クソトカゲのヒーローアカデミア   作:丑こく参り

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閑話 タルタロスの囚人

「ふわぁ……。」

「もう、天野焔くん。欠伸しないで。」

「分かりました。」

 

僕、天野焔はあくびをしながら仕事場である犯罪者を収容する『タルタロス』。その最下層を僕よりも若い柊主任と一緒に歩いている。

 

僕と主任はどっちも無個性だけど……この『タルタロス』、その最下層にアクセス出来る権限を持っている。

 

タルタロスとは、この国に置ける刑務所の中で最高に位置する施設である。ここにはとんでもない個性の凶悪なヴィランたちが収容されているのだ。

 

でも、これはデコイ。

 

タルタロス設立の理由。それは……

 

「にしても、ここに収容されているヴィランってどんなヴィランなんだろうか。」

「……分からない。けど、危険なのは分かっているわ。」

 

重く、暗い雰囲気の中、通路を歩いていく。

 

タルタロスとは……最下層に存在する()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。それほどまでに……恐ろしいヴィランなのだ、ここに収容されている奴等は。

 

「……おや、新しい顔ですね。」

 

すぐ近くにあった大きな牢屋から声がして、顔を向ける。

 

中にいたのは……青い髪をしたアラビア風の肌がやけた男だった。多分、年齢は三十代くらい。理知的な瞳は持っていたタブレットPCに向けられている。

 

こ、この人は一体……。

 

「あ、申し遅れました。私はカインといいます。」

「は、はぁ……どうも。あの、何を読んでいるのですか?」

「岩窟王、と言う小説ですよ。そろそろタルタロスを抜けようと思いまして。」

「なっ……!」

「動かないで!動いたら撃つわよ!」

 

あまりにも当たり前にされた脱獄宣言に僕は唖然とし、主任は腰から銃を引き抜く。

 

どんな個性を持っているか分からないけど……カインは銃を見ても何も動じていなかった。

 

な、なんなんだこの男は……!

 

「私に撃っても構いませんが……っ!避けて!」

「主任、危ない!」

「きゃあ!?」

 

カインが叫び、僕が動が聞いた瞬間に主任を押し倒した瞬間、四つの牢屋が粉砕され、その扉の一つが頭を掠める。

 

あ、危なかった……。もし、カインの言葉に反応できなかったら……死んでた。

 

「うーん!久々に外でたよ。」

「なにやっているんだ、ビル。さっさとカインを取って抜け出そうぜ。」

「……眠い。」

「あ、寝ないでね安眠。」

 

その中から四人の人影が出てくる。

 

テディベアのような茶色の髪の年端もいかない少女にマフィアみたいなスーツを着た悪魔みたいな角が生えた若い男、眠そうに目を擦る手に時計のような痣のある十代くらいの少女、その世話をする黒髪にセーラー服を着た高校生くらいの少女。

 

四人ともタルタロスでは見たことがないし、メディアでも取り上げられていない。けど、恐ろしい特性を持っていることは本能的に分かる。

 

「ねぇ、この人たちはどうする?」

「まぁ、眠らせてください。殺す理由はありませんし。」

「……分かった。」

「一体何を……す……る……。」

 

ヤバい、寝る……。

 

僕は主任に覆い被さるように、眠りにつく。

 

 

 

 

――――――この日、難攻不落のタルタロスから……最悪の脱獄者が現れた。

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