。

 もう壊す前提で用意してるし。

 

「提督……大丈夫ですか? 機嫌悪くなったりとか……」

 

「い、いや大丈夫だよ。ほら、腕も回せるし問題ないよあはは……」

 

 わざと屈んで顔を見ないで大和!! 

 谷間丸見えだから!! 大きな谷間出来てるからー!! 

 

「はははは……っ!?」

 

 !!? 

 

 何か死神が大和の首に鎌構えてるんだけど? 

 

 え? 何? 殺すの? 殺す気満々なの? 

 

 流石にやめて? それじゃR-15がいきなりR-18Gになっちゃうからね? 

 

「テートクゥ!!」

 

「アバッ!!」

 

 何かいきなり金剛が抱きかかって後頭部ら辺が主に痛いです。

 予備動作無しの抱き着きは流石に痛い。

 

「金剛お姉様! 提督が潰れてしまいます! 一回離れて下さい!」

 

「Noデース!! 皆さんが提督の記憶を改竄しようと色々企んでるのは見え見えなんデスカラ~!!」

 

 言っとくけど金剛さん、貴方が一番最初に記憶改竄しようとしたのよ? 

 他人の事を言えなくない? 

 

「え? ど、どういう事なんだい?」

 

 まさか比叡以外のここにいる全員がそんな事思う訳……

 

「な、何を言ってるの? そ、そんな事する訳、ねぇ? 武蔵?」

 

「そ、そうだな。そんな事は……しない……」

 

 お前らもうちょっと隠せよ!!! 企んでるの丸見えじゃねーか!!! 

 

 大和と武蔵がまさかの企みありとは……大和型戦艦、恐るべし。

 

 扶桑達の反応は……? 

 

「……フンッ!!」

 

 リスカァァァァァァ!!!!!?? 

 

 ちょっと待てェェェ!!! 

 リスカとか本当に冗談にならないから!! 

 

 どっから持ってきたそのカッターナイフ!! そんなもの渡した覚えないぞ!! 

 

 あああああ死神が大和と武蔵の首に鎌を構えたァァァ!!! 

 しかも鎌がカッターナイフに変わったぞ!! 

 どういう事だよ!! 

 死神困惑してんじゃねーか!!! 使い方全く分かってねーぞアレ!! 

 

「なななな何やってるの二人とも!?」

 

「こうでもしないと……やっていけなくて……」

 

「最近やってみたら気持ち良くて……」

 

 もはや禁断症状じゃねーか!! 

 やべぇ、ここまで二人が病んでいるとは思わなかった……。

 くそっ、上手く仲良い関係かなって思っていた俺が馬鹿だった……! 

 この二人は後で全力でフォローしてあげよう。

 

「おい二人とも……流石にそれはやめといた方がいいぞ。提督が不安がっているじゃないか」

 

「提督を不安にさせるのはいけませんよ?」

 

「怖いデース……」

 

 お前らの企みが一番の不安と恐怖だよ!!! 

 

「扶桑さん、山城さん、流石に危ないです。大丈夫ですか? 包帯はありますか?」

 

「あるわよ。問題ないわ」

 

 いやありありだけど? 

 

「提督も大丈夫ですか?」

 

 こんな時でも霧島は平常心か……凄いな。

 何とも思わずに平然と皆に親しく接している。

 

「う、うん……何とか……ありがとうきりし──」「ひゃん!」

 

 あ。

 

 立ち上がろうと霧島の手を取ろうとしたら思わず霧島の胸掴んじまった……。

 しかもいい声上げたぞオイ。ラッキースケベってすげぇな。

 

 いやそれどころじゃねーわ。背後から殺気を感じる。

 これ振り向いたら死じゃない? 

 死す? 死す? デュエルスタンバイしちゃう? 

 

「ご、ごめん……霧島……」

 

「い、いえ……大丈夫です……アクシデント、ですので……」

 

 やばい、後ろ振り向けない上に霧島の顔も見れない。

 さっきからプレッシャーと殺気が背中を凍りつくしてる。

 

「提督! 私のも触って下さい!」

 

 何かいきなり大和が胸触らせてきたわ。

 感想だって? 

 

 凄いです。

 

「毎日揉んでたじゃないですか……覚えていないんですか!?」

 

 覚えてる訳ないだろ!! 初めて聞いたわそんな事!! 

 

 オイ今度は死神のカッターナイフが大和の傘になってんぞ!! 

 死神もっと困惑してんじゃねーか!!! アイツだけあたふたしてんぞアレ!! 

 

『コレドウヤッテ使ウノ……』

 

 知らんわ!!! 俺に聞いてくるな!!! 

 

「いやそれは私デース! 勘違いしないでクダサーイ!!」

 

 今度は金剛の胸にィィィ!!! 

 無理矢理すぎるけど柔らかいィィィ!!! 

 

 あああ今度は鎌に戻ったァァァ!!! 

 何か邪悪なオーラ発してんぞ!! 

 卍解だアレ!! 

 卍解する気だよ!! 

 何か構えてんもん!! 

 

「大和……金剛……いくらなんでもやりすぎだ。提督が怯えているだろう」

 

 武蔵ぃぃ……俺の顔を胸に押し付けないでぇぇ……!! 

 

 苦ぢい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!!

 

「武蔵さん! 提督が苦しそうです! 一旦離してください!」

 

「おっと、それはすまない」

 

「提督大丈夫ですか? セッ〇〇しましょう!!」

 

 お前は一回黙ってろ!!! 

 

 あーもう死神が卍解しちゃったじゃんかぁぁ!!! 

 黒い色の刀持って武蔵に向けてんぞ、やばいって!! 

 

「あぁ……! きっと私は提督に身ぐるみ剥がされて乱暴に身体を犯されるのだわ!!」

 

 お願いだからもうちょっと自分の身体大切にしてェ!!! 

 俺そんな事しないからぁ!!! 

 

 ああああああ死神が霧島の首に天鎖〇月構えたああああああ!!!! 

 

 ちょっと待って!! 

 分かった! 分かったから!! 

 

 もうこうなれば仕方あるまい……。

 

「ごめん……ちょっと疲れた……」

 

「提督! 大丈夫ですか?」

 

 仮病でも使ってこの場を脱出しよう。

 戦艦達の悩みやストレスはもう分かった。

 見直しが必要になる、だがその前に一度脱出だ。

 

「ちょっと外の空気、吸いたいな」

 

「では外へ行きましょう」

 

 あぁやっと脱出出来た……。

 

 霧島優しい。

 




提督ご乱心。
羨ましいかぎりです。
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