「……君が藤多 葉秋君かい?」
「ん?誰っすか?」
両親がいなくなり、親戚がいないから施設に入って数週間、俺の引き取り手が見つかったらしい。深夜、個室で面談形式でご対面している。
ふーむ、どこかで見たことがあるような無いような……。ヒーローか何かか?でも、こんな姿のヒーロー見たこと無いぞ。
「私の名前かい?私は八木 俊典。『オールマイトヒーロー事務所』でオールマイトのマネージャーを勤めている者だ。」
「へー、ま、引き取って貰えるのなら文句は言わないけどさ……気配でわかっちゃうんだよね、オールマイト。」
「ッ!?な、なんのことかな?」
あ、この反応、図星だ。
でも、何で極々一般家庭の俺をオールマイトが引き取るんだ?何かしらの事情でもあるのか?……あーくっそ。こんな事ならヒロアカちゃんとアニメ見とけばよかったなー!
「オールマイト、普通の人なら騙せると思うけど俺の気配察知能力を甘く見すぎ。」
「す、すまなかった……。」
「それで、何で俺を引き取ろうとしているんだ?俺は極々一般的な民間人だぞ?」
オールマイトは少し押し黙った後、口を開いた。
「君は、自分の個性をどこまで理解しているんだい?」
「えーと、俺の個性は『クソトカゲ』。身体能力、反射神経、適応力、極めて高い再生能力が特徴の個性。また生命力も極めて高く、体の八割近くが消えても生きていける。脳や心臓が潰れても回復するだろうな。……なんでそんな微妙そうな顔をしているんだ?」
「い、いや何で個性の名前が『クソトカゲ』なんだい?完全に悪口じゃないか。」
「別にいいだろ?」
だってクソトカゲはクソトカゲだし。それ以外でつけるのなら『SCP682』とか『不死身の爬虫類』とかしかないんだぞ?
……『不死身の爬虫類』の方がよかったか。
「ま、まあそれは置いといて……君のような余りにも反則染みた個性は多くのヴィランが欲している可能性が高い。君の個性ほど強力な個性は知らないからね、君の身柄を保護するのなら私が引き取りたい、と思っただけさ。HAHAHAHA!」
「……まぁ、別にいいけどさ……。なーんか、こっちに真っ黒い物が飛んで来ているのだけど……。」
「えっ?」
キャー!あれって『人食い闇』じゃねえか!?俺と同じKeterのSCPの!あれもこっちにいるのかよ!?
「……やあ。」
「あ、お帰り願います『人食い闇』。」
「連れないねぇ……。」
「な、誰だい君は!?」
「そこにいるやつと同じだよ。普通じゃない個性の使い手。まあ、俺の個性はそいつと違って発動系だけどさ。」
突如、物の影から黒い服を着た俺と同い年の少年が現れた。
確か、暗いところだったらどこにでも行けるからな、『人食い闇』は。
「それで、何の用だ?」
「君を……僕たちのチームにいれたいのさ。」