この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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54 怪盗

 

「別に問題なくないっすか?」

 

「私も、そう思うよ。」

 

「あれ?そうなのか。」

 

 ハクレンもコイシちゃんも「枝の窃盗」に乗り気なようで、どうにも、異世界の倫理観が、よく分からない。

 困っていたダスト君に、ミドリが、おずおずと話す。

 

「ダスト様が、悩まれてる理由が良く分からないのですが、挿し木を知らなければ、枝って無価値ですよね?」

 

「あっ、確かに。」

 

「なので、すんなり貰えるかと。こっそり折ってもバレませんし。ターゲットは、損した事すら気がつきませんよ。」

 

「それなら、問題無いな。」

 

 ダスト君は、あっさりと、悪の道へ堕ちる。正義は、死んだ。

 

 ここから、スリリングな華麗なる怪盗団編へと行こうかなと思っていたが、盗みだすものが、無価値に見える枝なので、トラブルもなく、すんなりと回収出来た。

 

 

 それでは、怪盗美少女猫娘の中から特に活躍した3人をご紹介しよう。

 

 猫娘『クリア』

 3位。その存在は希薄で忍者のよう、すたすたと、警戒厳重な果樹園に入り、ペキペキと目的の樹の枝を摘み取っていく職人。見つからないし、見つかっても、会釈して乗り切るプロ中のプロ。

 

 猫娘『ミケ』

 2位。交渉能力ピカイチのしゃべり系女子。巧みな話術で、美味しい樹を選別した上で、試食でさらに厳選し、気に入った枝を何気なく、ペきっと折る、後工程まで完璧な職人。ちなみに、お土産まで貰って帰る徹底ぶり。

 

 猫娘『ピンク』

 1位。美少女である事を自覚したクソ猫。「異世界一、甘い果実が食べたいですにゃ。」と、あちこちで呟き、グルメ貴族や、冒険者から、ガンガンと貢がせた。

 

 誠に、嫌な事であるが、別ベクトルで戦ったピンクの貢献は、大きい。

 そう。一番のハードルである美味い果実さえ見つけてしまえば、後は、「もう一度、食べたいですにゃ。」と、取りに行かせ、尾行し、枝をペキりと折るだけで、いいのだ。

 

 分かった事は、王様や権力者の食べている果実は、味より安全性が優先されているらしく、そこまで甘くなかった。

 道楽に走るグルメ貴族やグルメ商人、大規模農園の管理者が、良いものを食べている事が判明。

 

 傾向が分かれば、後は、楽だった。

 ピンクの作戦を、水平展開するだけなので。

 

 ハニトラ部隊を各地に派遣。「私に、一番を食べさてにゃ。」と、呟きまくり、釣りまくる。

 これには、ダスト君も参戦。しつこい口説きには「僕、男だけど良いかな?」とドキドキワードをぶっこむ。え、考えさせて欲しい?意気地なしさんめっ。

 

 こうして、各地より、高品質な枝を、回収しまくったのだった。

 

「圧巻だな。」

 

 ダスト君の前に積み上がるナンバリングされた枝。倉庫は、すでに、一杯になり、馬屋の中も枝が、ギッチリ。

 

 酒場の営業停止も解けたのだが、『挿し木農法』知識チートで、荒稼ぎをするため、ダスト君は、猫娘ミドリと開発を、頑張る事にした。

 

 といっても、アドバイスするだけだが。

 

 少し離れた休耕地を買い取り、四方を堅牢な外から決して見えない壁で囲い、秘密の作付けは始まった。

 

「ダスト様、農薬ポーションを使用し、10倍速で育てます。収穫量は半減するので、通常は、果実の代金より薬品代がかかってしまうのですが、すべてが高級品の果実の場合は、メリットしかありません。」

 

「10倍速か、それは凄いな。」

 

「はい。沢山、取れるように、なるべく大きいのを育てましょう。」

 

「いや、待て。それは早計だな。中庭には大きいのを植えたが、林檎は、本来、矮化が好ましいだろう。」

 

「ワイカって何ですか?」

 

「矮小化。あえて、小さく作る事だ。収穫量は、減るが、収穫効率があがる。こういう風に、別方面から、考える事も重要だ。台木といって、土台になる挿し木と合わせる木の種類もよく考えてみてくれ。」

 

「さすが、ダスト様。そのようなお考えがあるなんて。」

 

 何処かで仕入れた知識をペラペラと語るダスト君。いいね、知識チートは最高だ。

 

「あっ、ダスト様。別方面から考えてみました。魔木を使うのは、どうでしょうか?」

 

「良い着眼点だね。」

 

 魔木がなんなのか、よく分からなかったダスト君は、適当に褒めた。

 

「あ、ありがとうございます。ダスト様。嬉しいにゃ。」

 

 恥ずかしそうに笑うミドリは、なんかこう、守ってあげたくなるみたいな、磨けば光る系女子なので、お手軽感というか、馴染みやすさもプラスなポイントだ。

 ミドリは、褒めれば、伸びる子だと、ダスト君は確信した。

 

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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