「はあ!」
「甘いよ!」
俺の拳は『人食い闇』の黒い影にぶつかり、消失する。するが、一瞬で回復する。
俺の攻撃は投げつけられる『人食い闇』で防がれるし、俺は耐性ができはじめたから回復する速度がどんどん速くなっていっている。
とどのつまり……完全に拮抗してる。
「いやー、ここまでするとは。」
「一発目で殺せなかったのがダメだったな。俺の個性とお前の個性だとこうなることは予想できてた。」
「作戦の段階で負けていたかー。なら、これならどうだい!」
「ちっ!」
背後から凄まじい殺気を感じて跳躍、ビルに張り付く。
俺がさっきまでいた場所は黒いものに覆われて、抉られていた。
なるほどな、俺の影を伝って黒い影を投げたのか。てか、それだとまずっ!
「どうしたんだい!さっきまでの威勢の良さは!」
「ちっ……!面倒な攻撃を!」
壁面を走り、跳躍し、空間内を立体的に使うことで黒い影を回避していく。
こいつ……!なんつー個性だよ……!これだと、まともに近づくことすらできねぇじゃねぇか……!
くそっ!攻撃する際の武器さえあればなんとかな
「あ、出た。」
何故か、全速力で走っている時に大きな剣が現れた。
……え?剣?なんで出たの?イプシロン脳波?現実改編系?どういうこと?
「今だ!」
「ぐあっ!?」
やべぇ!頭をとられると能力がにぶ……え?鈍って……ない?
……あ
「まさか、覚醒したというのか?人として生まれたSCPには二つのSCPの力が宿るというけど……まさか!」
おいおい、この力ってまさか……!
「「アベル!?」」
俺と『人食い闇』はそれぞれ驚愕の声を表す。
SCP076、通称『アベル』。正体は石室と中にある遺体。遺体は定期的に復活して人を兎に角殺しまくるやべぇやつ。『不死身の爬虫類』とは違い、再生能力があるわけではないが……一定時間すぎたら再び復活する特性がある……
けど、これは僥倖……!
「ぬおらああああああああああああああ!」
「くっ……!」
俺は剣を投げ、『人食い闇』はそれを防御しようと黒い影を投げる。
よし、狙い通り!
「……『覇源』!」
「ぐほっ!?い、いつの間に……!」
「普通にはしってきたんだよ、戯け!」
俺は『人食い闇』が剣を止めたのと同時に八連撃を腹に打ち込む。
何をしたかって?脳にあるリミッターを解除して神経が焼き切れようと肉が切れようと全速力でダッシュして防御の瞬間、常人では反応すらできない反射神経で八回の肉を抉る爪で切り裂いたのだ。
肉体の回復能力と生物の封じ込められた力を最大限に生かした特効攻撃……それが『覇源』の正体だ。
「ぐっ……!貴様……!」
「よく立てるな……!」
「お前だけは……俺が、殺す!」
なら、付き合ってやるよ。最も、腹やら胸やら肩やらを抉られて回復に力を割かないといけないから俺が勝つと思うけど。
「止めておきなさい、黒霧。」
ちっ……!もうきたのかよ、おっさん!
「こうなった以上、僕たちに勝ち目はない……となると、逃げるしかないよね。」
「……分かりました。」
そう言って、黒霧とおっさんはどこかに行ってしまった。
ふう……くっそ疲れたな……。刑事さんが戻ってくるまで待つか……。
オリジナル展開:黒霧を強化しました。『ワープゲート』に加えて『人食い闇』『ドリームマン』を付け加えてみました。元々、黒霧は自分からの攻撃能力が低かったからあっさり爆豪にやられていたように見えましたしね、このくらいの強化なら許されるでしょう。