この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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61 猫娘マゼンタ

 

「あぁ、汚されてしまった。」

 

「にゃふ?」

 

 汚れたエプロンアタックにより、ダストは、名前に相応しい姿となったが、犯人であるマゼンタは、雑に誤魔化してきた。

 しかし、大人はこんな事ぐらいで怒ったりは、しないと余裕を魅せつける。

 

「いーよ、この汚れは、マゼンタが頑張ってくれた証だ。怒ったりしないから、お前も早めに帰れ。」

 

 ダストが労うと、再び、ぷるぷると震えるマゼンタ。あれ?どうした、この娘は何かの病気かなとか要らぬ心配をしていると、再び、仕事で汚れたエプロンをした猫娘は、ガバッと抱きついてきた。

 

「オーナー。それ、ずるいにゃー。」

 

 当然、避けようとしたダストだが、獣人の身体能力は、人より優れているので、回避なんて出来るわけがない。

 

「何がだ!離せ、さらに汚れるだろが。果汁でベタつくんだよ。怒らねーけど、汚されたいわけじゃねーからっ。離せ!」

 

「うっさい。バーカ。すげぇ競争率の高い戦いに巻き込むなバーカ。むしろ汚してやる。これは、マーキングなのにゃ。」

 

 その発言を聞き、何かを思い当たったのか、ドン引きするダストは、真剣な顔になり、触れてはいけない真相に迫る。

 

「マゼンタ、今、何って言った。マーキングだと。もしや!?元オス猫の可能性が出来てたのだが。」

 

「バーカ。あれだけ、何匹もごちゃまぜにしておいて、何言ってるにゃ。」

 

 ふらりと、力が抜けるダスト。完全に生まれ変わっているのだから、元が、男だろうが女だろうが、どうでもいい事。ましてや猫なのに。

 しかし、この男は童貞。幻想を諦められないピュアハートを持つ男。

 

「全部、雌猫の可能性もあるもん。」

 

「にゃー。今さら好感度下げようとしたって手遅れにゃ。その可能性もあるけど、真相は、闇の中にゃ。」

 

 ピキーンと、閃く。

 

「シュレディンガーの猫、あるかどうかは分からないという事か。信じれば、叶うのだな。」

 

「・・なんて駄目な男にゃ。アタシがいないと大丈夫だろうかって、すげぇ母性本能がうずくにゃあ。汚れろ、汚れてしまえー。」

 

 すっかり乱心して、キャラが変わってしまった美少女猫娘マゼンタの熱き包容は、彼女が満足するまで続いた。

 マゼンタからは、香水のような果実のいい匂いがする。

 

「今日は、これくらいで、勘弁してやるにゃ。」

 

 

 昏倒したチュチュに布団を掛けてソファーに放置し、密室のドアを開けて厨房へと戻った2人は、副料理長のバイト少女と目が合う。

 

「・・・。」

 

 副料理長は、料理長マゼンタの汚れたエプロンと、ダストの汚れた服を、ちらちらと交互に見ながら、赤い顔で言う。

 

「あの、・・・料理長、お楽しみだったんですね。」

 

 赤毛の猫娘マゼンタが、恥ずかしさで硬直し、その顔が赤くなって、そろそろと困った顔でダストを見上げた。

 

 しかしながら、乙女心を玩んだ男の姿は、すでになく、屋敷に逃げ帰る後ろ姿が見えた。

 

 ふふふ。とマゼンタは、笑う。

 

「今日は看板にゃ。各自、速やかに、加点リストのポイント分の給料を受けとって、完全撤収にゃ。」

 

 掃除は、しない。

 そのまま散らかして帰る。それは、翌朝のスラム街の孤児達の仕事だからだ。

 

 仕事量に応じて、どんどんとポイントが貰えて、その日の最後に、給金や、従業員にしか販売していない各種の最高品質の果実と交換出来る仕組み。

 

 給金なら好きな時間に交換出来るのだが、売れ残りの果実を持って帰りたいバイト女子が多いので、この時間帯がバイトの集まりが1番多かったりする。

 食べてもいいし、転売すれば、結構なお金になるからだ。

 

 事後処理は、済んだとばかり、駆け出す。

 

「逃がすわけないにゃー。」

 

 徒歩1分の通勤路の途中でアッサリと捕まるダスト。

 ニタリと笑ったマゼンタに、恋人繋ぎで、連行されて、屋敷へと帰った。

 

 それを見送っていた副料理長は、小さくエールを送る。

 

「頑張ってください、料理長。胃袋を掴んで、幸せになる未来を、スタッフ一同全力でバックアップしますので。」

 

 ダストは、繋がれた手にドキドキしていた。ニタリと笑ったマゼンタも可愛い。

 

「これで、一歩リードだにゃ。」

 

「ん?何だって?」

 

「にゃふ?」

 

 雑に誤魔化すマゼンタを白い目で見ながら、早く風呂に入りたいと、玄関を開けると、なぜか玄関で、待ってたバイオレットと目が合う。

 

「お帰りなさい、オーナー。随分と遅かったにゃ。あれ?何か汚れて。。マゼンタも汚れて。二人でまるで抱き合ったような?オーナー、少しお話がありますにゃ?」

 

「え?バイオレット、何か怖いんだけど。まずは、落ち着こう。こういうのは、誤解だ。おそらく、誤解だ。」

 

 ダストは、そろそろと助けを求めて、マゼンタを目で探す。

 

 しかしながら、ダストを汚した女の姿は、すでになく、風呂場に、向かってスキップする後ろ姿が見えた。

 

 ダストの顔がひきつる。

 

「ちょっ、マゼンタ。説明ーっ。」

 

「お風呂、お先に頂きますにゃ。」

 

「オーナー、お話を、じっくりと聞かせて欲しいにゃ?」

 

 

 どうにも今夜は、すぐにお風呂に入れないらしい。

 

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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