「それでオーナー。結局あれだけお熱だったエルフにはフラレたのかにゃ?」
「違うよミケ。俺にとって、ここが居場所だって気付いただけさ。」
舞台は、酒場《乙女達の楽園》
VIPルーム。
豚野郎ダストは、下界の営業を見つめながらメルル酒を飲む。
その男の姿には、転移前の捻くれクソ野郎の面影はすでになかった。彼女達の愛が男を変えた。
あの夜から1ヶ月。
エルフの村は、7割方完成し、賃金の支払いやエルフの仕事斡旋等の問題は全て片付き、メルカーナの村と猫屋敷を往復する生活がようやく終わった。
「浮気しといて、よくいうにゃ。」
「大切なのはお前らだけだ。だけど俺には力を持った責任がある。」
茶化すようで何処か不安げなミケを、安心させるために約束する。
しかし使命がある。まるでアメコミのヒーローだ。豚野郎ダストは、悲しげに右手を握りしめてつぶやいた。
「使命?」
「あぁ、俺はこの世の全てを美少女にしなければならない。サキュバス ドラゴニュート オーガ娘 アラウネ まだまだあるし、それに獣人系は多すぎて大変そうだ。」
「そんなの、ほっとけばいいにゃ。」
「駄目だ。それは世界の損失だから。力を持つ者として、美少女をプロデュースする責任が俺にはある。」
愛を独り占めしたい女と、右手の呪いを持った男。
「それで、結局。誰と結婚するのだ?」
しわがれた老人の声が響く。会話に無理やりカットインしてきた。
クッ余計な真似を。
セルゲイめ。
VIPルームのラウンジにいるキャスト達が皆聞き耳を立てている。え?何だって。なんてやれる雰囲気では無いし。
うやむやトークが潰された。
「盗み聞きとは趣味が悪いな。」
「耳は、まだ遠くなくての。というか、いつも皆が聞いとるわい。老い先短いんだから、わしの亡くなった息子代わりに、早う子供を見せい。」
幸せになれよってエールを贈ってるつもりなのか。
まったく口の悪い婆さんだ。
だけど、そうだな。
「俺の前にいた世界では、ハーレムが認められていた。一夫多妻ってヤツだ。《乙女達の楽園》の望むメンバーと結婚しよう。」
ミケとキャスト達の顔が緩む。
こんな幸せそうな表情は見た事がない。ミケも恋する乙女だったんだな。
あぁ、くそったれ。
覚悟完了だ、おらっ!
「今日は、店仕舞だ。皆に改めてさっきの言葉を伝えたい。客どもを帰らせろ!」
「また、強引だにゃ。」
ミケは困った顔をする。酔っ払いの強制帰宅は難しいだろう。
「お土産にポーションをばら撒け。」
「それは名案にゃ!」
実は《赤の森》からポーションの材料が採れるようになり、エルフ達総出で大量生産している。味良し、効き目良しの従来品を凌駕する至高のポーションだ。
市場に超高級品として出回りだした噂の一品が倉庫に大量にある。使うならここだ!
「お客様ー。コイシから緊急指令。今夜の猫娘カーニバルは、完全終了だよ。速やかに撤退してね。残念がってる、そこの貴方!《乙女達の楽園》からビッグなプレゼントがあります。」
コイシが見せたのは、噂になっている至高のポーション。
「なんと、噂の至高のポーション!出口で1人、一本プレゼントするよ。遅い人にはあげないから。さあ、出てった。出てった。」
「「うおおお!」」
酔っ払い客が、面白いように我先にと出ていく。受け取った客は嬉しそうだ。あっという間に、祭りが終わり完全撤収となる。
「わしらにはお土産は無いのかの?」
「婆さんには、ポーションとメルル酒を持たせろ。」
「酒はキープで。クロや、帰るかの。」
厄介なお客様もご帰宅だ。
残りは、潰れて寝ている客を道路に放り投げ、ドアに鍵を締める。
あれ?店のドアの鍵なんて初めて使ったかも。
VIPルームには、ずらりとメンバーが集結した。
「もう聞いていると思うが、俺はここにいる皆を愛してる。ダストちゃんも、ダスト君も同じ意味で皆を愛してる。」
皆の顔を見回す。
「今ここで俺と同じ道を歩んでくれる人には、永遠の愛を誓おう。今は無いが、指輪も必ず用意する。愛してる。」
決意表明をすると、コイシちゃんから箱を手渡された。え?何?
箱を開けると、指輪がずらりと入っていた。
「は?」
そして、指を差し出してくる。
急展開すぎて冷や汗が出てくる。付けろという事だろうか?コイシちゃんの表情を見ながら指輪を選ぶ。というか、ケースの部分に名前が書いてあるな。
俺の知らぬ間に…もう準備されていたのか。いったい何時から用意されていたのかとは怖くて聞けない。
異世界で初めて出会った、俺を変えてくれた女性の指に、指輪を嵌める。
「ダスト、大好きだよ。」
いきなり唇を奪われた。久しぶりすぎてドキドキする。なんだ?これ?
ずらっとクランメンバーが並んでるんだけど、同じ流れなの!?
「お前様、愛してるのじゃ」
「御主人様、大好きっす」
「オーナー、優しくてにゃ」
「師匠、大好きですにゃ」
「おにーさん、責任とってね?」
「ダスト様、お慕いしています」
「バーカ、アタシ色に汚してやるにゃ」
「大好きにゃーっ」
「・・・・」
「・・・」
もう唇なんて、キスのしすぎで、ふにゃふにゃだ。
一回毎に、妻のコイシが綺麗に拭いてくれるんだけど何が何だかよく分からない。
脳汁がドバドバ出て、トロけるような。
脳が溶ける。
人生で初めて幸せ酔いを体験した。
あぁ、天国はここに在った。
【後日談】
やっほー、男の娘ダスト君です。
半数と結婚したから生活は変わらないとか思ったんだけど、距離が近くなったというか、色々と変わった。
幸せ死。しそう。
テクノブレイクしそう。
だから、美少女ダストちゃんモードは、省エネで満たされて地味に助かってる。
そんな訳で、クトゥルフには感謝しかない。ちなみに、色々と変化してたら美男Dustモードも獲得した。
結婚しなかった女の子から、そんなの知らなかった。知ってれば結婚したのにって、怒られたけど人生はタイミングだよね。僕も知らなかったんだ。さすがにハーレムは締め切ってるから、ごめんね。
ここ最近の変身を纏めてみたら、こんな感じだった。割と人生を楽しんでるでしょ?
(6)+1 豚野郎 ダスト
(7)+1 美少女 ダストちゃん
(8)+2 男の娘 ダスト君
(2) 美男 Dust
あぁ、そうだ。
最後に言っとかなきゃ。
美少女になりたい人がいたら、酒場《乙女達の楽園》まで遊びに来て。
僕は、いつでも来店を待ってるよ。
異能発動ーーーー
『
御愛読ありがとうございました。
【スペシャルサンクス】
一二三 四五八様 とらねこくろねこしろねこさんこねこトムねこちゃねこ様 鶴沢仁様 犬様 エーテルはりねずみ様 aruto様 taku様 Abe様 瓦せんべい様
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D