この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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34 日々平穏

 

 日が暮れ出した頃、ピカピカに磨かれた床は、夕焼けを讃えており、見ていると、実に、気持ちがいい。

 達成感が、自尊心を満たすと言えば、適切だろうか。

 仕事を終えたスラム街の孤児達の顔は、出会った頃の荒んだ面影は無く、誇りに満ちていた。ダストも現場監督を努めたので、達成感を共に味わっていると、

 

「今夜も、稼ぐにゃあ。」

「猫娘ぇー、カーニバルっ。」

 

 ぞろぞろと、従業員の猫娘達が徒歩1分の猫屋敷から、出勤してきた。

 そんな中には、清潔さを取り戻した職場に気付く猫娘もいる。

 

「うわーっ、綺麗にゃん。これ、僕達がやったの?」

 

 ぐりぐりと、美人のお姉さんに、頭を撫でられた男の子は、魂を抜かれて、でれでれに。その気持ち分かるぞ、少年。

 

 微笑ましく見ていると、酒場の中を伺う見知らぬ青年と、目が合う。あー、店は、まだ開けてないんだが・・

 

「こんばんは~、運送ギルドです。頼まれた荷物を運んできたんですが、何処に置きましょう?」

 

 客では無いのか、運送ギルド?手ぶらなのに?誰かに任せても良かったが、興味を惹かれて対応する。

 

「えっと、ご苦労さま。荷物は何処だ?」

 

「あぁ、これです。」

 

 アイテムバッグから、品物リストを取り出し、見せられた。アイテムバッグ!ふむ、そういえば、そんな物もあったなと思い出す。

 まるで、手品を見ているようだとそんな事を考えながら、品物リストをパラパラと捲り、訳知り顔で適当に頷く。

 

「その奥に、置いてくれ。」

 

「分かりました。」

 

 ドサドサと、猫娘達の誰かが頼んだアイテムが高く積まれるのを見て、品物リストに書かれた金額を渡したダストは指を鳴らし、猫娘を呼んだ。

 

「開店前だが、この一杯は、店からのサービスだ。今後とも宜しく。」

 

 猫娘から、蜂蜜酒(ミード)を受け取った配達員は、嬉しそうに一気に、飲み干して次の配達先へと歩きだす。この異世界は、朝から酒を飲んで仕事をするぐらいの緩い世界。

 

 そんな感じで開店準備をしていると、お客様、第一号が来店した。そういや、この客は、昨日も一番だったし、よく考えると、まだ店は開いていない。

 

 

「まだ、開いてないんだが。」

 

「妖精神霊酒(ゴッドフェアリー)を持ってきたぞ。固い事を言わなくても良かろう。さっき飲んでいたヤツを見た。ワシらは、隅っこの方でええからの。」

 

 セルゲイ婆さんが、娘クロと手を繋いで来店してきた。婆さんの言う隅の一角だけは、二階になっており、いわゆるVIPルームだ。今のところ、身内しか使っていない。

 あれ?今夜は、ドワーフの若者を連れてきているぞ、ははーん。俺でなきゃ見逃してたね。

 

「ん?どうした、色気づいたのか?」

 

「違うわ!ちょっと、バリアフリーの相談に連れて来ただけだ。」

 

 この後、老婆セルゲイの罠にかかり、このクソ美味い酒を飲まされ、クロに可愛くお願いされたダストは、「店のVIPルームをバリアフリーにしたい?いいよ、いいよー好きに、やってくれ。」と答えてしまうが、まぁ、そんな事は些細な事だ。

 

 

 ダストの酒場経営は、順風満帆だった。

 

 優雅に屋敷で、猫娘と戯れ、夕方になると、暇つぶしに酒場で騒ぐ。

 コイシちゃんのひざまくらを愛でつつ、バイオレットにセクハラし、ハクレンに乗って、少しお出かけする。

 

 のんびりと、

 緩やかに、時は流れていた。

 

 

 豚野郎ダストの熱烈なファン。いわゆる追っかけが、現れるまでは。

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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