微グロ注意。
「なるほど。アルビオンは、いわば、のろしか…。」
バッターは、ロマリアで与えられた豪華な部屋のベッドに座り込み、そう独り言を呟いていた。
彼の周りには、三つのアドオンがいた。
アルファ、オメガ。
そして、エプシロン。
オメガは、アルビオンのニューカッスル城で発見し、エプシロンは、ロマリアに到着してからヴィットーリオから渡された(※戦闘不能状態で)。
ロマリアに来てから、バッターは、ヴィットーリオをはじめとした者達に膝をつかれ、敬意を払われ、今も豪華な部屋を宛がわれている。
6千年も前から自分が来ることを知っていたと言っていたヴィットーリオの言葉が気になる。
いったい誰がバッターが来ることをヴィットーリオ達の先祖に教えたのか、そして彼らが自らバッターがもたらす救済を求めているのか。
「そんなことは、些細なことか…。」
自分の導き手であり、操り手であるはずの声が聞こえないので、どうでもいいことだとバッターは判断した。
第一、アルビオンが滅んだのは、自分がやったことなのに……。なにか勘違いされている感が否めない。
まあ、自分がやった浄化という作業を目撃した者がもう誰もいないのだ。っというか消えた。
自分が保護したティファニアは、ニューカッスル城から遠く離れた灰色となった森の中で見つけたのだ。
そう……、誰もバッターがアルビオンを浄化(滅ぼした)ことを知らないのだ。
バッターが来るのを待っていたと言っていたヴィットーリオという男も、アルビオンを引き合いに他の国の要人達を納得させている様子からするに、バッターがいかなる存在としてこの地へ来たのかは、おそらくハッキリとは知らないのだろう。バッターは、そう直感した。
「真実を語るべきか?」
はい
いいえ ←
「分かった、黙っておく。」
出された選択肢に、バッターは従った。
バッターが座ったまま、やることもなくジッとしていると、ふと悪い気配を感じた。
「…亡霊か。」
スクッと立ち上がりアシュレイのバットを手にし、アドオン達も連れて部屋を出た。
出た直後、そこに血塗れで倒れた人間がいた。
「た…、助け…。」
背中の肉をゴッソリと失った状態で、息も絶え絶えなロマリア兵が、バッターに手を伸ばし助けを求める。
そこに、角の生えた霊体が具現化した亡霊である地獄の亡霊が現れた。その開いた口には、肉を噛んだと思われる血が付着していた。
バッターは、即座にバットを振り、地獄の亡霊を倒した。
ロマリア兵は、失血のためやがて死んだ。
どうやら亡霊は、建物内のアチコチに現れたようで、遠くから叫び声や怒声などが聞こえる。
「…デーダン。」
建物は広く、被害を少なく食い止めるにはアドオン以外の力が必要だと判断し、バッターは、ロイヤルガーディアンのひとりであったデーダンを再構築させた。
『……チッ! てめぇが王(キング)でなけりゃ、この場でぶっ殺してやったのによぉ!」
「真実は隠せ。」
『分かったよ、分かってるつーの。言われなくてもな! 誰もてめぇの浄化を止められる奴にゃいねぇよ!』
デーダンは、そう悪態を吐きながらテレポートし、他の場所を襲っているであろう亡霊を駆逐しに行った。
バッターは、アドオン達を連れて、建物内を走る。
途中でロマリア兵と戦っている亡霊を見つけては浄化し、やがて追い詰められているヴィットーリオと、その使い魔、ジュリオ達を見つけ助けた。
「危ないところでした。ありがとうございます。」
ヴィットーリオは、そう素直にお礼を言った。
その後間もなく、他の場所の亡霊を駆逐し終えたデーダンがやってきて、ヴィットーリオ達はびっくりしたが、デーダンを分解して吸収したバッターを見て、バッターの味方のようなものだと判断したのだった。
「アレは…、いったいなんなのでしょうか?」
「亡霊のことか?」
「ぼうれい…。あの死者が未練を残し…?」
「そう考えても良いだろう。奴らを浄化するのも俺の役目だ。」
「なるほど…。そうでしたか。」
「トリステインの魔法学院という場所でもそうだが、この世界にも俺がもといた世界と同じように穢れた者共が跋扈し始めているようだ。世界を迅速に浄化しなければ…。」
「ええ、そのようですね。お願いします、バッター殿。どうか、この世界をお救いください。」
ヴィットーリオは、まるでブリミルの像にでも祈るように膝をつき、両手を組んで頭を下げた。
バッターは、その様子を見て、このヴィットーリオという男は、本気でバッターを世界の救済者だと信じてるように思えた。
「ところで聞くが、ヴィットーリオ。お前は、亡霊を知っているのか?」
「いいえ。ですが、ブリミルが残した予言の内容によりますと、6千年後…、新たなる虚無の担い手達が現れし時、見境無き悪意が世界を食い尽くすであろうと…。おそらく、その悪意こそがあなたが言われた亡霊ではないかと。」
ヴィットーリオは、その後、自分達の独自の調査で、近年ロマリアをはじめとして、世界のアチコチに亡霊と思われる怪物が生ある者を襲っていることを突き止めていたと語った。
メイジの魔法や、エルフの先住魔法でも倒すのが難しい敵で、エルフ側も苦戦を強いられているという情報があるらしい。
魔法で倒すのが難しいということは、対抗する手段がないにも等しいということ。いずれ、形勢が逆転し、追い詰められる未来しかない。
だからこそ、ヴィットーリオ達は、予言に詠まれた救済者の到着を待ち望んだ。
そしてやってきた。
此度の虚無の担い手のひとりであった、ルイズが召喚する形で。
「分かった。」
バッターは、四つの目を細め、指で帽子の鍔を摘まみ、落ち着いた声で言った。
「いいだろう。お前達を……この世界を望み通り、救済してやる。」
それは、謎の声による命令でもなく、他ならぬバッター自身の誓いであった。
ヴィットーリオは、マジでバッターという存在が世界を救済すると信じています。
原作でブリミルが成そうとしていた地球への帰還を侵略という形で完遂しようとしたように。
そしてバッターは、そんなヴィットーリオの願いに応えようとはします。
彼なりの…やり方で……。
今回登場した亡霊↓
・地獄の亡霊
角の生えた霊体が具現化したもの。