この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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55 魔木

 

 翌日。時刻は、夕方。ダスト君は、ミドリに、アドバイスをするため、秘密の作付け農園へと向かう。

 朝は、コイシちゃんのヒザを撫でたり、猫娘達の髪を撫でて喉をゴロゴロ言わしたりと、従業員サービスで忙しかったから、仕方がない。

 なにせ、福利厚生のしっかりした激甘クランを目指しているからな。

 

 つまり、忙しかったため、ミドリの秘密の農園へと足を運ぶのが遅くなった。

 僕は悪くないが、手遅れか。

 まさか、農園が、こんな事になっているとは。

 

 

 ザワザワ。

 

 不快に蠢く、樹木がお出迎え。

 植物が動いてるんだぜ?

 

 一夜にして、そこは、森の迷宮と化していた。入りたくねぇ。

 

 魔木(マジックツリー)。ダスト君は、知らなかったが、迷い木を始めとした食物系モンスターの事を表す。

 

「どうして、こうなった。褒めて、残念な方向に、伸びたのか。残念ファッションの女の子を磨くと、こうなるのか。」

 

 軽く絶望していると、しゅるると、木の蔦が、ダスト君の足元に巻き付く。

 そして、宙づりにされた。

 

「いやぁぁぁあ。てめっ、僕は、今日はスカートなんだぞ。離しやがれ。」

 

 スカートを必死に押さえてダスト君は、涙目になる。

 

「ダスト様に、じゃれついたら、駄目ですよ。めっ。」

 

 奥から現れたミドリの言葉に、反応したように、しゅんと、なった木の蔦から開放された。

 

「何だ、これはどうなってる。」

 

「はい。ダスト様に褒めて頂いた魔木を集めて、台木を作っています。なんと、魔木は10倍の成長速度です。農薬ポーションにゴブリンの屑魔石を混ぜて15倍になり、掛け合わせて150倍の成長速度になりそうです。」

 

「へー、そうなんだ。」

 

 異世界革命キター。2日毎に収穫出来るなんて、まるで、超魔法文明の香りがするじゃないか。同時に、滅亡までのカウントダウンも刻み始めた気分だ。

 

「ダスト様、尊敬致します。」

 

「よしっ、後はミドリに任せた。」

 

 キラキラとした笑顔に、今さらノーとは言えないだろ。もう止まらない。ならば、走り出せ。

 

 

 ミドリには、マッドサイエンティスト。いや、錬金術師の資質があったようだ。

 

 数日後には、その完成形が見えたのだ。

 

 チュッパチャップスが沢山刺さったツリーといえば、イメージしやすいだろうか。棒の先に果実が山成りになるといった矮化に成功していた。

 

 いずれは、魔木の特性を活かし、果実を最適な状態で、射出し、自動での箱詰めを目指すらしい。

 

 

 概ね良好だ。しかしながら、まだ厳選の作業が残っている。倉庫をパンパンにした枝の中から、当たり木を、探しださねばいけない。

 

 屋敷の食堂には、長机に、美しい猫娘達が並ぶ。ダスト君は中央に。

 果物の華やかな芳香に満ちていた。

 

 ずらりと並べられたるは、サイコロ状の果肉片と、爪楊枝。どんどん食べて、採点をしていく。

 爪楊枝に、書かれたナンバリングを探し、甘さ、華やかさ、香り、食感、奥行き、といった項目に点をつけるのだが、

 

「美味いにゃ!」

「こっちの方が、甘いにゃ。」

「外れたにゃあ。」

「これに決まりですにゃ。」

 

 和気あいあいとしているが、厳選の恐ろしさは始まったばかり、舐めたらあかんぜよ。

 まず、このテーブルにあるのか?そこからだからな。

 弱い者から、倒れていく、ペース配分をミスったら死ぬ。

 

「がふっ。」

 

 ほらな。

 まず、予想どおり最初に食べ切れなくなった犠牲者がでた。

 

 

 ・・僕だ。

 言い訳させてくれ、男の娘モードは、全然食べられない。女子より女らしいので、これは仕方がない。

 

 だが、仲間が、まだ戦っている。

 戦場に戻らなくては。

 

 気合いを入れろ!

 ほっぺたを、パンッと張る。

 

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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