記憶を失ったフリをしてみた結果   作:あばずれ

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前回のあらすじ
人はカブトムシになれる。


9. ごめんこうむる

 大淀さんまで変わっちまったよ……。

 一体どうなってんだこれは……!! 

 那珂ちゃんもカブトムシになっちゃったし、あーもう情報量が多過ぎる!! 

 

「あ、申し遅れました提督。私は大淀型軽巡洋艦一番艦の大淀です。よろしくお願いします」

 

「は、はぁ……よろしく、お願いします……」

 

 大淀さんの突然の登場と性癖暴露で強烈な印象が残ってしまっている自分がいる……。

 もう何もかも変わっちまったよ……大淀さん。

 

「で、何故那珂さんはカブトムシに?」

 

 あ、着眼点戻った。

 

「実は明石さんが何かやらかしてしまってですね……」

 

「近代化改修装置に入れたらカブトムシになってしまいました」

 

 って言うか装置に入れたらカブトムシになった、って初めて聞いた人からしたら意味分からない台詞だよな。どんな仕組みしてんだこの装置。

 

「成程……元には戻せないんですか? 明石さん」

 

「いつでも戻せますよ~」

 

「なら後でいいでしょ──」「いや良くないでしょう!!!

 

 流石の加賀さんもツッコミせざるを得ないよな。

 

「今すぐ戻しなさい! 艦隊に支障が出たらどうするのよ」

 

 そうだそうだ!! 言ってやれ加賀さん!! 

 

「でもカブトムシだったら自由に空飛べますよ? 艤装も展開出来ますし、ほら」

 

 はァ!!? 

 何でカブトムシが艤装を展開出来るんだ!!! 

 足に魚雷発射管ついてる上にツノには砲塔あるんだけど!? 

 

 いやいやいやいやいやハッピーニューイヤー。

 どんな姿だろうと皆は人の姿をした那珂ちゃんが好きなんだ。変えてもらわないと困るよ明石さん。

 

「んん……それはそれで……」

 

加賀さん!!!?

 

 何で決心揺らいじゃったのかな!!? 

 確かに戦闘じゃ面白いかなって思ったけど流石カブトムシは駄目でしょ!!? 無機質で何言ってるか分からないし!! 

 

()()()()()()()

 

「何つった今!?」

 

「私は喋れますよ、って言ってますね」

 

「却下!! 上官命令だ!! さっさと戻せ!! このマッドサイエンティスト!!!」

 

 最初からこうすればよかったんだよ全く……。

 

「えーまるで私がマッドサイエンティストみたいな扱いが腹立たしいんですけど」

 

「お前のその被害妄想が一番腹立たしいよ!!!」

 

「えーだったら分かりましたよ。後で戻しておきますよ。コーカサスとかヘラクレスとかでいいでしょ、うるさいなぁ」

 

「いや全然よくないわよ!! 寧ろよくない方向に行ってるじゃない!!」

 

「ではいっその事カブトガニというのはどうでしょうか」

 

「もーう虫じゃ無いじゃない!!! 生きた化石よ!! 絶滅危惧種よそれは!!!」

 

()()()()()姿()()()()()

 

「何て言ってるか分からないから却下!!!」

 

「でしたらカブトサンゴでも──」「大淀は一回黙ってて!!!」

 

(ツッコミきれない……息が荒くなってきたわ……)

 

 こいつら……途端にボケまくりやがって……。

 ツッコむこっちの身にもなれよ……! 

 

「……」

 

「はぁ……はぁ……」

 

「……兜割り、なんちって」

 

「ぶっ飛ばすぞ!!!!」

 

 

 

 ──五分後。

 

「はいはい分かりましたから……! 今やりますよ」

 

 那珂ちゃん(カブトムシのすがた)がまた近代化改修装置に入れられたぞ。

 これで那珂ちゃんが帰ってくれるに違いないな。

 でも虫から人って都合よく出来るものなのだろうか……そんな科学力……まさか……? 

 

(人間に戻せるとはいえ、どんな科学力があればそんな事出来るのかしら……まさか……)

 

「「〇チスが全てを操っていた???」」

 

「何言ってるんですか貴方達は」

 

「いやでも都合よく変えられるって普通に考えたらヤバくないか?」

 

「まぁ言われてみればそうですけどあまり深くは考えない方が身の為ですよ提督。あ、出来た」

 

 レンジでチンしたみたいに言うな。

 

「はい、那珂ちゃんが帰ってきましたよっと」

 

「やっほー! 戻って来れたよー提督ー!」

 

 良かった……やっと普通の那珂ちゃんが帰ってきてくれた……。

 これで那珂ちゃんが酷い目に会わずに済むだろう。

 

「大丈夫かしら那珂? 身体の調子とかはどう?」

 

「バッチグーよ、加賀さん! 今でもアイドル活動が出来るんだから! しかも……──」

 

「しかも?」

 

「──……翼、手に入れちゃったの!」

 

「羽生えてるーーー!!!!!」

「羽生えてるーーー!!!!!」

 

「何でそんな事になったの!!? 前から見たら何も変わらないのに、後ろにごつ過ぎる(カブトムシの)羽生えてるぞ!! どういう事だよ!!!」

 

「あー失敗しちゃいましたね。たまにあるんですよこういうの」

 

「いやたまにあるって何!? たまにあっちゃ駄目だろコレ!!」

 

「それがですねー、提督が記憶を失った事をキッカケに自分の容姿を変えようとする艦娘が現れましてね……例えば大淀さんなんかは腹に子を添えようと腹を自由に膨らませる能力を身につけましたよ」

 

「何だよ腹を自由に膨らませる能力って!!」

 

「妊婦、とかになって騙したかったんじゃ無いですか? ほら艦娘って子供産めませんし、そこら辺不都合なので」

 

「確かにそうだけどそんな能力使って俺の記憶を捻じ曲げたいのか!?」

 

「だって龍驤さんなんて提督の記憶を捻じ曲げようと胸を大きくさせる能力を持ちましたし」

 

欲望に忠実過ぎるだろ!! そんな都合良い能力があってたまるか!!!」

 

 くそっ……!! 明石があまりにも強過ぎる……!

 

「とにかくだ!! その前に那珂ちゃんを元に戻せ!! 話はそれからだ!!」

 

「えー、これ結構しんどいんですよー? またやるんですかぁ?」

 

「お前がこんな事しなきゃ二度やる事は無かったんだよ!! さっさと元に戻せ!!」

 

「分かりましたよ、やりますから。大声出さないで下さいよ、うるさいなぁ」

 

「あぁそうだよ、やりゃあいいんだよ。早く戻すんだ!」

 

(また那珂が近代化改修装置に入れられた……)

 

「はい、戻しましたよ」

 

 

 

「ばぶぅ」

 

 

 

「戻り過ぎだよ!!!!」

「グフェ!!!」

 

(ジャーマンスープレックスゥゥ!!!?)

 

「誰が赤ちゃんにまで戻せつったよ!!! 一から人生やり直せってか!! 戻り過ぎなんだよこの馬鹿!!」

 

「あーすいません調整ミスりました。もうジャーマンスープレックスは勘弁してくださいよ、痛いんですよこれ」

 

「ちゃんと戻せばいい話なんだよ! わざわざ面倒な真似をするな!」

 

「分かりました、分かりましたから。今度こそやるんで許して下さい提督」

 

「あぁそうだよ早くやれ!」

 

(あぁまた那珂が近代化改修装置に入れられた……)

 

「これで大丈夫だと思います」

 

 

 

「……」

 

 

 

「棺桶じゃねーかァァ!!!!」

「グハァァ!!!」

 

(ラリアットォォ!!!)

 

「棺桶の状態で出て来たよ!! 戻すどころか先逝ってんじゃねーか!!! 話すことすらままならないよこの阿呆が!!」

 

「すいません、また調整ミスりました……ラリアットは勘弁してくださいよ、これめちゃくちゃ痛いので」

 

(本当に痛そう……)

 

「こ、今度こそ成功させるんでやめてください提督。さもなくば貴方を消します」

 

(何か凄いこと最後に言い出した!!)

 

「あぁそうだ、必ず戻せよ」

 

(あぁまたまたまた那珂が近代化改修装置に入れられた……)

 

「出来ました」

 

 

 

「指揮官、初めまして! 軽巡洋艦の那珂です! お姉さん二人ほど有名じゃないけど、いつか絶対に超えてみせますよ!」

 

 

 

「別物じゃねーかァァ!!!」

「グワァァ!!!」

 

(バックブリーカー!!!)

 

「もーう別次元の存在出てきたよ!! 人でも何でもないよケモっ娘だよ!!! 性格が誠実過ぎて前見えないよこのクソが!!!」

 

「最後の悪口だけどんどん悪くなるわこの人……」

 

(明石が腰を抱えて苦しんでる……)

 

「ねぇ明石、その装置は貴方でも調整難しいのかしら?」

 

「そりゃ難しいですよ。調整の具合として一から五までの値があるんですが、例えると一が赤ちゃんだとして二が老人です」

 

極端過ぎるでしょ!! 一から二までの間に何があったのよ!!!」

 

『人生』……ですかね」

 

「いやいやいやそんな事聞いてないわよ!!! わざとらしくインタビューみたいに答えないで!!」

 

「だ、だったら明石。三、四、五は何があるんだ?」

 

「え? 三、四、五ですか? そうですねー……」

 

(え? この間は何なのかしら。明石が急に確かめたのだけどまさかこの娘、それほど把握していないのでは……!?)

 

「えーっと……あ……」

 

『あ』???? 

 

「……」

 

「「……」」

 

「……えーっとですね、三が──」「「いや今の間は何!!!?」」

 

「どーみても何かあっただろ!!? やっちゃいけない事絶対やっただろお前!!」

 

「いえやってません。仮にやったとしてもそれは私ではありません」

 

「台詞が無茶苦茶なんだよ!! この状況でお前以外に誰がいるんだ!!!」

 

『川内』……ですかね……」

 

「いやいやいや語呂だけで選ぶなよ!!! 川内なんも関係ねぇじゃねーか!!!」

 

「あーもう分かりましたよ、教えればいいんでしょう? やればいいんでしょう?」

 

「あぁそうだよ早く言え!」

 

「那珂さんが元に戻りました」

 

 ……。

 聞き間違いだろうか。今さっき明石は「元に戻りました」と言ったような気がするぞ。

 

 少し踊らされてるな俺……今は冷静に落ち着くべきだ。

 

「戻ったのか?」

 

「はい元には戻りました」

 

「え? 本当に戻ったの?」

 

「はい加賀さん、戻りましたよ」

 

「いいじゃんか。さっさと出してやりなよ」

 

「分かりました」

 

 何だよ戻ったなら戻ったで良いじゃんか。

 何が『あ』だよ、驚かせるなぁ全く。

 

 

 

「はい、1/350になった模型の那珂さんです」

 

 

 

「人じゃねーだろうがァァ!!!!」

「ドフェ!!!」

 

(ドラゴンスクリュー!!!)

 

「今まで見た中で一番驚いたよ!!! 何だよ模型の艦って!! モノ化してんじゃねーか!!」

 

「すいません……三が模型だったので、つい回してしまいました……グッ……」

 

「三が模型ってどういう事!!? めちゃくちゃ要らない機能じゃねーか!!!」

 

「いえ……艦娘の皆さんが提督からもらった物を模型化しようとするので、つい作っちゃいました」

 

「だからって何で模型化なんだよ!!」

 

「それだけ皆さんが大切にしたいって事ですよ。ほらこの前だって長門さんが提督からもらった勲章を模型化しに来ましたよ」

 

「いやそれ模型化しちゃダメなヤツだよ!!! なに勝手に模型化してんだアイツ!!!」

 

「先週は阿武隈さんが改装設計図を模型化してました」

 

「いやだからソレ模型化しちゃいけないヤツ!!! やっとの思いで手に入れたんだぞ模型化するなよ!!!」

 

「金剛さんなんて提督の下着を模型化してコレクション化されてますよ」

 

「金剛ォォ!!!!!」

 

「あ、因みに四は食べ物化。五はお金化です」

 

 何かちょっとだけ五は有能だなぁこいつ……! 

 こういう所あるから憎めないんだよなぁ……。

 

 ……後で俺も換金しよ。

 

「で、戻しますか? 那珂さんを」

 

「あぁそれだ! 早く戻してくれ!」

 

「分かりました、ソレ渡してください」

 

 那珂ちゃんの事をソレって言うな、人間だぞ一応は。

 

「0.1調整でやらないとダメなんですよコレ」

 

「何でそんな難しくしたんだよ……」

 

「私の所為では無いです。全ては大本営が悪い」

 

「それは分かる」

 

(私も分かる)

 

「出来ました、これで大丈夫だと思います」

 

「やっほー! 色々あったけど戻ってきたよー!」

 

「良かった良かった、これで戻ってきたよ」

 

「あ、カブトムシも出てきました」

 

「何で!!!?」




近代化改修って謎だよね
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