「……さて、どうしようか。」
翌日、校内にヴィランが出たことによって休校となったため、家の中で筋トレをしながら今日の予定を考える。
緋鳥はクミホたちと街に行ってしまったし……百――面倒だからクラスで言われているヤオモモでいいか――とは趣味が合わないし……どうしよう。
「……取り敢えず、昨日の事件について整理しておくか。」
ぶら下がっていた鉄棒から降りて、パソコンを立ち上げてファイルを開いて書き込んでいく。
……あれ?
「おっかしいな……。」
「葉秋さん、お茶が入りましたわ。」
「おう、ありがとう。」
疑問な所を見つけた時、扉を開けて紅茶を持ったヤオモモが入ってきた。
ヤオモモも怪我していなく良かったよ。
「何をしているのですか?」
「昨日の事件を纏めていた。……そしたら幾つか、不信な点が出てきたんだよ。」
「不信な点……?それは一体何ですか?」
「まず『バレット』の攻撃。これは何で俺にダメージが入ったんだ?」
バレットの個性『タイムマシンリボルバー』はあくまで弾丸を過去や未來に飛ばす個性だ。その銃弾はありふれた銃弾の筈だ。それなのに、俺の体にダメージが入っている。おかしくないか?
「次に『ビルダーベア』の殺人。あいつは味方を殺していた。それは何故だ?」
「た、確かに……。普通なら味方を殺す必要がありませんし……。言われてみれば確かに……。」
まぁ、あのキチグマの事だし殺人に理由なんて無いだろうけど……そのバックについている『カイン』がそれを許さない筈だ。恐らく、カインたち『脱獄囚』と今回の主犯格である『ヴィラン連合』は協力関係にあるのだろう。
なのに、殺した。これはおかしい事ではないか?
「そして最後……何故『ビルダーベア』だけなんだ?」
「葉秋さんは他にも仲間がいると思っているのですか?」
「とある情報筋の話なんだが、秘密にしてくれるか?」
「構いませんが。」
「実は、『ビルダーベア』は……タルタロスからの脱獄囚の一人なんだ。」
「そ、そうでしたの!?」
やっぱり、『ビルダーベア』が脱獄囚だとは知られていないのか。
「その情報筋からの話なら『ビルダーベア』以外にも脱獄囚がいるらしい。その中に無力化に特化した奴がいるんだが……そいつが『ビルダーベア』と一緒に来れば俺たちは全滅していた。」
「……!」
「そんな強力な駒があるのに……何故出さなかったのか、これが最後の謎だ。」
ファイルに書き込んで内容を保存し、ヤオモモが淹れた紅茶を飲む。
うん、普通に美味しい。香りもいい。
「そうだ!お父様が貰った菓子があります!持ってきましょう。」
「……ありがとう。」
紅茶にあう菓子を持ってくるために扉を開けて出ていくヤオモモを見て安心する。
良かった……
「いい加減出てこいよ……『ゼノフォビア』」
ベッドの影に話しかけた瞬間、二本のナイフが投擲された爪で弾き飛ばす。
やれやれ……手厚い歓迎だな。
「……何時から気がついていた。」
「俺が『バレット』の疑問をヤオモモに話しかけていた時だ。」
影から出てきたセーラー服を着た高校生くらいの少女を見て席から立ち上がって拳を構える。
……『ゼノフォビア』。それは正体不明の財団職員のみに降りかかる現象。職員は現象の擬人化と言う方法で封印したが……恐らく、この世界での『ゼノフォビア』は認知では倒せないだろう。
何せ、『ゼノフォビア』の異常性と擬人化を知っている俺の前に出ている訳だからな。
「それで、何の用だ。まさか……何も考えていない、なんて言わないだろ?」
「何、簡単なことよ……。」
一呼吸置いた『ゼノフォビア』は俺の予想を越える言葉を言いはなった。
「私たち……