この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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33 後片付け

 

 お祭りの後は、ぐちゃぐちゃに汚れている。まぁ、それは楽しんだ証拠だから、悪くないかもと俺は思う。

 

 さて、今日も皆で汚れを落としますか!

 

 なんて野暮な事は言わない。

 激甘クランは、そんな事はしねーっての。初日こそ、気分を高める為にやったけど、毎日とかブラック体育会系ですかって話だ。意識高い系を目指してるまである。

 

 そういえば、昨夜は、途中で脱落した訳だが、責任者がそれでいいの?って思う真面目くんもいるだろう。責任感が強くていいね、採用。勤務条件は、美少女化。なに?考え直させて欲しい。そっか、気が変わったら連絡をくれ。

 しかし、《乙女達の楽園》は、俺が脱落したら、後は、自由だと取り決めてある。好きなタイミングで、客を放ったらかして、後片付けも放ったらかして、バラバラと猫屋敷に帰る従業員達。猫娘嬢を楽しませなかった客が悪いという強気スタンスだ。

 

 ただ1人、例外はいる。猫娘クリア。存在感の薄い彼女は、接客したくないって言ったので、それを尊重して、深夜から明け方までのメモ係をして貰った。

 

 従業員が居なくなっても、賽銭箱に、金を入れて、セルフで飲み食いしても良いのが、《乙女達の楽園》のスタイルだ。

 ちなみに、価格は、ぼったくり価格から適正価格へと、急落する。人件費を引くとそうなる。

 

 コレを踏み倒す不届き者のツケを記録するのが、彼女の役割だ。

 

「良いぜ。ジャンジャンとツケてくれ。貸しを作れるのは、良い事だ。クリア、ご苦労さま。」

 

 メモを受け取り、クリアを労うと、嬉しそうにした。って、気を抜いたら、見失いそうになる程、存在感が無いな。

 

 

「あー、そこそこ。」

 

 ダストは、猫屋敷でゴロゴロしながら、オッパイによるマッサージを、バイオレットから受けていた。

 

 コイシちゃんの石ころを見るような目付きに気付き、ひざまくら神へと切り替わる。

 

 そうそう、酒場の掃除だったな。夕方までには済ませたい。

 

 この異世界には、悲しい事に、奴隷がいる。つまり、清掃には奴隷を、なんてヤツは3流だ。もっと安い労働力がある。

 

「ところで、ブルー見つかった?」

 

「にゃーうー。」

 

 ブルーは、猫語を未だに覚えている。野良猫ネットワークを使い、ストリートチルドレンのアジトを突き止めた。

 たまに猫語で話し掛けて来なければ、優秀なのだが。

 

「出掛けるぞ、ハクレン。」

 

 清掃員を捕まえて育成するぞ。

 

 

 小汚い廃屋に、そいつらは、いた。

 痩せ細ったガキ共が、6名。

 

「誰だ!?」

 

「酒場のオーナーのダストだ。昨夜、俺の店から食い物を盗んだのは知っている。許せんな。」

 

 ガキ共の顔が青く染まる。誰が囮になって、誰を逃がすかと、アイコンタクトして相談しているようだ。

 小さな少女を抜け穴から逃がす事に決めたようだ。なかなか見所があるが、バレバレなのは、子供という所。

 

「俺達を、奴隷商に売るつもりか!」

 

「そんな発想が許せんのだ。食え。」

 

 盗みをしないと生きていけない。そんな生き方は、遅かれ早かれ危険な事に手を出して死ぬ。そんな現実は、許さない。

 

「は?」

 

「食料っす。お菓子も人参もあるっす。」

 

 目を丸くするガキ共に、飯を提供した。

 ちょっと待て、ハクレン。人参は喜ばないと思うぞ?なにが、任せてくださいだ。

 

「俺達は、施しは、受けない。」

 

「施しが嫌なら、仕事をさせてやる。盗みを働くやつに反論などさせん。いいから、黙って、食いやがれ!」

 

 ガキ共を気迫で飲み込む。そして、意識の切れた間隙を狙い、優しい言葉で籠絡する係のハクレンが動く。

 

「はい、ウサギさんクッキーっす。」

 

「おぃひぃ。」

 

「なっ、ミーシャ食ったのか!?」

 

「ケンカ駄目っす。ほらほら、まだあるっす。」

 

 一人落ちたら早くて、バクバクと食らうガキ共。ただし、満腹になったら、たぶん寝るから、量は少なめだ。

 

 風呂屋に入れて、ボロ布[破損]から、貧乏人の服[N]に着替えさせる。

 

 そして、酒場の掃除をさせるが、ガキ共は、まだ役に立たない。

 やる気はあるようだが、見える所しか掃除をしない。なので、一手を打つ。サクラとして一緒に掃除していたミケに合図を送る。

 

「にゃあ!こんな所に小銀貨が落ちてました。」

 

 それを聞いて、ガキ共の目の色が変わる。羨ましいと思う者。なぜ?報告したのか、バカめと思う者。諦めている者。

 バラバラの気持ちを纏めるのが、リーダーだ。これは、俺の仕事。

 

「良かったな、ミケ。見つけた金は、高くても全額くれてやる。分け合う必要は無い。ただし、掃除をサボった場合だけは没収だ。」

 

「ありがと、にゃん。」

 

 なに?貰えるのか?ならば欲しい。ガキ共の気持ちが1つになる。机の下が、宝置き場に見えてきただろ?実際、酔っぱらいは、小銭とか落とすしな。

 

「あったぁ。しかも銀貨だ。」

 

「良かったな、坊主。掃除に励めよ。」

 

 仲間が見付ければ、もう駄目だ。目の色を変えた真剣な掃除が、スタートした。

 

 

 

「ミケ、ご苦労さま。名演技だったぞ。約束のまたたび酒だ。」

 

「ありがとにゃん。」

 

 そこには、悪い大人の裏取引があった。

 

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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