この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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42 祝杯

 

 豚野郎ダストは、南町の酒場で、祝杯を上げる。琥珀色の液体に満ちた麦酒を高らかに持ち上げ、2人の美少女のグラスと、ガチンと合わせる。

 

「冒険のぉ、成功を祝ってぇ、乾杯!」

 

「いやー、最高っす。」

 

「楽しかったよ。」

 

 酒場の空気は、活気に満ちていた。ガヤガヤとした賑わいは、それだけで、わくわくとしてくる。

 男の娘ダスト君では無いのかって?あのモードは、あんまり食事が食べられないんでな。戻った。

 

 そうそう、秘境の採取品の買取は、懐が、火傷しそうな程の収益が出た。なにせ、ギルドの買取能力を超えたため、少ししか売却出来てないと言えば、分かるだろうか。

 

 受付嬢が、目を白黒させていたのは、痛快だった。その際に、モンスターは、何体倒したか聞かれたので、100匹以上と答えたが、今にして思えば、ザコラビットの事ではなく、霧の魔獣の事だったんだろうな。恐怖の感情を嗅ぎつけ、寄ってくるその凶悪な魔獣には、会っていない。接敵していれば、生きてここに、いないだろう。偶然、命懸けの冒険を切り抜けていた訳だ。

 

 まぁ、いいや。くっはーっ、しっかし、冒険者ってのは、儲かるんだな。とニヤつく。

 

「どうしたの?悪い顔してるよ、ダスト。」

 

「あっ、いや。ラノベ主人公が安易に冒険者になる理由が分かってな。冒険も良いもんだなと。」

 

「ラノベ主人公?それよりも、今度は、もっと活躍したいよ。」

 

 やや不満顔のコイシちゃんも尊い。

 

「あーと、コイシちゃんは移動出来ないもんな。そうだ、ハクレンに乗ったまま、攻撃するのは?」

 

「無理っす。怖いので。」

 

 安定の駄馬ハクレン。機動力に極振りなので、問題は無いけど、武器を持たない非暴力の女。

 しかし、コイシちゃんはガンガン行きたいらしい。うーん、と可愛く悩んでいたコイシちゃんは名案を思い付いたのか、興奮して、裾を引っ張りながら話してくる。

 

「えっと、ダストが、石状態の私を、敵に投げて、変身して戦うのは?ピンチになったら、石に戻ってやり過ごすから、一旦逃げて後で回収してくれれば、いいよ。」

 

「召喚獣?もしくは、ポケモンみたいだな。素晴らしいアイデアだ。採用しよう。」

 

 召喚獣コイシの誕生の瞬間であった。

 

 ハクレンの背に乗り、迷宮を走り、接敵したら、コイシちゃんを投げて召喚バトル。かなり、アツイ展開。

 ハクレンの機動力に、コイシちゃんの火力が加わり、迷宮への挑戦権を得た。ならば、

俺は、頭脳を担当しよう。頭脳は、もっともカロリーを消費する器官だから、補充も、仕事の内だろう。

 

「おぅ、コレとコレとコレを追加で。ジャンジャン持ってきてくれ。」

 

「野菜炒め追加っす。ニンジン多めで。」

 

「黄昏の果実水をくださーい。」

 

 適当にメニューを指差して、豚のように、がっつく。オーク肉は、甘い脂と、湧き上がるエナジーが、ガツンときて美味い。

 

 ハクレンが、野菜炒めの肉を残していたので、その肉をパクつく。好き嫌いせず残すな、とか野暮な事は言わない。豚である俺が、仲間の不始末を、責任を持って片づけよう。

 しかし、肉を食わなくても、筋肉がつくのは、種族の壁のような気がする。

 

 コイシちゃんも、液体は飲めるようになったらしく、食事に参加してくれて、嬉しい。

 

「くぅー、美味ぇな。大成功に終わった冒険の後は、格別だ。それに、斧娘からの束の間の開放感も、いいスパイスになってやがる。」

 

「なんか、一緒に冒険すると、より仲が深まった気がするよ。」

 

 コイシちゃんの言葉に、こくこくと頷くハクレン。どうも、口の中は、いっぱいなのか、声が出ないようだ。

 

「良い事、言うねぇ。と、それだ。」

 

「何が?」

 

「復讐の斧娘を、幸せにしてやろう。フランツ似の青年と、2人旅で、第2の人生を。幸せプランナーのダスト企画。」

 

「ダスト、悪い顔してるよ。」

 

「何を言うか。こんな聖人君子のような善政を敷く、リーダーに対して。」

 

「ふふっ。」

 

 いやー、もう入らないわ。流石に食い過ぎて、ダウン。ハクレンに背負われて、手近な宿に、その日は、御一泊となった。

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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