この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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35 追っかけ

 

 パチリ、パチリと、

 その日は、優雅に爪切りしていたのが、命を救った。異能の暴走を防ぐため、日中は、ほとんど、黒竜の手袋をして生活しているのだが、爪切りのために、その時は、脱いでいた。

 

「ダストォォ!」

 

 だから、聞き覚えのある来訪者の声に、驚いて思わず咄嗟の判断で、奇蹟を起こせ、ダストちゃんになる事により、一命を取り留める事ができたのだった。

 

 ピッカァ!

 

 美少女戦士ダストちゃん降臨☆

 

 え?ダストって誰の事だろう?俺は、ダストちゃんだよ。だからっ、人違い、人違い。

 

「こ、困ります。勝手に入られては!」

 

「五月蝿い、殺されたいのかしら?退きなさい。豚野郎のダストは、この部屋にいるの?」

 

 ダン!と、脆弱なる防衛網を打ち破り、部屋に、敵が入ってきた。始まりの村の、夫を女にされた、バツイチの令嬢ドールだ。

 

 可憐な猫娘達の手薄な防御体制を軽々と突破し、不法侵入してきた女の手には、手斧が握られている。

 

 怖、怖ぇぇ。

 ダストに会いたくて、はるばる訪れるなんてモテモテだね、ダストは。

 

「ダストは、どこ?」

 

「落ち着け、乱暴なお嬢さん。話を聞くから、そこに座って。今、お茶を用意するから待ってて。」

 

 今は、ダストではなく、ダストちゃんだが、この女はカンが良いので、そそくさと、敵前逃亡を図る。お茶を取りにいってそのまま逃げよう。実に自然な感じでドアに滑り込む。

 

 しかし、足を引っ張るバカがいた。

 

「ダストちゃん、お茶ならウチが淹れてくるっす。」 

 

 愚かなる駄馬ハクレンに、背中を撃たれ、ピンチに。

 

「ダストちゃん?」

 

 そのキーワードに反応し、ギギギっと、振り返る令嬢。

 

「ハクレン、隣町で竜涎酒を1本を買って来て、今すぐ。えーと、お嬢さん、そういう訳だから、そこで待ってて。」

 

 とりあえずバカを遠ざける。敬礼したハクレンは、ダッシュで消えていった。

 

「良いわよ、ダストちゃん。貴女には、聞きたい事が出来たから。すぐに来なければ、迎えにいきますから。」

 

「いやいや、そんなには待たせないよ。」

 

 能面の笑顔で笑うお客様を待たせて、ニッコリ笑い退出するダストちゃん。

 

 扉を閉めて、心臓を抑える。

 

 ドクン!ドクン!

 ヤバいぞ。ヤツは、お嬢様探偵ドールだ。何かに気付き始めている。

 

 夫の女体化を当てた、とんでもない女だ。バレる可能性がある。どうする。どうすればいい。

 

 紅茶を淹れる手が震える。

 なにか手はないのか?

 

 

 そうだ!逃げてしまえ。

 

 はっ、アポ無しで相手をして貰えるとか思ったのか?こちらには、最速の乙女ハクレンがいるんだ。アポが有っても逃げるがな、舐めんじゃねぇよ。

 

 いや、ハクレンは、今いない。

 隣町に、行っている。誰だよ、そんな指示だすバカは。

 ・・俺だし。

 

 

 斧エンドは不可避なのか。

 考えろ、どうやって切り抜ければいい。この暴走令嬢は俺を殺しに来てる。やり返すのは簡単だが、血を流すのは、スタイルに反する。

 誤魔化すには、そうだ第3の選択を選べ。

 

 ダスト君になる。

 天啓が閃く。これしか、生き残る道は残されていないと、そっと、顔を触る。

 

 ピカリッ☆

 

 曖昧な肉体になった。

 少女のような外観、しかして下半身に男神を宿す者。

 

 基本的には、女に成れない劣等感が最高のスパイスとなるため、女体化出来る俺には出番が無いと思っていた存在。

 

 しかし、現状、ドールに命を狙われる身としては、スパイスありまくりだ。暴君ハバネロより、暴君なお嬢様は、なんと20万スコヴィル。

 

 夫を女にした犯人と、被害者であるお嬢様探偵ドールの駆け引きが始まった。

 

 知能犯ダスト君は、凶悪な斧を持ったバツイチ女を、出し抜けるのか?

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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