翌日。時刻は、夕方。ダスト君は、ミドリに、アドバイスをするため、秘密の作付け農園へと向かう。
朝は、コイシちゃんのヒザを撫でたり、猫娘達の髪を撫でて喉をゴロゴロ言わしたりと、従業員サービスで忙しかったから、仕方がない。
なにせ、福利厚生のしっかりした激甘クランを目指しているからな。
つまり、忙しかったため、ミドリの秘密の農園へと足を運ぶのが遅くなった。
僕は悪くないが、手遅れか。
まさか、農園が、こんな事になっているとは。
ザワザワ。
不快に蠢く、樹木がお出迎え。
植物が動いてるんだぜ?
一夜にして、そこは、森の迷宮と化していた。入りたくねぇ。
魔木(マジックツリー)。ダスト君は、知らなかったが、迷い木を始めとした食物系モンスターの事を表す。
「どうして、こうなった。褒めて、残念な方向に、伸びたのか。残念ファッションの女の子を磨くと、こうなるのか。」
軽く絶望していると、しゅるると、木の蔦が、ダスト君の足元に巻き付く。
そして、宙づりにされた。
「いやぁぁぁあ。てめっ、僕は、今日はスカートなんだぞ。離しやがれ。」
スカートを必死に押さえてダスト君は、涙目になる。
「ダスト様に、じゃれついたら、駄目ですよ。めっ。」
奥から現れたミドリの言葉に、反応したように、しゅんと、なった木の蔦から開放された。
「何だ、これはどうなってる。」
「はい。ダスト様に褒めて頂いた魔木を集めて、台木を作っています。なんと、魔木は10倍の成長速度です。農薬ポーションにゴブリンの屑魔石を混ぜて15倍になり、掛け合わせて150倍の成長速度になりそうです。」
「へー、そうなんだ。」
異世界革命キター。2日毎に収穫出来るなんて、まるで、超魔法文明の香りがするじゃないか。同時に、滅亡までのカウントダウンも刻み始めた気分だ。
「ダスト様、尊敬致します。」
「よしっ、後はミドリに任せた。」
キラキラとした笑顔に、今さらノーとは言えないだろ。もう止まらない。ならば、走り出せ。
ミドリには、マッドサイエンティスト。いや、錬金術師の資質があったようだ。
数日後には、その完成形が見えたのだ。
チュッパチャップスが沢山刺さったツリーといえば、イメージしやすいだろうか。棒の先に果実が山成りになるといった矮化に成功していた。
いずれは、魔木の特性を活かし、果実を最適な状態で、射出し、自動での箱詰めを目指すらしい。
概ね良好だ。しかしながら、まだ厳選の作業が残っている。倉庫をパンパンにした枝の中から、当たり木を、探しださねばいけない。
屋敷の食堂には、長机に、美しい猫娘達が並ぶ。ダスト君は中央に。
果物の華やかな芳香に満ちていた。
ずらりと並べられたるは、サイコロ状の果肉片と、爪楊枝。どんどん食べて、採点をしていく。
爪楊枝に、書かれたナンバリングを探し、甘さ、華やかさ、香り、食感、奥行き、といった項目に点をつけるのだが、
「美味いにゃ!」
「こっちの方が、甘いにゃ。」
「外れたにゃあ。」
「これに決まりですにゃ。」
和気あいあいとしているが、厳選の恐ろしさは始まったばかり、舐めたらあかんぜよ。
まず、このテーブルにあるのか?そこからだからな。
弱い者から、倒れていく、ペース配分をミスったら死ぬ。
「がふっ。」
ほらな。
まず、予想どおり最初に食べ切れなくなった犠牲者がでた。
・・僕だ。
言い訳させてくれ、男の娘モードは、全然食べられない。女子より女らしいので、これは仕方がない。
だが、仲間が、まだ戦っている。
戦場に戻らなくては。
気合いを入れろ!
ほっぺたを、パンッと張る。
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D