「別に問題なくないっすか?」
「私も、そう思うよ。」
「あれ?そうなのか。」
ハクレンもコイシちゃんも「枝の窃盗」に乗り気なようで、どうにも、異世界の倫理観が、よく分からない。
困っていたダスト君に、ミドリが、おずおずと話す。
「ダスト様が、悩まれてる理由が良く分からないのですが、挿し木を知らなければ、枝って無価値ですよね?」
「あっ、確かに。」
「なので、すんなり貰えるかと。こっそり折ってもバレませんし。ターゲットは、損した事すら気がつきませんよ。」
「それなら、問題無いな。」
ダスト君は、あっさりと、悪の道へ堕ちる。正義は、死んだ。
ここから、スリリングな華麗なる怪盗団編へと行こうかなと思っていたが、盗みだすものが、無価値に見える枝なので、トラブルもなく、すんなりと回収出来た。
それでは、怪盗美少女猫娘の中から特に活躍した3人をご紹介しよう。
猫娘『クリア』
3位。その存在は希薄で忍者のよう、すたすたと、警戒厳重な果樹園に入り、ペキペキと目的の樹の枝を摘み取っていく職人。見つからないし、見つかっても、会釈して乗り切るプロ中のプロ。
猫娘『ミケ』
2位。交渉能力ピカイチのしゃべり系女子。巧みな話術で、美味しい樹を選別した上で、試食でさらに厳選し、気に入った枝を何気なく、ペきっと折る、後工程まで完璧な職人。ちなみに、お土産まで貰って帰る徹底ぶり。
猫娘『ピンク』
1位。美少女である事を自覚したクソ猫。「異世界一、甘い果実が食べたいですにゃ。」と、あちこちで呟き、グルメ貴族や、冒険者から、ガンガンと貢がせた。
誠に、嫌な事であるが、別ベクトルで戦ったピンクの貢献は、大きい。
そう。一番のハードルである美味い果実さえ見つけてしまえば、後は、「もう一度、食べたいですにゃ。」と、取りに行かせ、尾行し、枝をペキりと折るだけで、いいのだ。
分かった事は、王様や権力者の食べている果実は、味より安全性が優先されているらしく、そこまで甘くなかった。
道楽に走るグルメ貴族やグルメ商人、大規模農園の管理者が、良いものを食べている事が判明。
傾向が分かれば、後は、楽だった。
ピンクの作戦を、水平展開するだけなので。
ハニトラ部隊を各地に派遣。「私に、一番を食べさてにゃ。」と、呟きまくり、釣りまくる。
これには、ダスト君も参戦。しつこい口説きには「僕、男だけど良いかな?」とドキドキワードをぶっこむ。え、考えさせて欲しい?意気地なしさんめっ。
こうして、各地より、高品質な枝を、回収しまくったのだった。
「圧巻だな。」
ダスト君の前に積み上がるナンバリングされた枝。倉庫は、すでに、一杯になり、馬屋の中も枝が、ギッチリ。
酒場の営業停止も解けたのだが、『挿し木農法』知識チートで、荒稼ぎをするため、ダスト君は、猫娘ミドリと開発を、頑張る事にした。
といっても、アドバイスするだけだが。
少し離れた休耕地を買い取り、四方を堅牢な外から決して見えない壁で囲い、秘密の作付けは始まった。
「ダスト様、農薬ポーションを使用し、10倍速で育てます。収穫量は半減するので、通常は、果実の代金より薬品代がかかってしまうのですが、すべてが高級品の果実の場合は、メリットしかありません。」
「10倍速か、それは凄いな。」
「はい。沢山、取れるように、なるべく大きいのを育てましょう。」
「いや、待て。それは早計だな。中庭には大きいのを植えたが、林檎は、本来、矮化が好ましいだろう。」
「ワイカって何ですか?」
「矮小化。あえて、小さく作る事だ。収穫量は、減るが、収穫効率があがる。こういう風に、別方面から、考える事も重要だ。台木といって、土台になる挿し木と合わせる木の種類もよく考えてみてくれ。」
「さすが、ダスト様。そのようなお考えがあるなんて。」
何処かで仕入れた知識をペラペラと語るダスト君。いいね、知識チートは最高だ。
「あっ、ダスト様。別方面から考えてみました。魔木を使うのは、どうでしょうか?」
「良い着眼点だね。」
魔木がなんなのか、よく分からなかったダスト君は、適当に褒めた。
「あ、ありがとうございます。ダスト様。嬉しいにゃ。」
恥ずかしそうに笑うミドリは、なんかこう、守ってあげたくなるみたいな、磨けば光る系女子なので、お手軽感というか、馴染みやすさもプラスなポイントだ。
ミドリは、褒めれば、伸びる子だと、ダスト君は確信した。
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D