オリ教師が死んでます。注意!!
フライという魔法を使えぬルイズを残し、コルベールをはじめとした他の生徒達が学院に帰っていった。
「お前は、飛ばないのか?」
「きょ、今日はあんたを召喚するので疲れたの!」
「正直に、使えないのだと言えばいいだろう。」
「うるさい!」
バッターは、他の生徒達からの馬鹿にされ方で、ルイズがまともに魔法が使えぬ事を見抜いた。
ルイズは、バッターを残してズカズカと学院に歩いて行く。バッターは、それを追いかけた。
学院は遠く、徒歩だったこともあり、あっという間に夜だ。
ルイズは、寮の自室に入るなりベッドに飛び込むように寝転がった。
「あーもう信じらんない!」
「なんだ? どうした?」
「なんで、あんたなんかを召喚しちゃったのかしら!」
「知らん。」
「あんた…、なんで召喚に応えたのよ?」
「……次の世界を浄化するためだ。」
「またそれ…。いい加減にしてよ。なにが浄化するよ…、狂人なんて願い下げだわ。まあ、あんた人間じゃなくて亜人かもしれないけど。」
「この世界は、ZONE(ゾーン)のどの辺りだ?」
「ぞーん? なにそれ?」
「…なるほど、そういう構造ではないのか。」
「わけ分からないわね…。どこの田舎から来たのよ…。」
「この世界を支えているモノがいるはずだが……、ガーディアンのような存在はいなさそうだな。」
「がーでぃあん? さっきからなに? わけが分からないのよ!」
「どうしたらいい?」
『詳しい人間を探す』
「そうするか。」
「? ねえ、何独り言を言ってるの?」
「この学院というところで、一番世界について詳しい人間はどこにいる?」
「詳しい人間って…、そうね…、偉い人なら、学院長がいるわよ?」
「学院長か…。」
「ちょっと待ちなさい! まさか今から行く気なの?」
「そうだが?」
「明日にしなさい。いきなり訪ねに行ってもいないわよ。この時間じゃ。」
「…そうか。」
バッターは、壁を背にドカリと座り込んだ。
「ちょっと…。」
「明日を待つ。」
「……勝手にしなさい!」
ルイズは、そう怒鳴るとふて寝した。
バッターは、被っている帽子をただしながら窓から見える二つの月を眺めた。
眠る必要も無い“人形”であるバッター。
バッターは、月の浮かぶ空をジッと眺めることで、明日が来るのを待っていたが……。
不意に、月が陰った。
笑い声と共に通り過ぎたソレは……。
バッターは、すぐさま立ち上がり、窓を開け、窓から飛び降りた。
バッターを誘うように飛んでいくソレを追いかけていくと……、濃厚な血の匂いがした。
「不浄なる者共よ…。お前達もこの世界に巣くうのか…。」
そこにいたのは、教師らしき人間を貪る食っていた、かつてバッターが浄化した世界にいた亡霊達だった。
バッターが来たことで、亡霊…、マグノリアが食っていた死体から離れてバッターに襲いかかる。
バッターは、アシュレイのバットを握り、襲ってきた順に殴り、消滅させていった。
今のバッターのレベルならば、マグノリア程度の亡霊など蚊にも等しい雑魚だ。
あっという間にマグノリアは、全滅した。
バッターが、バットを降ろしたとき。
絹を裂くような女の悲鳴が木霊した。
振り返ると、そこには、女教師が腰を抜かしていた。
「亡霊は倒した。人を呼べ。」
バッターは、バットを肩に乗せるようにして女教師にそう言った。
その後、悲鳴を聞きつけた教師達が駆けつけ、死体に驚き、バッターは、そのまま連行されたのだった。
***
「なにか言ったらどうかね?」
緊急事態に叩き起こされたオスマンが、牢屋の中にいるバッターに聞いた。
バッターは、ずっと黙っていた。
「オールド・オスマン!」
「どうしたのだ?」
「……ミスタ・レオボール殿の遺体ですが…、何か、複数の何かに食い殺されたとしか…。歯形が違います。」
「つまり、死因は鈍器による撲殺でもないと?」
「はい。」
「そうか……。」
それを聞いたオスマンは、すまなさそうにバッターを見た。
「彼を解放したまえ。」
「しかし!」
「そうですよ! あの場にいた第一容疑者なのですよ!」
「コイツが食い殺したに決まってますって!」
「君らは、レオボールの死体を見て、アレが棒で叩き殺されたように見えたかね?」
「で、ですが…。」
「ええい。得体の知れん亜人とはいえ、冤罪で裁くわけにはいかんのだぞ。まったく。」
オスマンは、鍵を奪い取り、牢屋を開けた。
「もういいのか?」
「ああ、すまぬな。君の容疑は晴れたよ。しかし、君の責任でないのなら、弁解してもよかったのじゃぞ?」
「お前達は、はじめから俺を疑って、決めつけていた。」
「それは……、本当にすまぬ。で…? 君は真犯人を知っておるのじゃろうな?」
「ああ。」
「彼を殺した犯人は?」
「亡霊だ。」
「ぼうれい? あの亡霊かね?」
「ああ。しかし、お前の認識する亡霊とは違うかもしれない。」
「ふむ……。詳しく…聞かせてくれぬか?」
「いいだろう。信じるかどうかは別だがな。」
「疑い深いのう…。」
「最初から俺を殺人者と決めて疑わなかったお前達が言うことか?」
「本当に本当にすまんかった…。」
オスマンは、ペコペコと頭を下げた。
「亡霊とは…、この世に未練を残して死んでいった者共。不浄なる者。生者に害をなす者だ。その姿形は、様々だが、総じて生者に対して敵意を示す。お前達の仲間の教師というものを殺したのは、マグノリアという亡霊だ。切断された人の首の形をしている。」
「そういえば…、近頃、首だけが飛んでいるという目撃情報が…。」
「なぜそれを報告せんかった?」
「いえ…、なにせ夜中に見たというので、子供らの見た夢だと…。」
「恐らく、マグノリアだけじゃないだろう。他にも亡霊がいるはずだ。俺が始末する。」
「そんなことが可能なのかね?」
「俺は、浄化する者だ。不浄なる者も、世界も…等しく、浄化する。」
バッターの言葉に、オスマン達は言葉を失った。
バッターの妄言のように思える言葉だが、なぜか嘘に思えなかったのだ。
そして何より……。
「君は…お前は…何者なのじゃ?」
「俺は、バッター。世界を浄化する者だ。」
バッターは、淡々とそう答えた。
その時、バタバタと階段を降りてきた教師がいた。
「大変です!」
「なんじゃ!?」
「化け物が……、学院内に…!」
「亡霊か。」
「バッター殿…。お前が言っていた者共か?」
「俺が行く。」
「教師陣も行くぞ! 子供らを守るのじゃ!」
「で、ですが…。」
「何を臆しておるか! それでも貴族の手本となる学院の教師か!」
「先に行くぞ。」
「あっ、待て!」
教師達が止める間もなく、バッターは、バットを手にして牢屋から出て行った。
学院内を走っていると、太った亡霊に追われている教師がいた。
後ろからバッターが太った亡霊を殴り殺した。
「次。」
助けた教師の無事を確認せず、次の亡霊を殺しに行った。
そして、朝が明ける頃になって、やっと学院内にいた亡霊はすべて駆逐された。
亡霊が現れたのは、バッターの責任ではないです。一応。
今回現れた、亡霊↓
マグノリア:切断された頭。宙に浮いている。
太った亡霊:不吉な霊体が具現化したもの。
OFFって……、亡霊が可愛いんですよね。一部を除いて。