「よーし、さっさと実技試験を受ーけよっと。」
長ったらしい説明を寝て過ごした後、実技試験の試験会場に向かう。
内容はロボットを片っ端から壊していけばいいというシンプルな物。まぁ、人助けが全ての基礎であるヒーローにおいて、人助けも得点に入ると思うけど。
「っと、すみませんね、ぶつかってしまって。」
「いや、ぶつかってしまって謝らないのは男らしくねぇよ。」
「……そうか。」
ツンツンした黒い髪の青年にぶつかってしまったが、すんなりと許してくれた。
いいやつだな。多分、この試験は合格するやつだと思う。
『では、スタート!』
「自由すぎねぇか!?」
マイクから流れた声に反応して俺は一気に加速する。
おいおい、いきなりスタートするか普通!?この学校、めちゃくちゃ自由過ぎるだろ!?
「グルァア!」
適当に見つけたロボットの頭を踵落としで粉砕し、近くにいたロボットに粉砕したロボットの胴体をぶん投げて粉砕する。
「ん……?」
うわー、何かデカいロボットがあるなー。
チビロボットを二十体ほど壊してからは数えていなかったけど、あんなデカロボットは初めて見た。
けど、粉砕しがいがありそうだ。
「ふぅ……。」
心拍数と血流を呼吸で沈静化し、ロボットを見る。
ああいったロボットの欠点は全体の間接部分。それは製作者も予測しているだろうからあえて狙わない。逆に狙うとしたら最も硬そうな心臓部分、若しくは頭。武器を使って倒してもいいけど……これを見ている奴等に手の内を知られるのは割りに合わない。
となると、拳か。仕方ない、久々にあれをするか。
「――――『覇源』―――『怒号』」
リミッターを解除し、ロボットの脳天まで跳躍し、頭に踵落とし、拳打、足踏みなどを常人なら嵐でも起きたかと考えてしまうほどの超高速で繰り出す。
これは覇源によるリミッター解除を更に進化させ、一点を粉砕する八連撃を面を破壊する八連撃に変えたものだ。
覇源はリミッターを解除して行使する技だから普通に痛い。……まぁ、その程度しか弱点は無いけど。
「ブ、ブッコロ……。」
「殺せないよ。だって、俺は不死身だからな。」
頭が一瞬でぺしゃんこになったデカロボットを最後に蹴り飛ばして倒れさせる。
全く、この程度なら俺らの中学の奴等のほうが強いぞ?……まぁ、試験用のロボットだから仕方ないとしかいえないか。
『試験、終~了~!』
あのスタートの声と同じ声の言葉と共に試験は終了した。
さて、緋鳥を連れてさっさと帰ろ。