この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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38 冒険へ

 

 勝った。

 

 そう思ったのだが、詰めが甘かった。

 なかなか、奥手な彼と、凶暴な斧ガールの仲は、進展しない。酒場には毎日同席するんだけど。

 

 さっさと、2人仲良く、始まりの村に帰って欲しいが、いまだ友達止まり。そんな訳で、僕は、男の娘ダストちゃんのままだったりする。

 

 

 この肉体。凄く良い。筋力は無いものの、疲れないし、滾る衝動もある。

 しかしだ。しかしだよ、あの斧娘から逃げるために、この姿を強制されている訳ですよ。それは、心の自由では無い。

 

 

 そうだ!

 

 このむしゃくしゃする気持ちを、モンスターに、ぶつけよう。

 

 異世界は、割と自由だ。

 つまり、サンドバッグのようなストレスを、発散する為だけに生まれたようなモンスターも、どこかに、いるはずだ。

 

 

「コイシちゃん、ハクレン。冒険に出掛けるよ!この異世界(で退屈している僕)を救うんだ。」

 

 決意を瞳に燃やして、男の娘ダスト君は、立ち上がる。小さき拳を突き上げろ!

 

「いいよ。いっぱいモンスター倒す。」

 

 しゅしゅっと、シャドーボクシングをした後、燐光を放ち、空中へ滞留した石の欠片になったコイシちゃんを、ぱしっと掴む。

 

「了解っす。ピンチな時は、御主人様も連れて逃げるっす。」

 

 あの日の約束を覚えていた騎士のようにしゃがむハクレンを、ぎゅっと、その平らな胸で抱きしめる男の娘ダスト。

 百合百合した絵柄だが、男だ!

 

 ハクレンに、背負われて、南のダンジョンを目指す。てってってっ、と廊下を歩きだして玄関へ着くと、ピンク髪の猫娘とすれ違った。

 

「オーナー、お出掛けですにゃ?」

 

「冒険が呼んでいる。」

 

 悪戯仔猫ちゃんピンクのアホ毛レーダーが、面白そうな予感に反応し、揺れる。

 

「にゃんと!ピンクも行くですにゃ。」

 

「フフ、可愛い仔猫ちゃん。僕達に、付いて来られなければ、置いていくが、それでもいいか?」

 

 そうそう。猫屋敷は、僕の所有物になった瞬間から、内履きと下履きを分けるルールとなった。だから、そんな会話をしながら履き替えてる。

 よいしょっと、ハクレンの背に掴まり直す。

 

「望む所ですにゃ。」

 

 ピンクの瞳に決意が宿る。

 

「では、行くっすよ。真っ直ぐ走るので、後を付いて来てください。」

 

 そう言い残したハクレンは、

 『どひゅん』っと加速して、

 ピンクの前から、走り去った。

 

 

「非道いですにゃーー。にゃー。にゃー。」

 

 そんな抗議の声すら、あっという間に置き去りにする彼女は、最速の乙女ハクレン。

 

 許せ、ピンクよ。

 お土産は、買ってくるから。

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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