厩舎に入ると、少し獣臭さと、干し草の匂いがした。
ブルルッ
馬が鼻を鳴らす。
3頭の馬がおり、その中にいた唯一の白馬が、ダストに興味を示して、人懐っこく、寄ってきた。
乗物:白馬[R]
名前:ハクレン
でかく純真な瞳に見つめられて、どぎまぎしていると、すりすりと、大きな顔を擦りつけられた馬の顔から、体温を感じる。
首筋を撫でてやると、気持ち良さそげに白馬は、目を閉じた。
ちなみに、利き手である右手で撫でたが、黒竜の手袋[SR]を装備して、異能の暴走を完璧に制御しているので、何の問題も無い。
「ふむ。ハクレンに、気に入られたようじゃの。」
その仲良さげな姿を見たリリィにお墨付きを貰ったが、乗馬に不安が残るため、他の候補も見せてもらう。
ただ、野良犬にしか見えない醜悪なケルベロスの馬車や、地を這う絨毯という他の候補には魅力を感じなかった。
乗物:ケルベロスの馬車[R]
特徴:低級モンスター魔狼を利用
特記:キモイ
乗物:地を這う絨毯[SR]
特徴:絨毯の下に生えた触手で這って進む
歴史:空飛ぶ絨毯に憧れた魔道具師の失敗作
特記:キモイ
なので、最初に見た馬をもう一度見に戻ろうか。乗れるか不安だけど、かなり気になっている。
自然と早足になるが、これが駄目だった。
膝枕業務により、無自覚のうちに、バランス感覚がおかしくなっていたダストは、なにもない所で躓きそうになる。
しかし、同じ失敗は犯さない。今度は、ぐっと転倒しないよう右足を一歩前に出して、ダンッと踏み込み耐えた。
「うぉっとと。あっ。こ、小石ちゃぁーん。」
ひゅうう〜、ぽちゃん。
躓いた瞬間に、胸ポケットに入れていた小石ちゃんが、飛び出て、馬用の水桶の中に着水した。ゆらゆらと、浅い水底へ沈んでいく。
「今、助けるから。ごめん。」
黒竜の手袋を濡らさないようにスタイリッシュに口に加えて脱ぎ、躊躇せず、水の中に素手を突っ込み、時間にして、僅か7秒でヒロインを救出っ。
ハンカチで、濡れた小石ちゃんと手を丁寧に拭き、一件落着した。
・・ふぅ。
ブルル?
心配そうに見つめてきたのは、純真な瞳の馬ハクレン。
「心配してくれたのか、ありがとうハクレン。」
寄せてきた首筋を自然な感じで、
撫でた。
そう。うっかりと、
撫でた。
ピカッ!
黒竜の手袋を脱ぎ、素手で触った愚かなる男の右手が光る。ダストの顔は後悔に歪むが、もう遅い。奇跡は、起きる!
異能発動ーーーー
『
進化前:白馬
↓
大成功★
↓
名前:ハクレン
種族:獣人『馬』(美少女)
特記:背の高い8等身の美少女
異能:天翔る脚力
体質:M
装備:Tシャツ、ホットパンツ、ランニングシューズ[R]
異世界に美少女が生まれた。
背の高い8等身の美少女。その美脚は、空を翔ける脚力を秘める地上最速の乙女。純真な大きな瞳。Tシャツ、ホットパンツ、ランニングシューズのスポーティな美少女。
「ハクレン誕生。よろしくっす。」
ポニーテールの赤毛が、元気に揺れる。