仮題名『ルイズが浄化する者を召喚しました』   作:蜜柑ブタ

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バッターの次の目的。


OFFのボスキャラのひとり、ヤフェト登場。


SS5  アルビオンを浄化せよという指示

 

 

 フリッグの舞踏会が行われる日、バッターは、参加するわけでもなくルイズの部屋の壁に背を預けて座っていた。

 バッターは、思考を巡らせ、そして、バッターに指示を与えてくる声に耳を傾けていた。

 

 

 『戦乱のアルビオンを浄化しろ』

 

 

「あるびおん?」

 

 

 『空飛ぶ大陸。二つの月が重なるとき、この国にもっとも近くなる』

 

 

「月が…。」

 バッターは、窓から月を見た。

 月は、あと少しで二つがひとつになろうとしている。明日にはひとつになるだろう。月の満ち欠けに似ているかもしれない。

「アルビオンに、ガーディアンがいるのか?」

 

 

 『アルビオンに眠る、大いなる意思の欠片を破壊せよ』

 

 

「欠片か…。」

 謎の声は、この世界には、ガーディアンはおらず、その代わりOFFにするためのスイッチとして、大いなる意思というモノが存在しているらしいことをほのめかしている。

 その欠片がアルビオンという空飛ぶ大陸にあり、それを破壊することでアルビオンを浄化(OFF)できるということだ。

 もといた世界のように、ゾーンごとを白と灰色に変えるのとは違うだろう。どうなるかは分からないし、大いなる意思というモノが単なるスイッチだとも思えない。破壊せよと言うのだから、物理的な破壊が必要なのだろう。ガーディアン達を殺したように……。

「そうならば……、やることはひとつだ。」

 バッターは、そう呟き立ち上がる。

 そして、窓を開けて、バットを持っていない方の手を外に出した。

 

「『ヤフェト』。」

 

 すると、手から四角い形の光が出始め、窓の外の宙でやがて大きくなり、大きな燃える翼を持つ鳥の姿に変わった。

 

『……皮肉だな。』

 

 燃える翼を持つ鳥がため息混じりに呟いた。

『確かに私は、死を望んだ。クイーンより、ゾーンの管理を任され……、そしてそこに住まう者達に尽くし…、尽くし尽くして…、加護してきた者らに忘れられた私は、確かに貴様からの裁きによる死を望んだ。だがこのような形で、貴様の手の上で転がされるだけの駒に成り下がることは望んではいない。』

「アルビオンという大陸へ。お前の翼が必要だ。」

 燃えさかる翼を持った鳥、ヤフェトの愚痴を聞かず、バッターは冷たい声で命令する。

『……やれやれ、その有り様も変わっていないようだな。バッター…。』

 かつてロイヤルガーディアンであった、ヤフェトは、背中をバッターの方に向けた。

 その背中にバッターが飛び乗る。バッターを追ってアルファもついてくる。

 ヤフェトは、翼を広げ、バッターとアルファを乗せて夜空へと飛び立った。

 

 

 フリッグの舞踏会のあと、部屋に帰ってきたルイズだったが、バッターがいないことに気づき、怒りながら探しに行ったが見つかることはなかった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 夜はやがて太陽により明るさを取り戻し、雲より高い位置は、青空が広がる。

 眠る必要性がないバッターも、アルファも、そしてヤフェトも、時間など気にせずアルビオンを目指していた。

 やがて、雲の向こうに、空に浮かんだ大陸を見つけた。

『…美しいな。』

 遠く、そして大陸よりやや高い位置から見えるアルビオンの景色に、ヤフェトはそう呟いた。

 バッターもヤフェトも知らぬ事だが、アルビオンは、別名、白の国と呼ばれているそうだ。

 その理由は、大陸の端から流れ落ちる川が途中で水蒸気となり、大陸の下を白く染め上げているからだ。

『バッター。』

「…なんだ?」

『何故、かの美しき大陸を浄化しようとしている?』

 無駄だと分かっていても、ヤフェトは聞かずにいられなかった。それほどにアルビオンが美しかったからだ。

「お前が知る必要は無い。」

『そうか…。どこにいようとも、1度、ひとつの世界の全てを終わらせても…、貴様は貴様なのだな、バッター…、浄化する者よ。』

 雲を越え、やがてアルビオンの大陸へとさしかかったとき、ドンッ!と大砲が発射された音が聞こえた。

 バッターがそれに気づくやいなや、バットを手に、こちらに飛んできた砲弾を打ってホームランした。

 雲の間から、空飛ぶ戦艦が現れた。船の横には、砲門がたくさんあり、そこから発射されたのだと分かった。

 大砲が動き、バッターを乗せたヤフェトを狙う。

「大陸に上陸する。」

『どうやらあの船を従えている者共が、この美しき大陸に跋扈しているようだ。それでも行くのか?』

「大いなる意思というモノの欠片を破壊すれば、すべては浄化されるだろう。あの船も…。」

『やはり、貴様は変わらぬな…。それで? 此度は、誰に操ってもらっているのだ?』

「知る必要は無い。さっさと行け。」

『……せっかちな奴め。』

 大砲から放たれる大砲を避けながら、ヤフェトは、アルビオンの大陸へと降りていった。

 すると、アルビオンから竜に跨がった兵士達が飛んできた。

 彼らは杖を手に、杖の先をヤフェトへと向ける。

「面倒だ。お前が無力化させろ。」

『やれやれ…。』

 放たれた火球を、燃える翼でなぎ払ったヤフェトは、竜の兵士達に向けて攻撃を放った。

 

 アルト

 

 沈黙効果を相手に与えるヤフェトの攻撃のひとつだ。

 それを受けてダメージを受けた竜の兵士達は、何騎か落ち、ある者は持ち直したものの、再度魔法を使おうとして使えなくなり慌てている様子だった。

 そんな竜の兵士達の横を通り過ぎ、ヤフェトがやがて街の中心に降り立った。

 突然の火の鳥の来訪と、その背に乗る得体の知れない存在であるバッターとアドオン・アルファの登場に、街の住民達は逃げ惑った。

 バッターがヤフェトに片手を向けると、ヤフェトの身体が粒子になり、吸い込まれて消えた。

 すると、人気の無くなった街中に大きな足音が聞こえだした。

 トロール鬼とオーク鬼と呼ばれる亜人種であった。

 圧倒的な体格を持つ無数のトロール鬼とオーク鬼が、無骨な武器を手に、バッターに襲いかかった。

 バッターがジロッと見ると、彼らはビクッと震え上がり止まった。

 バッターは、興味なしという態度でその横を通り過ぎて行こうとすると、恐怖を振り切ったオーク鬼が絶叫にも似た声を上げてバッターに殴りかかった。

 その瞬間、そのオーク鬼の胴体が爆発するように弾けた。

 バットを振り抜いたバッターがそこにいて、他のトロール鬼やオーク鬼達は、震え上がって、ある者は腰を抜かし失禁までしていた。

 バッターは、肩にバットを乗せ、アルファを後ろに連れて、街の中を歩いて過ぎていった。

 

 『ニューカッスル城へ』

 

「ニューカッスル城?」

 

 『風のルビーの指輪を奪い。アルビオンにいる混ざり物の担い手の娘に渡せ。大いなる意志の欠片は、担い手以外のアルビオンの王家の心の臓に宿る』

 

「つまり…、王家の者共を浄化しろと?」

 

 『ニューカッスル城に、追い詰められている。そこで死体を奪われる前に…』

 

「俺が浄化する。」

 

 バッターの目的は決まった。

 アルビオン王家の生き残りを、虚無の担い手以外を浄化することだ。

 そして、風のルビーなる物を奪い、それをこの大陸のどこかにいる虚無の担い手に渡せと。

 バッターは、ニューカッスル城へ向け、歩を進めた。

 

 

 

 




ヤフェトの登場回数は多いと思います。移動手段として。

設定にガーディアン達を入れたのは、アルビオンヘの移動手段がないので、ヤフェトを移動手段に使うためでした……。ヤフェトファン申し訳ない。
ルイズや虚無の担い手以外には、バッターが化け物に見えるという設定にしてしまったため、船が使えなかったのです。


バッターに喰われているガーディアン達は、バッターに対して反感する意識はありますが、逆らうことはできない有様です。
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