この世の全てを美少女に!   作:縛炎

47 / 106
48 林檎4

 

「嫌だっ。このまま燃え尽きたくない。ここにいた証。世界が、この世界が、見たいっ。おにーさんっ、リンゴに、世界を見せて。」

 

「任せろ。夢のような夜を約束しよう。」

 

 再び、ダストは、登りだす。

 

 薄ぼんやりと暗くなった《天国へ至る階段》を登る。退屈な代わり映えしない道は、足元が見えなくても、踏み外す事は、無い。

 

 太陽が、完全に落ち、煌々とした白い月が現れる。満天の星星が明るい。

 色とりどりな星が混ざり、ここが異世界なのだなと感じさせる。

 

「うっわーっ、綺麗っ。」

 

「あぁ、そうだな。こんなにも明るいものなのか。」

 

 異世界は、科学レベルが低く、夜は田舎の街のようだ。なので、夜景を楽しむなんて事は、出来ない。

 

 が、星が、こんなにも綺麗だったなんて。キラキラと光るなんて表現があるが、これの事だったのか。

 くははっ、何という陳腐な例えなのだ。これを見なければ、その意味は分からんよ。

 

 足を止めて、夜空を、無限に広がる夜空を見上げる。手を伸ばせば届きそうであり、伸ばすほどに、離れていく。

 

 リンゴは、一生懸命に星を掴もうとしていた。肩車では、星に届かないか、ならば、頂上まで、上がってみようか。

 

 

 |天国に至る階段(ヘブンズステップ)は、ある意味、魔道具であり、資格のある者しか、通さない。

 ハクレンは、チートで、コレを振り切れるが、ダストは何も持たないので、愚直に挑むしかなかった。

 

 ・・ハクレンは、何も言わず、ダストを見守る、その勇姿に魅せられていた。

 

 

 ダストの運動をほとんどしない、ぷにぷにと柔らかい足の裏は、熱を帯びて、悲鳴をあげ、ぶにぶにとした感触の水膨れが破れて、じくじくとした刺すような痛みに変わっているが、それが、どうした?精神が肉体を凌駕し始めていた。

 

 今日ほど、自分の体を呪ったことはないが、これほどまでに、自分の体を頼もしく思った事も無かった。

 

 ズズズッ。と、時折、沈み込む階段が、心を折りにくるが、それよりも僅かながら、登れている事に歓喜した。

 

 数々の修行僧を脱落させた、代わり映えのしない道に、彼は慣れている。なにせ、変化の無い部屋に10年いたプロニートなのだ。

 

 

 こんな物は、地獄では、無い。

 真の地獄を知っているからこそ、言える言葉。ヌルい、ヌルい、ヌルすぎる。

 

 残り時間は、少ない。

 無心で、登る。登る。登る。

 

 

 豚野郎ダストは、命を燃やし続ける、魔道具の資格を満たし、その祈りは、ついに天へと届いた。

 そう、天端、頂上へと、到達したのだ。

 

 狂うような階段が終わり、開けた土地が、3人を出迎える。

 

 

 

「うっわー!!頂上だ。」

 

「ハハハ、もう一歩も歩けんよ。ハクレン、お前は、凄いな。」

 

「御主人様は、凄さの本当の意味が分かってないっす。うちは、貴方が、主人である事が、誇らしいっす。」

 

 ダストは、ヘタり込む。コイシは、肩車から降りて、走り回る。

 

 両手を広げ、仰向けに倒れ込んだ。本物のプラネタリウム。科学大国では見る事の出来なくなった、失われた、かつての原風景が、この異世界には、まだ残っていた。

 

 魂が、躍動するような感動。

 火照る身体を鎮める。

 身体が冷え、心が燃えるように充実感で満ちる。

 

 

 ハクレンが、覗き込んで来たので、手を伸ばして、引き上げてもらった。肩を借りながら、端へと移動する。少ない光りの中に、自分の酒場《乙女達の楽園》を見つけた。

 

「リンゴ、見えるか?あれが、俺の店だ。」

 

「うん。世界を見せてくれて、ありがとう、おにーさん。」

 

 ダストだけの力で用意出来たのは、

 お粗末な夜景。

 

 これが、個人の限界。

 でもな、もう昔とは違う。仲間がいる。

 

「俺は、約束を守る。こんな結末で終わらせる気はない。だから、しばし、時が来るのを待て。」

 

「分かった?」

 

 分かってないであろう疑問に溢れるリンゴの頭を撫でながら、時間を潰していると、待っていた事が起きる。

 

 通話魔法だ。スマホが無いこの世界では、こちらから掛ける事は、出来ないが、魔法が使えるものならば、自由に話が出来る。

 優秀な魔法使いブルーが、話し掛けてきた。

 

「オーナー、何処にいるにゃ?早くリンゴちゃんの歓迎パーティ始めたいんですけど、皆、待ってるにゃ。」

 

「ブルーか、いいタイミングだ。この連絡を待っていた。悪いが、予定が変わり、リンゴとは、訳あって、山の上でお別れをする。俺は、大輪の花を持って送り出したいが、生憎と、今は何も持っていない。だから、お前らに頼みがある。」

 

「また勝手にゃ。はぁ…何すれば、いいにゃ?」

 

「夜空に、大輪の花を打ち上げろ。宝石キノコを、魔力暴走させて、空に解き放て。」

 

「はにゃ!?1個で1パーティが1ヶ月は生活できる高級品にゃよ?王族ぐらいしか、そんな事しないにゃ。」

 

「ならば、俺は、今夜限りの王となる。構わないから、やれ!」

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。