仮題名『ルイズが浄化する者を召喚しました』   作:蜜柑ブタ

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バッターが現れたことで、ハルケギニアにも亡霊が……?



オリ教師が死んでます。注意!!


SS2  生者を貪る亡霊

 

 フライという魔法を使えぬルイズを残し、コルベールをはじめとした他の生徒達が学院に帰っていった。

「お前は、飛ばないのか?」

「きょ、今日はあんたを召喚するので疲れたの!」

「正直に、使えないのだと言えばいいだろう。」

「うるさい!」

 バッターは、他の生徒達からの馬鹿にされ方で、ルイズがまともに魔法が使えぬ事を見抜いた。

 ルイズは、バッターを残してズカズカと学院に歩いて行く。バッターは、それを追いかけた。

 学院は遠く、徒歩だったこともあり、あっという間に夜だ。

 ルイズは、寮の自室に入るなりベッドに飛び込むように寝転がった。

「あーもう信じらんない!」

「なんだ? どうした?」

「なんで、あんたなんかを召喚しちゃったのかしら!」

「知らん。」

「あんた…、なんで召喚に応えたのよ?」

「……次の世界を浄化するためだ。」

「またそれ…。いい加減にしてよ。なにが浄化するよ…、狂人なんて願い下げだわ。まあ、あんた人間じゃなくて亜人かもしれないけど。」

「この世界は、ZONE(ゾーン)のどの辺りだ?」

「ぞーん? なにそれ?」

「…なるほど、そういう構造ではないのか。」

「わけ分からないわね…。どこの田舎から来たのよ…。」

「この世界を支えているモノがいるはずだが……、ガーディアンのような存在はいなさそうだな。」

「がーでぃあん? さっきからなに? わけが分からないのよ!」

「どうしたらいい?」

 

 『詳しい人間を探す』

 

「そうするか。」

「? ねえ、何独り言を言ってるの?」

「この学院というところで、一番世界について詳しい人間はどこにいる?」

「詳しい人間って…、そうね…、偉い人なら、学院長がいるわよ?」

「学院長か…。」

「ちょっと待ちなさい! まさか今から行く気なの?」

「そうだが?」

「明日にしなさい。いきなり訪ねに行ってもいないわよ。この時間じゃ。」

「…そうか。」

 バッターは、壁を背にドカリと座り込んだ。

「ちょっと…。」

「明日を待つ。」

「……勝手にしなさい!」

 ルイズは、そう怒鳴るとふて寝した。

 バッターは、被っている帽子をただしながら窓から見える二つの月を眺めた。

 眠る必要も無い“人形”であるバッター。

 バッターは、月の浮かぶ空をジッと眺めることで、明日が来るのを待っていたが……。

 

 不意に、月が陰った。

 

 笑い声と共に通り過ぎたソレは……。

 

 バッターは、すぐさま立ち上がり、窓を開け、窓から飛び降りた。

 バッターを誘うように飛んでいくソレを追いかけていくと……、濃厚な血の匂いがした。

 

「不浄なる者共よ…。お前達もこの世界に巣くうのか…。」

 

 そこにいたのは、教師らしき人間を貪る食っていた、かつてバッターが浄化した世界にいた亡霊達だった。

 バッターが来たことで、亡霊…、マグノリアが食っていた死体から離れてバッターに襲いかかる。

 バッターは、アシュレイのバットを握り、襲ってきた順に殴り、消滅させていった。

 今のバッターのレベルならば、マグノリア程度の亡霊など蚊にも等しい雑魚だ。

 あっという間にマグノリアは、全滅した。

 

 バッターが、バットを降ろしたとき。

 

 絹を裂くような女の悲鳴が木霊した。

 

 振り返ると、そこには、女教師が腰を抜かしていた。

 

「亡霊は倒した。人を呼べ。」

 

 バッターは、バットを肩に乗せるようにして女教師にそう言った。

 その後、悲鳴を聞きつけた教師達が駆けつけ、死体に驚き、バッターは、そのまま連行されたのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「なにか言ったらどうかね?」

 

 緊急事態に叩き起こされたオスマンが、牢屋の中にいるバッターに聞いた。

 バッターは、ずっと黙っていた。

「オールド・オスマン!」

「どうしたのだ?」

「……ミスタ・レオボール殿の遺体ですが…、何か、複数の何かに食い殺されたとしか…。歯形が違います。」

「つまり、死因は鈍器による撲殺でもないと?」

「はい。」

「そうか……。」

 それを聞いたオスマンは、すまなさそうにバッターを見た。

「彼を解放したまえ。」

「しかし!」

「そうですよ! あの場にいた第一容疑者なのですよ!」

「コイツが食い殺したに決まってますって!」

「君らは、レオボールの死体を見て、アレが棒で叩き殺されたように見えたかね?」

「で、ですが…。」

「ええい。得体の知れん亜人とはいえ、冤罪で裁くわけにはいかんのだぞ。まったく。」

 オスマンは、鍵を奪い取り、牢屋を開けた。

「もういいのか?」

「ああ、すまぬな。君の容疑は晴れたよ。しかし、君の責任でないのなら、弁解してもよかったのじゃぞ?」

「お前達は、はじめから俺を疑って、決めつけていた。」

「それは……、本当にすまぬ。で…? 君は真犯人を知っておるのじゃろうな?」

「ああ。」

「彼を殺した犯人は?」

「亡霊だ。」

「ぼうれい? あの亡霊かね?」

「ああ。しかし、お前の認識する亡霊とは違うかもしれない。」

「ふむ……。詳しく…聞かせてくれぬか?」

「いいだろう。信じるかどうかは別だがな。」

「疑い深いのう…。」

「最初から俺を殺人者と決めて疑わなかったお前達が言うことか?」

「本当に本当にすまんかった…。」

 オスマンは、ペコペコと頭を下げた。

「亡霊とは…、この世に未練を残して死んでいった者共。不浄なる者。生者に害をなす者だ。その姿形は、様々だが、総じて生者に対して敵意を示す。お前達の仲間の教師というものを殺したのは、マグノリアという亡霊だ。切断された人の首の形をしている。」

「そういえば…、近頃、首だけが飛んでいるという目撃情報が…。」

「なぜそれを報告せんかった?」

「いえ…、なにせ夜中に見たというので、子供らの見た夢だと…。」

「恐らく、マグノリアだけじゃないだろう。他にも亡霊がいるはずだ。俺が始末する。」

「そんなことが可能なのかね?」

「俺は、浄化する者だ。不浄なる者も、世界も…等しく、浄化する。」

 バッターの言葉に、オスマン達は言葉を失った。

 バッターの妄言のように思える言葉だが、なぜか嘘に思えなかったのだ。

 そして何より……。

「君は…お前は…何者なのじゃ?」

「俺は、バッター。世界を浄化する者だ。」

 バッターは、淡々とそう答えた。

 

 その時、バタバタと階段を降りてきた教師がいた。

 

「大変です!」

「なんじゃ!?」

「化け物が……、学院内に…!」

「亡霊か。」

「バッター殿…。お前が言っていた者共か?」

「俺が行く。」

「教師陣も行くぞ! 子供らを守るのじゃ!」

「で、ですが…。」

「何を臆しておるか! それでも貴族の手本となる学院の教師か!」

「先に行くぞ。」

「あっ、待て!」

 教師達が止める間もなく、バッターは、バットを手にして牢屋から出て行った。

 

 学院内を走っていると、太った亡霊に追われている教師がいた。

 後ろからバッターが太った亡霊を殴り殺した。

「次。」

 助けた教師の無事を確認せず、次の亡霊を殺しに行った。

 そして、朝が明ける頃になって、やっと学院内にいた亡霊はすべて駆逐された。

 

 

 

 




亡霊が現れたのは、バッターの責任ではないです。一応。


今回現れた、亡霊↓


マグノリア:切断された頭。宙に浮いている。

太った亡霊:不吉な霊体が具現化したもの。



OFFって……、亡霊が可愛いんですよね。一部を除いて。
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