平和な南ギルドを荒らすべく、《乙女達の楽園》は、進撃を開始した。
「さてと、冒険者ギルドに、出発の届け出をするかな。」
事前に、顔を出しておくと、情報が貰えたり、買取がスムーズだったり、と、メリットがある。
ギルドに入ると、やはり、ドヨリっと空気が変わった。それも当然だ。見た事のない絶世の美少女が3人も、来訪したからだ。
僕の可愛いさに惚れてしまった男の人は、ごめんね。
そう。そして、被害者は男だけでは無い。一番の被害者は、男達の関心が奪われた女達だろう。この南ギルドには、受付嬢の他に、アイドルグループがいた。
ダスト君達にアイドルの座を奪われた、その南ギルドの元アイドル《女神の使徒》は、苛立っていた。
可愛い女性だけで結成されたそのクランは、女の身にありながら、Dランクの実力を誇り、ファンも多い。
ただ、荒くれ冒険者の中では、可愛いだけであり、絶世の美少女クラン《乙女達の楽園》の3人を前にすると、路傍の石ころだ。
懲りずに自分達を口説きにきた男冒険者の目が、そちらに釘付けになっているのが、分かる。
くっそー。私達の居場所を奪いやがって、どうやって貶めようかと、他の男冒険者と同じく、受付嬢との会話に、聞き耳を立てる《女神の使徒》のメンバー。
「え?Cランク!?クラン《乙女達の楽園》のダスト様は、ベテラン冒険者様だったのですね。失礼致しました。」
は?Cランクだと。私らより、上じゃねーか。思わず悔しさのあまり、《女神の使徒》は、ダスト君に、絡んで、舌戦を仕掛けた。
「あら、見ない顔ね。同じ女のグループとして、なにかアドバイスをしてあげるわ。行き先は、もう決まって?」
「いや、まだ決まって無いかな。」
ハスキーボイスのダスト君が答えた。嫌味をたっぷり載せてアドバイスをしてあげる。
「なら、初心者平原が良いかしら。子供にも倒せるザコラビットで溢れているから。それに、近くにある、迷いの森は、恵みの宝庫よ。」
「そっか、ありがとう。そこに行ってみるよ。まさに、そういう場所を探していたんだ。」
糞みたいな提案に、了承したダスト君に、さらに苛つく。
ザコラビットは、子供でも倒せるほど弱く、ドロップアイテムは、大して、お金にならないし、迷いの森は入ったら死ぬからだ。
そわそわと、男共が、《女神の使徒》から興味を失い、ダスト君達に、話し掛けるチャンスを伺っているのが分かる。
それを少し迷惑そうな顔をしているダスト君達に、彼女達の苛つきは最高潮を迎える。何故なら、それは、つい先程までの立ち位置だったからだ。
奪われたアイドルの座。だから、つい自分達に向けられていた心ない言葉を、彼女はぶつけた。
「綺麗な顔をしているようだけど、冒険するより、誰かの子供でも生んで引退したら?」
「僕は、子供は産めない。男だからね。」
予想外の返答に、《女神の使徒》は、言葉を失う。禁断の質問をしてしまった罪悪感と、女として負けた敗北感で、彼女達は、もう戦えない。
ザワリっと、周りを囲んでいた荒くれ男達の垣根にも、またヒビが入る。
憂いを帯びたダスト君の瞳は、妖しく惹き込まれる何かと、近付きがたい混沌を内包していた。
このままダスト君達は、出発できるかと思われたが、心の折れない青年が立ちはだかった。
「大丈夫、これだけ可愛いければ、性別なんて超えられるさ。」
ダスト君は、その言葉にキュンと来た。そして、邪魔だから、退いて欲しいなという相反する気持ちが混在する。これが、悩める乙女心なのか。
自分の気持ちに素直になろう。
想いのまま、伝えよう。
顔を赤らめて、もじもじしながら、ダスト君は恥ずかしそうに青年の想いに応えた。
「嬉しい。僕、勃っちゃった。」
その魔法の言葉により、モーゼの魔法で、海が2つに割れ、道が拓いたかのように、南ギルドの冒険者達が、2つに割れた。
進みだせ、道は拓いた。
男の中の男の娘、ダスト君。今、出撃せよ、無害な平和を愛するザコラビットを殲滅せんがために、初心者平原へ!
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D