日が暮れ出した頃、ピカピカに磨かれた床は、夕焼けを讃えており、見ていると、実に、気持ちがいい。
達成感が、自尊心を満たすと言えば、適切だろうか。
仕事を終えたスラム街の孤児達の顔は、出会った頃の荒んだ面影は無く、誇りに満ちていた。ダストも現場監督を努めたので、達成感を共に味わっていると、
「今夜も、稼ぐにゃあ。」
「猫娘ぇー、カーニバルっ。」
ぞろぞろと、従業員の猫娘達が徒歩1分の猫屋敷から、出勤してきた。
そんな中には、清潔さを取り戻した職場に気付く猫娘もいる。
「うわーっ、綺麗にゃん。これ、僕達がやったの?」
ぐりぐりと、美人のお姉さんに、頭を撫でられた男の子は、魂を抜かれて、でれでれに。その気持ち分かるぞ、少年。
微笑ましく見ていると、酒場の中を伺う見知らぬ青年と、目が合う。あー、店は、まだ開けてないんだが・・
「こんばんは~、運送ギルドです。頼まれた荷物を運んできたんですが、何処に置きましょう?」
客では無いのか、運送ギルド?手ぶらなのに?誰かに任せても良かったが、興味を惹かれて対応する。
「えっと、ご苦労さま。荷物は何処だ?」
「あぁ、これです。」
アイテムバッグから、品物リストを取り出し、見せられた。アイテムバッグ!ふむ、そういえば、そんな物もあったなと思い出す。
まるで、手品を見ているようだとそんな事を考えながら、品物リストをパラパラと捲り、訳知り顔で適当に頷く。
「その奥に、置いてくれ。」
「分かりました。」
ドサドサと、猫娘達の誰かが頼んだアイテムが高く積まれるのを見て、品物リストに書かれた金額を渡したダストは指を鳴らし、猫娘を呼んだ。
「開店前だが、この一杯は、店からのサービスだ。今後とも宜しく。」
猫娘から、蜂蜜酒(ミード)を受け取った配達員は、嬉しそうに一気に、飲み干して次の配達先へと歩きだす。この異世界は、朝から酒を飲んで仕事をするぐらいの緩い世界。
そんな感じで開店準備をしていると、お客様、第一号が来店した。そういや、この客は、昨日も一番だったし、よく考えると、まだ店は開いていない。
「まだ、開いてないんだが。」
「妖精神霊酒(ゴッドフェアリー)を持ってきたぞ。固い事を言わなくても良かろう。さっき飲んでいたヤツを見た。ワシらは、隅っこの方でええからの。」
セルゲイ婆さんが、娘クロと手を繋いで来店してきた。婆さんの言う隅の一角だけは、二階になっており、いわゆるVIPルームだ。今のところ、身内しか使っていない。
あれ?今夜は、ドワーフの若者を連れてきているぞ、ははーん。俺でなきゃ見逃してたね。
「ん?どうした、色気づいたのか?」
「違うわ!ちょっと、バリアフリーの相談に連れて来ただけだ。」
この後、老婆セルゲイの罠にかかり、このクソ美味い酒を飲まされ、クロに可愛くお願いされたダストは、「店のVIPルームをバリアフリーにしたい?いいよ、いいよー好きに、やってくれ。」と答えてしまうが、まぁ、そんな事は些細な事だ。
ダストの酒場経営は、順風満帆だった。
優雅に屋敷で、猫娘と戯れ、夕方になると、暇つぶしに酒場で騒ぐ。
コイシちゃんのひざまくらを愛でつつ、バイオレットにセクハラし、ハクレンに乗って、少しお出かけする。
のんびりと、
緩やかに、時は流れていた。
豚野郎ダストの熱烈なファン。いわゆる追っかけが、現れるまでは。
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D